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「レスラー」(2008)

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いい映画でした。
ミッキー・ロークの半生と被るストーリー・・・・ということを解説やあちこちのレビューで目にしていましたが、私はミッキー・ロークは名前と顔は知っていたものの、その全盛期の映画は観ていません。ほとんど知らないに等しい俳優だったので、彼の人生がどのようなものだったかなども、最近になって雑誌の記事で目にしたくらいだったのですが、そのようなことを知らずとも、一本の映画作品として非常にこちらに伝わるものの大きい素晴らしい作品だったと思います。

おそらく、自分が20歳代だったら観なかっただろうし、またたとえ観たとしてもそれほどまでに感動はなかったでしょうね。今自分がこの主人公のランディやキャシディと近い年代になったからこそわかるものがあるような気がしました。

人の人生には当然山や谷があるわけですが、まぁ大抵の人の場合は20代〜30代が一番山の頂上で、その後はなだらかに加齢と共に稜線が下がっていくというパターンが多いと思います。

このランディも20年前には人気、実力共に絶頂のプロレスラーだったのが、今は地方のどさ周り的な興行に、衰えつつある身体を駆使して試合を続ける毎日。。。最初からその悲哀が漂って年齢を重ねる哀しさのようなものが感じられるのですが、最近老いに対してとてもナーバスになっている自分としてはあまりに身近に感じられて(笑)ちょっと複雑な思いも・・・・^^;

しかし凄く重かったり暗くなりすぎないところもこの映画の魅力の一つかなとも思います。と言うのも、悪人がほとんど出てきません。まずはレスラーさんたちが皆すごくいい人なんですよね(笑)。それにしても彼らのプロフェッショナルな姿には圧倒されると共に感動してしまいました。それは同じように描かれるストリッパーの世界も同じで、いつも思うことでもあるのですが、とにかく【プロ】と名のつく仕事の厳しさと徹底ぶりは、【アマチュア】とは全く違う山を登っているということを強く感じさせます。

プロレスはショーであり、ある程度の脚本があるというのは何となくわかっていたけれど、ここまでお客さんを楽しませる為に工夫され、また身体を張った試合をするとは、プロ根性の何物でもありませんよね。私はプロレスは観ませんが、悪役レスラーがいて反則をしたりメチャクチャな行動をしているように見えても、それも一つのパフォーマンスで、相手のことをお互いに気遣いながら過激な試合をする姿には、何だか胸が熱くなりました。ランディがカミソリをテーピングの中に潜ませておいて、わざと自分を傷つけ流血させるシーンがありましたが、昔(さすがに私もほとんど記憶にありませんが)力道山の試合でいつも流血があったのもわざとカミソリで切っていたというのは以前聴いたことがありました。同じですね。それにしてもあのホッチキスにせよ、痛そうで痛そうで・・・あそこまでするのかと思いますが、全て試合を盛り上げる為。まさにプロ中のプロの仕事なんですね。悲しいことに先日日本でも試合中の事故で亡くなった方がいらっしゃいましたが、本当に命を賭けての仕事というのがよくわかります。

浴びるほどのステロイド剤を飲み、身体を鍛えて仕事にのぞむレスラーたちの姿は、他の仕事と同じく、自分の仕事に誇りを持ち、出来うる限りのことをしてお客さんを喜ばすことで、また自分たちも喜びを感じるという仕事人本来の姿をダイレクトに見せてくれているようでした。
先にも書いたようにストリッパーも同じ。マリサ・トメイ扮するキャシディだって、年齢のことでどんなにお客さんにバカにされようが、徹底したサービスぶりはやはりプロ以外できることではありません。

まずは前半そんなことを考えながら観ていたのですが、心臓発作で倒れた後のランディから、今度は人間の生き様のようなものを見せられます。

娘に赦しを請い、子持ちのキャシディと一緒に静かに余生を送ろうと思うランディの気持ちはある意味当たり前のような気がします。でも彼は根っからのプロレスラーであり、決してスーパーで惣菜を売りながら静かに暮らすことが彼の幸せではないんですね。

娘との関係は彼が築いてしまったものであり、涙ながらもそれも又自分の人生と己を納得させ、たとえ命を落とす事になっても、最後の最後までリングで過ごす生き方を選ぶランディは輝いていました。よく役者の人が「舞台の上で死ねれば本望」と言いますが、そのような自分の場所がある人は幸せなのではないでしょうか。

ランディが復活した試合の冒頭で「ここにいる観客皆が家族であり、自分の進退を決められるのは観客だけ」と叫ぶシーンからラストまでは涙が止りませんでした。自分の人生のけじめは自分でつけるというのは一番かっこいい生き方だと思いますが、なかなかこれも又できないのがおおかたの人間なんですよね。

ミッキー・ローク以外のランディは考えられないほど、まさにそのものでしたね。世の中には彼のように挫折を味わい、人生を投げ出したくなるような思いをした人はごまんといると思いますが、このランディを通して、どん底人生からどのように人は未来を描いていくべきかということを教えてくれるような演技でした。ここ数年の映画では脇役でのミッキーしか観たことがなかったのですが、ここまで演じきれる人として新たに大きな期待がかかるのではないでしょうか。それにしてもどう見てもプロレスラーにしか見えない身体作りは凄いですね〜これも又プロの役者そのものですね。

マリサ・トメイの体当たり演技もまさにプロ!今までにもたくさん過激な役作りをした女優さんを見てきましたが、マリサのこの役もオスカーノミネートは大いに納得できる素晴らしい演技でした。

娘ステファニー役のエヴァン・レイチェル・ウッドも出番は少ないけれど、上手い演技を見せてますね。黒髪だったので「アクロス・ザ・ユニバース」の時とは全く違った雰囲気でしたが、父親に対する複雑な思いがよく伝わってきました。彼女の気持ちもわかるしランディの気持ちもわかるだけに、せつなかったです。でも一緒に踊るシーンでは涙が出てしまいました。

決して派手な演出があるわけではなくどちらかと言うと地味な映画なのに、後々まで心に残るものがある素敵な映画でしたね〜不器用だけど正直に生きる人間を素直に描いた作品だからなのでしょうね。

ラストシーンのあと、一瞬の静寂の後に流れるブルース・スプリングスティーンのテーマ曲が素晴らしい余韻を醸し出してくれてより深い感動を与えてくれたように思います♪

原題:THE WRESTLER
上映時間:109分
製作国:アメリカ
公開情報:劇場公開(日活)
初公開年月:2009/06/13
ジャンル:ドラマ
映倫:R-15

《コピー》
人生は過酷である、ゆえに美しい。

監督:ダーレン・アロノフスキー
脚本:ロバート・シーゲル
音楽:クリント・マンセル
主題歌:ブルース・スプリングスティーン

出演:ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド

【解説とストーリー】
 ミッキー・ロークが、かつて栄光のスポットライトを浴びた人気プロレスラーの孤独な後半生を、自らの波瀾万丈の俳優人生と重ね合わせて哀愁いっぱいに熱演し賞賛された感動の人生ドラマ。
 ランディ・ロビンソンは80年代に大活躍したプロレスラー。しかしそんな栄光も今は昔、それでも彼は老体に鞭打ちながら小さな地方興行に出場して細々と現役を続ける不器用な男。ひとたびリングを降りれば、トレーラーハウスに一人で住み、スーパーマーケットのアルバイトで糊口を凌ぐ孤独な日々。そんなある日、長年のステロイド常用がたたって心臓発作で倒れたランディ(ミッキー・ローク)は、ついに引退を余儀なくされる。プロレスなしの人生など思い描けない彼は、馴染みのママさんストリッパー(マリサ・トメイ)にその戸惑いと不安を打ち明け、長らく疎遠となっていた娘(エヴァン・レイチェル・ウッド)とも連絡を取り修復を図ろうとするのだが…。(allcinemaより)

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★einhornさん、なるほど、プロレスをよくご存知の方だと違った視点から感じることもありますよね。
ランディはヒーローというより、やはり一人の人間としての生き様を示してくれたように思います。
TBありがとうございました〜♪

2009/6/24(水) 午後 10:44 choro

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★ひかりさん、そそ、プロレスの試合のシーンは過激でしたが、ストーリーとしては静かな感じさえしました。おっしゃるようにハンディカメラを使っていたこともあり、ドキュメンタリータッチですよね。
いい映画でしたね〜せつなさの中に温かさを感じられる作品でした。
TBありがとうございます〜♪

2009/6/24(水) 午後 10:46 choro

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この役はミッキーロークしかありえないようなピッタリな役でしたね。
不器用だけどもまっすぐなラムに心撃たれました。
TBさせてください!

2009/8/14(金) 午前 7:39 かず

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★かずさん、本当にこれほどの適役もないというほど合ってましたね。
ラムは自分に正直だったのでしょうね。せつないけれど余韻のあるいい映画でした。
TBありがとうございます〜♪

2009/8/16(日) 午後 0:49 choro

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ミッキー・ロークもマリサ・トメイも最高でしたね。二人とも役柄をきちんとこなせるだけの体作りをしていて、さすがプロだと思いました。ロークは昔からずっと好きで、最近シンシティやドミノで徐々に復活の兆しが見えていましたが、ココにきて、もう一花咲かせたという印象です。
TBさせてくださいね。

2009/8/17(月) 午後 11:35 オネム

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★オネムさん、本当に二人とも素晴らしい演技でしたね。
お〜若い頃からのミッキーファンでらしたんですね。私は昔のミッキーの映画は観ておりませんが、この映画で完全に復活されましたね。またの活躍を楽しみにしたいですね。
TBありがとうございました♪

2009/8/18(火) 午後 10:39 choro

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ミッキー・ロークは貫禄じゅうぶんで、ホンモノのプロレスラーって感じでした(^^;まるでドキュメンタリーを観ているようでした。真に迫ってましたよね。そのわりにエプロン姿もなんだかチャーミングで、不器用な男の生き様が切なかったです。

2009/9/21(月) 午後 3:39 Naomi

遅い公開でしたが劇場で観る事が出来ました。
いや〜これは。。響きましたね・・・
「不器用ですから」なんて高倉健さんが仰ったことが流行りましたけれど、感動して目を潤ませながらこのお話を最後まで観ました。
ブルース・スプリングスティーンの曲で、ついにぼろ泣きになりましたけど。。^^;
共演者も素晴らしかったですけど、やっぱりミッキー・ローク!
胸がいっぱいになりました。トラバさせて下さいませ。

2009/10/4(日) 午後 10:09 恋

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★Naomiさん、本当にミッキーはレスラーみたいでしたね。
せつないけれど、男の生き様を見せてくれる作品でした。
TBありがとうございます〜♪

2009/10/5(月) 午後 10:39 choro

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★恋さん、ミッキー・ロークはランディそのものでしたね。
彼の一生懸命な姿が見る人の心を打つのだと思いますが、周りの人々の温かさや、不器用に生きる男の姿が心に残りますね。
TBありがとうございました〜♪

2009/10/5(月) 午後 10:41 choro

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ほんとうに不器用な人間でしたね。哀愁を感じました。

2010/1/21(木) 午後 10:30 mossan

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★もっさんさん、そうですね。不器用な生き方しかできない主人公ですが、せつなくても彼にとってはそれしかできない生き方であり、幸せだったのではないかと思います。
TBありがとうございました♪

2010/1/24(日) 午後 7:26 choro

「ナインハーフ」の頃はどうにもこうにも好きになれないヤツだったミッキー・ローク…
人性の年輪を加え、芸能界では干され、落ちぶれた果てに、素晴らしい映画に出会いましたね♪
これは、まさに彼の“生き様”そのもの!まさにプロレス(=役者)をやるしかないのですねぇ〜。
共演のマリサ・トメイのベテラン・ストリッパーも良い(^v^)
オスカーも2人を落選させるなんて、KY(空気読めない)な感じ〜!?

2011/4/8(金) 午後 9:35 やっくん

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★やっくんさん、人は年輪を重ねたほうがよい顔になる人が多いですよね。
まさにミッキーの再生の物語であり作品でした。
オスカーは撮りそこなったけれど、この映画は観た人の心に残りましたよね!
TBありがとうございました♪

2011/4/9(土) 午後 9:02 choro

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実際のミッキー・ロークの人生との重なる映画ですね。
TBします。

2012/4/13(金) 午後 10:20 [ ひろちゃん2001 ]

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★ひろちゃん2001さん、そうですね。それもあって、いろいろな思いを感じる作品でした。
TBありがとうございます♪

2012/4/23(月) 午後 8:37 choro

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80年代はまぶしいスポットライトと拍手喝采に包まれた人気絶頂のレスラーだったが 現在は落ちぶれレスラーに・・・

悲しいかな・・・その拍手喝采がランディをプロレスしかできない男にしてしまっていたのだ
せっかく親子関係の修復のチャンスだったのに 娘さんとの約束すっぽかすのは さすがにマズイよ〜(´Ц`)
それも、ホントの事はとても言えない理由でしたし・・・・
自分には「この場所しかない」不器用な生き方しかできないランディーは やはり 悲しい男です。

2012/7/1(日) 午前 11:43 [ zebra ]

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★zebraさん、せつないお話でしたが、こういう生き方しかできない人もいるだろうな〜と思いました。
ある程度の年代以上の人にはいろいろなことを感じさせてくれる作品だと思います♪

2012/7/7(土) 午後 11:00 choro

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連日、過去記事にお邪魔してスイマセン(^_^;)
まだしばらく続きます(^^ゞ

ミッキー・ロークのいろんなものが抜け落ちたような演技が良かったです。
『クレイジー・ハート』の後に見ましたが、やはり役者次第でまったく変わりますね〜!バッドはランディと違ってある意味器用でしたね。
TBさせてくださいね。

2012/10/17(水) 午後 10:46 木蓮

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★もくれんさん、いえいえいつもありがとうございます♪
そうですね。ミッキーの迫真の演技は心を揺さぶられました。
ランディの不器用さがせつないけれど、心に訴えかけましたよね。
TBありがとうございました♪

2012/10/21(日) 午後 10:58 choro

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