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2006.03.24
平成18年北海道議会第一回定例会報告
第1回定例道議会は、2月23日(木)に招集され、18年度道予算案などを可決し、3月24日(金)に閉会した。
わが会派は、代表質問に段坂繁美(札幌市中央区)議員が立ち、厳しい道財政の状況、これを背景とする行政改革大綱のあり方、道州制や市町村行政などの地方自治問題などについて質疑を行った。
また、一般質問には、長尾信秀(渡島支庁)、小谷毎彦(北見市)、保村啓二(網走支庁)、岡田俊之(渡島支庁)、池本柳次(十勝支庁)、三井あき子(旭川市)、日下太朗(網走支庁)、星野高志(札幌市東区)、林大記(札幌市南区)の9議員が立ち、当面する道政課題、地域課題について、道の取り組みを質した。
1 主な審議経過について
高橋知事の最終政策予算である18年度の道予算案は、一般会計が2兆7604億円(17年度当初予算比5.8%減)、特別会計6128億円(同1.4%増)の合計3兆3732億円(同4.6%減)。歳入では、景気持ち直しで地方税が回復傾向にある全国とは、まったく異なって道税が伸び悩み、国からの交付税圧縮などの影響が出ている。歳出では、医療費などの義務的経費の増加が続く保健福祉費を除いて、軒並み削減された予算となった。道は、赤字再建団体転落を回避するとして、一昨年8月に「財政立て直しプラン」を策定、さらには、この2月に「新たな行財政改革の取組み」を策定してきたが、国の地方財政緊縮路線などによって、財政の見通しは、悪化の方向で、修正を相次いで、迫られてきた。この結果、予算案は、施策・事業の一律削減・廃止、道職員の基本給を10%カットする「全国一」の独自縮減などの手法で編成された。
道民や市町村への負担転嫁が、その基調であり、全国と北海道の格差拡大、北海道の中での格差拡大への対応や、条件不利地や社会的弱者への配慮に欠けているといった質疑を展開したが、知事は、格差拡大の状況などを認めながら、「持続可能な行財政構造の確立が、未来に対して担う責務」などとする、方針の見直しを認めない答弁に終始した。
こうした論議の経過から、会派は、18年度予算案の組み替え提出を求める動議を提出し、予算案に反対した。
また、昨年末から、大きな課題として浮上してきたのが、道州制特区推進法案の取り扱い。政府・与党内部においての、法案の策定過程も明らかにならず、策定の責任も所在もあいまいなままで、開発業務の見直しばかりが強調される法案であることが取りざたされている。政府は、同時に、北海道開発業務を縮小見直し項目に特定した、行政改革推進法案の策定、提案作業を進めてきたことから、特区推進法案も、北海道が、地方分権推進のために、道州制の検討に取り組んできたことを都合良く利用しての、道内における公務員リストラのみが狙いと、言わざるを得ない状況になった。知事も、会期中に再三、上京したが、北海道側の要望の実現など、法案の具体像を何ら明らかにできないまま。北海道のみを対象にした法律でありながら、道民の意向反映、意志集約どころか、道議会での論議すらできない状況で会期末を迎えた。
なお、開会冒頭で提出された、いわゆるゼロ国債等の17年度補正予算案の質疑には、蝦名清悦(札幌市北区)議員が立った。
2 採択された決議・意見書
(◎は政審発議、○は委員会発議)
◎在日米軍再編に係る航空自衛隊千歳基地への訓練移転に関する意見書
◎耐震構造設計の偽造問題の調査と再発防止のための制度改革を求める意見書
◎安心・信頼の医療の確保に向けた制度改革に関する意見書
◎さらなる総合的な少子化対策を求める意見書
◎電気用品安全法の見直しを求める意見書
◎新聞の「特殊指定」制度の堅持に関する意見書
○酪農・畜産基本政策と畜産物価格等に関する意見書
○WTO農業交渉に関する意見書
○米国産牛肉の安全性確保に関する意見書
○本道の実情に配慮した米政策改革の推進に関する意見書
○北方領土問題の早期解決等に関する意見書
3 第一回定例会予算特別委員会
第一回定例会予算特別委員会は、3月14日〜22日に開かれ、補正予算案先議で三津丈夫(帯広市)議員が道税について、中小企業融資について、医療費について、管理受託団体への退職金引当金補助について、捜査用報償費について質疑した。
分科会質疑では、第1分科会で勝部賢志(江別市)議員が医師確保対策について、強制連行被害者の遺骨問題について、林大記(札幌市南区)議員が介護保険について、予算編成のあり方について、捜査用報償費について、福原賢孝(檜山支庁)議員が支庁制度改革について、北海道の魅力・潜在力について、道立文書館について、佐野法充(札幌市豊平区)議員が道州制と道州制特区について、道州制と道庁改革・道内分権について、財政立て直しプランと地方財政について、特別職等への民間登用について、高橋亨(渡島支庁)議員が私学助成について、新たな行財政改革の取組みについて、札幌医大産学・地域連携センターの設置について、私(沢岡信広―北広島市)が財政立て直しプランと札幌医大地方独立行政法人化について、財政立て直しプランと行政改革大綱について、第2分科会(佐々木恵美子委員長)で木村峰行(旭川市)議員が道路・河川整備のあり方について、対震偽装問題について、障がいのある生徒の就労について、池田隆一(小樽市)議員がアスベスト対策について、学校職員の評価制度について、北準一(空知支庁)議員が地球温暖化問題について、水環境の保全について、食育について、新たな高校教育指針と高校配置計画について、沖田龍児(苫小牧市)議員が中古家電の販売禁止について、知床等における海鳥の油汚染について、平出陽子(函館市)議員がDV防止基本計画案について、新たな高校教育指針素案と地域キャンパス校について、第3分科会で斉藤博(函館市)議員が外来魚対策について、木育の推進について、岡田俊之(渡島支庁)議員が生乳の減産について、水田農業の構造改革等について、農業の研究・普及の見直しについて、農産物の輸出について、三津丈夫(帯広市)議員が農業での経営所得安定対策について、農村女性の活動支援について、経済の活性化と雇用確保について、須田靖子(札幌市手稲区)議員が道内企業の労働条件向上について、田村龍治(胆振支庁)議員が雇用対策について、季節雇用労働者の施策について、それぞれ質疑した。
総括質疑では、林議員が予算編成のあり方について、捜査用報償費について、佐野議員が財政立て直しプランと地方財政について、道州制と道州制特区について、特別職等への民間登用について知事に質した。
こうした論議経過に基づいて、会派は、「18年度北海道一般会計予算を撤回し、組み替えの上、再提出を求める動議」を提案した。提案説明は林議員、賛否討論は池田議員が行った。また、予算案可決に際して、自民会派から提案された附帯意見案については、蝦名議員が反対討論を行った。
なお、本会議での予算組み替え動議の提案説明は、三井あき子(旭川市)議員が、賛否討論は岡田篤(釧路支庁)議員が行った。
4 当面する課題と会派の対応
(1)道の財政問題、新年度予算について
新年度予算案は、高橋知事の任期仕上げの最終政策予算。ところが、道の“財政危機”が、道民生活や道内経済・雇用を直撃している。知事は、国の「小さな政府」路線からの、しわ寄せを、道の財政悪化への、自らの責任を明らかにすることなく、押し付けていると評価せざるを得ない状況だ。全国との格差が拡大し、セーフティネットが壊される中での道内での格差の拡大が、社会的弱者や条件不利地域を直撃していることを放置するばかりか、加速すらしている。
予算編成の内実は、赤字再建団体転落の危機を、いたずらにあおり、歳入歳出ともに、削減につぐ削減。つらい中で、どうしていくのかを道民と一緒に考え、理解を求めることをしていない。2月に策定された、「新たな行財政改革への取組み」で示されたように、さらなる道民への痛みの押し付け、市町村への負担の転嫁だけで、乗り切りを図ろうとしているだけだ。
会派は、こうした道財政の状況、それを背景とする道の施策選択のあり方などを論議、その結果、新年度予算案に反対し、撤回の上、組み替えての再提出を求める動議を提案した。
(2)北海道の自治のすがたについて
道州制特区推進法案は、その目的であるはずの、地方分権改革の推進とは、まったく懸け離れた、国の行政改革を推進するための法案に、すり替えられているとの懸念が拡大するばかりだ。北海道など地方側が取り組んできている論議を無視し、提案されれば、道や道民が意見を申し述べる機会すら確保されない仕組みになろうとしている。そもそも、一昨年夏に、自民党の政権公約に急浮上して以降も、道民理解を得る努力が、国にも道にも、まったくと言って良いほど欠落してきた。
北海道のみを対象とする法案が、提案するとされながら、道議会における論議すら、十分には行えなかった。
自民党内での論議も、単に国道と河川管理の移譲と財源特例延長の是非の議論に陥っており、これでは、本来の道州制議論とはほど遠い、北海道開発事業の縮減を、その根拠である、北海道開発法の取り扱いにふれないで、行おうとしているに過ぎない。
北海道のあるべき将来の姿を、しっかりと議論し、その中で、具体的な道州制実現の手順を推し進めることこそが本来のあり方であるにもかかわらず、実態は、それと全くかけ離れた、単なるリストラだけのものだ。
道議会で議論ができないのだから、ましてや道民には、まったく中味が見えない中で、道民の意志を議論する場もないまま、北海道にとっての重要事項が決まる懸念が強まっている。
知事は、議会最終盤で、「北海道の目指す地域主権型社会のモデル構想を、18年度中をめどに策定、これに向けて広く道民と議論する」との方針を打ち出した。道民世論の背景、全国自治体の理解がない中からこそ、孤立した状況に追い込まれたことを、やっと認識したと見られるが、手順がまったく逆でしかない。
北海道における自治のすがたについては、道州制(道州制特区)、市町村合併、道から市町村への事務・権限の移譲、支庁制度改革が、ばらばらに、相互連携のないままで、進められ、しかも、市町村との協議、道民との合意が行われていないことを、かねてから指摘し、今定例会でも論議した。
しかし、国の地方財政の切り詰め、道の「財政立て直しプラン」路線下では、地方分権の理念ではなく、いずれも、財政縮減の圧迫の方が前面に出た取り組みになり、地域には不安や不満が広がっている。
「新たな高校教育指針」として、小規模高校の切り捨て方針までが示されては、地域で暮らすことは、不可能になってしまう。地域が悩む中で、諸機能を集約する「コンパクト・シティ」などを、いとも簡単に口にする知事に対し、地域の実態、地域の声を聞きながら、国任せ、道庁任せではない、「北海道の自治のすがた」の議論に取り組んでいく。
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