全体表示

[ リスト ]

イメージ 1

出演:ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ、ケヴィン・J・オコナー、キアラン・ハインズ
   ディロン・フレイジャー

監督、脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
原作:アプトン・シンクレア著 『石油!』
音楽:ジョニー・グリーンウッド

原題:THERE WILL BE BLOOD
上映時間:158分
製作国:アメリカ
公開情報:劇場公開(ディズニー)
初公開年月:2008/04/26
ジャンル:ドラマ
映倫:PG-12

《コピー》
欲望と言う名の黒い血が
彼を《怪物》に変えていく…。

【解説】
 「マグノリア」「パンチドランク・ラブ」のポール・トーマス・アンダーソン監督が名優ダニエル・デイ=ルイスを主演に迎え、石油を掘り当てアメリカンドリームを実現した男の欲望と裏切りの人生模様を骨太に描く一大叙事詩。原作は、シカゴの精肉業界の実態をあぶりだした『ジャングル』などで知られる社会派作家アプトン・シンクレアが27年に発表した『石油!』。ダニエル・デイ=ルイスは本作の演技で全米の映画賞を席巻、アカデミー賞でもみごと主演男優賞に輝いた。
 20世紀初頭。一攫千金を夢見る山師の男ダニエル・プレインヴュー(ダニエル・デイ=ルイス)。孤児を拾って自分の息子H.W.(ディロン・フレイジャー)として連れ歩く彼は、ある日ポール(ポール・ダノ)という青年から自分の故郷の土地に油田があるはずだとの情報を得て、西部の町リトル・ボストンへと向かう。そして、すぐさま土地の買い占めに乗り出す。そんな中、ポールの双子の兄弟で住人の信頼を一手に集めるカリスマ牧師イーライ(ポール・ダノ)が、ダニエルへの警戒を強めていく。(allcinemaより)

先日観たオスカー受賞作「ノーカントリー」も重い作品でしたが、こちらは又違った重さのある何とも強烈な一本でした。同じ重さを持つ作品でもこれに比べると「ノーカントリー」はサスペンスタッチだったし、エンタメ性もあり観やすかったように思います。しかしだからと言って本作もわかりにくい作品というわけではありません。2時間40分という長丁場にもかかわらず、長さはあまり感ずることなく惹きこまれて観てしまいました。

まず冒頭のダニエルが一人で金から石油を掘り当てるシーンはほとんど台詞がなく音楽で綴られているんですね。台詞がないということは映像に集中できるわけで、またその音楽の効果的なこと!全くダニエル・プレインヴューという人物のそれまでの背景などの説明はなく、いきなり石油王となるスタート地点から始まります。

もちろん主人公はダニエルなのですが、彼の人生を左右することになる狂信的な若い牧師のイーライという人物が重要な鍵にもなっています。彼も又片寄った人間なんですよね〜二人は水と油のようですが、実は対極にある似たもの同士のような気がしてなりませんでした。人を受け入れられないというのでしょうか。自分のみを信じ、自分が一番正しいと思って突き進むキャラクターが破滅の道を歩むのは無理もありません。

しかし、ダニエルは強欲で冷たい人物のようですが、最後に退けてしまう息子(実は孤児ですが)に対する本当の気持ちは何だったのでしょう。自分の利益の為だけに事故で亡くなった工夫の子どもを育てるものでしょうか。しかも自分の後継者にと望んでいたのは事実なのです。私はH.W.が事故にあって精神的に不安定になってしまったがゆえに冷たく遠ざけたように見えるダニエルの本心は、H.W.を思う気持ちからあのような行動に出たのではないかと思いたいですね。いくら利益の為とは言え、赤ちゃんから人を一人育てるのは容易なことではありませんし、あの小さいH.W.に対するダニエルの眼差しなどは彼の人には知る事ができない優しさを感じました。というかそう思いたいです。彼にとって、そんなH.W.が独立したいと言い出したことは、それまでの自分を否定されたようで思いもしなかったこと。それで愕然としてしまったのかな、と感じました。

ドラマの端はしにダニエルの孤独さを感じたのですが、彼の生い立ちなどは描かれていないので事実はわからないものの、ダニエルがなぜあのような狂気に満ちた人物になっていったかは、彼の孤独に対する恐怖のようなものではないかと思ったんですよね。。。あくまで私個人の感想ですけど。

ゴールドラッシュやこの映画のような石油発掘に夢を託した時代というのは、経済的には発展を遂げたのでしょうが、人々を狂わせた時代でもあったんですね。ここでも時代に翻弄された人間の姿が哀しく映ります。

ダニエル・デイ=ルイスは圧巻でした。言葉がそう多くはない分、ふとした表情が凄く印象に残ります。ラスト近くからのダニエル・プレインヴューの演技は息が詰まるようで、こちらまで身体に力が入ってしまいました。^^;

驚いたのはイーライ役のポール・ダノ「リトル・ミス・サンシャイン」の時は個性的な男の子だな、としか思わなかったのですが、いや〜ダニエル・デイ=ルイスに負けずの演技で頑張っていましたね。あの教会での洗礼のシーンは恐ろしいほどの迫力でした。まだ23歳くらいですよね?今後がとても楽しみな演技派ですね。

映像の中で、石油が噴出すシーンではジェームズ・ディーンの「ジャイアンツ」を思い出しましたが、同じロケ地だそうですね。(「ノーカントリー」も同じ場所とか)当時とほとんど変わっていない土地なんですね。やはりアメリカは広いです(笑)。

あと最初にも書きましたが、音楽が印象に残ります。オリジナル音楽のジョニー・グリーンウッドは元はギタリストだったそうですが、現代曲っぽい音の作りはこの映画によく合ってましたね〜それと対照的に使われていたブラームスの「ヴァイオリン・コンチェルト」(第3楽章)のやけに明るい音楽が非常に効果的で、エンドロール中もドラマのラストシーンとこの曲とのミスマッチ感にボ〜っと浸ってしまいました。

面白いとか楽しい映画ではないと思うし、ちょっと観るのに覚悟がいるのですが、一人の男の成功と破滅を描いたように見える中に、人間のかかえる哀しい業とか弱さも感じる深い深い作品だと思いました。
尚、この映画は昨年亡くなったロバート・アルトマン監督に捧げられています。

この監督さんは初めてだったのですが、「マグノリア」など他の作品もこれを期に観賞したいですね。

閉じる コメント(50)

顔アイコン

なんとか公開中に観れました〜。重厚で激しい作品でしたよね〜ほんと圧巻!ダニエル・デイ=ルイスあって作品だと思いました。一度靴屋を目指した人がこれだけの演技をするとはね〜^^TBさせてくださいね〜

2008/5/20(火) 午後 1:11 SHIGE

愛に枯渇した哀しい男の半生のドラマだったように思いました。勿論詳細は説明されていないので想像でしかないのですが、、。
ダニエルの演技の素晴らしかったこと。これは予想以上でした。
TBさせてくださいね。

2008/5/21(水) 午前 8:31 pu-ko

顔アイコン

★SHIGEさん、このダニエルには圧倒されるようですよね。ストーリー、演技共に圧巻でした。人間は孤独さには勝てないという哀しいお話でしたね。TBありがとうございます〜

2008/5/22(木) 午後 2:05 choro

顔アイコン

★pu-koさん、やはりそうですよね同感です。結局は愛を知らずに育った人間は孤独に耐える事もできず、心が壊れてしまうということでしょうか。本当に哀しいお話でした。TBありがとうございます〜♪

2008/5/22(木) 午後 2:06 choro

アバター

ダニエルもイーライもどっちも嫌な奴ですが、Choroさんのおっしゃる通り、H.W.に対する気持ちは、やはり愛情もあったと思います。
H.W.を見る目が優しいと思えたんですが…。
音楽も僕もかなりポイント高いですね。変な音なんですけどね。この作品には合ってます。
TBいたします。

2008/5/27(火) 午後 9:30 出木杉のびた

顔アイコン

★のびたさん、根っからの悪人とは思えないんですよね。それはイーライもそう・・だけど何か歯車が狂ってしまったために悲劇が起こるわけで、人間の哀しいところです。
音楽、よかったですよね〜あの不協和音がものすごいスパイスになっていたし、ここで長調のブラームス?と思うほどのミスマッチ感が素晴らしかったです♪TBありがとうございました。

2008/5/28(水) 午前 10:25 choro

アバター

音楽、全然印象にないんですよね(^^; エンドロールのときにちょっと違和感を感じたのは覚えてますが・・・。まあ、それぐらい映像に溶け込んでいたということで自分を納得させたいと思います(笑)
TBお返しさせてくださいね♪

2008/6/29(日) 午後 4:48 Naomi

顔アイコン

★Naomiさん、あはは、音楽、印象にありませんか。かなり静かに運ぶドラマだったので、内容にはまり込んで観てしまうとそうかもしれませんね。かなりの不協和音でちょっと他の映画音楽とは違ったのが私は印象的でした。TBありがとうございます〜♪

2008/7/1(火) 午前 9:28 choro

ダニエル・デイ・ルイスの演技には圧倒されましたし、ポール・ダノも頑張っていましたね。そうそう、音楽もすごく気になった(いい意味で)ところもありましたし、ロケ地の広大さにもびっくりでした。
TBこちらからもね。

2008/8/5(火) 午前 1:09 [ つっぱり太郎 ]

顔アイコン

★つっぱり太郎さん、本当にダニエルの演技に圧倒される映画ですよね。凄いとしかいいようがありません。
冒頭の無言での表現や音楽、ロケ地、そしてこのストーリー、全てが演技と共に圧倒されるような作品でした。TBありがとうございます〜♪

2008/8/5(火) 午後 8:38 choro

アバター

DVDリリースされたので早速見ました。
おっしゃるとおりダニエルの悲哀をダニエル・デイ・ルイスが流石の演技力で演じてましたね。
ダニエルがH.Wを遠ざけたのは彼がHWの聴力を奪ってしまったひけめなのかなと思いました。
手話を拒否してるときそう感じたんですが・・・でもずっと愛していたのは変わらなかったと思いました。
TBさせてもらいますね。

2008/8/24(日) 午後 7:08 くみょん

顔アイコン

★くみょんさん、もうDVDが出たんですね!
本当にダニエルの演技派凄かったですね。子どもに対する思いや、また人間の弱さが哀しく描かれていたと思います。
TBありがとうございます〜

2008/8/25(月) 午後 10:17 choro

顔アイコン

プレインビューという人物に深みを与えた、ダニエル・デイ=ルイスの演技はすごいですよねぇ。 役者としての資質からして違うのでしょうかね。 ^^;
演出的にも楽しめた作品でした。 TB、お願いします。 ^^

2008/10/16(木) 午後 10:07 サムソン

顔アイコン

★サムソンさん、本当にこの映画のダニエルは凄かったですね。
セリフがたくさんあるわけでなくとも表情や雰囲気でこのプレインビューという人物を見せ付けるのには驚きました。さすがとしか言いようがありません。
哀しい内容でしたが、重厚で印象に残る作品でしたね。
TBありがとうございます〜♪

2008/10/18(土) 午前 8:08 choro

何とも見応えのある重厚な映画でしたね・・・。映像的にもそんな気がしました。体力と気力がないとなかなか・・・(笑)遅ればせながらTBさせていただきます!

2008/12/3(水) 午後 3:30 takutaku!

顔アイコン

★たくたくさん、重い話でしたが、見応えのある映画でしたよね。
確かに観る側も体力や気力が必要です。^^;
圧倒されるような凄い作品でした。TBありがとうございます〜♪

2008/12/4(木) 午後 9:25 choro

顔アイコン

今になって、やっと 観ることが・・。
ナマで観たかったです・・。
腰がぬけました・・。
暴力技で、また繊細で・・。
遅ればせのTBです・・.

2009/6/1(月) 午後 7:47 たんたん

顔アイコン

★たんたんさん、ホント、腰が抜けるような映画でしたね〜^^;
なんともいえない重圧感がありながら、心に響くものを感じる凄い作品ですね。
TBありがとうございました〜♪

2009/6/4(木) 午後 0:07 choro

ダニエルの演技は素晴らしかったですねぇ〜!
でも、この年のオスカーを争った2作品を比較すると、「ノーカントリー」の方が印象に残ってる気がする…だから主演男優賞ダニエル、作品賞「ノーカントリー」だったんでしょうかね?

2011/2/26(土) 午後 8:32 やっくん

顔アイコン

★やっくんさん、ダニエル、さすがでしたね〜
本当に圧倒されるような演技に魅せられました。
「ノーカントリー」は作品としてのインパクトが大きかったですものね。やはり作品賞だとあちらなのでしょうね。
TBありがとうございました♪

2011/2/27(日) 午後 9:31 choro

開く トラックバック(19)


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事