choroねえさんの「シネマ・ノート」

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「劔岳 点の記」(2008)

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さすがに名カメラマンの撮った映画!圧倒されるような映像と新田次郎の素晴らしい原作が大きな感動を与えてくれた作品でした。

今ならグーグルアースで誰もがその地形も見られるようになりましたが、今から100年前は地図を作る為に未開の地を測量するのはこれほどまでに過酷だったんですね。実在の人物が行った話ですから、伝わってくるものも大きいです。

この映画の魅力はCGではない雄大かつ厳しい山の光景と共に、ただの登山映画ではなく、「測量」を目的としたチームの話にありますよね。まぁいつも思うことながら軍のお偉いさんの勝手なことったら。。主人公柴崎の友人である陸軍大尉の玉井があまりに勝手なことを言う上司に「あなたは立山連峰を観たことがあるのですか」と問うところがありましたが、往々にして現場を知らず上から命令だけしている人なんてこんなものですよね。それはどの仕事場でも言えますが、とくにこの頃の陸軍の強さとプライドの高さは半端ではなかったと思われますから、最後のあのひどい一言にせよ呆れてものが言えない横暴さでした。

しかし、この仕事を命じられる柴崎や先輩測量士の古田は自分の仕事に誇りを持ち静かにそれをこなす為に山に登っています。それは山の案内人である宇治長次郎も同じで、自分のやるべき仕事を淡々と誠実にこなす姿にまずは心を奪われます。いわゆるプロ意識というものでしょうか。やはり自分の仕事が好きで誇りを持っていなければできないことですよね。

最初は報酬が少ないとかブツブツ文句を言っていた、長次郎が連れてきた案内人たちも、柴崎たちの仕事を目の当たりにしてからは次第にその仕事を理解し、同じチームメイトのような気持ちが強まっていくんですね。それは当初まるで敵対関係のように軍や世間から思われていた、同時期に劔岳初登頂をめざす日本山岳会のメンバーも同じで、登山をする人たちの絆の強さをあらためて感じさせられました。

私は登山には縁がないので、ただただこのような絶対に自分では観る事のできない絶景に感動するばかりなのですが、たとえスクリーン上ででも大自然を目にすると、本当に人間って小さいな〜と思わずにはいられませんよね。山に登る人はあの一瞬の感動を得る為に大変な苦労をしてでも登るのだということはよくわかります。そして日本北アルプスのヨーロッパのアルプスに負けずとも劣らない美しさをあらためて堪能させていただきました♪

主人公の柴崎芳太郎の仕事に対する真摯な姿ももちろんなのですが、他の登場人物の中では案内人の宇治長次郎という人にとても惹かれました。いよいよ頂上にあと少しというところで、先頭を柴崎に譲ろうとするシーンはなぜか涙がたくさん溢れてしまいました。自分の仕事をあそこまでよくわかっている仕事人って多くはないですよね。本当に素晴らしい案内人です。息子もそれがわかったからこそ手紙を託したのでしょうね。

いろいろなメイキング映像で浅野忠信香川照之もこの撮影撮影時の過酷さを語っていたので、彼らの演技は演技というより本当に初めて劔岳登頂を果たした人物のようにも見えました。3000m級の山の中での演技、どんなにか大変だったでしょう。それにしても二人とも適役でしたね〜若手測量士の松田龍平や小島鳥水を演じた仲村トオルも彼ららしい役でとってもよかったし、とにかくどの人もしっかり山の人の顔になっていましたよね。

また、ドキュメンタリー映像のように流れるヴィヴァルディやバッハなどのクラシック音楽がとても効果的でした。言葉で語らずも映像から全てが伝わるという感じでしょうか。現地で撮影した映像だからこその説得力は他にないものだと思います。

ストーリーは実話なのでものすごいドラマティックでスピーディな展開ではないかもしれませんが、映像と同時に山に携わる人々のヒューマンドラマとして、私は大きな感動を得る事ができました。今年の邦画の中ではきっと上位になること間違いないと思います。こういう映画こそは是非とも大画面で観たい作品ですね。70歳近くになってこの映画を撮られた木村監督のこだわりと心意気にも拍手を送りたくなりました♪(^^)

上映時間:139分
公開情報:劇場公開(東映)
初公開年月:2009/06/20
ジャンル:ドラマ

《コピー》
誰かが行かねば、
道はできない。

監督:木村大作
原作:新田次郎 『劔岳 点の記』(文春文庫刊)
脚本:木村大作、菊池淳夫、宮村敏正
撮影:木村大作
音楽監督:池辺晋一郎

出演:浅野忠信、香川照之、松田龍平、モロ師岡、螢雪次朗、仁科貴、蟹江一平
    仲村トオル、小市慢太郎、宮崎あおい、小澤征悦、笹野高史、石橋蓮司
    國村隼、井川比佐志、夏八木勲、役所広司

【解説とストーリー】
 日本映画界を代表する名カメラマン木村大作が自ら初監督に挑み、新田次郎の同名小説を完全映画化。明治時代末期、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍の命を受け、最後の空白地点を埋めるべく前人未踏の難峰・劔岳に挑んだ男たちの命を懸けた真実の物語を圧倒的なスケールで描き出す。実際に劔岳・立山連峰各所でロケを敢行、測量隊と同じ行程をほぼ忠実に辿る危険と隣り合わせの過酷な撮影の末に実現した雄大さと迫力に満ちた映像美に注目。
 明治39年、陸軍参謀本部陸地測量部の測量手、柴崎芳太郎(浅野忠信)は、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍から、最後の空白地点である劔岳の初登頂と測量を果たせ、との命令を受ける。立山連峰にそびえ立つ劔岳は、その険しさから多くの者が挑みながら誰一人頂上を極められずにきた未踏峰の最難所であった。さらに、最新装備で初登頂を目指す日本山岳会という強力なライバルが出現、測量隊には陸軍のメンツという重いプレッシャーがのしかかる。そんな中、柴崎は前任の測量手・古田盛作(役所広司)を訪ね、信頼できる案内人として宇治長次郎(香川照之)を紹介される。そして翌40年、柴崎たち測量隊一行は総勢7人でいよいよ劔岳の登頂に臨むのだったが…。(allcinemaより)

【余談】
実は個人的な話で大変恐縮ですが、この映画にはちょっと思うことがありまして・・・(^^ゞ

私は全くヘタレでその辺の丘ですら息切れするのですが(笑)、今年83歳になった父は昔山男で、劔岳も60年ほど前に登ったようです。

先日たまたま実家に遊びに行った時この映画の話になり(父はとうの昔に原作も読んでいる)、居間に山の絵が昔からかけてあるのですが、それが劔岳だとその時におしえてもらった次第です。だって私は山の形って全く区別がつかず、富士山と八ヶ岳と浅間山くらいしかわからないんですもの・・・(^O^;

昔からよく話だけは聞いていましたが、そんな感じなのでどの山がどれなのかわからない私は槍が岳登頂の話は覚えておりましたが、劔岳の話は覚えておりませんでした。まぁ日本の山にはほとんど登っているようなので、聞いていてもどれがどれなのか覚えられるはずもないんですけどね。^^;

しかしこの映画を観て「20歳過ぎのまだ若かった頃とは言えどこんな険しいところを父は登ったのか」と思ったら何だか胸が詰まりました。これも話では聞いていましたが、戦争中から終戦直後はろくな装備もなく、今とは雲泥の差の条件で登っていたのだと思います。残っている写真を見ても荷物は多いし(と言ってもこの映画の時代よりはリュックもあるしルートも決まっていただろうから全然マシなのですが^^;)やはりテントは映画と同じようなもめんの重たいもの。その当時は皆がそれしかないから当たり前だったのでしょうが、やっぱり今よりは何倍か大変だったのでしょうねぇ。。ただ写真を観ると、人がいません!(笑)夏山でも今に比べれば全くと言っていいほど人がいないので、そういう意味では気持ちよく登れたのかもしれませんね。

この映画は父には劇場で見せたかったのですが、耳が遠くなったので家でボリュームを調整して観た方がよくわかるかな〜と思いDVDが出たらプレゼントするつもりです。代わりに今回は母と一緒に観て来ましたが、母は帰宅後パンフを見ながら、父からうんちくを(笑)聞かされたのは言うまでもなかったようです。(^O^;今だに名前だけは日本山岳会に登録しているようで、小島鳥水のことなどはおなじみでしょうからDVD鑑賞後感想を聴くのが楽しみです。

今さらながらちょっぴり父を見直したわたしでした(笑)。

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映画も素晴らしかったですが、Choroさんのお父様のお話も興味深く読ませてもらいました。
本当に、映像が美しくて、映像の力を発揮していましたね。
TBさせてくださいね。
そして、ポチも☆

2009/7/2(木) 午後 9:47 やっくるママ 返信する

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★やっくるママさん、ありがとうございます〜(^^ゞこの映画を家族も観てからおじいちゃんの株が上がったので(爆)喜んでおります。(^O^;
しかし映像は見事でしたね〜よくぞ機材を持って登ったものだと感心してしまいます。
TB&ポチありがとうございます〜♪

2009/7/4(土) 午前 10:41 choro 返信する

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お偉いさん方が、いつでも勝手に無謀なことを言うので、ここはライバルだった山岳会との交流が良かったです。やはり、山は山好き同士が、本当にお互いの苦労が解るっていうものですよね。
そうですか、お父様は山男でしたか。僕の亡くなった親父もそうでした。劔岳、登ったことがあったかどうか、今では確認しようもありません。昔の人って、山登りしていた人、結構多いですね。
そうだ、僕の映画サークルの会長も、うちの親父と山登りしたことあると言ってたから今度聞いてみよっと。

2009/7/4(土) 午後 9:48 出木杉のびた 返信する

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★のびたさん、そうですね。やはり実際に現場にいる人でないとわからないことばかりですよね。
のびたさんのお父さまも登山をされていたんですね。確かに昔は娯楽が今ほどないので、山に登っていた人は多いかもしれませんね(笑)。それにしてもあんな険しいところによくぞ登りますよね〜(^O^;
TBありがとうございました。

2009/7/7(火) 午後 9:48 choro 返信する

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私も、新田次郎の作品がとても好きです。私は、文庫本です。『強力伝』や『孤高の人』全てとは行きませんが、かなり読みました。
私だけかも知れませんが、新田次郎と吉村昭には、何かしら、私の中では、共通点がある様な気ばします。
新田次郎の奥様の藤原ていさんの『流れる星は生きている』も何度も読み返しました。
先日、94歳で亡くなった父は、満州で奥さんや子どもを亡くし、
生存している可能性も捨てきれないのです。
さらに、過酷だったのは、シベリアの抑留生活だったそうです。
最終船で、皮靴一つ持って、京都の舞鶴港に帰ってきたそうです。

2009/7/8(水) 午前 6:37 [ 木こり ] 返信する

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ある意味すごい映画でした。なんだかこう、もう理屈ではこう云う映画は作れないのではないかと思います。
役者さんたちも登ってすごいですよね。
音楽も良かったです。
私も香川照之がとてもよかったと思いました。
TBさせてくださいね。

2009/7/9(木) 午前 5:31 [ miskatonic_mgs_b ] 返信する

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★木こりさん、はじめまして。
新田次郎さんの作品は私は数冊しか読んでおりませんが、どれも素晴らしいですよね。藤原ていさんの作品は未読です。
お父様の世代の方はいろいろとご苦労も多かったことでしょうね。
また少しずつその時代の作品も読んでいきたいと思います。

2009/7/9(木) 午後 10:41 choro 返信する

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★miskaさん、そうですね〜理屈抜きの作品っていうのわかるような気がします。
キャストもスタッフも命がけですものね。いくら現代とは言え、やはり高山への登山は厳しく大変だと思うし、それなりの覚悟が泣ければできませんよね。
だからこそ、本物の映像が撮れたのではないでしょうか。伝わってきますよね。
香川さんはどんな役もこなしてしまうし、素敵な俳優さんですね。
TBありがとうございました♪

2009/7/9(木) 午後 10:43 choro 返信する

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たいへんだったたいへんだったと聞かされると、天の邪鬼な私としては素直に観られなくなってしまい、これはドキュメンタリーじゃなくて映画でしょ?っていうちょっと辛口的な見方になってしまいました。
映像や役者さんの演技は素晴らしかったと思いますが、内容としてはどうなのかなーと・・・。

2009/7/18(土) 午前 1:16 Naomi 返信する

日本映画って こういうのが正しい日本映画なんでしょうねぇ。

あのラストクレジットには、涙いたしました。
TB、遅ればせながら・・。

2009/7/21(火) 午後 2:46 たんたん 返信する

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★Naomiさん、あはは、そういうことってありますよね〜わからなくもないです(笑)。
まぁ内容は好みが分かれるかもしれませんね。山や当時の測量隊とかに興味がないとちょっと退屈になっちゃうかな?^^;
TBありがとうございました♪

2009/7/21(火) 午後 7:00 choro 返信する

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★たんたんさん、やはり黒澤監督の下で修行された方だけに、黒澤流の撮り方を受け継いでいられるのでしょうか。【映画】と言う感じがしますよね。ドキュメンタリーぽいので好みは分かれそうですが、私は感動でございました。(^^ゞ
TBありがとうございます♪

2009/7/21(火) 午後 7:02 choro 返信する

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ただ地図を作るためだけに前人未到に頂上へ挑む男が実際にいたんですから勉強になると言うかためになりました。
TBお願いします!

2009/8/26(水) 午前 8:02 かず 返信する

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★かずさん、こういう話はなかなか知らない事実なので勉強になりますよね。
それにしても測量に対する愛と使命を持っての仕事には感服しますね。
TBありがとうございました♪

2009/8/28(金) 午後 8:47 choro 返信する

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さすが、カメラマン、徹底して映像にこだわった映画でしたね。
骨太な映画でした。

2009/12/30(水) 午後 9:14 mossan 返信する

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★もっさんさん、見応えのある映画でしたね〜
TBありがとうございました♪

2010/1/4(月) 午後 5:40 choro 返信する

ストレートな作品でしたね・・・。
山に対峙する人の姿というのには共通した何かがあるのかも知れませんね。
TBさせていただきます。

2010/1/9(土) 午前 10:42 takutaku! 返信する

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★たくたくさん、そうですね〜日本は身近に山がある国なので、人々との繋がりも大きいですよね。
監督の想いが伝わる作品でした。
TBありがとうございます〜♪

2010/1/12(火) 午後 10:23 choro 返信する

やはり本物の映像は素晴らしかったですねぇ〜♪
浅野忠信、香川照之、松田龍平、役所広司、夏八木勲、國村隼…役者陣も豪華競演でしたね^^
お父さんのエピソード素敵ですね(^_-)-☆

2011/1/14(金) 午前 0:04 やっくん 返信する

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★やっくんさん、あの険しい山でのロケーションなんて気が遠くなりそうですが、さすがに本物の映像は違いましたね。
役者さんたちの意気込みも伝わりいい映画だったと思います。
ありがとうございます♪父は昨年他界しましたが、このDVDは観れました。間に合ってよかったです。(^^)

2011/1/17(月) 午後 10:56 choro 返信する

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