|
常温原子核転換???
2015年7月17日 スヴェトラーナ・アルハンゲリスカヤ
<以下 原文転載> 放射性物質の多くは、自然界で崩壊するのに数十年、 数百年、またはそれ以上の長きを要する。 しかしながら、ロシア科学アカデミーA.M.プロホロフ 一般物理研究所の研究グループが、わずか1時間で中性化、 安全化させる方法を発見した。 この新しい方法を用いて、福島の水を浄化させることも 可能だと、研究者は考えている。 国際原子力機関(IAEA)が7月に発行した 「原子力技術報告2015」によると、昨年末の時点で 世界には放射能の度合いの異なる放射性廃棄物が 6800万立方メートル以上形成されたという。 この状態で、多くの放射性物質の崩壊には時間がかかる。 プロホロフ一般物理研究所マクロキネティクス非平衡 プロセス実験所のゲオルギー・シャフェエフ所長率いる 同研究所のチームは最近、放射性廃棄物を処理する課題の 解決にかなり近づいたことを明らかにした。 一部の放射性元素は、特殊溶液中でレーザーに露光すると、 すばやくかつ簡単に中性化することが判明した。 発見は偶然 発見は実験所でレーザー照射によるナノ粒子生成の実験が 行われていた時に、偶然起こった。溶液中の金属から、 ナノ粒子は文字通り叩き出される。 研究者はさまざまな金属と溶液で実験した。 研究チームが放射性トリウム232の溶液中に金を浸したところ、 溶液はナノ粒子の生成とともに、放射線を放出しなくなった。 変換が起こったのである。 この効果はウラン238でも同様にあった。 福島原発事故で知られているセシウム137の半減期は30年だが、 整えられた条件のもとでは、1時間以内に中性バリウムに変わる。 「我々も、核科学者たちも、まだこの現象の科学的説明を 行うことができない。おそらく、溶液をこういう条件に置くと、 その原子核の周囲、すなわち電子の外殻の状態が変わるのだろう」 とシャフェエフ所長は話した。 崩壊の加速化には、何らかの高融点金属すなわち金、銀、 チタンなどが溶液中になければならない。 「物質の減衰速度は化学的環境すなわちその原子の外殻電子に依存する。 ナノ粒子が局所的にレーザー電磁場を強化できるおかげで、 我々が電子配置を変えられることは明らか」とシャフェエフ所長。 検証から実践へ シャフェエフ所長のチームは現在、ドゥブナ合同原子核 研究所の結果検証を待っている。 超高純度ゲルマニウムをベースにした敏感型ガンマ線 スペクトロメータを物理学実験所に持ち込む。 これによって、プロセスをリアルタイムで観察できるようになる。 対照実験はセシウム137で行われる。 ドゥブナ合同原子核研究所核反応実験室の上級研究員で あるサルキス・カラミャン氏はこう話す。 「このプロセスを自分の目で見ないと、説明探しができない。 私は実験核物理分野で50年以上仕事をしているが、 レーザー光または特定の化学的環境のもとで核の崩壊が 急に加速するとは信じ難い」 研究者はすでに、未来の開発の具体的な応用について すでに考えている。 土壌へのレーザー浸透力はマイクロメーターで測定されるため、 これを使ってチェルノブイリなどの陸上で放射線を中和させる ことはなかなかできないだろう。 だが水であれば、大きな可能性がある。 「もちろん、土壌を集めて、ろ過することは可能。 だが、溶液の方が作業しやすい。 つまり、タンクからトリチウムやセシウムを含む汚染水が 流出し続けている福島で、この開発が多くを是正するかもしれない」 とシャフェエフ所長。 ところが、微生物も同じ様な奇跡を行なっています。
★国立環境研、細菌使い放射能を10分の1に−水浄化で注目 国立環境研究所の研究グループが過去に行った放射性物質を
取り込む細菌の研究で、水中の放射性物質が放射線を出す能力 (放射能)を10分の1まで下げる細菌を発見していた。 福島第一原子力発電所の事故で放射性物質の環境汚染が懸念される中、 浄化手段としてあらためて注目される。 ただ「簡単に増えるため大量培養は難しくないが、 海水の中で利用できないことや温度や酸性度の条件で制約がある」 (冨岡典子主任研究員)など実用化には課題があるようだ。 冨岡主任研究員らの研究グループはチェルノブイリ原発事故を きっかけに1988年から約10年間、細菌が放射性物質を 取り込む現象を研究した。 |
原発災害
[ リスト | 詳細 ]
|
MOX廃棄物プールが、地震に耐えられるかどうかの検証が不十分です。
私は、福島原発事故・調査検証・世界人民法廷のコミュを主宰しつつ、世界の皆様方と、事故検証をしてきたところ、人類史上初めての福島3号機プールの核爆発の原因は、スロッシング対策の不備と、リラっキングに原因を持ち、
かつ、もと、福島原発作業員の木村俊雄さん解説
◆過渡現象、泡が燃料を冷やせなくなる現象は、加圧式の伊方原発のほうが、さらにひどく、はやく、進む現象だと原子力関係者には広く知られているとの指摘、さらに、政府の事故調査検証でも、MOX燃料特有の発熱の加速に問題の所在があったとの検証に、行き当たりました。
にもかかわらず、愛媛県知事から、 平成25年5月21日、私宛のメールで回答があった内容は、 伊方発電所では、平成10年度に3号機使用済燃料ピットのリラッキングを実施しています。その際には、国の安全審査において、燃料の臨界防止についても評価されており、設備容量分の新燃料を貯蔵し、かつ、純水で満たされるという厳しい条件を仮定しても実効増倍率は基準値である0.98以下(実効増倍率は1で臨界となります。)となることが確認されています。また、高燃焼度燃料やMOX燃料を採用した際にも同様の評価が実施され、実効増倍率は0.98以下で、未臨界性を確保できることが確認されています。と
これは、愛媛県や原子力規制庁が、解析詐欺被害にあっていることを意味します。
美浜の会から、次のような要望書が提出さています。ご覧ください。 福島原発事故3号機プルサーマルMOX燃料プールの事故は、「地震による変動」という事態の下において、起こったということをご考慮ください。
「事態」や「条件」が違うのです。
福島原発3号機MOX燃料プールの核爆発は、想定を超える条件の異変が起こったからでは、ないのですか? 燃料プールが核爆発を起こすなどということは、地球史上、日本の福島原発3号機プルサーマルが初めての体験です。世界も、その事故原因の究明に強い関心を抱いています。
美浜の会の指摘によると、 上記規定では、「中性子増倍率が最大となる配置」を想定することが要求されているのに、事業者が行った安全解析書では、9メートル落下した後でもMOX燃料集合体には何らの変形もないと頭から仮定していました。その結果、臨界には達しないとの結論が導かれ、2007年より前に貴省の安全審査を通っていたのです。
この論文によると、加圧水型(PWR)燃料集合体の場合、9メートル落下によって最下部区分の燃料棒が鳥かご型に膨らみ、燃料棒間に介在する水による中性子の減速が進むために中性子増倍率が増大することが指摘されています。燃料集合体の最下部の支持格子が壊れて燃料棒1本当たりに3mmの変形が生じた場合には中性子実効増倍率Keff+3σが1以上となって臨界を超えることが示されています。
また、1mm変形の場合でも中性子実効増倍率は0.96を超えています。日本原子力学会の標準(2006年)では、臨界の危険性の基準を0.95にとっているため、わずか1mm変形の場合でも重大な問題が起こる可能性があると考えるべきです。
落下によって3mmの変形が起こりうることを理論的に提起しているので、そのような条件の変動をご考慮ください。 【解析詐欺の証拠】
中性子実効増倍率Keff+3σが燃料の変形がない場合に0.850(九州電力)、0.846(四国電力)と、比較的低い値になっています。
基本的に同じ仕様のMOX燃料を収納しているはずの関西電力の解析では、この値(最大値)は次のようになっています。
・1997年10月16日申請のTN−12P(M)型では0.947 ・1998年12月24日設計承認申請のEXCELLOX−4(M)型では0.948 ・2001年8月23日申請のEXCELLOX−4(M)R型では0.899 すなわち、なぜか2000年代になって値が急に下がっています。
。そして、2006年8月21日に設計承認を受けた四国電力の値は上記のように0.846と格段に下がっています。この値をベースにして変形を仮定してもそれほど大きな値にはならないわけです。
なぜ、貴省は同じ仕様のMOX燃料でありながら、このようにだんだんと甘い解析になるのを許しているのですか。
(b)Farringtonの論文では、部分的な1mm変形でもKeff+3σが0.96を超えています。ところが今回電力会社が行った試験の解析では全体的な1mm変形でも0.862と低い値になっています。なぜこのような違いが起こっているのかについて、どうして検討しないのですか。
「四国電力株式会社伊方発電所3号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について」への意見を次の受付番号で受け付けました。
201506170000341705
ご利用ありがとうございました。https://search.e-gov.go.jp/servlet/Opinion
*参照
■愛媛県知事 中村 時広氏からの伊方原発地震対策、リラッキング問題などへの回答と、その反論
|
|
大麻はアルコールやたばこより安全で、医薬品としても優れた効能を有し、環境に優しい資源として高い利用価値を有する事は公知の事実であり、逮捕は重篤な人権侵害に当たるため。
大麻取締法の改正を求める緊急意見書
第1 意見の趣旨
大麻取締法制定時の国会会議録には、「大麻草に含まれている樹脂等は麻藥と同樣な害毒をもつている」という発言が多数見られるが、近時の信頼性の高い研究によって、大麻の有害性はアルコールやタバコ以下であり、大麻の適切な使用が様々な疾病や不快な症状に対して治癒的な効果を示すことが明らかにされている。しかし、わが国においては、大麻の所持や栽培、譲渡が量や理由の如何を問わず、懲役刑をもって全面的に禁止されている。大麻取締法違反は近年増加傾向にあるが、大麻に関する最新の知見に鑑みれば、末端の使用者に逮捕・拘禁を伴う刑事罰を課す措置は、憲法13条、25条及び31条に違反する重篤な人権侵害であり、個人や家庭、社会が被る損害は甚大である。このような立法の不作為による現在の状況の問題点を一刻も早く改善するために、大麻取締法を以下のように速やかに法改正すべきである。
1.未成年者への関与を除く、成人による公衆衛生に悪影響を及ぼさない、大麻の個人使用目的の所持、栽培及び営利を目的としない少量の譲渡については刑事罰の対象から除外し、特に著しく公衆衛生に悪影響を及ぼすと認められる場合については、注意や警告、過料などの措置を講ずる。
2.大麻取締法第4条の2及び3を廃止し、大麻の医療上の目的の所持、栽培及び譲渡を法規制の対象から除外する。 第2 意見の理由
1.はじめに
人類と大麻の共生の歴史は古い。
"大麻は中央アジア原産であり、およそ10,000年ほど前から栽培されていると考えられている。中国では紀元前4000年、トルキスタンでは紀元前3000年頃までには確実に栽培されていた。大麻は、インド、中国、中東、東南アジア、南アフリカ、南アメリカにおいて医薬品として長い間使用されている。大麻の医療使用の最初の痕跡は5000年前の中国の皇帝神農の時代に記された本草書にまで遡り、マラリア、便秘、リウマチ性の痛み、'放心状態'、'女性特有の疾患'に推奨された。他の中国の本草学者は、大麻、樹脂、酒の混合物を手術の間の鎮痛薬として推奨した。インドでは、大麻は、精神の活性化、解熱、睡眠誘導、赤痢の治療、食用増進、消化機能の向上、頭痛の緩和、性病の治療に推奨されている。アフリカでは、赤痢、マラリア、その他の熱に用いられていた。今日でもいくつかの部族は、蛇にかまれた傷の治療に大麻を用いたり、出産の前に大麻を喫煙したりしている"〔1〕。
わが国においても、大麻は古来より穢れを祓う神聖な植物であると考えられており、様々な宗教的な儀式や神事、生活用品などに用いられてきた。戦前は、国家によってその生産が奨励されていたこともあり、繊維や種子を採取する目的で全国各地で広く栽培されていた。また、医薬品としても使用されており、"日本薬局方でも一八八六年に公布されて以来、一九五一年の第五改正薬局方までマリファナが「印度大麻草」、「印度大麻草エキス」、「印度大麻チンキ」という製品名で収載され、鎮痛剤、鎮静剤、催眠剤などとして用いられてきた"〔2〕。
このように、大麻は戦前の日本人にとって身近な植物であったが、戦後、連合国軍の占領下において、昭和20年9月にポツダム宣言ノ受諾二伴ヒ発スル命令二関スル件(昭和20年勅令第542号)が公布・施行され、これに基づき、大麻の規制についてはいわゆるポツダム省令、すなわち、麻薬原料植物ノ栽培、麻薬ノ製造、輸入及輸出等禁止ニ関スル件(昭和20年厚生省令第46号)が制定され、これにより、大麻についても麻薬としての規制が行われ、大麻草の栽培等が全面的に禁止された。その後、大麻取締規則の制定によって、麻薬から独立して大麻の規制が行われるようになり、用途を限定して許可制の下に大麻草の栽培が認められるようになった。
昭和23年、大麻取締規則が廃止され、大麻取締法(昭和23年法律第124号)が制定(同年7月施行)された。同法は、大麻の用途を学術研究及び繊維・種子の採取だけに限定し、大麻の取扱いを免許制とし、免許を有しない者による大麻の取扱いを禁止するとともに、違反行為を規定して罰則を設けた〔3〕。 大麻取締法制定の経緯については、同法案を審議する国会会議録において、「大麻草に含まれている樹脂等は麻藥と同樣な害毒をもつているので、…(以下略)」〔昭和23年06月12日 衆議院厚生委員会 8号 厚生大臣 竹田儀一氏による発言〕、「大麻草に含まれている樹脂等は、麻藥と同様な害毒をもつているので、…(以下略)」〔昭和23年06月19日 衆議院本会議 67号 厚生委員長山崎岩男氏による発言、昭和23年06月24日 参議院厚生委員会 厚生大臣 竹田儀一氏による発言〕、「麻藥と同様な害毒を持つておるのでありますから、…(以下略)」〔昭和23年06月28日 参議院本会議 54号 厚生委員長塚本重藏氏による発言〕などの発言が度重なってみられるが、このような事実を示す証拠は明らかにされておらず、また、現在の大麻の健康への影響に関する科学的知見とも大きくかけ離れていることから、同法制定の過程において重大な事実誤認があったことが窺われる。
その後、大麻は、1961年の麻薬に関する単一条約(麻薬単一条約)によって、特に危険な特性を有するものとして、附表I及び附表Ⅳに分類され、ヘロインやモルヒネと同等に最も厳しい規制を受けている。大麻がこのように分類されているのは、1957年のWHOによる大麻の「身体的中毒性」を持つという定義に依るものであるが、当時、大麻の依存性についてどこまで科学的に把握できていたかは疑問が残る。事実、1965年のWHOによる大麻の依存性に関する定義では、大麻の身体的依存性はほとんどないと述べられており、また、1997年のWHOによる大麻に関する報告書では、"これまでのところ、退薬症候群の生成について一般的な合意がない。"と述べられている[4]。また、近年の大麻に関する研究には著しい進歩があり、信頼性の高い複数の研究によって、大麻の有害性はアルコールやたばこより低いことが報告されている[5]。また、大麻の適切な使用が様々な疾病や不快な症状に対して治癒的な効果を示すことが明らかにされている。このような科学的事実に基づいて、先進諸国では、大麻に関する規制を改める動きが盛んである。一方わが国においては、もはや根拠の無い60年前の法律に基づいて、大麻使用者を逮捕・拘禁する厳罰政策が続けられているが、このような措置は重篤な人権侵害であり、早急にこれを改める必要がある。
2.大麻使用の社会や健康への影響
近年の大麻使用の社会や健康への影響に関する研究には著しい進歩があった。現在の科学的知見は、大麻が「麻藥と同様な害毒をもつている」と考えられていた大麻取締法制定時とは大きく異なり、信頼性の高い複数の研究によって、大麻の有害性は、ヘロインやモルヒネ、コカインのみならず、現在は規制の対象外であるアルコールやたばこより低いことが報告されている。さらに、大麻の適切な使用が様々な疾病や不快な症状に対して治癒的な効果を示すことが明らかにされている。
このような大麻に関する最新の科学的な研究の結果の示す事実に基づき、政府は大麻のリスクを過大評価しすぎている現在の政策から、リスクとベネフィットの比較を通した大麻のリスクの正当な評価を反映する、使用者の人権に最大限配慮した政策へと方針の転換を図るべきである。大麻に関する最新の知見に鑑みれば、現在の大麻使用の最大のリスクは逮捕・拘禁されることである。 ①大麻のリスク
結論:大麻はアルコールやタバコよりも害が少ない
世界で最も権威ある臨床医学雑誌の一つ、英国医師会のランセットは、"大麻の喫煙は、たとえ長期にわたる場合でも健康に害はない。…大麻は、それ自体は社会へのハザードではないが、さらに続けて非合法な状態に追いやるならばハザードとなり得るであろう。"〔6〕と結論づけ、大麻の規制の改正を支持する内容の文章を掲載している。
EMCDDA(欧州薬物・薬物中毒監視センター)によって、2008年6月に発表されたモノグラフ「A cannabis reader: global issues and local experiences」には、「精神賦活性物質のスペクトルにおける大麻の公衆衛生上の重要性」と題し、大麻とアルコールやタバコ、その他の精神賦活性物質の害の潜在力を過量摂取、酩酊の度合い、依存性、より包括的な評価など様々な危険性の局面から多面的に比較・検証する論文が掲載されている。大麻はいずれの危険性の局面においても相対的に低い危険度を示しており、論文は、大麻使用が一部のユーザーと、ある状況に対して有害であり得るとした上で、"多くの関係各国には、しばしば大麻の外側に定められるディフェンシブラインと共に、国際的なコントロールシステムと等しい国家的なシステムの現状を保つ、非常に大きな責務がある。しかし、精神賦活性物質とその害の可能性に関する広義の公衆衛生の観点からすれば、現在の国際的なドラッグコントロール、統制システムにおいて、タバコとアルコールは非常に規制が低い一方で、大麻に関する規制はあまりにも厳しすぎるということは明白である。"〔7〕と結論付けている。
②大麻のベネフィット
大麻の適切な使用が、ストレスや精神の緊張の緩和を促し、体内の様々な器官での恒常性維持機能を高める働きをもたらすことは広く知られている〔8,9〕。大麻は、多発性硬化症に伴う神経因性の疼痛[10]やオピオイド系薬剤による治療で効果の見られない末期がんの患者の疼痛[11]、AIDS患者の進行性食欲減退や体重減少などの症状を伴う消耗症候群[4]、アルコール依存症[12]、がん化学療法に伴う吐き気と嘔吐[13]など、様々な疾病の治療に有効であり、各種運動障害などの治療、依存性薬物の依存症[14]、神経保護作用薬[15]、精神疾患治療[16]などへの応用が期待されている。大麻およびその主成分であるTHCは安全で、過剰摂取による死亡事故はほとんどない。また、重篤な有害事象はなく、十分に医療利用が可能である〔17〕。実際に、カナダ、オランダ、米国のいくつかの州では、医療大麻の使用が可能となっている。イギリスGW製薬が開発した大麻からの抽出物を主成分とした薬剤「サティベックス(SativexR)」は、カナダで医薬品として認可・使用されているが、2007年2月14日に我が国の製薬会社である大塚製薬株式会社が、米国における開発・販売に関するライセンス契約を締結している。
オックスフォード大学精神医学部精神医学者上級医師、GWファーマシューティカルズカンナビノイド研究所ディレクターのPhilip Robson氏によると"大麻の治療効果が報告され、臨床適用が調査されている症例には、吐き気と嘔吐、多発性硬化症とその他の神経疾患、がんやエイズの食欲減退と体重減少、疼痛、眼圧の上昇、不眠症、不安や抑うつ状態、 てんかん、喘息、オピオイドの退薬、 原発性腫瘍、解熱性や抗炎症性の活性、駆虫性、抗片頭痛、分娩誘発などがある。このうち、大麻といくつかのカンナビノイドは、制吐薬と鎮痛薬、眼圧を下げる薬剤として有効である。特定の神経疾患、エイズとある種のがんにおいて、症状の緩和と幸福感(well-being)の向上のエビデンスがある。カンナビノイドは不安を減少させ、睡眠を改善する可能性がある。抗けいれん薬としての活性は解明を必要とする。基礎研究によって特定されたその他の特性は評価を待つ。多くの関連した疾患に対する標準的な治療は不十分である。大麻は過量投与については安全であるが、 一般的に、鎮静作用、陶酔、不器用さ、めまい、口渇、血圧の低下あるいは心拍数の増加などの不必要な効果をしばしば生じさせる。特定のレセプターや天然のリガンドの発見は薬剤の発展を導くかもしれない。 投薬の用量と経路を最適化し、治癒的な効果と望ましくない作用を定量化し、相互作用を調べるために研究が必要である"〔18〕。
大麻取締法第四条により、大麻の医薬利用を禁止することは患者の権利に対する侵害である。世界医師会による「患者の権利に関するWMAリスボン宣言」では、患者の主要な権利として「良質の医療を受ける権利」「選択の自由の権利」「自己決定の権利」「情報に対する権利」「尊厳に対する権利」などを挙げている。また、リスボン宣言では、医師・医療従事者・医療組織は、この権利を保障し守る責任があり、法律・政府の措置・あるいは他のいかなる行政や慣例であろうとも、患者の権利を否定する場合には、この権利を保障ないし回復させる適切な手段を講じるべきであるとしている。我々はリスボン宣言の精神に乗っ取り、患者の権利のために大麻の医薬利用の禁止を撤廃することを日本政府に提言する。
3.国際法と先進諸国における大麻に関する規制の現状と傾向
①国際法
国際法による大麻の規制の現状と解釈のあり方については、EMCDDA「A cannabis reader: global issues and local experiences」に含まれる、「ヨーロッパにおける大麻の規制」と題する論文に詳しく述べられている。"大麻、大麻樹脂並びに大麻のエキス及びチンキは、1961年の条約のSchedule I、この条約に基づいて適用される全ての統制措置の対象とされ、依存症を引き起こす可能性があり、乱用の深刻な危険性を示す特性の物資の中にリストされている。大麻と大麻樹脂は、既に1961年の条約のSchedule Iに登録されている、乱用の危険性と非常に限られた治療的な価値という有害な特徴によって、特に危険であると考えられる15の物質から成るSchedule IVにもリストされている。これら15の物質の中に、ヘロインや大麻を見出すことが出来るが、コカインは見出すことが出来ず、それはSchedule Iにのみリストされている。"
"したがって、1961年の条約は大麻に最も厳しい統制を適用することを示唆するが、その様な統制の必要性の解釈において、加盟国にある程度の柔軟性を委ねると考えられる。締約国は、附表Ⅳに掲げる薬物の特に危険な特性に照らして、'必要であると認める’特別の統制措置を執るものとされている。この基準の非義務性は、事実上その履行のための条件であり、1961年の条約に関する国連のコメンタリーによって確証される。そこでは、加盟国は、’それが必要であると信じる場合にのみ、特別な措置を適用する義務がある’と再び述べられている"〔19〕。
②.先進諸国における大麻に関する規制の現状と傾向
ⅰ.ヨーロッパ
前項で紹介した論文「ヨーロッパにおける大麻の規制」は"大麻は無害な物質ではないが危険性は誇張されており、個人的な使用罪は、刑事制裁を必要としない。"と結論付けている。ヨーロッパでは、このような最新の知見を反映して、"少量の大麻の使用者を有罪とする措置は社会全体に対して利益よりもはるかに大きな害をもたらすという確信に基づいて"、"周囲の状況を悪化させることの無い少量の個人使用目的の大麻の所持や使用に対する刑事罰の代替処置の開発において共通の傾向が見られる。罰金、注意、プロベーション(刑罰の宣告を猶予する制度)、刑罰の免除やカウンセリングが大部分のヨーロッパの司法制度に支持されている"〔19〕。
(状況を悪化させることのない少量の個人使用目的のための)大麻所持に関する法実務についての仮説
個人使用目的の大麻所持に対して適用されうる措置〔20〕 ベルギー:記録のみ。刑罰は、初犯75–125ユーロ;2回目(同年の再犯)130–250ユーロ;3回目(同年の2回目の再犯)250–500ユーロ及び8日から1ヵ月までの拘留。
デンマーク:10gまでの初犯:罰金;10g以上:罰金;2回目の再犯:0–10 g:罰金40ユーロ;10–15 g:罰金67ユーロ;50–100 g:罰金135ユーロ
ドイツ:積極的な警察の捜査は行われない;訴訟の取り下げ(6–30 g)
アイルランド:最初の2回の違反に対して罰金が課される。初犯、罰金63ユーロ、2回目の違反、罰金127ユーロ;3回目の違反から拘留の可能性がある:最高1年の拘留及び/または罰金317ユーロ。
イタリア:初犯:訴訟の取り下げ;それ以降の違反:最高3ヶ月の運転免許の停止及び強制的な治療的な評価。
ルクセンブルグ:違反は罰金250−2500ユーロによって処罰される。
オランダ:警察は個人使用目的の所持を捜査せず、それはコーヒーショップにおいて一定の条件を前提として許容される。
オーストリア:初犯:警察による捜査と執行猶予(2年);それ以降の違反:強制的な治療的な評価。
ポルトガル:個々のの定量による平均の10日分:警察による捜査と行政権の照会。執行猶予による処罰の停止。;再犯に対しては罰金又はその他の処罰。
スウェーデン:警察による捜査と起訴。軽微な違反については(まれに)訴訟の取り下げ。
フィンランド:警察による捜査と起訴。まれに訴訟の取り下げ。
イギリス:警察による警告
ⅱ.アメリカ合衆国 アメリカ合衆国では依然として連邦法によって大麻の所持・栽培・配布が医療目的でさえ禁止されているが、2006年には829,625人が大麻に関連した違反で逮捕されており、医療大麻の合法化や大麻の個人使用目的の所持の合法化を求める声が高く、1996年以降、実際に18の州とコロンビア特別区が医療用としての大麻の使用を合法化しており、いくつかの州では個人使用の非犯罪化が達成されている。
2012年11月6日、コロラド州とワシントン州では嗜好品としての大麻合法化の是非を問う住民投票が行われ、賛成多数で可決された。新法はワシントン州で12月6日に施行され、21歳以上なら1オンス(約28.5グラム)までの大麻を所持・使用しても合法となった。合法化された州では、大麻はアルコール販売のように州公認の店で販売され、課税の対象にもなる[21]。また、連邦法についても2013年2月5日、米民主党の2議員が、大麻に関する政策を連邦レベルから外し、大麻の連邦税の枠組みを作る法案を提出している[22]。 非犯罪化
一般的に非犯罪化は、個人消費のための少量の所持の初犯の違反に問われた者に対して、拘留あるいは犯罪記録を課さないことを意味する。その行為は軽微な交通違反のように扱われる。
参考文献
1.History of Cannabis as a Medicine By Lester Grinspoon, M.D., August 16, 2005 (http://www.maps.org/mmj/grinspoon_history_cannabis_medicine.pdf) 2.法学セミナー(日本評論社)1990年7月号より マリファナ解禁と大麻取締法 丸井英弘弁護士
(http://www.asahi-net.or.jp/~IS2H-MRI/seminar_1.html) 3.平成9年版 犯罪白書 第1編/第2章/第2節/2
(http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/38/nfm/n_38_2_1_2_2_2.html) 4.WORLD HEALTH ORGANIZATION:Cannabis : a health perspective and research agenda
英文 (http://whqlibdoc.who.int/hq/1997/WHO_msa_PSA_97.4.pdf) 日本文 (http://www.asayake.jp/thc2/) 5.House of Commons Science and Technology Committee: Drug classification: making a hash of it?
Fifth Report of Session 2005-06 HC 1031 (http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200506/cmselect/cmsctech/1031/1031.pdf) David Nutt, Leslie A King, William Saulsbury, Colin Blakemore: Development of a rational scale to assess the harm of drugs of potential misuse
The Lancet - Vol. 369, Issue 9566, 24 March 2007, Pages 1047-1053 (http://www.ukcia.org/research/developmentofrationalscale/DevelopmentOfARationalScale.pdf) Jack E. Henningfield, PhD for NIDA, Reported by Philip J. Hilts, New York Times, Aug. 2, 1994 "Is Nicotine Addictive? It Depends on Whose Criteria You Use."
(http://drugwarfacts.org/addictiv.htm) 6.British Medical Association's Lancet Supports Marijuana Law
Reform:The Lancet(The Lancet is a British medical journal) Volume 346, Number 8985, November 11, 1995, p. 1241 Editorial (http://norml.org/pdf_files/Lancet_Supports_Marijuana_Law_Reform.pdf) 7.A cannabis reader: global issues and local experiences:EMCDDA, Lisbon, June 2008 Volume 2,Part II,Chapter 7: The public health significance of cannabis in the spectrum of psychoactive substances
Robin Room (http://www.emcdda.europa.eu/publications/monographs/cannabis) 8.Robert Melamede:Harm reduction-the cannabis paradox
Harm Reduction Journal Date: 22 September 2005 (http://www.harmreductionjournal.com/content/2/1/17#B2) 9.渡辺和人,木村敏行,舟橋達也,山折 大,山本郁男:大麻文化科学考(その15) 第15章 大麻からの創薬 −治療薬への応用−
Kazuhito Watanabe,Toshiyuki Kimura,Tatsuya Funabashi,Satoshi Yamaori,Ikuo Yamamoto:A study on the culture and sciences of the cannabis and marihuana XV 北陸大学 紀要 第28号 (2004) pp.17〜32 (http://www.hokuriku-u.ac.jp/library/pdf/kiyo28/yaku2.pdf) 10.H.M. Meinck, P.W. Schonle, and B. Conrad:EFFECT OF CANNABINOIDS ON SPASTICITY AND ATAXIA IN MULTIPLE SCLEROSIS
J Neurol (1989) 236: 120-122 11.大塚製薬News Release2007年2月14日
(http://www.otsuka.co.jp/company/release/2007/0214_01.html) 12.Tod H. Mikuriya:Cannabis as a Substitute for Alcohol:A Harm-Reduction Approach
Journal of Cannabis Therapeutics, Vol. 4(1) 2004 (http://www.mikuriya.com/cw_alcsub.pdf) 13.A cannabis reader: global issues and local experiences:EMCDDA, Lisbon, June 2008 Volume 1,Part I,Chapter 1: Cannabis as medicine in Europe in the 19th century
Manfred Fankhauser (http://www.emcdda.europa.eu/publications/monographs/cannabis) 14.Taku Yamaguchi, Yumi Hagiwara, Hiroyuki Tanaka, Takayuki Sugiura, Keizo Waku,Yukihiro Shoyama, Shigenori Watanabe and Tsuneyuki Yamamoto:Endogenous cannabinoid,2-arachidonoylglycerol, attenuates naloxone-precipitated withdrawal signs in morphine-dependent mice
Brain Research Volume 909, Issues 1-2, 3 August 2001, Pages 121-126 15.Carol Hamelink, Aidan Hampson, David A. Wink, Lee E. Eiden, and Robert L.Eskay:Comparison of Cannabidiol, Antioxidants, and Diuretics in Reversing Binge Ethanol-Induced Neurotoxicity
Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 2005 (http://jpet.aspetjournals.org/cgi/reprint/314/2/780.pdf) 16.Wen Jiang, Yun Zhang, Lan Xiao, Jamie Van Cleemput, Shao-Ping Ji, Guang Bai and Xia Zhang:Cannabinoids promote embryonic and adult hippocampus neurogenesis and produce anxiolytic- and antidepressant-like effects
The Journal of Clinical Investigation. 115(11): 3104-3116 (2005) (http://www.jci.org/articles/view/25509/pdf) 17.Louisa Degenhardt, MPsych(Clin) PhD and Wayne D. Hall, PhD:The adverse effects of cannabinoids: implications for use of medical marijuana
CMAJ • June 17, 2008; 178 (13). doi:10.1503/cmaj.080585. (http://www.cmaj.ca/cgi/content/full/178/13/1685) 18.PHILIP ROBSON:Therapeutic aspects of cannabis and cannabinoids
The British Journal of Psychiatry (2001) 178: 107-115 (http://bjp.rcpsych.org/cgi/content/full/178/2/107#FN1) 19.A cannabis reader: global issues and local experiences:EMCDDA, Lisbon, June 2008 Volume 1,Part II,Chapter 7: Cannabis control in Europe
Danilo Ballotta, Henri Bergeron and Brendan Hughes (http://www.emcdda.europa.eu/publications/monographs/cannabis) 20.EMCDDA:Illicit drug use in the EU: legislative approaches (11/2/2005)
(http://eldd.emcdda.europa.eu/html.cfm/index10079EN.html) 21.INTERNATIONAL BUSINESS TIMES 2012年12月10日
ワシントン州が米国初の大麻合法化解禁、シアトルでは愛好家数百人が「解禁」を祝福 記事: JEFF STONE 翻訳者: 加藤仁美 (http://jp.ibtimes.com/articles/38154/20121210/141596.htm) 22.INTERNATIONAL BUSINESS TIMES 2013年2月8日
マリファナ合法化法案、米議会に提出される―「現行システムは破綻している」 記者:ASHLEY PORTERO、翻訳:橋本あかね (http://jp.ibtimes.com/articles/40439/20130208/347175/page3.htm) |
|
The wonderful judgment about a nuclear power plant came out in Japan!
「原発は電気を生み出す一手段に過ぎず、人格権よりも劣位にある」
「大飯原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても これを国富の流出や喪失というべきではなくこれを取り戻すことが出来なくなることが 国富の喪失であると裁判所は考えている」
2010年、私は原子力政策に意見した。「海洋国日本にとって、原発は、国益損ねる」と。今、まさに、海洋汚染という現実となって、解決不能な事態を招いている。 三人の裁判官、樋口英明さん、石田明彦さん、三宅由子さんに敬意を表したい。
大飯原発差し止め、関電が控訴 法的には運転可能に
大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨
主文
1 被告は、別紙原告目録1記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏内に居住する166名)に対する関係で、福井県大飯郡おおい町大島1字吉見1-1において、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。・・
理由
1 はじめに
ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重
大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた
安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社
会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を間わず、
すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟に
おいてもよって立つべき解釈上の指針である。
個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的な
ものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法
上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえ
に、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできな
い。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格
権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに
基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来
するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を
有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。
2 福島原発事故について
福島原発事故においては、15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、こ
の避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている。家族の離
散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮め
たことは想像に難くない。さらに、原子力委員会委員長が福島第一原発から2
50キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討した・・
3 本件原発に求められるべき安全性
(1) 原子力発電所に求められるべき安全性
1、2に摘示したところによれば、原子力発電所に求められるべき安全性、
信頼性は極めて高度なものでなければならず、万一の場合にも放射性物質の
危険から国民を守るべく万全の措置がとられなければならない。
原子力発電所は、電気の生産という社会的には重要な機能を営むものでは
あるが、原子力の利用は平和目的に限られているから(原子力基本法2条)、原
子力発電所の稼動は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自
由(憲法22条1項)に属するものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣
位に置かれるべきものである。しかるところ、大きな自然災害や戦争以外で
、この根源的な権利が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性がある
のは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険を抽象的にでも
はらむ経済活動は、その存在自体が憲法上容認できないというのが極論にす
ぎるとしても、少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあ
れば、その差止めが認められるのは当然である。このことは、土地所有権に
基づく妨害排除請求権や妨害予防請求権においてすら、侵害の事実や侵害の
具体的危険性が認められれば、侵害者の過失の有無や請求が認容されること
によって受ける侵害者の不利益の大きさという侵害者側の事情を問うことな
く請求が認められていることと対比しても明らかである。
新しい技術が潜在的に有する危険性を許さないとすれば社会の発展はなく
なるから、新しい技術の有する危険性の性質やもたらす被害の大きさが明確
でない場合には、その技術の実施の差止めの可否を裁判所において判断する
ことは困難を極める。しかし、技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大
きさが判明している場合には、技術の実施に当たっては危険の性質と被害の
大きさに応じた安全性が求められることになるから、この安全性が保持され
ているかの判断をすればよいだけであり、危険性を一定程度容認しないと社
会の発展が妨げられるのではないかといった葛藤が生じることはない。原子
力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故
を通じて十分に明らかになったといえる。本件訴訟においては、本件原発に
おいて、かような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対
象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けること
は裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる。
(2) 原子炉規制法に基づく審査との関係
(1)の理は、上記のように人格権の我が国の法制における地位や条理等によ
って導かれるものであって、原子炉規制法をはじめとする行政法規の在り方
、内容によって左右されるものではない。したがって、改正原子炉規制法に
基づく新規制基準が原子力発電所の安全性に関わる問題のうちいくつかを電
力会社の自主的判断に委ねていたとしても、その事項についても裁判所の判
断が及ぼされるべきであるし、新規制基準の対象となっている事項に関して
も新規制基準への適合性や原子力規制委員会による新規制基準への適合性の
審査の適否という観点からではなく、(1)の理に基づく裁判所の判断が及ぼさ
れるべきこととなる。
4 原子力発電所の特性・・
原子力発電技術は次のような特性を持つ。すなわち、原子力発電において
はそこで発出されるエネルギーは極めて膨大であるため、運転停止後におい
ても電気と水で原子炉の冷却を継続しなければならず、その間に何時間か電
源が失われるだけで事故につながり、いったん発生した事故は時の経過に従
って拡大して行くという性質を持つ。このことは、他の技術の多くが運転の
停止という単純な操作によって、その被害の拡大の要因の多くが除去される
のとは異なる原子力発電に内在する本質的な危険である。・・
しかるに、本件原発には地震の際の冷やすという機能と閉じ込めるという構
造において次のような欠陥がある。
5 冷却機能の維持にっいて
(1) 1260ガルを超える地震について
原子力発電所は地震による緊急停止後の冷却機能について外部からの交流
電流によって水を循環させるという基本的なシステムをとっている。1260ガ
ルを超える地震によってこのシステムは崩壊し、非常用設備ないし予備的手
段による補完もほぼ不可能となり、メルトダウンに結びつく。この規模の地
震が起きた場合には打つべき有効な手段がほとんどないことは被告において
自認しているところである。
しかるに、我が国の地震学会においてこのような規模の地震の発生を一度
も予知できていないことは公知の事実である。地震は地下深くで起こる現象
であるから、その発生の機序の分析は仮説や推測に依拠せざるを得ないので
あって、仮説の立論や検証も実験という手法がとれない以上過去のデータに
頼らざるを得ない。確かに地震は太古の昔から存在し、繰り返し発生してい
る現象ではあるがその発生頻度は必ずしも高いものではない上に、正確な記
録は近時のものに限られることからすると、頼るべき過去のデータは極めて
限られたものにならざるをえない。したがって、大飯原発には1260ガルを超
える地震は来ないとの確実な科学的根拠に基づく想定は本来的に不可能であ
る。むしろ、①我が国において記録された既往最大の震度は岩手宮城内陸地
震における4022ガルであり、1260ガルという数値はこれをはるかに下回るも
のであること、②岩手宮城内陸地震は大飯でも発生する可能性があるとされ
る内陸地殻内地震であること、③この地震が起きた東北地方と大飯原発の位
置する北陸地方ないし隣接する近畿地方とでは地震の発生頻度において有意
的な違いは認められず、若狭地方の既知の活断層に限っても陸海を問わず多
数存在すること、④この既往最大という概念自体が、有史以来世界最大とい
うものではなく近時の我が国において最大というものにすぎないことからす
ると、1260ガルを超える地震は大飯原発に到来する危険がある。
(2) 700ガルを超えるが1260ガルに至らない地震について
ア 被告の主張するイベントツリーについて
被告は、700ガルを超える地震が到来した場合の事象を想定し、それに応じ
た対応策があると主張し、これらの事象と対策を記載したイベントツリーを
策定し、これらに記載された対策を順次とっていけば、1260ガルを超える地
震が来ない限り、炉心損傷には至らず、大事故に至ることはないと主張する。
しかし、これらのイベントツリー記載の対策が真に有効な対策であるため
には、第1に地震や津波のもたらす事故原因につながる事象を余すことなくと
りあげること、第2にこれらの事象に対して技術的に有効な対策を講じること
、第3にこれらの技術的に有効な対策を地震や津波の際に実施できるという3
つがそろわなければならない。
イ イベントツリー記載の事象について
深刻な事故においては発生した事象が新たな事象を招いたり、事象が重な
って起きたりするものであるから、第1の事故原因につながる事象のすべてを
取り上げること自体が極めて困難であるといえる。
ウ イベントツリー記載の対策の実効性について
第1に地震はその性質上従業員が少なくなる夜間も昼間と同じ確率で起こる
。突発的な危機的状況に直ちに対応できる人員がいかほどか、あるいは現場
において指揮命令系統の中心となる所長が不在か否かは、実際上は、大きな
意味を持つことは明らかである。
第2に上記イベントツリーにおける対応策をとるためにはいかなる事象が起
きているのかを把握できていることが前提になるが、この把握自体が極めて
困難である。福島原発事故の原因について国会事故調査委員会は地震の解析
にカを注ぎ、地震の到来時刻と津波の到来時刻の分析や従業員への聴取調査
等を経て津波の到来前に外部電源の他にも地震によって事故と直結する損傷
が生じていた疑いがある旨指摘しているものの、地震がいかなる箇所にどの
ような損傷をもたらしそれがいかなる事象をもたらしたかの確定には至って
いない。一般的には事故が起きれば事故原因の解明、確定を行いその結果を
踏まえて技術の安全性を高めていくという側面があるが、原子力発電技術に
おいてはいったん大事故が起これば、その事故現場に立ち入ることができな
いため事故原因を確定できないままになってしまう可能性が極めて高く、福
島原発事故においてもその原因を将来確定できるという保証はない。それと
同様又はそれ以上に、原子力発電所における事故の進行中にいかなる箇所に
どのような損傷が起きておりそれがいかなる事象をもたらしているのかを把
握することは困難である。
第3に、仮に、いかなる事象が起きているかを把握できたとしても、地震に
より外部電源が断たれると同時に多数箇所に損傷が生じるなど対処すべき事
柄は極めて多いことが想定できるのに対し、全交流電源喪失から炉心損傷開
始までの時間は5時間余であり、炉心損傷の開始からメルトダウンの開始に至
るまでの時間も2時間もないなど残された時間は限られている。
第4にとるべきとされる手段のうちいくつかはその性質上、緊急時にやむを
得ずとる手段であって普段からの訓練や試運転にはなじまない。運転停止中
の原子炉の冷却は外部電源が担い、非常事態に備えて水冷式非常用ディーゼ
ル発電機のほか空冷式非常用発電装置、電源車が備えられているとされるが
、たとえば空冷式非常用発電装置だけで実際に原子炉を冷却できるかどうか
をテストするというようなことは危険すぎてできようはずがない。
第5にとるべきとされる防御手段に係るシステム自体が地震によって破損さ
れることも予想できる。大飯原発の何百メートルにも及ぶ非常用取水路が一
部でも700ガルを超える地震によって破損されれば、非常用取水路にその機能
を依存しているすべての水冷式の非常用ディーゼル発電機が稼動できなくな
ることが想定できるといえる。また、埋戻土部分において地震によって段差
ができ、最終の冷却手段ともいうべき電源車を動かすことが不可能又は著し
く困難となることも想定できる。上記に摘示したことを一例として地震によ
って複数の設備が同時にあるいは相前後して使えなくなったり故障したりす
ることは機械というものの性質上当然考えられることであって、防御のための設備が複数備えられていることは地震の際の安全性を大きく高めるものではないといえる。
第6に実際に放射性物質が一部でも漏れればその場所には近寄ることさえできなくなる。
第7に、大飯原発に通ずる道路は限られており施設外部からの支援も期待できない。
エ 基準地震動の信頼性について
被告は、大飯原発の周辺の活断層の調査結果に基づき活断層の状況等を勘
案した場合の地震学の理論上導かれるガル数の最大数値が700であり、そもそ
も、700ガルを超える地震が到来することはまず考えられないと主張する。し
かし、この理論上の数値計算の正当性、正確性について論じるより、現に、
全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわたり想定した地震
動を超える地震が平成17年以後10年足らずの問に到来しているという事実を
重視すべきは当然である。地震の想定に関しこのような誤りが重ねられてし
まった理由については、今後学術的に解決すべきものであって、当裁判所が
立ち入って判断する必要のない事柄である。これらの事例はいずれも地震と
いう自然の前における人間の能力の限界を示すものというしかない。本件原
発の地震想定が基本的には上記4つの原発におけるのと同様、過去における地
震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づきなされたにもかかわ
らず、被告の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見い出せ
ない。
オ 安全余裕について
被告は本件5例の地震によって原発の安全上重要な施設に損傷が生じなかっ
たことを前提に、原発の施設には安全余裕ないし安全裕度があり、たとえ基
準地震動を超える地震が到来しても直ちに安全上重要な施設の損傷の危険性
が生じることはないと主張している。
弁論の全趣旨によると、一般的に設備の設計に当たって、様々な構造物の
材質のばらつき、溶接や保守管理の良否等の不確定要素が絡むから、求めら
れるべき基準をぎりぎり満たすのではなく同基準値の何倍かの余裕を持たせ
た設計がなされることが認められる。このように設計した場合でも、基準を
超えれば設備の安全は確保できない。この基準を超える負荷がかかっても設
備が損傷しないことも当然あるが、それは単に上記の不確定要素が比較的安
定していたことを意味するにすぎないのであって、安全が確保されていたか
らではない。したがって、たとえ、過去において、原発施設が基準地震動を
超える地震に耐えられたという事実が認められたとしても、同事実は、今後
、基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しても施設が損傷しないという
ことをなんら根拠づけるものではない。
(3) 700ガルに至らない地震について
ア 施設損壊の危険
本件原発においては基準地震動である700ガルを下回る地震によって外部電
源が断たれ、かつ主給水ポンプが破損し主給水が断たれるおそれがあると認
められる。
イ 施設損壊の影響
外部電源は緊急停止後の冷却機能を保持するための第1の砦であり、外部電
源が断たれれば非常用ディーゼル発電機に頼らざるを得なくなるのであり、
その名が示すとおりこれが非常事態であることは明らかである。福島原発事
故においても外部電源が健全であれば非常用ディーゼル発電機の津波による
被害が事故に直結することはなかったと考えられる。主給水は冷却機能維持
のための命綱であり、これが断たれた場合にはその名が示すとおり補助的な
手段にすぎない補助給水設備に頼らざるを得ない。前記のとおり、原子炉の
冷却機能は電気によって水を循環させることによって維持されるのであって
、電気と水のいずれかが一定時間断たれれば大事故になるのは必至である。
原子炉の緊急停止の際、この冷却機能の主たる役割を担うべき外部電源と主
給水の双方がともに700ガルを下回る地震によっても同時に失われるおそれが
ある。そして、その場合には(2)で摘示したように実際にはとるのが困難であ
ろう限られた手段が効を奏さない限り大事故となる。
ウ 補助給水設備の限界
このことを、上記の補助給水設備についてみると次の点が指摘できる。緊
急停止後において非常用ディーゼル発電機が正常に機能し、補助給水設備に
よる蒸気発生器への給水が行われたとしても、①主蒸気逃がし弁による熱放
出、②充てん系によるほう酸の添加、③余熱除去系による冷却のうち、いず
れか一つに失敗しただけで、補助給水設備による蒸気発生器への給水ができ
ないのと同様の事態に進展することが認められるのであって、補助給水設備
の実効性は補助的手毅にすぎないことに伴う不安定なものといわざるを得な
い。また、上記事態の回避措置として、イベントツリーも用意されてはいる
が、各手順のいずれか一つに失敗しただけでも、加速度的に深刻な事態に進
展し、未経験の手作業による手順が増えていき、不確実性も増していく。事
態の把握の困難性や時間的な制約のなかでその実現に困難が伴うことは(2)に
おいて摘示したとおりである。
エ 被告の主張について
被告は、主給水ポンプは安全上重要な設備ではないから基準地震動に対す
る耐震安全性の確認は行われていないと主張するが、主給水ポンプの役割は
主給水の供給にあり、主給水によって冷却機能を維持するのが原子炉の本来
の姿であって、そのことは被告も認めているところである。安全確保の上で
不可欠な役割を第1次的に担う設備はこれを安全上重要な設備であるとして、
それにふさわしい耐震性を求めるのが健全な社会通念であると考えられる。
このような設備を安全上重要な設備ではないとするのは理解に苦しむ主張で
あるといわざるを得ない。
(4) 小括
日本列島は太平洋プレート、オホーツクプレート、ユーラシアプレート及
びフィリピンプレートの4つのプレートの境目に位置しており、全世界の地震
の1割が狭い我が国の国土で発生する。この地震大国日本において、基準地震
動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通し
にしかすぎない上、基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失によ
る重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険
という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる。このよう
な施設のあり方は原子力発電所が有する前記の本質的な危険性についてあま
りにも楽観的といわざるを得ない。
6 閉じ込めるという構造について(使用済み核燃料の危険性)
(1) 使用済み核燃料の現在の保管状況
原子力発電所は、いったん内部で事故があったとしても放射性物質が原子
力発電所敷地外部に出ることのないようにする必要があることから、その構
造は堅固なものでなければならない。
そのため、本件原発においても核燃料部分は堅固な構造をもつ原子炉格納
容器の中に存する。他方、使用済み核燃料は本件原発においては原子炉格納
容器の外の建屋内の使用済み核燃料プールと呼ばれる水槽内に置かれており
、その本数は1000本を超えるが、使用済み核燃料プールから放射性物質が漏
れたときこれが原子力発電所敷地外部に放出されることを防御する原子炉格
納容器のような堅固な設備は存在しない。
(2) 使用済み核燃料の危険性
福島原発事故においては、4号機の使用済み核燃料プールに納められた使用
済み核燃料が危機的状況に陥り、この危険性ゆえに前記の避難計画が検討さ
れた。原子力委員会委員長が想定した被害想定のうち、最も重大な被害を及
ぼすと想定されたのは使用済み核燃料プールからの放射能汚染であり、他の
号機の使用済み核燃料プールからの汚染も考えると、強制移転を求めるべき
地域が170キロメートル以遠にも生じる可能性や、住民が移転を希望する場合
にこれを認めるべき地域が東京都のほぼ全域や横浜市の一部を含む250キロメ
ートル以遠にも発生する可能性があり、これらの範囲は自然に任せておくな
らば、数十年は続くとされた。
(3) 被告の主張について
被告は、使用済み核燃料は通常40度以下に保たれた水により冠水状態で貯
蔵されているので冠水状態を保てばよいだけであるから堅固な施設で囲い込
む必要はないとするが、以下のとおり失当である。
ア 冷却水喪失事故について
使用済み核燃料においても破損により冷却水が失われれば被告のいう冠水
状態が保てなくなるのであり、その場合の危険性は原子炉格納容器の一次冷
却水の配管破断の場合と大きな違いはない。福島原発事故において原子炉格
納容器のような堅固な施設に甲まれていなかったにもかかわらず4号機の使用
済み核燃料プールが建屋内の水素爆発に耐えて破断等による冷却水喪失に至
らなかったこと、あるいは瓦礫がなだれ込むなどによって使用済み核燃料が
大きな損傷を被ることがなかったことは誠に幸運と言うしかない。使用済み
核燃料も原子炉格納容器の中の炉心部分と同様に外部からの不測の事態に対
して堅固な施設によって防御を固められてこそ初めて万全の措置をとられて
いるということができる。
イ 電源喪失事故について
本件使用済み核燃料プールにおいては全交流電源喪失から3日を経ずして冠
水状態が維持できなくなる。我が国の存続に関わるほどの被害を及ぼすにも
かかわらず、全交流電源喪失から3日を経ずして危機的状態に陥いる。そのよ
うなものが、堅固な設備によって閉じ込められていないままいわばむき出し
に近い状態になっているのである。
(4) 小括
使用済み核燃料は本件原発の稼動によって日々生み出されていくものであ
るところ、使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるため
には膨大な費用を要するということに加え、国民の安全が何よりも優先され
るべきであるとの見識に立つのではなく、深刻な事故はめったに起きないだ
ろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得な
い。
7 本件原発の現在の安全性
以上にみたように、国民の生存を基礎とする人格権を放射性物質の危険か
ら守るという観点からみると、本件原発に係る安全技術及び設備は、万全で
はないのではないかという疑いが残るというにとどまらず、むしろ、確たる
根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る脆弱なものであると
認めざるを得ない。
|
|
4月28日:共産党も社民党も裏切った過去をキチッと清算しなければならない!/小出裕章さんにきく。(5) – 原発と共産党、社民党。http://hiroakikoide.wordpress.com/2014/05/05/poponsmemo-2014apr28-5/ …長年、原子力ムラの政策へ反対して来た原子力科学者の思い。 http://hiratomi.exblog.jp/21982918//
小出裕章さんにきく。(7) - 反原発への圧力について。- 2014.04.28(+ 再生リスト) |





