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出演:モニカ・ブライブトロイ、ハンナー・ヘルツシュプルング、スヴェン・ピッピッヒ、リッキー・ミューラー

監督、脚本:クリス・クラウス
音楽:アネッテ・フォックス

原題:VIER MINUTEN /英題:FOUR MINUTES
上映時間:115分
製作国:ドイツ
公開情報:劇場公開(ギャガ・コミュニケーションズ)
初公開年月:2007/11/10
ジャンル:ドラマ/音楽

《コピー》
弾く時だけわかる。
何のために生まれてきたか。

【解説とストーリー】
 本国ドイツで大ヒットした音楽ヒューマン・ドラマ。類いまれなピアノの才能を持ちながら殺人犯として収監され、刑務所の中でも手のつけられない問題児となった女囚と、彼女の才能に惚れ込み残り少ない人生を懸ける老教師、そんな2人の女性の魂のぶつかり合いを衝撃的に描く。
 ピアノ教師として刑務所を訪れたトラウデ・クリューガー(モニカ・ブライブトロイ)は、机を鍵盤代わりに無心で指を動かしている女性に目を留める。彼女の名はジェニー(ハンナー・ヘルツシュプルング)。天才ピアニストとして将来を嘱望されながらも道を踏み外してしまい刑務所暮らしの日々。心を閉ざし、衝動的に暴力を振るう彼女は刑務所内でも札付きの問題児。それでも、ジェニーの才能を見抜いたトラウデは所長を説得して特別レッスンを始める。来るべきコンクールでの優勝を目指し、厳しくも情熱をもって指導に当たるトラウデに、ジェニーも次第に心を開き始めるのだったが…。(allcinemaより)

今年は、ピアノ曲やピアニストを題材にした映画がずいぶん多かったように思います。この映画もその一つなのですが、なかなかドイツ映画らしく重さのある作品でした。

そう言えばドイツ映画も今年は自分としては今までになく観たような気がしますが(DVDも含めて)、ドイツの現代史に絡んだものを観ると、いかにこの国が大変な歴史を持っているかがよくわかり、大戦後も明らかに日本とは違う苦しい道をたどってきたことを感じます。
それは、第二次大戦に敗戦後、すぐに分断され冷戦時代に突入してしまったという日本にはない過酷な時期が長くあったのがまず違うところだし、もちろんそれ以前のずっと昔から、ヨーロッパは日本とは違い地続きの為にずっと戦いが続いてきたわけですものね。

この映画でも主人公の老ピアノ教師トラウデは戦時中の忌まわしくも悲しい思い出を背負って生きていることが、重要なポイントになっています。
予告を観た時はそこまでわからなくて、ただ年老いたピアノ教師が刑務所でピアノの天才少女に指導をしつつ更生させるようなお話なのかな〜と思っていたのですが、実はそんなに単純な話ではなく、登場人物皆にいろいろなトラウマや想いがあり、非常にヒューマンドラマとしても深いものがありました。

全体にはとても地味な雰囲気で、刑務所が舞台なだけに華やかさは全くありません。地味なヨーロッパ映画が苦手な方だとちょっとつまらなく思うかもしれませんが、そんな静かで暗い背景だけに、時折見せる服役囚の少女ジェニーの激しい感情が、時には不快感も感じるくらい驚くほどのインパクトを放ちます。それは彼女の弾くピアノにも現われていて、トラウデが教えたい崇高なクラシックのピアノも見事に演奏できるにもかかわらず、彼女の心の叫びはトラウデにとっては下品にも思えるロックだったりします。ジェニーがなぜそこまで反抗的に心を閉ざすようになったかは、やはり彼女にしか語ることができない秘密があるわけなのですが・・・
 
トラウデがそんなジェニーに何とかして強引にもピアノを弾かせたかったかは、またトラウデの過去も大いに関係してくるのですが、人って『自由に出来る時には気がつかないもの』が結構あるわけで、トラウデの一番大切だった人は可能性がたくさんあったにもかかわらず人生を早くに閉じなければならなかった、というところを彼女は引きずっているんですね。だからこそ、少女時代からいろいろな試練はあったものの、まだ若く可能性のたくさんあるジェニーに彼女にしか出来ないピアノを弾くべきだと教え、又貫いて欲しかったのだと思います。

コンクールのシーンでは実際にはソロ演奏では不可能な「コンチェルト(シューマン)」を決勝に持ってきたりと、ストーリー上では実際にあり得ないことも出てくるのですが、実はこの曲の冒頭部分のみが使われているわけで、それらのことは気にならないほど、ラストの演奏シーンは圧巻でした。
先日観た「エディット・ピアフ」の映画では『歌というのは心の叫び』と感じましたが、本作ではそれをピアノで表しています。本当にラストのジェニーの演奏は心の叫び以外の何物でもないと思い、理屈抜きに自然と涙が溢れました。

絵画にしても音楽にしても、とにかくそのそれぞれの表現で、人がなぜ感動するのかと言うと、それはその表現する人の魂を感じるからですよね。作家は言葉で表現しますが、言葉のない美術や音楽の場合は感性に直接訴えかけるわけですから全く理屈抜きでダイレクトに伝わる分、予想外の感動が突然起こったりするから不思議です。

主演の女優さん二人は見事だったと思います。超ベテランと新人という二人の女優に、もしこれが演劇だったら何度もカーテンコールがなされることでしょう。

吹き替えピアノが日本人ピアニスト(白木加絵さん、水吉佐和美さん)というのもちょっと嬉しかったです。
水吉さんの弾く優しく美しい音色のシューベルトのアンプロムチュがいつまでも耳に残りました♪

好みは分かれそうで、万人向けではないかもしれませんが、ドイツ映画、音楽映画の好きな方なら、観る価値のある作品だと思います。

閉じる コメント(48)

ふたりの人生が凝縮されたようなラストの心揺さぶる演奏は圧巻で魂を鷲づかみにされたような感動を覚えました。とっても重い作品でしたが伝わるものがたくさんあった映画でしたね。
TBさせてくださいね。

2008/4/7(月) 午後 1:17 つらら

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★つららさん、そそ、重い背景があるのに、彼女らの心の叫びが音楽を通して伝わってきて凄いインパクトの映画でしたね。音楽が心を伝えるものだということをあらためて感じさせてくれました。TBありがとうございます〜♪

2008/4/8(火) 午前 9:59 choro

芸術的センスとナチス時代の暗い影・・・素晴らしい作品に仕上がってましたね!
ピアノの吹き替えは日本人ピアニスト!素晴らしいことです♪

2008/6/11(水) 午後 11:19 くるみ

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★くるみさん、地味で重い作品なのに、凄いインパクトのある映画でしたよね〜
ドイツ映画らしい堅さと芸術を通しての表現が素晴らしかったです。
日本人ピアニストが起用されているのも嬉しいですね。Tbありがとうございます〜♪

2008/6/12(木) 午後 1:36 choro

確かに最後のシューマンは、エッて感じでしたね・・・。ただそれ以上にドイツらしい重みを感じました。そういえば、「僕のピアノコンチェルト」でもシューマンでした。こちらはコンチェルトでしたが・・・。TBさせていただきます!

2008/6/17(火) 午後 11:14 takutaku!

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★たくたくさん、あり得ない選曲、アレンジながら彼女の心は伝わってきましたね。^^;ドイツらしい重厚さを感じる映画でした。そうそう、私も「僕のピアノコンチェルト」と続けて観たので「あら、シューマン、流行り?」なんて思ったのですが(笑)、あの冒頭はインパクトが強いので映画に合うのでしょうね。(^^ゞTBありがとうございました〜♪

2008/6/18(水) 午前 9:01 choro

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そうそう、ドイツの苦い歴史も垣間見えるような作品でしたね〜。
ふたりの女性の過去、そして心を通わせてゆくという構成は、見応えありましたです。
TB、お願いします。 ^^

2008/8/3(日) 午後 2:00 サムソン

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わ〜さすがchoroさん!深くしかも分かり易いレビューですね。このレヴューを読んでから観ればもっと楽しめたかも・・って思ってしまいましたよ^^あのピアノの吹き替えは日本人ピアニストだったんですね〜。それはほんと嬉しい裏話ですよね〜。
TBお返しさせてくださいね〜

2008/8/4(月) 午前 0:36 SHIGE

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★サムソンさん、重い映画でしたが、印象に残る作品ですよね。ドイツらしい重厚さがあったと思います。TBありがとうございました〜♪

2008/8/4(月) 午後 7:33 choro

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★SHIGEさん、お褒めいただきありがとうございます〜♪(*^_^*)
普通の音楽映画と違って凄い力のある作品でしたよね。
そそ、日本人ピアニストが吹き替えというのは嬉しいですね。TBありがとうございました〜♪

2008/8/4(月) 午後 7:35 choro

吹替えのピアニスト日本の方なんですね。すごいですね。
ほんとにドイツって大変な歴史を持ってる国ですよね。
重い映画でした。TBお返ししますね

2008/8/25(月) 午後 11:49 LAGUNA

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★らぐなさん、日本人も最近はたくさんヨーロッパに留学したりしてそのまま残っているピアニストも多いので、チャンスがあるのでしょうね。凄いですよね。
こういう映画を観るとドイツは大変な歴史の国だというのがあらためてわかりますね。重い映画でしたが見応えのある作品でした。
TBありがとうございます〜♪

2008/8/28(木) 午後 4:04 choro

なかなか好きな雰囲気の映画でした。
ドイツの暗い歴史がここでも顔をだしましたね・・・
トラウデを演じた女優さんの演技はさすがベテランという感じでしたねw
やっぱりあの4分間の演奏と、その直後のふたりの表情、お辞儀が印象的です。
TB,させてください☆

2008/11/6(木) 午後 11:35 A☆co

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★Acoさん、ドイツ映画は暗い雰囲気のものが多い気がしますが、これも重い歴史的背景を控えたヒューマンドラマでしたね。
そんな重さを感じながらも、過酷な人生を生きてきた二人の年代の違う女性の交流を見事に表していましたよね。
TBありがとうございました〜♪

2008/11/9(日) 午前 9:54 choro

あまり派手さはなく、堅実なドイツっぽい映画だなと思いましたが、ラストの演奏シーンは、見事な迫力でしたね〜〜。

2008/11/29(土) 午後 4:49 kuu

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★kuuさん、いかにもドイツ映画でしたよね。しかし重いながらも音楽で最後はグッと惹き付けてくれました♪
TBありがとうございます〜

2008/12/2(火) 午後 3:35 choro

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重ーい作品でしたね・・・同じくナチス時代の過去を抱えてきた女性のお話『The Reader』(『愛を読む人』の原作)を読んだ時と同じ気持ちになりました。ラストシーンはいろんな意味で忘れられないと思います^^;あの演奏、驚きました(爆)
TBさせて下さい^^

2009/4/8(水) 午後 11:19 M

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★Mさん、そう言えば「愛を読む人」もドイツのお話でしたね。そうですか。やはりそういう過去が出てくるのですね。
あの演奏は凄いです!凄いという表現しかできないような・・^^;
TBありがとうございました〜♪

2009/4/10(金) 午後 11:52 choro

本当に、表現する人の魂を感じることができた演奏でしたねー。
観たことないような激しい演奏でした。
雰囲気は暗いながらも激しい感情がほとばしり、ずっと目が離せませんでした。ふたりの女優さんの熱い演技も良かったです。
観れて良かったです!TBさせてくださいね。

2010/1/20(水) 午前 1:15 かりおか

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★かりおかさん、ちょっと他にない演奏でしたよね。
とにかく激しい感情がピシッと伝わってきて目が離せない映画でしたね。
私もこれは重さと共に心にズシンと来た作品です。
TBありがとうございます〜♪

2010/1/21(木) 午後 10:55 choro

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