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出演: ジュリー・クリスティ、 ゴードン・ピンセント、オリンピア・デュカキス、マイケル・マーフィ

監督、脚本:サラ・ポーリー
原作:アリス・マンロー 『クマが山を越えてきた』(新潮社刊『イラクサ』所収)

原題:AWAY FROM HER
上映時間:110分
製作国:カナダ
公開情報:劇場公開(ヘキサゴン・ピクチャーズ=アニープラネット)
初公開年月:2008/05/31
ジャンル:ドラマ

《コピー》
君を幸せにできるなら、
この孤独を受け入れよう

【解説とストーリー】
 「死ぬまでにしたい10のこと」「あなたになら言える秘密のこと」の実力派女優サラ・ポーリーが、弱冠27歳にして記念すべき長編映画監督デビューを飾った感動ヒューマン・ドラマ。原作はアリス・マンローの短編『クマが山を越えてきた』。認知症という悲劇に直面した老夫婦の心の葛藤と深い愛を静かに見つめる。認知症の妻を演じたジュリー・クリスティには多くの賞賛が寄せられ、ゴールデングローブ賞主演女優賞をはじめ数々の映画賞を受賞した。共演は「リトル・ランナー」「シッピング・ニュース」のゴードン・ピンセント。
 結婚して44年になるグラント(ゴードン・ビンセント)とフィオーナ(ジュリー・クリスティ)。決して良き夫とは言えない過去もあるグラントだったが、いまはフィオーナを深く愛し、夫婦仲良く穏やかな日々を送っていた。ところがやがて、フィオーナをアルツハイマー型認知症の悲劇が襲う。物忘れが激しくなったフィオーナは、ついに自ら老人介護施設への入所を決断する。施設の規則で入所後30日間、面会を許されなかったグラント。そしてようやく訪れた面会の時、フィオーナはグラントを覚えていないばかりか、彼の前で車椅子の男性オーブリー(マイケル・マーフィ)に対し親しげな振る舞いを見せるのだった。その後も日増しに深まっていく2人の仲を目の当たりにして動揺を隠せないグラントだったが…。(allcinemaより)

劇場公開時からジュリー・クリスティのオスカーノミネートのニュースも相成り評判でしたが単館での公開でしたね〜WOWOWで放映されたので、ようやく観ることができました。

妻が認知症になり夫が献身的に介護する話というと、まずはジュディ・デンチの「アイリス」「きみに読む物語」を思い出します。長年連れ添った相手が次第にそのパートナーのこともわからなくなってしまうって、本当に哀しいですよね。最近は日常のニュースでも介護の話がかなり頻繁に流れるので、明日はわが身かと人事ではなく、映画を映画として観ることもできなくなってきました。(ーー゛)

しかし、この「アウェイ・フロム・ハー」は、先の2作が病気のことを含めパートナーとの愛をストレートに描いていたのに対し、少し捻りのある奥の深い作品だと思いました。

ここでは主人公となるグラントとフィオーナ夫妻と、もう一つの同じような熟年カップルが登場します。そちらのオーブリーとマリアン夫妻は夫の方が病気でフィオーナと同じ介護施設に入院しているのですが、この夫婦がフィオーナたち夫婦に絡むことによって、病気や介護より以上に夫婦の愛や絆とは何かを考えさせられます。

実際にアルツハイマーの方がどのような病状でどのような経過をたどるのかは私はよくわかりません。しかし、入院してたった一ヶ月の間に40年以上連れ添った夫のことを忘れ、あらたに院内で友達になった男性の世話をする妻を見たグラントのショックは計り知れないものがありますよね。それでもグラントは過去に自分が犯した過ちのことを思い、妻が自分を試しているのではなどといろいろと考えます。相手が病気とは言え、このような仕打ちを受けるグラントはかわいそうでしたね。本当に病気とは残酷なものです。

グラントは妻フィオーナの相手のオーブリーの家族を訪ねますが、このオーブリーの妻マリアンの切実な思いもせつないですよね。経済的なことなどのためにオーブリーを退院させてしまうマリアンの気持ちや、またそのことによって気力を失ってしまうフィオーナ、双方の女性の姿から、グラントとは又別の哀しみが伝わってきました。

その後グラントは妻のためにある決断をしますが、そのことに対してのフィオーナの反応は・・・?彼女は本当に病気だったの?グラントが思っていたようにお芝居だったのでは?と思わさせられるようなラストは夫婦の絆や深い愛を静かに感じさせてくれましたが、人の心の複雑さも表していてせつなかったです。

20歳代でこの作品を撮ったサラ・ポーリーはどうしてその若さでこのような作品が作れるのか不思議になるほど成熟した感覚だと思いますが、同じような認知症の夫婦を描いた映画の中でも、その奥深さは一番と言っていいのではと思うほど何とも言えない余韻のある作品になっていたと思います。号泣するわけではないのに心に迫るものがあるんですね。

主要キャストの4人の演技も本当に素晴らしい。オスカーにノミネートされたジュリー・クリスティは最近はしっかりした年配女性の役などが多かったように思いますが、ここでは「華氏451」の時を思い出すような若々しい可愛い表情も見せているんですね。それは認知症を患ったことから子どもに返るような時が何気に表れることがわかるとても繊細な演技だと思うのですが、さすがに上手いですね〜

グラント役のゴードン・ビンセントも決して妻を責めることなく献身的に介護する姿が、妻への愛と同時に辛さも含めてひしひしと伝わってきました。

このようなテーマの作品は、観る人の年代で全く違った印象になるのは仕方ありませんね。私も20歳代の時に観ていたら「なるほど、こういうこともあるのか」くらいにしか思わなかったと思いますが、今はあまりに近い年代になってしまったので本当に心が苦しくなるようです。自分の親の老いを見るのも辛いけれど、自分もパートナーも含めて、若年性アルツハイマーのように中年からかかる場合もあるということはやはり頭に置いておかなくてはいけませんね。

病気は自分の意思で食い止める事はできませんが、今、こうしてとりあえずは健康でいられることに感謝をしつつ、やはり毎日を大切に生活したいと思ってしまいます。あまりネガティヴにはならず、まずは今を悔いのないように生きるしかありませんものね。

閉じる コメント(22)

今を悔いのないように・・・まさにそれに尽きると思います。
なかなか難しくて、自分でもじたばたするばかりではありますが^^;
20代のサラがこの作品を作った、というのは、本当に驚きました。
リアルな現実と人の心とを織り交ぜて、どの人の心にも届く形にしつつ、でもおっしゃるような捻りもぴりっと効いていて。。
うーん、すごい作品だと思いましたね〜
トラバさせて下さいませ。

2009/9/26(土) 午後 2:19 恋

おっしゃるとおり、今を悔いのないように生きるって事ですね。
ほんとにこれは深い作品だったと思います。
まだまだ若いのに、こんな作品を撮ってしまうなんて、サラ・ポーリーに拍手ですね〜^^
もちろんキャストの演技も素晴らしかったですね。
トラバさせてくださいね♪

2009/9/26(土) 午後 9:00 じゅり

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おー、仲間みーつけた。先に観ましたよw

2009/9/26(土) 午後 11:45 mossan

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いや、まったく この題材を選んだサラ・ポーリーに脱帽ですよね。
演出もシブい。 キャストの個性を良く引き出してました。
ジュリー・クリスティがこういう役を演じるのもビックリでしたが、彼女の美しさは変わりませんな〜!
「絆」って何なんだろう? そう思わずに居られません。
TBさせてもらいますね!

2009/9/27(日) 午前 0:27 Kaz.Log

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認知症にかかった方の周囲の人の戸惑いや苦しみは今までの作品でもありましたが、かかった当人の苦しみみたいなものも伝わってきた映画でした。
男と女の視点の違いなども上手く描いてましたよね。
TBさせてくださいね。

2009/9/27(日) 午前 9:07 木蓮

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そうなのよね。今見ると考えること多くなっちゃうのよね。
おっしゃるとおりサラ・ポーリーはあの若さでよくこのテーマを描ききっていますよね。
余韻も残しいい作品でした。
TBさせてもらいますね。

2009/9/27(日) 午前 9:43 くみょん

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そうそう、つい「自分なら・・」と考えちゃって身につまされたりしますよね(笑)。
サラ・ポーリーは20代なのになぜここまで老夫婦の心情を描き出せるのでしょうか。不思議です。
TBさせてくださいね。

2009/9/27(日) 午後 6:54 Swan

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これはかなり重くて後々までひきずってしまいました。
そうなんですよね。あれってもしかしたら全て彼に対する復讐だったの?って考えることもできますね。
ラスト。もうひとひねりあってこれまた考えこんでしまいました。
そろそろ周りの友人たちが病気に罹るような年代になってしまいましたからこういう作品を見ると、ほんとChoroさんおっしゃるように
毎日を大切に生きていきたいと思います。
TBさせてください。

2009/9/27(日) 午後 9:01 car*ou*he*ak

サラ・ポーリーの洞察力は、凄いなと思いました。男性の視点も、かなり理解してるようです。

2009/9/28(月) 午後 0:05 NZ_RR

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★恋さん、そうは思ってもなかなか思うように行かないのが人生ですが、それでも心に留めておくだけで違うかな〜っと。と言いつつすぐヘタれる私です。^^;
そうそう、捻りのある描き方が心に来ますよね。サラ・ポーリーって本当に凄いです。
TBありがとうございました♪

2009/9/28(月) 午後 3:57 choro

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★じゅりさん、単純にはいかない認知症の一面を深く描いていましたよね。夫婦って何なんだろうと思わさせられますが、長年連れ添った夫婦の絆はやはり強いものがあるのかなぁ。。
TBありがとうございました♪

2009/9/28(月) 午後 3:59 choro

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★もっさんさん、やっと観れました。観てよかったです。
TBありがとうございました♪

2009/9/28(月) 午後 3:59 choro

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★Kaz.さん、本当に渋くてキャストの個性をよく出してましたよね。
若いサラがこういう映画を撮るって凄いですね。
おっしゃるように「絆」って何だろうと思ってしまいます。深くて複雑ですね〜
TBありがとうございました♪

2009/9/28(月) 午後 4:00 choro

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★もくれんさん、そうですね。かかった本人の苦しみも初期の段階ではかなりのものではと思います。渡辺謙のやった「明日の記憶」の若年性認知症の場合は更に激しい苦しみがありそうですし。
やはり男性と女性では熟年になった時、いろいろと思うことにズレが生じてくるものなのかもしれませんね。なかなか複雑ですよね〜
TBありがとうございました♪

2009/9/28(月) 午後 4:03 choro

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★くみょんさん、年々この手の作品を観ると考える事が深くなり自分でもため息が出てしまいます。^^;
しかしちょっと違った角度から描いた秀作でしたね。サラは凄いですね〜
TBありがとうございました♪

2009/9/28(月) 午後 4:05 choro

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★Swanさん、20歳代でこのような描き方ができるって本当に凄いですよね。しかもベテラン俳優ばかりを使って・・
身につまされるけれど、やはり知っておきたいことでもあるし、考えさせられますね。
TBありがとうございました♪

2009/9/28(月) 午後 4:06 choro

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★カルちゃん、重いですよね〜こういう作品を観るとしばらくいろいろと考えてしまいます。
最近TVでも本当によく特集されるので、老いも若きも一緒に本当は考えていかなくてはいけない問題なのでしょうね。
TBありがとうございました♪

2009/9/28(月) 午後 4:07 choro

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★nzさん、若いサラはかなりの取材や研究をした上で撮ったのでしょうね。その洞察力も描き方も見事でした。

2009/9/28(月) 午後 4:08 choro

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ラストはすごく微妙なというか、男目線ではちょっときついものがありました。縫合したばかりの傷口をまた広げるみたいな、残酷な後味が残りましたもの。これって、純真な子供の無知ゆえの残酷さにつながるものがあるのかなって気もしました。TBさせてください。

2009/9/28(月) 午後 9:11 [ einhorn2233 ]

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★einhornさん、確かに男性から観るとあのラストはきついですよね。この複雑なラストは何を意味しているのでしょう。
観客に問いかけるような締め方は余韻を感じると共に、若いサラがよくぞ描いたと感心してしまいます。
TBありがとうございました♪

2009/9/29(火) 午後 10:35 choro

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