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重かったです。50年前のお話ということはわかっていましたが、人が自分の人生に馳せる思いというのは変わらないわけで、鑑賞中もいつのまにか時代を忘れて観てしまっている自分がいました。しかしそれは結構辛いものだったんですけどね。レオもケイトもGG賞にノミネートされていたし、本当に二人の演技は素晴らしかったのですが、基本的にエイプリルに共感できなかったので観ていて自分としてはめずらしく苛立ちも感じてしまいました。

ただこのウィーラー夫妻はまだ30歳そこそこで、結婚6〜7年目という若い夫婦というところが一つのネックでもありますね。エイプリルにしてみると、乳児期を過ぎた子どもたちからも少し余裕の出た時期でもあり、だからこそ昔夢見ていた女優というものにもう一度チャレンジしたくなり市民演劇に出たのだと思うのですが、そのあまり芳しくなかった結果によって彼女の何かが狂いだしたわけですね。

子どもの幼児期くらいの時って専業主婦のみならずとも育児家事(そして仕事をしている人は仕事)の忙しさから自分らしさを考える余裕などなく、誰もが通る道でもあると思います。私自身もこのエイプリルと同じような想いに駆られた事もありました。社会から取り残されていくような焦燥感と苛立ち、若い頃に抱いていた自分の夢とはかけ離れた世界。そこのところはわかるのですが、なぜこの映画が今一つ自分の中に受け入れられなかったかというと、本来家庭の中で一番大切なはずの子どもたち(お腹の子も含めて)の影がとても薄いんですね。夫婦はもともと他人なので喧嘩もするだろうし、離婚することもあるでしょう。でもエイプリルにとっての子どもって何だったのでしょう?

最後の日に子どもをあずけたミリーへの電話でむせび泣くエイプリルの姿からは、彼女が子どもをどれだけ愛しているかは想像できます。しかしその後彼女のとった行動は何だったのか、あの日のフランクとの朝食やミリーへの電話からすると、やはり覚悟の行動だったとしか思えません。前日の激しい喧嘩を機に彼女は自分の人生を放棄してしまったような感じがしました。

他の映画や小説でもよく描かれている『幸せの青い鳥は自分の傍に』という構図は、わかっていても人にはなかなか納得することはできない要素で、後から気づくことの方が多いですよね。
変な話になりますが、このところの日本の雇用状況のニュースなどを見ていると、普通にお勤めできる幸せをふと感じたりします。「あっ、クビにならずにお仕事させてもらえるのってありがたいことなんだ」なんて・・・^^;だから劇中フランクも「自分はやりたくもない仕事を家族の為にやっている」みたいなことを言い、朝のビジネスマン達の出勤風景があまり気の進まないフランクを交えて映し出されますが、彼も又青い鳥をみつけてはいないんだなと思いました。

もちろんそんなのは夢がないし向上することも無理で、すごくヘタレな考えかもしれません。しかし、このウィーラー夫婦の場合、その二人の不満の原因がちょっとわかりにくかったんですよね。当たり前のように結婚したら女性は家にいて男性は働く、ということを前提にお話が始まっているので、二人のそこに至るまでの心理が掴みきれませんでした。
同じようなシチュエーションだったケイトの「リトル・チルドレン」の方が、その辺はわかりやすかったように思います。

ただ、周りの人の描き方はよかったです。お隣のキャンベル夫妻、不動産屋の夫妻と息子、フランクの会社の同僚たちと上役など、それぞれにこのストーリーのスパイスとなるものが隠されており、特に不動産屋の精神を病んだ息子は、ウィーラー夫妻の本来の姿を遠慮なくズバズバと言って当てます。それは恐ろしいほどで普通に観ると不快なのですが、彼の存在がこの映画の一つの要ともなってますよね。

この作品は本当に各年代でいろいろな感じ方ができるのかもしれません。私ももし結婚5年〜10年くらいの時期に観ていたら、また違っていたでしょう。しかし今はどちらかと言うとあのラストに描かれていた不動産屋さん夫妻に近いのかも・・・要はズルさも覚えたということでしょうか。。。^^;

しかし人間って贅沢ですよね〜もちろんそうでなければ向上しませんが、全てのものを得るのは無理なんですよね。選択を迫られた時、どちらをとるかは本人の決めること。誰もが「あの時こちらの道に行っていたら」と思う事はあるわけですが、それを今更言っても始まらないので、それなら今自分が置かれた立ち位置からどのように少しでも満足の行く人生を歩むかということになるわけで、それには広い視野を持ち、柔軟に考えられる頭を作っておかないといけないかな〜と思います。

それにしてもケイト・ウィンスレットは凄い演技でしたね〜GG賞受賞は納得でした。ラスト近くのある意味能面のような表情は、その前の激しいシーンとの対比もあってより凄みを感じました。

彼女があまりに凄かったのでレオさまは影にまわったような感じでしたが(笑)、やはり彼も上手いですね〜初めての既婚者、父親役だったそうですが、全く違和感なく精神的にどんどん不安定になる妻をもてあましつつ、苦悩するフランクを見事に演じていたと思います。キャラクターとしても私は女性だけどどちらかと言うとフランクに同情してしまうところもありましたし。。。^^;レオはこのところワイルドな役ばかりが続いていたので、普通のビジネスマンスタイルも新鮮でした!

オスカーの助演男優賞にノミネートされている不動産屋夫妻の息子役のマイケル・シャノンの演技も観客を堕ちこませるような怖さを持ち、この人の出ているシーンではドキドキしてしまいました。その息子を見守る母親役のキャシー・ベイツもさすがの存在感。彼女とこの息子との関係や不動産屋としての姿もレボリューショナリー・ロードのもう一つの光景でもあるんですよね。

個人的にはあまり好みの作品ではありません。しかし、強烈なパンチのある作品ですね。おそらく再見はしないと思いますが、後を引きそうなことは確かでいつまでも心の隅に残りそうな映画でした。



【追記】(1.28)
いつもお世話になっているひかりさんの記事を拝見してちょっと目からうろこが・・・(笑)
鑑賞中はエイプリルに全く共感できず醒めた目で見てしまったので入り込めなかったのですが、そう言えばこの夫妻、不動産屋の奥さんらから「特別な夫婦」と言われてましたね〜それも何度も劇中出てきました。そこにもエイプリルがあのようになってしまった理由が隠されていたのかな。いつの間にか自分たちはレボリューショナリー・ロードに住む他の住人とは違うんだと思ってしまったんですね。だからお隣さんを見る目も違ってきたり、自分が女優になれなかったことはもちろん、夫の仕事のことなどにも疑問がわいてきてしまったのかもしれません。
そう考えると今現代にも通ずるところがありますね。あらためてこの作品の奥を探ってみたい気がしてきました。

どうもにぶくてすみません(笑)。(^O^;

原題:REVOLUTIONARY ROAD
上映時間:119分
製作国:アメリカ/イギリス
公開情報:劇場公開(パラマウント)
初公開年月:2009/01/24
ジャンル:ドラマ

《コピー》
それは──誰もが逃れられない<運命の愛>
あなたの最愛のひとは
あなたを愛していますか──。

監督:サム・メンデス
原作:リチャード・イェーツ 『家族の終わりに』(ヴィレッジブックス刊)
脚本:ジャスティン・ヘイス
音楽:トーマス・ニューマン

出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、キャシー・ベイツ、マイケル・シャノン
    キャスリン・ハーン、デヴィッド・ハーバー、ゾーイ・カザン、ディラン・ベイカー

【解説とストーリー】
 「タイタニック」以来の再共演となるレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが理想と現実の狭間で苦悩する夫婦に扮したヒューマン・ドラマ。原作はリチャード・イェーツの『家族の終わりに』。1950年代のアメリカ郊外を舞台に、一見理想的な夫婦が虚しい日々から脱却を図ろうともがく姿とその顛末を生々しく描く。監督はケイト・ウィンスレットの夫でもある「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス。
 1950年代のコネチカット州。“レボリューショナリー・ロード”と名づけられた閑静な新興住宅街に暮らすフランク(レオナルド・ディカプリオ)とエイプリル(ケイト・ウィンスレット)のウィーラー夫妻は、二人のかわいい子供にも恵まれた理想のカップル。しかし、その見た目とは裏腹に、彼らはそれぞれ描いていた輝かしい未来と現状のギャップに不満を募らせていた。元陸軍兵のフランクは事務機会社に勤めるもセールスマン人生の我が身を嘆き、かつて女優志願だったエイプリルも大成せずに至っている。するとフランクが30才の誕生日を迎えた夜、エイプリルが、家族一緒にパリで暮らしましょう、と持ちかけ、パリでは自分が秘書として働くからフランクは気ままに暮らせばいい、と言い出すのだった。はじめは妻の突然の提案に戸惑うも希望を膨らませ、ついには移住を決意するフランク。それは間もなく、周囲にも知るところとなるのだが…。(allcinemaより)

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やっと鑑賞してきました!確かに重かったですね。でも、その後、何日も頭の中から離れなくて、ひさびさにレビュー書いてしまいましたよ^^;子供の存在をあえて薄く描いたのは、おそらく夫婦の間の感情のやり取りに、焦点をあてたかったからではないでしょうか。フランクとエイプリルのやり取りが、より鮮明になります。子供がすぐそばにいたら、あんな感情のぶつけ合いはできないと思います。そのへんは、この監督さんの見せ方のスキル。私的には、この映画を観ながら、私は果たして旦那の夢を奪ったか。旦那のために、私は夢を実現できなかったか。いろいろ考えさせられました。またアメリカのフィフティーズの時代、華やかに見えたけど、実は、ゆがんでいたのだと認識させられました。TBさせてください。

2009/2/22(日) 午前 2:58 [ nomad ]

タイタニックっぽいのかな〜、と思って観に行ったら全然違う内容に戸惑いながらも二人の焦りがこちらにも痛いほどに伝わってきました。2人とも素晴らしい演技だったと思います。
トラバさせて下さいね。

2009/2/22(日) 午後 0:08 lanetower

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えらい遅くなりましたが終了日に観てきました^^;ワタシ的にはマンマミーアよりすきかも。アメリカン・ビューティが好きだったからかもしれませんし、なんとなく二人に共感できてしまったかも。。といってもまだ未婚の自分だからこそ、美化してる部分があるのかもしれません。まだ記事書いてないので、書いたらTBさせてくださいね。

2009/2/23(月) 午後 0:08 りりぃ

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★nomadさん、記事拝見しました。この映画、本当に深いんですね〜とても私はそこまでどころか浅い部分も理解できないところが多く、リタイアです。^^;
始めから子どもの存在がなければ理解できるのですが、2人も可愛い子がいるにもかかわらずのエイプリルの考えや行動はやはり共感できないし、時代のこともわからないのがマイナス要因みたいですね。
いつか元気のある時にまた考えられたらいいなと思っています。(^^ゞ
TBありがとうございました〜♪

2009/2/23(月) 午後 7:45 choro

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★LANETOWERさん、タイタニックとは全く違うタイプの映画ですよね。それはわかっていたのですが、内容は凄かったですね。二人の演技は本当に凄くてタイタニック後の成長がよくわかりました。
しかし辛い作品です。TBありがとうございました〜♪

2009/2/23(月) 午後 7:50 choro

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★りりぃさんは「マンマ・ミーア」よりこちらの方がお好みなんですね。なるほど〜やはり人によって違いますよね〜当たり前だけど(笑)。でも率直なりりぃさんの感想とても楽しみです。Tbお待ちしてますね〜♪

2009/2/23(月) 午後 7:52 choro

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これはエイプリルのわがままが原因じゃないかと・・・僕には難しかったです(笑)
TBさせてください!

2009/2/24(火) 午後 0:43 かず

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記事書いたのでTBします!
よかったらご覧くださいませ!

2009/2/26(木) 午後 3:22 りりぃ

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★かずさん、この映画、いろいろな観方ができるようで、難しいですよね。こう観なくちゃいけない、という答えはないみたいです。^^;
TBありがとうございます〜♪

2009/2/26(木) 午後 6:01 choro

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★りりぃさんの観方、とっても素敵です♪なるほど〜こういう風に観れば納得できるのかも、と思いました。
自分はエイプリルの行動が理解できませんでしたが、観方を変えれば彼女の生き方がちょっと見えてくるような気がします。
TBありがとうございました〜♪

2009/2/26(木) 午後 6:02 choro

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なんていうか、壮絶でしたねえ・・・。でもエイプリルの気持ちがなんとなくわかるような気がしました。TBさせてくださいね。

2009/3/23(月) 午後 10:39 Naomi

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★Naomiさん、皆さんの感想を読めば読むほどよくわからなくなってしまった作品でして、私は語ることができなくなっちゃいました。^^;いろいろな感じ方ができる映画ですよね。
TBありがとうございました〜♪

2009/4/1(水) 午後 6:15 choro

今の時代にも通じる重い映画でしたね・・・。少々疲れた作品となってしまいました。印象的な1本ではありますが・・・。TBさせていただきます!

2009/7/8(水) 午後 11:44 takutaku!

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★たくたくさん、本当に重い映画でしたね〜疲れたとおっしゃるのわかります。でも確かにインパクトは強かったですね。
TBありがとうございました。

2009/7/11(土) 午前 9:33 choro

この映画は自分の中では未消化なので、
記事を読ませてもらうと、とても助かりますし、納得するところも多く出てきます。
この作家は確信犯なのでしょうか・・・怖い物語を書く方ですねえ。。
映画化も多分その味わいが生かされているのだと思いますが、
なるほど、特別な2人、と、呼ばれておりましたね。。
意味不明の記事となりましたが、トラバさせて下さいませ。

2009/9/7(月) 午後 11:00 恋

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★恋さん、あら、恋さんもですか。私も同じです。^^;
この映画はなかなか難しいですよね。きっと何度か観たり、原作を読むと理解度が深まるのかなと思います。
でも、結構しんどい話なのでリピートはきついな〜っと。。。^^;
TBありがとうございました♪

2009/9/9(水) 午後 10:51 choro

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ケイトとレオの演技には圧倒されましたが、お話にはちっとも何も感じる事はできませんでした〜。思い描いた人生を送っている人なんてほんの一部でしょうし、甘ったれた夫婦(特にエイプリル)に思えました。2人の子供とお腹の子に関する内容は怒りを覚えました〜。疲れた〜ふぅ。笑!

2010/8/18(水) 午後 7:47 あくびまま

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★あくびままさん、そうなんですよね〜共感できなかったんですよ〜
だから、二人の演技は素晴らしかったけれど、再見する気は起きません。(-"-)
そそ、なんだか疲れる映画でしたね。^^;

2010/8/19(木) 午後 8:14 choro

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恐る恐る見たんですけど、圧倒されただけで終わってしまった気がします(・・A;)あせあせ
痛くても目が離せないものがありました。
演技も鬼気迫っていて凄かったです。
TBさせてください。

2012/10/23(火) 午前 10:56 木蓮

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★もくれんさん、そうですね〜圧倒されるというの、わかります。
ホントに痛い作品でしたが、キャストの演技は凄かったですね。
TBありがとうございました♪

2012/10/25(木) 午後 10:17 choro

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