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左の肩に生温かい感触がじわり、と広がる。
そっと首を傾けてシヌの顔を覗き込む。シヌは目を閉じてわずかに眉を寄せ、静かに涙を流していた。今までこらえていたものを一気に解放したように、涙はとめどなく流れている。
ユファは空いた右手で涙を拭うとそっとシヌの手の中から左手を引き抜き、代わりに右手で包み込んだ。
空いた左手は少しの間宙をさまよったが、やがてシヌの背中へと回される。
シヌの体がぴくり、と動き、うっすらと目を開けた。
「思いっきり泣いてください。私が支えてますから…」
耳元で小さく囁いて、ユファはぽん、ぽん、と背中を優しくたたく。
シヌはかすかに微笑むと、優しいリズムに身を委ね、もう一度目を閉じた。
*
どれくらいそうしていただろうか。
シヌはやっと顔をあげると、頬を拭った。
「…ありがとう」
そう告げるシヌの顔は涙でぐちゃぐちゃではあったけれどはれやかだった。
目を細めてユファを見つめる。
シヌの視線をまともに受けて、ユファは鼓動が速くなるのを感じ、あわてて両手をひっこめた。
しかし。
「俺の手を、離すつもり?」
にやり、と口の端を上げたシヌが右手をぐっと掴んで離さない。
顔を赤らめてうろたえるユファを見て可笑しそうに笑うと、ふと真面目な顔にもどって告げた。
「俺はね、ユファ、お前が差し伸べてくれたこの手を、掴むことにしたんだ。お前を信じて。だから…離さないで」
急に変わった口調に、ユファは顔を上げた。まっすぐに自分に向けられた視線を受け止める。
「ユファの目論み、見事に当たったみたいだ」
「え?」
「俺の心からミニョを追い出して、あわよくば自分が入ろうって計画。さっき言ってただろ?」
とくとくとくとく。
先ほど早まった鼓動が、さらに高まるのを感じる。
もしかしてさっき、私勢いで告白した……?目論みが当たったって、それって、もしかして――
「ミニョは俺の心から引っ越したよ。今は思い出の場所にいる。空いた場所には――ユファ、いつの間にかお前が引っ越してきてたみたいだ」
にっこりと笑うとシヌはユファの手を握った右手に力をこめる。
「ユファは、俺のことが好き?」
少し顔を近づけて覗き込むシヌの茶色の瞳から目を離せずに、ユファはこくり、と頷く。
「ただのお兄ちゃん、としてではないよね?」
もういちど、こくん、と頷く。
「俺もね、ユファとおんなじだ。妹みたいに思ってたけど、いつの間にか特別な存在になってた。だから…ユファ、馬鹿な俺を、幸せにしてくれる?」
「もちろんです…シヌオッパ」
嬉しそうに頷くユファを見て満足そうに顔をほころばせると、シヌは右手をぐっと引き、そのまま腕の中に閉じ込めた。
ギター越しではあったけれど、確かに腕の中に感じるぬくもりに、心がほどけていく感覚が心地良い。
ほんのりと赤みを帯びたユファの耳に口を寄せると、シヌは優しく囁いた。
「ありがとう、ユファ。今日からお前は、俺の彼女だ」
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