choroねえさんの「シネマ・ノート」

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「愛する人」(2009)

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「彼女を見ればわかること」は未見なのですが、同じく脚本も手がけた「美しい人」の監督と聴くと、なるほどと納得でした。

「美しい人」もいろいろな年代の女性が主人公となりいくつもの物語がオムニバスで描かれていましたが、本作も軸になる3人以外にも出てくる女性は全て世の中の女性の代弁者のように描かれているんですね。

母から娘へ、そして孫へという血のつながりとは?というテーマはこれまでもいろいろな作品で伝えられてきましたが、本作ではかなり捻りのある複雑な角度からそれぞれの女性の姿が映し出され、人の運命の過酷さすら感じるビターな印象を受けました。

14歳で望まぬ出産をしたカレンも、今は50代になり年老いた母親の介護をしながらいまだに自分の過去を引きずって毎日生きています。このカレンは私と同世代になりますから、まずはその母親との関係と直面している老人問題など、最初から考えさせられました。
 
解説にあるように、そのカレンと母親の間には、生まれてすぐに養子に出した娘のことで確執があるのですが、実は本当の自分の気持ちを母娘共々出してないんですね。母娘というのは一番身近でわかりあっているようでいて、近すぎるために一線を引いてしまうと言った親子も多いのかもしれません。

そんなカレンは職場でもバリアを張ったような態度をとり、家に帰ってからも、母親の世話をしにきている家政婦のことも疎ましく思ったり、いつもぴりぴりとした感じの女性です。

一方その養子に出した娘エリザベスは10代ですでに自立して37歳になる現在まで全く結婚なども考えずに頑なな生き方をしています。仕事で成功はしているものの、自暴自棄にみえるようなセックスをしたりする反面、他人と深い繋がりを持つことを拒んでいますが、それは彼女が自分自身が生みの親から捨てられたと思っていることからか、人を信じることができないんですね。いわゆる信じられるのは自分だけという考えだと思いますが、心から笑うことのないようなエリザベスには前半哀しみすら感じてしまいます。

3番目の女性はカレンとエリザベスとは全く関係のないルーシーという不妊に悩む女性で、夫との話し合いの末、養子をもらうことを決意して教会関係の赤ちゃんを斡旋してくれるところへ出向き、20歳の未婚女性レイの子どもとの養子縁組に向けて準備を進めます。このエピソードではルーシーの母親、レイの母親も登場して、それぞれの母親から娘に対する思いが語られるのが印象的です。

他でもカレンの家の家政婦ソフィアにも娘がいるし、後半でエリザベスが同じマンションに住む盲目の少女ヴァイオレットも自分と母親とのことを語ります。

母親が子どもに対する思いはいつの世も、どこの国でも同じだと思うし、それぞれの感情はよく伝わりますが、個人的にストーリーとして残念だったのは、エリザベスの運命でしょうか。

【ここよりネタバレになりますのでご注意ください】
 
 
 
 
 
 

エリザベスの運命が決まってしまった時は少なからずショックでした。やはりこのような結末にはなってほしくなかったというのがホンネです。

登場人物の中で彼女だけがあまりに不幸な人生のような気がしてならないのですが、これも運命と思えば仕方がないと思いつつも、せめて一目でもカレンと会わせてあげたかったですね〜もちろん全てが丸く納まる大団円のラストというのもあまりに当たり前過ぎて映画としての面白みには欠けますから、悲劇も盛り込まれた内容というのもアリだとは思いますけど、心情的にはね。。。それでも後味は悪くなく、このラストは素直にほっとできる希望のあるものだったのはよかったです♪

ただ、最初はバラバラのようなそれぞれの話が、後半次第につながっていく展開は映画的でよいのですが、養子縁組の制度が日常的でない日本人にはなかなか理解しにくいのは「JUNO」の時も感じたので仕方ないですね。特に思ったのは、レイの突然の心変わりのために養子縁組が壊れてしまい落ち込むルーシーのところにシスターが訪れ、「実は運よく代わりの赤ちゃんがいる」と話すシーンを観ながら、「あっちがダメならこっち」というような感じにも取れ、レイの時は出産に立ちあってまで絆を深めたのに、これでいいの?とちょっと思ってしまいました。やはり日本では生まれる前から養子縁組をするのは身近で見ないからかしら。感覚的にわからない感じです。

そんな女性たちの、しかも母娘の話が中心となって進む物語の中で、登場する男性たちは脇役でありながらも意外と静かにサポートする人物が多いのもちょっと面白いですね。
 
キャストはよかったですね〜
ナオミ・ワッツは相変わらず綺麗ですが、妊婦姿を惜しげもなく披露。大胆な演技の中に芯の強さを見せ、なかなか殻を破る事のできない複雑で閉ざされたエリザベスの心をせつなく演じていました。

カレン役のアネット・ベニングがまた素晴らしい!カレンも母親を亡くしたあと、少しずつ自分の殻から出て行くわけですが、母親への思いや37年間会っていない娘への思いなど心に迫る表情が印象的でした。今年は「キッズ・オールライト」でGG賞やNY批評家協会賞など受賞、おそらくオスカーでもノミネートはされると思いますので楽しみですね。

ルーシー役のケリー・ワシントンは黒人女優の中でも好きな一人ですが、母親とのシーンがよかったですね。ルーシーの正直な気持ちに好感を持てました。しかし、実際に赤ちゃんを育て始めたら思っていたのとあまりに違いキレてしまうところは、子育てしたことのある女性なら誰もがよくわかるのでは?(笑)私も長女が生まれて3ヶ月までのあの睡眠不足には閉口して、街を歩くちょっと年上の子育て経験のありそうな女性には尊敬の眼差しを向けておりました。(^O^;あのシーンの母親の一言はよかったな〜(笑)

男性陣の中では予告でも出番の多かったエリザベスの弁護士事務所の上司ポール役のサミュエル・L・ジャクソンは押さえた演技でしたが、このポールもある意味かわいそうかも〜あのままでいいの?とも思ってしまいましたが、本当にあの後はないのかしら・・・?(おせっかいですが(笑))

他のキャストでは「スター・ウォーズ」のベイル・オーガナ(ジミー・スミッツ)や「24」のテイラー大統領(チェリー・ジョーンズ)、最近悪役が多かったデヴィッド・モースなどお馴染みの顔もたくさん出てきて楽しめました。(^^ゞ

しかし、子どものいる人いない人、欲しい人欲しくない人、親と仲の良い人悪い人、それぞれの立場から描かれているので、いろいろと感ずるところは多い作品ですね。「美しい人」もそうでしたが、ちょっとつかみどころのないところがあるのは、やはり男性の監督、脚本だからでしょうか。それが面白いと言えばそうなんですけどね。^^;
 
原題:MOTHER AND CHILD
上映時間 :126分
製作国 :アメリカ/スペイン
公開情報 :劇場公開(ファントム・フィルム)
初公開年月 :2011/01/15
ジャンル: ドラマ
映倫 :PG12

《コピー》
私も愛をつないでゆきたい、母のように──。
監督、脚本: ロドリゴ・ガルシア

出演:
ナオミ・ワッツ (エリザベス)
アネット・ベニング (カレン)
ケリー・ワシントン (ルーシー)
ジミー・スミッツ (パコ)
デヴィッド・モース (トム)
サミュエル・L・ジャクソン (ポール)

【解説とストーリー】
 「彼女を見ればわかること」のロドリゴ・ガルシア監督が、さまざまな形の母と娘の関係を通して愛憎と絆が織りなす哀しみと感動の物語を描くヒューマン・ドラマ。若さゆえに生まれたばかりの我が子を手放さなければならなかった母とその娘が、37年の時を経て、それぞれに人生の転機を迎えたことをきっかけに互いに引き寄せられ、やがて思いも寄らぬ運命へと導かれていくさまを巧みな脚本と実力派俳優陣の熱演で綴る。出演は「マルホランド・ドライブ」のナオミ・ワッツ、「アメリカン・ビューティー」のアネット・ベニング、「Ray/レイ」のケリー・ワシントン、「パルプ・フィクション」のサミュエル・L・ジャクソン。
 カレンは14歳で妊娠してしまい、母親によって強制的に赤ちゃんを養子に出されてしまう。それから37年、今ではその母親を介護しながらも、我が子を奪われたことへのわだかまりを捨てきれず、37歳になった実の娘に想いを馳せる日々。一方、生まれてすぐに養子に出され、母の愛情を知らずに育ったエリザベスは、弁護士として成功はしたものの、他人に心を許すことができず、男に対しても肉体の関係以上に深入りすることはなく、このまま孤独に年を取っていくと考えていた。ところがある日、会社のボス、ポールとの情事で予定外の妊娠をしてしまう。戸惑いとともに、初めて実母の存在を意識し始めるエリザベスだったが…。(allcinemaより)

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もしかしたら鑑賞するかもしれないので、前半だけ読ませて頂きました♪
確かに親子だからこそ、言えない事ってありますよね^^;
母と娘の物語と言う事で、男性が観るとどんな感想を持つか楽しみです(*^▽^*)

2011/1/21(金) 午後 11:14 れじみ 返信する

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男性の視点からだと、血のつながりへのこだわりがあまりピンとこないところがありましたけど、へえー、女性ってそんなふうに感じるところあるのかーってところがちょっと勉強になりました。ルーシーのお母さんの啖呵は痛快でした。TBさせてください。

2011/1/23(日) 午後 7:19 [ einhorn2233 ] 返信する

土曜日にお話しましたが(笑)途中までいい感じだったんですが、あそこからなんだかな〜って思っちゃいました。
キャストはほんとナオミワッツはじめみなさんほんと良かったですね。って・・・早くレビューを書かないとです(汗)

2011/1/23(日) 午後 8:24 ひかり 返信する

そうですね、そうですね、まさかあんな運命だなんて、彼女の運命だけを考えると悲しくて仕方なかったです。でも、おっしゃるように大団円のラストだと面白みにかけるんでしょうね。私も悲劇の分だけ、ラストシーンが感動的でした。TBさせてくださいね。

2011/1/24(月) 午前 11:32 + kuroneko + 返信する

私はこれは本当に好きな作品でした。
ラスト、ナオミ・ワッツは、それでも愛した人の子供を授かったことがわかり、その瞬間に幸せな表情になったんですよね。
勿論哀しい運命ですが・・彼女のトラウマの辛さを思うと、あれはあれで、素晴らしかったと思いました。
TBさせてくださいね。

2011/1/26(水) 午前 1:41 pu-ko 返信する

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★れじみさん、親子でも夫婦でもいえない事ってあると思うし、言わないほうがいい事もありますよね。^^;
これは男性の感想をより伺いたい映画でした。
記事にされたら是非拝見させてくださいね(笑)。

2011/1/27(木) 午後 5:34 choro 返信する

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★einhornさん、女性は本能的に子どもとの繋がりを感じ取ると思うので、やはり男性とは違った感想になるかもしれませんね。
でも監督も男性だし、そこがまた面白いと思います(笑)。
ルーシーのお母さん、的をついてましたよね。(^O^;
TBありがとうございました〜♪

2011/1/27(木) 午後 5:35 choro 返信する

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★ひかりさん、あの展開はせつなかったです。;;
しかしラストは温かな気持ちになれたのでよかったですけど。。。
私もちょっと感想書きにくかったです。^^;

2011/1/27(木) 午後 5:37 choro 返信する

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★くろねこさん、意外な展開に驚きましたが、これもまた映画的でいいのかなともおもい始めました(笑)。
そそ、その分ラストは感動でしたね〜
TBありがおつございました〜♪

2011/1/27(木) 午後 5:39 choro 返信する

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★pu-koさん、絶賛ですね!(^^)
確かにエリザベスのラストの表情は幸せに満ちていたように思えます。せつないけれどラストに繋がる展開としてはよかったのかもしれません。^^;
女性にとってはいろいろなことを思う映画でしたね。
TBありがとうございました♪

2011/1/27(木) 午後 5:41 choro 返信する

やっと遅くなりましたが記事かけました。
なんだかちょっと忘れかけたり・・・(汗)
そうですよね〜一目会ってたら少しは救われたと思うんですよね〜
TBお願いいたします。

2011/1/29(土) 午後 3:29 ひかり 返信する

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★ひかりさん、残念でしたよね〜
ま、だからこそこのラストになるわけですが(笑)。
TBありがとうございました♪

2011/2/2(水) 午後 10:52 choro 返信する

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これはかなり良かったです。
私はこのくらい苦いラストがすごく好きかも・・
色々な母と娘の姿が描かれていて、思い当たることなどもあり
共感できました。
TBさせてくださいね。

2011/2/8(火) 午後 8:34 car*ou*he*ak 返信する

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★カルちゃん、それぞれの想いが伝わる作品でしたね〜
女性なら誰もがどこかに共感できますよね。
TBありがとうございました♪

2011/2/11(金) 午後 6:20 choro 返信する

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あまり期待しないで観たのですが、とんでもなくよかったです。冷静に書かれていて素晴らしいレビューですね。母と娘の37年後から始まる着眼点や過酷な試練を与える脚本の見事さ。静かで人も想いを強く感じられるいい映画でした。TBさせてくださいね。

2011/3/2(水) 午後 11:45 シーラカンス 返信する

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★シーラカンスさん、母と娘の思いが静かに伝わってくるような素敵な作品でしたね。
バラバラに始まる物語が一つに繋がる見事な脚本でした。
TBありがとうございます♪

2011/3/7(月) 午後 3:36 choro 返信する

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女性がたくさん出てきて、どの人もたくましかった。
女性の強さを再認識させてくれる作品でした。
TBさせてください!

2011/4/6(水) 午後 10:41 かず 返信する

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★かずさん、そうですね〜やっぱり女性はたくましいってあらためて思える映画でしたね(笑)。
TBありがとうございます♪

2011/4/8(金) 午後 11:16 choro 返信する

「美しい人」はそれぞれの物語が短くて、イマイチ感情移入が出来ませんでしたが、こちらは凄く楽しめました♪
やっぱり女性の心理描写が上手いなぁと思います^^
と思いましたが、女性からすれば男性が撮ったこの作品には、また思うところもあるんでしょうね…。
エリザベスの運命に関してはショックでしたが、その後の繋げ方が良かったので、安心しました♪

TBお願いします!!

2012/2/15(水) 午後 0:19 れじみ 返信する

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★れじみさん、この心理描写は上手かったですね〜
キャストもよかったし、男性が撮った作品というところもまた注目wすべき点かもしれません。
そそ、エリザベスの運命は悲しかったけれどラストがよかったのでホットしますね。
TBありがとうございました♪

2012/2/19(日) 午後 5:33 choro 返信する

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