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その11
今夜は、だいぶ長居をしてしまった。
女将の「雨よ」を受けていやいやこの言葉を吐いた。
「今夜はこの辺で引き上げるよ」
きっちゃんがまたカウンターの中に入った。
「茶づけでもどうです?」コンロに火を入れると鉄瓶をそこに置く。
鉄瓶で沸かした湯は、柔らかで茶を入れるときはこれに限るという。
女将がすかさず言う、「取っときのあれ、だして・・・・。」
「はいはい、あれね・・・」
又何か旨いもが出てきそうだと期待している俺の顔を見たきっちゃんが言う。
「からすみですよ、女将さんはこれ、気に入った人にしか出さないんです。
俺もたまにしか喰わしてもらえないんで・・・。」
からすみは、ぼらの卵を塩水で丁寧に洗い何日も手間隙掛けて
世話をし水分を抜いたもので、高いものでは一腹何万もする高級珍味だ。
お茶もいい香がする。
俺が酔って帰って、パックの飯と、お茶づけのもとで作るのとは段違いだ。
香の物も、一塩のからし菜漬け、京かぶら・・・実に旨い。
さらさらとかっ込む、飲んだ後はやっぱりこれだな。
「あー。旨かったよ、人は旨いものを食っているときはどんな悪人もいい顔してるんだろうな。
ごちそう様、又寄らせてもらうよ。おたえちゃんのその後も聞きたいから。」
女将は黙って、男物の傘を開いた。
「おやすみなさい、気を付けて・・・」女将の言葉を背中聞いて駅に向かう。
旨い酒と女将の御伽噺に、ほろほろといい気持ちで角を曲がる。
縦看板に蹴躓き転びそうになる。
M百貨店裏[OX@ビル6月O日オープン]
工事中のファッションビルが、もう直ぐ完成するらしい。
後から声がする。
「先ぱーい!!先輩、いま帰りですか?」後輩の小林だ。
「あれっ、残業か?」
「はい、イベントフロアの撤収です。ところで先輩、いつもどこで飲んでるんすか?
今度誘ってくださいよ・・・。通用口を出ると直ぐ消えちゃうんですから・・・・」
「今度、連れて行くよ。いい感じの店なんだ・・・通用口出たらすぐの角をまがって、
まあいいや、今度なこんど・・・」
「どっちの角ですか・・・・先輩!!右は工事中だから・・・・ひだりか?
飲み屋なんかあったかな?まあいいですけど約束ですよ!じゃ失礼しまーす。」
(今度・・・・とは言ったものの、教えたくないな)
その夜は、一人の部屋に帰り そのまま万年床に倒れ込んだ。
雨はすっかり上がり、雲の間から満月が顔をだしていた。
・・・・・・・・夢の入り口で狐の声を聞いた気がした。
つづく
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うーん、今日のはあの「お話」の続きではなかったんだ。
待てよ、また、もう一度、初めから読み直さないといけない。
明日、読んでおきます。
続き、楽しみです。☆
2008/4/27(日) 午後 9:39 [ afuro_tomato ]
この女将の御伽噺がその10までの話ってことねふむ、ふむ・・・あ!ちょっと〜この山本↑って怪しいから行かない方がいいよ〜
2008/5/3(土) 午後 10:20
トマトさん・・・
いつもありがとうございます。ゆるゆると・・・どうなっていくんでしょうか@@ 溜め息
2008/5/4(日) 午後 1:14
むにゅさん・・・
ありがとうございます。この方「元アナウンサー」の人ですよね@@
妖怪さんからも注意されました。あぁー!こわこわ。
2008/5/4(日) 午後 1:17