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余韻を感じることのできる映画は何と心地よいのでしょう。エンドロールの最中、ずっとこの作品の登場人物に思いを馳せながら「あ〜よい映画だった」と思えるのは映画ファンとしては最高の歓びですよね。この映画はそんな気持ちにさせてくれる一本でした。(^^) それにしてもイーストウッドは78歳とは思えない体力ですね〜(笑)主演というのは知っていましたが、何とも全編出ずっぱりではありませんか!(+o+)しかも監督を兼ねてですから、その体力、気力たるや本当に凄いです。過去の俳優兼監督業を成した人でも、この年になって自分の監督作で主演を兼ねた人はいなかったとか。確かに見当たりませんね。 そんなイーストウッドの作品は、いつものように、淡々と静かに進みますが、とにかく人間を描くのが巧いですね〜この主人公ウォルトの人と成りがしっかりと伝わってきました。 ウォルトはいわゆる頑固じじい(笑)。自分の孫に対してすら「今時の若い者は!」と怒りをあらわにする頑ななおじいさんです。それに加えて平気で差別用語もポンポンと飛び出すほど口も悪く、自分の息子達家族とも上手く関係が結べていません。 しかし、彼には自分が従軍した朝鮮戦争で受けた深い心の傷があるんですね。子どもを含む10数人もの人を殺してしまい、生き残った自分が叙勲したことを誇るどころかとても卑下しており、ずっと罪の意識を持ち続けて生きてきたわけです。 【ここより少しネタバレ含みます】 この映画のラストはそんなウォルトの【贖罪】を強く感じさせられるものになっていますよね。亡くなった妻が夫に懺悔するようにと言い残したことを神父さんから聞かされ、最初は決して教会い行こうとしなかったウォルトが、あることを決意した時に何年ぶりかの懺悔に出向きます。しかしそこで告白した罪はたった3つ!このシーンを観た時に、何かウォルトには考えがあるのだろうと思ったら、やはり残されたもう一つの罪は神に赦しを請うのではなく、自分でしっかりとその罪に対する償いをする覚悟ができていたんですね。自分でけじめをつけたという感じでしょうか。 ベトナム戦争の被害者とも言える隣人のベトナム系モン族のロー一家や近所に住む東洋人たちに囲まれて過ごしていくうちにウォルトは自分の残りの人生をどのように過ごすべきかが少しずつ見え、ロー家のタオ少年に希望を託すような感じで物語りは終わります。題名にもなっているグラン・トリノというピカピカのフォード製の車も今後のアメリカに対しての希望を表しているように思ったのですがどうなのでしょう。。。 前半はクスっと笑えるシーンも交えたコミカルさも含めながら、比較的オーソドックスに進むので、他のイーストウッド作品い比べると普通っぽいというかベタな展開かと思いきや、ラスト数十分でガツンとやられた感じがしました。(物語は違うけれどちょっと「善き人のためのソナタ」に近いインパクトのラストかも)彼のとった行動は「こう来るのか」と思うと同時に、ウォルトという人の本質を見せ付けられたような思いがして、静かで美しいエンドロールでは味のある歌も相成って冒頭に書いたようにウォルトのことを考えながら余韻に浸り、いつの間にか涙しておりました。 イーストウッド作品はそれほど観ているわけではありませんが、「許されざる者」とか「父親たちの星条旗」などに通ずるものを感じますね。暴力や戦争によって生み出される人の罪の意識やトラウマは、あまりにその人の人生を狂わせるものであるということが伝わってきます。 また演技でも「ミリオンダラー・ベイビー」の時も本当に素晴らしいと思いましたが、78歳の今だからこそ出せる渋さというかこの雰囲気は、ちょっと他の人にはないもので惹きつけられますね。 「チェンジリング」と共に1年に2本もこのような大作を撮るバイタリティは、我々若い世代にとって見習うべきところでもあり、又、次の作品が楽しみになってしまうというのはさすがとしか言いようがありません。(^^) 原題:GRAN TORINO
上映時間:117分 製作国:アメリカ 公開情報:劇場公開(ワーナー) 初公開年月:2009/04/25 ジャンル:ドラマ 《コピー》 俺は迷っていた、人生の締めくくり方を。 少年は知らなかった、人生の始め方を。 監督:クリント・イーストウッド 製作:クリント・イーストウッド、ロバート・ロレンツ、 ビル・ガーバー 原案:デヴィッド・ジョハンソン、ニック・シェンク 脚本:ニック・シェンク 音楽:カイル・イーストウッド、マイケル・スティーヴンス 出演:クリント・イーストウッド、ビー・ヴァン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー 【解説】 「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」の巨匠クリント・イーストウッド監督が、自ら主演して世の中に怒れるガンコ老人を演じた感動の人間ドラマ。急速に様変わりしていく世間を嘆き、孤独に生きる人種差別主義者の偏屈老人が、ひょんなことから隣人のアジア系移民家族と思いがけず交流を深めていくさまをユーモアを織り交ぜつつ綴る。 長年一筋で勤め上げたフォードの工場を引退し、妻にも先立たれた孤独な老人ウォルト・コワルスキー(イーストウッド)。自宅を常にきれいに手入れしながら、M-1ライフルと72年製フォード車グラン・トリノを心の友に静かで退屈な余生を送っていた。しかし彼の暮らす住宅街に、もはや昔馴染みは一人もおらず、朝鮮戦争帰還兵のコワルスキーが嫌ってやまないアジア人をはじめ移民の外国人ばかりが我が物顔でねり歩く光景に苦虫をかみつぶす毎日だった。そんなある日、彼が大切にする庭で、隣に住むモン族の気弱な少年タオ(ビー・ヴァン)が不良少年グループに絡まれていた。彼らを追い払おうとライフルを手にしたコワルスキーだったが、結果的にタオを助けることに。タオの母親と姉(アーニー・ハー)がこれに感謝し、以来何かとお節介を焼き始める。最初は迷惑がるものの、次第に父親のいないタオのことを気に掛けるようになるコワルスキーだったが…。(allcinemaより) |

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今のところ私の中では今年一番良かった作品です!
Choroさんのおっしゃる通りエンドロールでの余韻が何とも心地よい滅多にない映画だと思いました。
ウォルトの最初のイメージが酷い分、ラストでの彼が本当に魅力的でそんな風に変わるきっかけになったモン族の姉弟の人間らしさが素晴らしかった。
『ミリオンダラーベイビー』大好きですが、この作品も同等かそれ以上です!
2009/5/25(月) 午後 11:41
★もいさんさん、やはり今年一番ですか。そういう方も多いですよね〜私も順位は決められないけれど、ベスト3には入ります。(^^ゞ
いつまでも余韻が残る素晴らしい作品でしたね。
映画としてはミリオンダラーよりこちらの方が好きかな。ラストに希望もあるのがいいですよね♪
2009/5/26(火) 午後 8:46
これはすごくよかったですねえ。笑えるところもあるのに、あのラストです。衝撃的でした。やっぱりクリント・イーストウッドは人間を描く天才ですね。年齢を重ねた人間の重厚さが伝わってきました。ホントにすばらしかったです。
TBさせてくださいね。
2009/5/31(日) 午前 9:36
★Naomiさん、そうなんですよね〜ユーモアもあり、又重厚さを持つ内容。そしてせつないけれど爽快感のあるラストなど見事なアンサンブルですよね。
人は年をとるとこんなに深く考え描けるようになるのかと感動してしまいます。
TBありがとうございました〜♪
2009/6/2(火) 午後 3:55
さすがイーストウッドとしか言いようがありませんね。
これからもできるだけ多くの作品を生み出してほしい。
TBさせてください!
2009/6/17(水) 午前 8:17
★かずさん、本当にイーストウッドは凄いですよね。これほどの作品を次々と生み出すというのはやはり並の人間にはできないことで、さすがとしか言いようがありません。いい映画でしたね。
TBありがとうございました〜♪
2009/6/17(水) 午後 11:09
イーストウッドの作品は、見終わってがっかりしたためしがありません!
生と死、罪と贖罪、淡々と静謐なタッチは、誰にもマネできない演出ですね♪
2009/6/29(月) 午後 9:58
★やっくんさん、そうですね。イーストウッドの作品はいつも観終わるとうならせられます。これもいい映画でしたね〜
おっしゃるように見事な演出と人間の描き方でした。
TBありがとうございます♪
2009/7/1(水) 午後 10:31
見てから数か月が経とうといているのに未だに心に強く残っています。
イーストウッドは本当に素敵な作品を生み出しますよね〜。
今後にも期待です。
遅れましたがこちらからもTBさせて下さい!
2009/7/13(月) 午後 9:11
★ゆきさん、そうですね〜本当にイーストウッド作品って後々まで心に残りますよね。
今後も素晴らしい作品を作ってほしいです。
TBありがとうございました♪
2009/7/15(水) 午後 8:37
見応えのある素晴らしい作品でしたね。あらゆる方向のことを多く感じさせられた作品でした。TBさせていただきます!
2009/10/22(木) 午後 11:22
★たくたくさん、そうですね。考えさせるという意味でもイーストウッドの思いがいろいろと伝わってくるようでした。
TBありがとうございます〜♪
2009/10/24(土) 午後 10:48
良い映画を観たなって気分になりました♪
イーストウッドの手腕とオーラに脱帽でした(*^ω^)
トラックバックお願いします!!
2009/11/24(火) 午後 1:52
★rejimiさん、そうですね〜とても後々まで心に残る作品でした。
監督の想いがよく伝わってきましたね。
TBありがとうございました♪
2009/11/28(土) 午後 8:34
本当にいい映画でしたね。
観終わった後までしみじみとした余韻が残る映画は久しぶりです。
イーストウッドは監督に専念するらしいですが、今後とも可能な限り快作を撮ってもらいたいものです。
トラバさせて下さい〜。
2010/5/9(日) 午後 10:54
★大三元さん、そうなんですよね〜余韻が素晴らしくて心に残ります。
イーストウッドのそういう作り方が共感を呼ぶのでしょうね。次回作も楽しみですね〜
TBありがとうございました♪
2010/5/17(月) 午後 9:37
ホント渋かったです☆
頑固なおじ様でしたが、憎めないんですよね〜
悲しかったですが、とてもいい作品でした☆
TBさせてね☆
2010/5/28(金) 午前 1:00
★ブーキーさん、この渋さは今のイーストウッドの年にならないと出ませんよね。
監督としての腕もですが、やはり演技力や雰囲気もさすがの一言でした!
TBありがとうございました〜♪
2010/6/4(金) 午前 10:45
確かに、しみじみと余韻に浸ることができす秀作でしたね。
頑固ものであるからこそ、物事の真髄を見極めようとする、ですね。
TBします。
2012/3/31(土) 午後 3:12 [ ひろちゃん2001 ]
★ひろちゃん2001さん、そうですね〜主人公がじっくりと取り組むなら、観る側も静かに余韻に浸りながら感じる映画でしたね。
イーストウッドならではの印象深い作品でした。
TBありがとうございました♪
2012/4/6(金) 午後 10:52