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やはりオスカー受賞作というブランドは凄いですね〜(笑)
私が一昨日予約した時はウィークデーの午前中ということもありまだ2〜3席しか埋まっていなかったのに、今日映画館に行ったら、チケット売り場は長蛇の列で、この「ハート・ロッカー」のスクリーンは最終的には8割以上埋まっていたように思います。本編が始まるギリギリまで人が次々と入ってくるのもウィークデーの劇場としては珍しい!(笑)終わった後もロビーはいつになく込み合ってましたから、次の回を観る人も多かったのでしょうね。ちなみに男女の割合は7:3くらいだったでしょうか。やはり男性に興味を持たれる作品なんですね。

さて、本編の感想ですが、やはりアカデミー好みは「アバター」よりこちらですね。戦争映画としてはどちらかと言うと地味な印象ですが、それでも緊迫感は凄いし、中心になる3人の兵士の心の描き方が見事だったと思います。

主人公のジェームズは命知らずのような無鉄砲にも見える行動によく出ます。彼の爆弾処理能力は抜群なのですが、同じチームのサンボーンはチームワークやルールを重んじる人物なので、ジェームズのやり方が気に入らないんですね。まぁ命を賭けた仕事ですからそれも当然なのですが、物語が進むに従って、彼らの家族のことや「自分の子どもを持つこと」についてが語られ、戦場での行動とそこに携わる人がどれだけ過酷な精神状態になり、またそれが彼らの人生にどのような影響を与えるのかが次第に浮き彫りになってきます。

この物語の舞台は2004年のイラクだそうですが、う〜ん、ついこの前の話ですよね。というか、今現在も同じような状況の場所は世界中にあるわけで、このような過酷な任務についている兵士がたくさんいるんですよね。人間が自分達で作った爆弾を自分達で命がけで処理をしなくてはならないというのは、神様のお仕置きとしか言いようがありませんね。本当に不毛な闘いだと思ってしまいます。

内容に関してはおそらくあちこちで語られていると思うので、私自身が感じたことだけ書いておきますね。
まずは最初にも書いたように、一つの任務のエピソードの度にものすごい緊迫感がありドキドキしますね〜次は誰が命を落とすのか、容赦なく登場人物が犠牲になるたびに、ドキュメンタリーを観ているような気持ちになり、戦場の哀しさが伝わってきました。

そしてそのような過酷な状況によって心が病んでいるのは兵士だけでなく、そこに生活する一般市民も同じです。すぐ傍でかなり大きな爆発があったにもかかわらず、暢気に凧揚げをしている姿を見て驚きました。爆発に巻き込まれたジェームズが倒れた後、うっすらと目を開けるとそこには青空に舞う凧が見える・・・そして凧の糸を引く市民の姿が映し出されるのですが、ここはある意味ショックでしたね〜もう爆発という命の危険がすぐそばに迫っていても、感じなくなっているというのは本当に恐ろしい事です。

それに対比するように思ったのは、帰国したジェームズがスーパーマーケットで妻から「シリアルを買っておいて」と頼まれた時、一面にビッシリと詰まれたその食品の多さに呆然とし、どれを選んでよいのかわからず適当な品をかごに投げ込むシーンでしょうか。地獄のような戦場から平和でかつ物のあふれ返っている世界に帰ってきたら、その状況に対応できるまでには時間がかかるでしょう。ジェームズの場合はホッとするのではなく、自分がやるべきことやどういう生き方をするかということが、戦争によって変わってしまったわけですよね。
映画の冒頭で語られる『戦争は薬(麻薬)である』という言葉がラストで哀しく頭に響きました。

そして同じようにジェームズとは対比して描かれているサンボーンが任務終了の2日前(だったかな?)、九死に一生を得たような厳しい任務の帰りに「もっと生きたい。自分の子どもを持ちたい」と涙ながらに訴えるシーンこそが多くの普通の人の心情のような気がしました。おそらく彼は2度と戦場には戻らないのではないでしょうか。それは若いエルドリッジの恐怖心も同じだと思います。

キャストは皆よかったですね〜主演のジェレミー・レナーを始めチームの2人も素晴らしかったです。カメオ出演ぽいレイフ・ファインズガイ・ピアースデヴィッド・モースは本当に短い出演時間でしたが、やはりインパクトはありますね。レイフはこういう映画でもやっぱり二枚目でした〜(笑)

映画全体としては、音響部門でオスカー受賞を果たしていますが、個人的には映像もよかったと思いました。さすがにノミネートされているだけありますね。爆破の際の石が飛び散る様子をスローで撮ったり、真上からのアングルが入ったり、撮影のセンスを感じました。音響は爆破の派手なシーンより、むしろ静寂の中で虫の羽音だけが流れたり、音楽がほとんど使われていないところの緊迫感などが印象に残っています。

脚本賞も受賞していますが、一つだけ気になったのは、何度か繰り返される爆弾処理の任務のエピソードの繋ぎが今一つのような気がしたんですよね。先にも書いたように人間を描いた部分はとてもよかったのですが、ジェームズがあのような人間になった裏側を任務を重ねるごとに徐々に見せるにあたり、昨年の「スラムドッグ・ミリオネア」の主人公の謎が次第に解けていくというような流れが、少し悪かったように思いました。上手くいえませんがそれだけが惜しかったような気がします。。。って勝手な感想ですが。(^O^;

「ハート・ロッカー」とは「行きたくない場所/棺おけ」という意味だそうですね。戦争の悲惨さを伝える作品はこれまでもたくさんありましたが、この映画ではその戦争によって変えられてしまった人間のせつなさが、重く哀しく伝わってきたように思いました。

ビグロー監督の作品は「K-19」しか観たことがないのですが、あの映画が女性監督だったとは今まで気づいていませんでした。(^O^;凄いですね〜女性でもこんなハードな映画が撮れるんですね。本作では女性の視点から見たそれらしさも感じられましたが、同性としては嬉しいことです。(^^)

おそらくオスカーを受賞しなかったら、興行的にはあまり拡大公開されることもない、どちらかと言うと地味な映画のように思います。でも「アバター」とどちらが心に残るかと問われたら、私はこちらの方が心に残るでしょうね。好きとか嫌いではなく心に残るインパクトを持った作品という意味からもオスカー受賞は納得でした。

原題:THE HURT LOCKER
上映時間:131分
製作国:アメリカ
公開情報:劇場公開(ブロードメディア・スタジオ)
初公開年月:2010/03/06
ジャンル:アクション/サスペンス/戦争
映倫:PG12

《コピー》
永遠を思わせる戦場。
刹那を生きる男たち──。

監督:キャスリン・ビグロー
製作:キャスリン・ビグロー、マーク・ボール、ニコラス・シャルティエ、グレッグ・シャピロ
製作総指揮:トニー・マーク
脚本:マーク・ボール
撮影:バリー・アクロイド
衣装デザイン:ジョージ・リトル
編集:ボブ・ムラウスキー 、クリス・イニス
音楽:マルコ・ベルトラミ、バック・サンダース
音楽監修:ジョン・ビゼル

出演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ、レイフ・ファインズ
    ガイ・ピアース、デヴィッド・モース、エヴァンジェリン・リリー、クリスチャン・カマルゴ

【解説】
 「ハートブルー」「K-19」のキャスリン・ビグロー監督が、死と隣り合わせの日常を生きるアメリカ軍爆発物処理班の男たちの姿を力強く描き出した緊迫の戦争アクション。テロの脅威が続く混沌のイラク・バグダッドを舞台に、爆発処理チームのリーダーとして新たに赴任した破天荒な主人公ら3人の兵士が尋常ならざるプレッシャーに晒されながら爆弾解除に取り組むさまを、徹底したリアリズムで生々しくスリリングに捉えていく。主演は「28週後...」のジェレミー・レナー。共演に「ミリオンダラー・ベイビー」のアンソニー・マッキーと「ジャーヘッド」のブライアン・ジェラティ。
 2004年夏、イラクのバグダッド郊外。アメリカ陸軍ブラボー中隊の爆発物処理班では、任務中に殉職者が出たため、ジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナーウィリアムズ)を新リーダーとして迎え入れることに。こうして、サンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)とエルドリッジ技術兵(ブライアン・ジェラティ)を補佐役とした爆弾処理チームは、任務明けまで常に死の危険が孕む38日間を共にしていく。しかし、任務が開始されると、ジェームズは遠隔ロボットを活用するなど慎重を期して取るべき作業順序や指示を全て無視し、自ら爆弾に近づいて淡々と解除作業を完遂。任務のたび、一般市民かテロリストかも分からない見物人に囲まれた現場で張り詰めた緊張感とも格闘しているサンボーンとエルドリッジには、一層の戸惑いと混乱が生じる。そして互いに衝突も生まれるものの、ストレスを発散するように酒を酌み交わし、謎めいたジェームズの一面も垣間見ることで理解を深め結束していく3人。だがやがて、任務のさなか度重なる悲劇を目の当たりにしたことから、ある時ジェームズは冷静さを欠いた感情的行動に走り、3人の結束を揺るがす事態を招いてしまう…。(allcinemaより)

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★なぎさん、「アバター」とはカラーが違うので、比べるのもなんだなぁと思いましたが(笑)こちらはやはり実際にある戦争での出来事を描いているので重いですよね。
描き方がやはり私も素晴らしかったと思いました。
TBありがとうございます〜♪

2010/4/7(水) 午後 6:09 choro

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★ひかりさん、これは観る人それぞれの捉えかたがありそうですね。
私はそのまんまに受け止めてしまった感じですが^^;ジェームズにはせつなさを感じました。
社会派作品は本当に難しいですね。^^;
TBありがとうございました〜♪

2010/4/7(水) 午後 6:18 choro

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★もくれんさん、確かにオスカー受賞作となると拡大上映されますよね。^^;
本当に女性監督とは思えない骨太な作品でした。
音のないところの緊迫感は凄かったですね。
TBありがとうございました〜♪

2010/4/12(月) 午後 11:08 choro

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★Swanさん、ジェームズはせつないですよね。人間らしさを失ってしまったというのは本当に辛いことです。
普通の戦争映画とは違った視点の重い映画でしたね。
TBありがとうございました〜♪

2010/4/12(月) 午後 11:09 choro

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こういう社会派映画がオスカーの作品賞を獲ることができて本当にうれしいです。
日本は戦争には直接は絡んでいないけれど今の時代に生きる人として知る必要がある内容だと思いました。
TBさせてください。

2010/5/17(月) 午前 10:10 かず

こちらではやっと公開になりました。
でも半分諦めていたので劇場公開は嬉しかったです ^^
衝撃的でしたね。。麻薬についての話が出たのは最初驚きましたけれど、内容を観て納得です。。いや、納得してはいけないのかもですが。。トラバさせて下さいませ。

2010/5/22(土) 午後 8:43 恋

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★かずさん、いろいろなことを考えさせられますよね。
どうしても戦争は遠い国の出来事のように感じてしまう日本人にとっては、やはりおっしゃるように知る必要はあると思います。
TBありがとうございました♪

2010/5/24(月) 午後 9:54 choro

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★恋さん、やはりオスカー受賞作となれば全国拡大公開になりますよね。よかったですね〜♪
衝撃的ですよね。このようなことが世界にはたくさんあるのかと思うと、いつもながらやりきれない気持ちになります。
TBありがとうございました。

2010/5/24(月) 午後 9:56 choro

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映画はとっても丁寧にしっかりつくってあるという印象でした。映像、音声、構成、オスカー受賞にふさわしいものだと思います。ただ、私はこういう一方的な視点の作品は、特に戦争映画では、好きになれません。とはいっても、合衆国に帰ってスーパーで買い物をするシーン、一人になった時のあのシーンは凄かったですが…。たぶん、戦争はドラッグだっていう最初の一言で、この作品を普通に観ることが出来なくなったんだと思います。でも、その感覚は決して認めることは出来ません。『闇の子供たち』と同じように強烈な印象は持っても決して好きになることのない作品?だと思います…(^^♪。

2010/5/25(火) 午後 10:25 shin

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★Shinchanさんの記事を拝見してなるほど〜と又考えました。(^^ゞ
戦争映画というのは見方によっていろいろ考えさせられますね。だからこそ、何度も映画化するのでしょうが。。
TBありがとうございました♪

2010/6/1(火) 午前 11:13 choro

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素晴らしいレビューですね。「不毛な闘い」、TVでカンボジアなどの地雷除去もそうですね。頭でわかっていても現実「戦争」になるとすべてがマヒしてしまうのでしょうね。「凧」のエピソードで市民もマヒしていることも恐怖でした。この映画はすべてが怖いです。些細な感想ですが、TBさせてください。

2010/9/4(土) 午前 9:21 シーラカンス

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★シーランカンスさん、ありがとうございます。恐縮です。^^;
しかし戦争って隅々まで狂わせてしまうというのは本当に怖いですね。この映画はそれをよく表してましたね。
TBありがとうございました♪

2010/9/6(月) 午後 10:14 choro

内面を深く描き出した作品でしたね。
予想以上に重い作品であったように感じます!
TBさせていただきます。

2010/11/9(火) 午後 3:09 takutaku!

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★たくたくさん、そうですね〜とても重い作品でしたが、人間がよく描かれていたと思います。
とても個性的な反戦映画ですよね。
TBありがとうございました♪

2010/11/15(月) 午後 4:06 choro

単純比較は出来ませんが、「アバター」よりこちらの方が好みです♪
ただこの作品自体も好みじゃないんですけど^^;笑
緊迫感や映像視点が素晴らしく、終始ハラハラドキドキでした^^
女性監督が撮ったと言うのも凄いですね♪

TBお願いします!!

2011/1/4(火) 午前 6:26 れじみ

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★れじみさん、ジャンルは全く違うけれど、こちらは重さが残りますよね。
そそ、女性監督というところも驚きです。
しかし見応えのある映画でした。
TBありがとうございます♪

2011/1/10(月) 午後 9:59 choro

キャスリン・ビグロー監督、男を描かせたら天下一品!
対するジェームズ・キャメロン監督は男は下手だが、女を描くのが上手い!
まあ、内容も賞レースも「ハート・ロッカー」の圧勝でしたね♪

2012/6/12(火) 午後 11:29 やっくん

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★やっくんさん、この年のオスカーはやはりこれで正解でしたね。
見応えのある映画でした。
ビグロー監督、本当に女声とは思えない描き方のできる人ですね。
TBありがとうございます♪

2012/6/16(土) 午後 1:24 choro

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エンターテイメント性で言うとやっぱり断然「アバター」かなあ。
アカデミー好み?
ただ、反戦、戦争の悲惨ばかりでなく、戦争に酔っていく心理を描いているのが新しいかな?

2013/4/2(火) 午後 11:21 ちいず

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★ちいずさん、そうですね〜エンタメ性では「アバター」でしたね。
しかし、この映画は辛く重い作品だけど後々まで引きずるものがありました。
TBありがとうございます。

2013/4/3(水) 午後 11:18 choro

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