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「告白」(2010)

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う〜ん、これは何とも重いと言うか、とにかく疲れる映画でした。^^;
原作は読んでいたので、ストーリーの展開やラストは知っていたのにも関わらず、観ている間中、緊迫感のようなものに襲われて、落ち着かない!(笑)ほぼ原作どおりにストーリーは進むのですが、とにかくサスペンスでも異色の雰囲気を感じたのは、やはり中島監督作品だからでしょうか。。。

中学生って「金八先生」に代表されるように、本当に難しい年代ですよね。少年犯罪がそれまで以上にクローズアップされだしたのは、神戸の事件以来だと思いますが、この作品では、中学生の心理を多角的に扱っているところが、その年代の子を持つ親や学校の先生、そしてすでにその時期は過ぎていても、経験をしている親子など、中学生を身近に感じる人々にはかなり重くのしかかるテーマだと思います。

小説の感想にも書きましたが、やはりこの年代の子ども達はまだまだ親や先生など大人の影響も大きく、もちろんそれまでの関わり方が大きな鍵を握っていますよね。この作品の持つ危うさは実は実際にも紙一重のところにある場合が多いのかもしれません。

ちょっとした偶然から、殺人を犯すまでの目的がなかったとしても、ことが起きてしまう恐ろしさ・・・そこに至るには、単純に一つの要因だけではなく、いろいろと複雑なものが重なってしまったがゆえに起こってしまう不幸・・・それは人間の持つ残忍さや弱さが全て原因になると思いますが、この復讐劇は今の世の中に向けての警告であるという一面は否めないのではないでしょうか。「命の重さ」の教育はもうずいぶん前から小中学校でも一応カリキュラムには入っているものの、あまりに難しすぎて効果的な教育ができているかどうかは実際のところわかりません。

展開としては、小説の方が登場人物それぞれから観た事件の様子がはっきりと分けて語られるので、「藪の中」的な面白さは原作の方が強かったと思います。しかし、映像にすることによって、文章ではササっと読みすすめてしまっていた事件やいじめの問題、それらの負の連鎖などは、ものすごくリアルで、はっきり言って気分が悪くなるほどでした。(ーー゛)それほどまでに、重く厳しい状況が語られる話なんですね。

原作を読まずに映画を先にご覧になられた方は、どのように感じられたのか興味があるのですが、ミステリーとしての展開はやはり驚きが大きいですよね?私も本を読んだ時は、その展開に衝撃を受けましたから。しかし、結末を知った上で観ると(本の再読でも同じですが)、主人公の森口先生が意図とする本当のところは?などあらためて考えてしまいます。

私が観た回はレディースデーの午後でしたが、70%くらいの入りだったかな。普段は邦画の場合、比較的エンドロールになるとすぐに立って出て行く人も多いのですが、この映画のラストはピアノ版の「オン・ブラ・マイ・フ」がかかっても、まだ席を立つ人はほとんどいなくて、9割くらいの人が最後までおしゃべりもせずにじっとしていたんですよね。実は私も一番最後の森口先生の一言を聴いて、「えっ?」っと固まってしまいました。その一言は原作にはありません。あの意味は何なのでしょう?そのまま受け止めると中島ワールドになるような気がしたのですが、とにかくエンドロールの流れている間、ずっとそのことを考えてしまいました。おそらく他の観客の方も同じように思っていたのでは?と感じたのですが、ご覧になられた皆様はどう思われたでしょうか?

そこに至るまでの内容は本当に考えさせられる重いものでしたが、カメラワークの美しさはさすが中島監督でしたね。どのアングルもとてもセンスのある撮り方で、いつもの原色を使った色彩は姿を潜め、暗めのトーンがこの作品には合っていたと思います。

キャストもよかったと思いました。松たか子は賛否があったようですが、冒頭淡々と独白するシーンはイメージにピッタリでした。最近感情を大きく表に出さない内側の表現力みたいなものが上手くなったように思います。
 
そうそう、その独白シーンで思ったのですが、あんなシビアな話しをしている時は、いくら普段私語の多い中1でも、さすがに普通ならシーンとしますよね。もちろん衝撃的な牛乳の一見が告白されてからは空気が変わりましたが、それにしてもあそこまで野放し状態というか小学生にも劣るような中1は私の経験ではちょっとないかな(笑)。しかも携帯自由の中学って今は少ないと思うんだけど、そこだけが違和感ありでした。^^;でも学級崩壊状態ならあのようなクラスもあるのでしょうね。この作品では個別には描かれていない主人公たち以外の子ども達の不気味さも怖かったです。

キャストに話を戻しますが、KYなウェルテルの岡田将生も今までの高校生の役とは打って変わった教師役、しかもちょっと道化役的な感じなのによくチャレンジしましたよね。新米先生だったら、ああいう熱い教師もいるかもしれませんが、森口先生の話を聞くと彼も一連の事件に巻き込まれた被害者でもありますね。

直樹の母親役の木村佳乃は思ったより出番が少なかったのですが、このような精神的に追い詰められる役も上手いですね。小説ではもっと過保護な感じが強く書かれていたように思いますが、この直樹の家庭で思うのは父親の存在。。。よく言われますが父親の影が全くない家庭とはこういう家のことなのでしょうか。あそこまで妻が追い詰められているのに、何て無責任な父親なのかと、これもまた不可思議でした。

中学生役の子達は初めて観る子ばかりでしたが、皆上手かったですね。ジャニーズJrなどではなく、ほとんど世間に顔がまだ出ていない新人の子役を使ったのは先入観なく見れるしよかったと思います。主役の3人の役は難しかったでしょう。特に修哉と直樹の役の子は、年齢的に見てかなり精神的にもきつかったのではないかと思いますが、よく頑張っていましたよね。周りの大人は相当なフォローをしたのでは(精神的に)と思いました。

これはミステリーとして楽しめばいい作品だとは思いますが、どうしても少年法のことや、親子の家庭事情、学校におけるクラスの問題など、現実的なことが頭に浮かぶので、重く感じてしまいます。そこにあのラストの森口先生の言葉が入ったことで、イメージが少し変わるように監督は仕向けたのかなと勝手に思うのですがいかがなものでしょう。この一言の解釈は観客に委ねられていると思いますが、その受け留め方でこの映画の印象はかなり人によって違うものになるでしょうね。私はあえてそこに救いを求めたいと思いました。原作はミステリーとしては本当に面白かったけれど、フォローのないラストの後味は悪かったし、現実感のない話でしたから。。。
 
イメージ 2上映時間:106分
公開情報:劇場公開(東宝)
初公開年月:2010/06/05
ジャンル:サスペンス/ドラマ/学園
映倫:R15+
《コピー》
告白が、あなたの命につきささる。

監督、脚本:中島哲也
原作:湊かなえ  『告白』(双葉社刊)

出演: 松たか子 (森口悠子)
     木村佳乃 (下村優子(直樹の母))
     岡田将生 (寺田良輝(ウェルテル))
     西井幸人 (渡辺修哉)
     藤原薫 (下村直樹)
     橋本愛 (北原美月)
     新井浩文 (修哉の父)
     山口馬木也 (桜宮正義)
     黒田育世 (修哉の母)

【解説とストーリー】
 2009年の本屋大賞に輝いた湊かなえの同名ベストセラーを「嫌われ松子の一生」「パコと魔法の絵本」の中島哲也監督が映画化した戦慄のエンタテインメント復讐劇。担任クラスの生徒に娘を殺された女性教師が繰り広げる復讐の顛末が、事件に関わった登場人物たちそれぞれの視点から緊張感あふれるタッチで綴られてゆく。
 とある中学校の終業日。1年B組の担任・森口悠子は、ある告白を始める。数ヵ月前、シングルマザーの森口が学校に連れてきていた一人娘の愛美がプールで死亡した事件は、警察が断定した事故などではなく、このクラスの生徒、犯人Aと犯人Bによる殺人だったと。そして、少年法に守られた彼らを警察に委ねるのではなく、自分の手で処罰すると宣言するのだった。その後、森口は学校を辞め、事情を知らない熱血教師のウェルテルこと寺田良輝が新担任としてクラスにやってくる。そんな中、以前と変らぬ様子の犯人Aはクラスでイジメの標的となり、一方の犯人Bはひきこもりとなってしまうのだが…。(allcinemaより)

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★あくびさん、小学校の学級崩壊のクラスの話は聞きますが、やはり中学でもあるんですね。この映画の子ども達はみんな普通っぽいので、よけいにその背景がどんななのかと思うと恐ろしくなりました。
TBありがとうございます♪

2010/6/25(金) 午後 0:36 choro

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★kenさん、おっしゃるとおり、人間の弱さと哀しさを見事に表していましたね。人ってやっぱり基本的に寂しがりなんですよね。
原作を知らずに観ると、驚きも大きくサスペンスとしてはぐんと面白く観れると思います。(^^)

2010/6/25(金) 午後 0:38 choro

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★麺達郎さん、本当に怖いお話ですよね。
中学生が主人公というのが何ともその怖さを増していると思います。
大変な世の中なんだなぁとあらためて思ったり。。。
しかし重いけれど惹きこまれる映画でした。
TBありがとうございました♪

2010/6/25(金) 午後 0:42 choro

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★andanteさん、本当にそうですね。
ものすごく恐ろしい話を淡々と語られるのほど怖い事はありません。ましてやこの映像ですからね。
私も活字と映像とのギャップをある意味興味深く観ましたが、結構衝撃的でした。
TBありがとうございます♪

2010/6/25(金) 午後 0:49 choro

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★マリーさん、↑のandanteさんも書かれていましたが、本当に映像が綺麗な分、話の陰惨さとのギャップが怖いですよね。
子を持つ母親としては「何だかな〜」と落ち込みますね。(-"-)
しかし凄い作品でしたね〜

2010/6/25(金) 午後 0:51 choro

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★恋さん、何とも言えない重さに気分も悪くなりますよね。
しかし凄いインパクトで、この作品を映像化できたのはやはり中島監督の力もあってのことですね。
TBありがとうございました。
&温かなお言葉ありがとうございます♪

2010/6/25(金) 午後 1:01 choro

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私はこういう人の負の部分を収集陳列したような作品は、生理的に受け付けない筈なんですが、最後まで観てしまいました。そして、思ったほどの嫌悪感を持たずにスクリーンを後にしました。それでも、十分不快でしたが…^^;。
インパクトの強い作品は好きなんですが、本作は好きにはなれないと思います。子供たちをこんな風に描くのはあんまりです。それでもどこか惹かれてしまう部分もある、不思議な作品です…(^^♪。

2010/7/3(土) 午後 7:00 shin

原作は未読なのですが、あの一言は無いのですね。
現実感はまったく無いのですが、作品に引き込まれていきました。告白を通して、明るみになっていく事実が、うまく展開されていたり、残酷ながらに印象を残すようなエピソードもありました。それにしても、精神的に疲労とダメージを与えてくれた作品となりました(苦笑)TBさせてくださいね。

2010/7/4(日) 午前 1:51 [ - ]

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★Shinchanさん、不快な部分もあるのに、なぜか見入ってしまい、印象も深く残る作品ですよね。
私も好きな作品とは言えないのに、ミステリーとしての面白さと描き方に惹かれて読んだり観たりしてしまいました。(^^ゞ
確かに不思議な作品です。
TBありがとうございました♪

2010/7/4(日) 午後 10:24 choro

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★SHIMAさん、人間の残酷さが強く出ているので、不快感もありますが、それでも惹かれて観てしまうという不思議な作品ですよね。
そそ、とにかく疲れました。^^;
TBありがとうございます♪

2010/7/4(日) 午後 10:25 choro

結構予想外にショッキングな内容だったんで最初は面食らいましたがある程度エンタテイメントとして観れたんで意外に楽しめました。
それでも少年法の問題や後味の悪さは残りましたが。
TBさせて下さいね♪

2010/7/19(月) 午後 1:38 marr

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★marrさん、本当にショッキングな内容ですよね。
でもその分凄いインパクトでいろいろと考えさせられます。
ミステリーとしてエンタメ的にも楽しめるつくりなのは小説も同じですね。
TBありがとうございました。

2010/7/21(水) 午後 10:35 choro

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こんばんは。
たぶん中島監督自身の本の受け止め方が違うのでしょうね。
わたしは映画を見て、本を読んだのですが本の終わりに監督の話が載っていて、そうか結末はわからないんだと。。思ったのです。
少し経っているので考え違いかもしれないけど最悪なだけではなかったのかと・・・
でも作者は『告白』では振り上げたこぶしをそのままにしたので『夜行観覧車』ではそのこぶしを下げるものしした、と言っていたと思うんです。
映画の完成度は、観ているをその画面から引き離さなかったこと、終ってからきっと誰もがその衝撃に浸らされて考えずにいられなかったことで証明された気がします。
いつもながら素敵な映画評にポチ。
TBさせてくださいね。

2010/8/5(木) 午後 8:37 きたのこみち

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★きたのこみちさん、そうですね〜私も文庫のあとがきを再度映画鑑賞のあとで読んで同じように思いました。またそう思いたいですよね。
そうですか、「夜行観覧車」につながるところがあるんですね。早く読みたいです。
ポチありがとうございます。光栄です♪(^^)
TBもありがとうございました。

2010/8/6(金) 午後 5:48 choro

うーん、少し期待をしすぎたかもしれません^^;
確かに原作どおりだったんですけど、衝撃度が少ないと言うか…。
個人的には胸に響くものがなかったです(´0`i||)

トラバお願いします!!

2010/8/24(火) 午前 6:16 れじみ

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★レジミさん、展開や結末を知っていても楽しめる作品と、知らないほうが楽しめる作品とありますよね。
これはインパクトということに関しては、知らずに観た方がずっと面白いと思います。
なかなかこの小説を映像化するのは難しいですよね。
TBありがとうございました♪

2010/8/26(木) 午後 0:49 choro

はじめまして!CYANと申します。
たらさんのブログのTB見て、訪問しました♪

私は、この作品の原作を読まずに、映画を見た組なので、最後のひとことが、原作にはないこと、初めて知りました!

でも、この映画全般は、単純に「おもしろい!」(interestingの方です)と思いました。
中島監督のそのほかの作品は、途中で、ギブしたものばかりでしたので、初めて、吸い込まれた感のするものでした☆
もとの作品がいいからかもしれませんが・・・

それと、同じく金八を知っている世代としては、あの頃から、生徒(子供達)が、変わっていった。だから、今、こういう作品(映像的にも、闇をひきずっている感)になるのかぁ。という時代の移り変わりも感じることが出来たし。。。

映画を見て、皆のコメ見て、原作読んで、もう1度、楽しもうと思いました(^^)v


また、お邪魔させていただくこともあるかもしれませんので、よろしくお願いいたします<(_ _)>

2011/2/26(土) 午後 9:20 CYAN

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★CYANさん、はじめまして♪ご来訪&コメントありがとうございます♪
原作を知らずに観た方が映画の場合は素直に感動したり面白く観れたりすることが多いですよね。
しかし、この作品は原作がかなり重くて暗いので、中島監督がどのように映像化するのかとても興味がありました。
今までの監督の作品とはちょっとカラーが違うのは、当然原作のカラーだからだと思いますが、あの小説をここまでに仕上げたのはやはり監督の力も大きいと思います。そのままの映像化だったら、あまりに重くて観ていられないかも。
確かに金八あたりから中学生も変わりましたね。世の中の変化というより、家庭のあり方の変化が急激に加速したのかもしれません。
難しい問題ですよね。
わたしもお邪魔させていただきますね。こちらこそよろしくお願い致します♪

2011/2/27(日) 午後 10:49 choro

原作も映画もショッキングな内容でしたが、見ごたえありました!
下妻、松子、パコと同じ中島哲也監督とは思えない映像演出でしたねぇ〜!
松たか子の体当たり演技、岡田、木村も嫌われ役を見事に演じましたね♪

2011/11/26(土) 午前 7:08 やっくん

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★やっくんさん、そうですね〜これは見応えがありました。
キャストも凄かったですよね。皆気合が入ってました(笑)。
しかし怖い作品ですよね。
TBありがとうございます♪

2011/12/2(金) 午後 7:22 choro

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