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今日でラストー!
SS ショコラ・ホリック 4
2月14日――
〜ジェルミの場合〜
ラジオの前のみんな〜こんばんは!ジェルミだよ!
今日が何の日か、知ってる?そう、バレンタインだ!
恋人がいる人も、そうでない人も、それぞれにとって今日は特別な日だと思うんだ。
だって今日は、普段いえない「愛してる」って言葉を、堂々と言うことができる日なんだから。
チョコを渡しに行く女の子も、貰えるかなって待ってる男の子も、仲良くデートしてる恋人たちも、恋するみんなにとって今日は素敵な日。
あぁ、恋って、素敵だなぁ!たとえ叶わなかったとしても、ね。
いつだって、恋は、愛は素敵なものなんだ、って俺は思うんだ。
だからみんな、今日はちゃんと「愛してる」って、大事な人に伝えるんだよ?
大事にしすぎると、二度と言えなくなることもあるからね。
言えるときに、がつんと、つたえちゃえ!!俺が応援する!
……あ、まーもちろん、愛ってゆったって、いろいろあるよ?
親子とか、兄弟とか、友達とか、本当に、いろいろ。
俺だって、今日はファンの子たちや、スタッフさんからたくさんのチョコ、貰ったんだ!これって、愛がいーっぱい詰まってるんだよね?うん、もう、ほんとにいっぱい!今も手元にあるよ〜たべちゃえ!もぐもぐ……ん〜♪すーっごく、甘くって、ちょっぴり苦くって、超〜おいしい!
あぁ、なんか愛って、チョコレートと似てるかもね?なぁんて☆
みんな、ホントにありがとう!だから今夜は、ジェルミを愛してくれてるみんなに、感謝と、愛してるの気持ちを込めて、バレンタインが終わるまで、素敵な夜をプレゼント。
まずはこの曲――A.N.JELLの新曲、『ショコラ・ホリック』!
〜ミナムの場合〜
「ちょっと」
とあるレストランの個室で食事を楽しみ、そろそろ帰るか、というような雰囲気になった頃。いつも以上にぶっきらぼうな口調で、ヘイはミナムに声をかけた。
ミナムはというと、何が嬉しいのか、にこにこしながらヘイを見つめたままで、なぁに?と首をかしげた。
「これ、あげてもいいわよ」
視線をそらしたまま、ミナムの胸に押しつけるようにして紙袋を渡す。
「え?マジ?…くれるの?」
「あげるって言ってんでしょ?しつこいわね」
どこか怒っているような早口で、まくしたてるヘイに、あれ自分は今何か怒らせるような事をしただろうか、と一瞬考え込んでしまったが、どうやらこの紙袋は自分へのプレゼントらしい、そしてヘイは怒ってるわけではないらしいと認識すると、ミナムは大喜びで受け取った。
「やったー♪開けていい?」
「好きにすれば」
いそいそと包み紙を開くと、そこにはチョコレートと、メッセージカード。
“To Minam”
と記されたそのカードを裏返して見ると、可愛らしい丸文字で書かれたメッセージが一言だけ、あった。
『付き合ってやってもいいわよ』
ついつい高飛車な言葉になってしまったけれど、これが、素直じゃないヘイの精一杯だった。
けれど、ミナムはカードに視線を落したままピクリとも動かなくて。
あんなカードなんて、いや、そもそもチョコなんて、渡さない方が良かったのかしら?とそろそろ心配になって、嫌みの一つでも言ってやろうかと口を開いたその時。
「ユ・ヘイ、好きだぁぁぁーーーあ!!」
そう叫んでミナムはヘイに抱きついた。
〜テギョンの場合〜
「コ・ミニョ。案内しろ」
「本当に、見えてないんですかぁ?」
ぶつぶつ言いながらも嬉しそうにテギョンの手をとると、ミニョはいつかと同じように、空いている座席を探す。前すぎず、後ろすぎず…テギョンの好みに合うような席を探して、あの時のように、並んで座った。
「今日は、寝ないでくださいね?オススメの映画なんですから」
「俺はいつも寝てない」
*
「…で、どうでしたか?感想は?」
「………。悪くなかった」
「…オッパ。やっぱり、寝てましたね」
「寝ているわけないだろう!ばっちり見ていたさ」
「ふぅーん」
言い合いながらもしっかり手をつないだまま、二人は屋上にやって来た。
「今日も空には星がみえません。このライト…あの時のままですね」
「そうだな」
「今日は服には星がないですけれど…ここにも、それから、ここにも、星です♪」
そう言ってミニョはうれしそうに髪につけたカチューシャの星の飾りに触れ、それから大事そうに胸に下がったペンダントをそうっと持ち上げる。
「この星は、オッパが下さったものですけど、今日は、わたしからオッパに星をたくさんプレゼントします!」
両手で差し出したバスケットの中には色とりどりの星…の形をしたチョコレートが、たくさん詰まっていた。テギョンは嬉しそうに頬を緩めて受け取る。ひとつ手にとって指先で弄びながら、テギョンは笑顔のまま、ふと首をかしげた。
「おい、そういえばあのときここで、俺もおまえに星を見せてやろうとしたよなぁ?覚えてるか?」
ぐっと星を握って見せる。目をまんまるにしたミニョは、あわてて少し身を引いた。
「でもあの時は結局……」
「結局、どうしたんだっけ?再現してくれよ」
「………。今日だけ、ですよ?」
ゆっくりと正面に立ち、ジャケットの袖を捕まえて、精一杯背伸びをする。背の高いテギョンが少しかがんでやって、ようやく二人の影が重なった。
私が一番好きな星を、こんなにも近くに感じることのできる幸せ。
愛する人が、俺の見える場所に、こんなにも近くにいてくれる幸せ。
互いの存在に幸せを再確認して、二人ははなれる。
「星は、みえましたか」
「あぁ、たくさん見えたさ」
〜シヌの場合〜
「ただいま〜」
「あ、お帰りオッパ!」
夕方になって合宿所に帰宅したシヌを、エプロン姿のユファが出迎える。
「ふふ。『お帰り』っておまえに言われるの、なんかいいな」
「えへへ。ごはん、もうちょっとでできるから、まっててね?」
「うん。着替えてくるよ」
笑顔で2階へと上がっていくシヌを見送ってから、ユファはテーブルに料理を並べていった。
「おぉ、美味そうだ」
「頑張ったんだから!」
サラダ、ブロッコリーのスープ、魚介のマリネ、ミートローフ。それらが彩りよく並べられている。
「それから、これ」
ユファはエプロンのポケットからキャンドルを取り出して並べ、火を灯した。
照明を落とすと、ゆらゆらとゆれる暖かいキャンドルの光が幻想的な空間を作り出す。
「…ね。こうしたら、レストランに来たみたいでしょ?」
「本当だ。なんか…いい香りがする。バラ?」
「アロマキャンドルだよ。最近ハマってるの。オッパの好きな香り、分からなかったから、とりあえず、ローズにしてみたの」
「そうか…俺も用意したんだけど、この香りに負けちゃうかな?」
キャンドルの柔らかい光の中で、シヌはそう呟くと、小ぶりのバラのブーケを渡した。ピンクとオレンジのバラにかすみ草をあしらった、シンプルで、可愛らしいブーケ。ユファは受け取ったブーケに顔をうずめ、アロマキャンドルなんかよりずっと甘くて芳しい香りを胸いっぱい吸い込んだ。
「ようこそ、我が家へ」
「へ?あ、うん、ありがとう…すっごく、いい香り」
「さぁ、冷めないうちに食べよう!ものすごく、腹が減った」
*
「おいしかった!」
グラスに残ったシャンパンをくいっと飲みほして、シヌは満足そうに微笑む。
「ね、まだ食べれる?デザートがあるんだけど」
「もちろん。いくらだって食べられる」
「じゃあ…はい、どうぞ」
そう言ってユファがシヌの前に置いたのは、ハート形のガトーショコラ。
「バレンタインだから…」
「だから?」
「………。私の気持ち」
「はっきり言ってくれなきゃ、わかんないなぁ?」
「…意地悪………。だから………えっと、大好き」
「ん?ケーキが?」
「もう!」
ぎゅっとシヌに抱きつく。恥ずかしいから、顔を胸にしっかり埋めて。絶対に顔を見られないように。
シヌはにっこりと微笑むと、ユファの髪を優しくなでた。
「じゃあ、遠慮なく、いただきます」
フォークで一口すくって、口に運ぶ。とろり、と口の中でとろけて、濃厚なチョコレートの味が広がる。それと一緒に、なんともいえない幸福感と充足感もじわじわとシヌの心に広がっていく。
「おいしい?」
ようやく顔をあげて、上目遣いでシヌの表情をうかがう。薄暗いせいでよく見えないが、きっとその頬は赤みを帯びているのだろう。
「うん。すっごく、おいしい。ユファも食べる?」
「ん」
小さく開けた口に、フォークを運ぶ。
「あ、なかなかうまくできたみたい。よかったぁ」
「ユファの気持ち、しっかり受け取ったから。これは、俺の気持ち」
そう言って、シヌは腕の中の恋人にキスをした。
ほんのり甘くてほろ苦いショコラのようなその味を、もう一回、いや何度でも味わいたいって、いつのまにかそう思ってしまうんだ。
気がつけばもう――ショコラ・ホリック。
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