全体表示

[ リスト ]

「ザ・タウン」(2010)

イメージ 1
 
ベン・アフレック監督の第一作目「ゴーン・ベイビー・ゴーン」はちょっとイーストウッド監督作品の雰囲気を思わせる重厚な作品でとても見応えがありました。今回2度目の監督作品は自身が主演もしていますが、同じ自分の育ったボストンの街を舞台にした、これもまた見せ場のある面白い映画になっていたと思います。

ボストンは小澤征司やジョン・ウィリアムズなどのボストン交響楽団やハーバード大などのある学園文化都市のイメージが強かったので、このような犯罪の多い街と聞き少し驚きました。しかし解説にもありましたが、確かに「ミスティック・リバー」や「ディパーテッド」もボストンが舞台だったことを思うと納得です。

そんなボストンの犯罪地区であるチャールズタウンが舞台になっており、冒頭から主人公たち4人組の強盗団が、まさにプロの手口で見事なまでの銀行強盗劇を演じます。銃社会のアメリカの銀行強盗は怖いですね。余談になりますが、同じ銀行強盗でも先日読んだ伊坂幸太郎の小説「チルドレン」「陽気なギャング〜」に出てきた銀行強盗とは迫力が違います(笑)。

見事なまでと書いてしまいましたが、そのやり方は綿密に練られた計画を寸分の狂いもなく短時間でこなし、強盗団の能力の高さを最初から感じさせられます。その強盗劇の合間に、4人組のメンバーのそれぞれの役割もサラリと紹介され、自分の仕事は徹底してビシっとこなすプロ意識の強いグループであることが解かるんですね。
 
彼らはこの町の労働者階級で育った若者たちで、前科があっても今はそれぞれ仕事にもついていて普段は地味な生活を送っていますが、なぜ強盗をするようになったのか詳しくは語られません。ただ、主人公でグループのリーダーであるダグは父親も同じ仕事をして、今は終身刑で刑務所におり、ダグ自身はアイスホッケーのプロ選手を目指していたところその夢破れ、父親の後を継ぐような形になってしまったことが描かれています。

そのダグが、最初の銀行強盗で仲間のジェムが人質として連れ帰ってしまった銀行の支店長クレアを探る為近寄った事から、彼女に恋心を抱くようになり、そこから彼は自分の生活を変えたいと思うようになるんですね。元々殺人は絶対にしない主義から、血のっ毛の多いジェムの行動には手を焼いていたところがあったりするのですが、彼とは幼い時から兄弟のように育ち、その絆は強いものでした。

「ゴーン・ベイビー・ゴーン」でも感じた『人の生まれ育った環境による運命は果たして変える事は不可能なのか』というテーマはここでも重く伝わってきました。(「ミスティック・リバー」もそうでしたね)自分とは全く違った人生を歩んで来たと思われる外の街から来たクレアを愛してしまったことによって、ダグは今までの自分を捨てて希望のある将来を持ちたいと思うのはとてもよく解かります。でも、それを叶えるには少し遅すぎたのかもしれません。

またもう一つ、ダグは母親がなぜ家を出てしまったのか、刑務所の父親に聞いても答えは得られず、幼い頃からずっとそのことが頭に引っかかっていたのですが、この母親の話の謎が最後に解かされた時はせつなかったです。

この街にはアイルランド系移民がたくさん住んでいて、「ディパーテッド」と同様、結局彼らの多くがギャングになってしまうという負の連鎖があるようですが、移民の話は私たち日本人には実感がなかなかつかめない問題の一つですよね。解説によると映画で語られている英語もボストン訛りが強く、強盗団の元締めのファーギーはアイルランド訛りが強いのは移民1世ではないかと書かれていましたが、ファーギーやダグの父親たちは、移民として生活していく困難から強盗になったと考えていいんですよね?

映画としても面白かったですね〜狭い路地でのカーチェイスはドキドキものだったし、レッドソックスの本拠地であるフェンウェイ・パークでのロケは大画面で観ると圧巻ですね。3回にわたるダグたちの強盗のクライマックスがこのフェンウェイ・パークなのですが駐車場での壮絶な撃ちあいなども迫力満点でした。

ただ、ラストに関しては賛否が分かれるかもしれませんね。私は今回はあまり深くは考えずに観終えたのですが、倫理的に疑問が残るというのも解かるような気がします。(「重力ピエロ」と同じですね)原作とは変えてあるそうなのでいつか原作も読んでみたいですね。

キャストはよかったですね〜ベンは監督をしながらの主演で大変だったと思いますがとてもよかったと思います。クレアとのデートの時、ジェムが突然現れ、クレアの知っている事実を感ずづかれないように焦るシーンなど、ドキドキしてしまいました。静かな雰囲気のダグの母親に対する思いや、その秘密を知ってからの行動などの変化もうまく演じてましたね。

クレア役のレベッカ・ホールも犯人を愛してしまった苦悩がよく伝わってきました。このシチュエーションは映画やドラマでよくあるのですが、”今日は晴れた日だから”のせりふにはジーンと来てしまいました。;;彼女の愛が伝わるシーンでしたね。

ダグの幼馴染でもあり相棒でもあるジェム役のジェレミー・レナーはピッタリでしたね。ちょっとアブナイキャラでしたが、彼が8年の刑をくらった殺人の理由などから、ジェムのダグへの思いもきちんと描かれていて、壮絶なラストも素晴らしい演技だったと思います。オスカーにノミネートされてますね。(^^ゞ

彼らの元締めで表向きは花屋を営んでいるファーギー役のピート・ポスルスウェイトはこれが遺作になるのでしょうか。allcinemaによると2010年に本作の他「タイタンの戦い」「インセプション」が公開されていますが、癌でなくなったことを知ってから観たせいか、ずいぶん痩せられたな〜という印象を受けました。でも、アイルランド移民の役のせいもあり、まさに適役でしたね。静かな演技の中に怖さを出せる貴重な俳優さんだっただけに、益々惜しまれますね。

他ではダグの父親役がクリス・クーパーだったのは嬉しかったです。出番は少なかったけれど、やっぱり存在感がありますよね。

映像もこの街をしっかりとカメラに捉えている撮り方は「ゴーン・ベイビー・ゴーン」の時と同じですね。一瞬音のない映像が挟まれたりするところも緊迫感があってよかったです。

ベン・アフレックは監督として今後も活躍していくのでしょうね。また次回作が楽しみになりました♪
 
原題:THE TOWN
上映時間 :125分
製作国 :アメリカ
公開情報 :劇場公開(ワーナー)
初公開年月 :2011/02/05
ジャンル :犯罪/ドラマ/アクション
映倫 :PG12

監督: ベン・アフレック
原作: チャック・ホーガン 『強盗こそ、われらが宿命』(ヴィレッジブックス刊)
脚本: ベン・アフレック、ピーター・クレイグ、アーロン・ストッカード
音楽: デヴィッド・バックリー 、 ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

出演:
ベン・アフレック (ダグ)
ジョン・ハム (フローリー)
レベッカ・ホール (クレア)
ブレイク・ライヴリー (クリスタ)
ジェレミー・レナー (ジェム)
タイタス・ウェリヴァー (ディノ)
ピート・ポスルスウェイト (ファーギー)
クリス・クーパー (ビッグ・マック)

【解説とストーリー】
 チャック・ホーガンのハメット賞受賞のミステリー『強盗こそ、われらが宿命』を、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」に続いてこれが監督2作目となるベン・アフレックが自ら主演も兼任して映画化した犯罪ドラマ。強盗を家業とする主人公が、ある女性を愛したばかりに仲間との絆の狭間で葛藤を深めていくさまと、追及の手を緩めないFBIとのスリリングな攻防を緊張感あふれるタッチで描き出す。

 全米屈指の強盗多発地区、ボストンのチャールズタウン。この街に生まれ育ったダグは、かつては輝かしい将来を夢見ていたものの、今では父親と同じ道を進み、気心の知れた幼なじみたちを率いて銀行強盗を繰り返す日々。毎回周到な準備で鮮やかに仕事をやり遂げてきた彼らだったが、ある時、やむを得ず一時的に人質を取って逃走を図る。しかし、解放した女性クレアが、同じ街の住人だったことから、自分たちの正体に気づかれたかもしれないと不安がよぎる。そこで探りを入れるため、偶然を装い彼女に近づくダグ。しかし、不覚にも恋に落ちてしまう。やがて、FBI捜査官フローリーの追及がダグへと迫る中、足を洗ってクレアと新たな人生に踏み出したいと考え始めるダグだったが…。(allcinemaより)

閉じる コメント(40)

アバター

クライムアクションとしても、ドラマとしても楽しめる面白い作品でしたね。
そそ、クレアのあのセリフ、お金の使い方に愛を感じますよね。
ラストは一ひねりあるのかと思ったのですが普通な感じを受けました。
でも、そこまでの展開がヘビーだったから作品の締めとしてはアリかなと思いました。
TBお返しさせてもらいますね。

2011/2/12(土) 午前 11:10 くみょん

顔アイコン

★くみょんさん、はい、これは楽しめる映画でしたね〜♪
クレアのちょっとしたセリフに愛を感じますよね。表情とかからもとてもよく伝わりました。
確かにラストはちょっと綺麗過ぎる感じでしたが、私もこれもアリかなと思いました。(^^ゞ
TBありがとうございます♪

2011/2/12(土) 午後 8:07 choro

顔アイコン

ベンアフの町というか環境に対する思いが良く伝わってくる作品でした。やはり環境というのは人の人生に大きく影響しますよね。
ベン自身も今までの作品より演技がよかったような気がしました。ジェレミー・レナー、助演男優賞でオスカー獲れるでしょうか?
TBお願いします。

2011/2/12(土) 午後 8:15 オネム

顔アイコン

★オネムさん、そうですね〜いろいろなことを考えさせられますよね。
キャストもよかったですね。
ベンの監督のセンスに今後も期待したくなります。(^^ゞ
TBありがとうございました♪

2011/2/12(土) 午後 8:30 choro

彼らの生まれ持っての運命から逃れられないって描写が虚しく人質解放の撮り方など絶妙でした!

2011/2/13(日) 午前 11:30 [ MA2DA裏BLOG ]

ダグとジェムの関係というか、どんなに手を焼く奴でも親友というか幼馴染の熱い友情を、クレアを脅かす男を倒しに行く時〜理由もなにも話さずとも「どっちの車で行く?」しか言わないジェムに感じたなぁ。かなりハードな内容なのに、甘いラストにベンってロマンチスト〜♪って思ったの。

2011/2/13(日) 午後 4:47 [ myp*nk*5jp ]

顔アイコン

★MA2DAさん、そそ、あの人質解放のシーンは巧く撮られてましたね〜
運命のせつなさを感じる作品でもありました。
TBありがとうございます♪

2011/2/13(日) 午後 10:32 choro

顔アイコン

★マリーさん、確かにベンはロマンチストなのかも(笑)。
原作では違うラストと聴くので気になります。
ダグとジェムの関係も街と共に歩んできたことがよくわかりますよね。

2011/2/13(日) 午後 10:33 choro

【ソーシャル〜】や【英国王〜】が賞獲りで盛り上がる中、個人的にはこちらも見ごたえがあって好きでした。
人間の描き方があまりにリアルで、やはりラストはかなり倫理的な感想を持ってしまいましたけど、役者さんやアクションシーンも素晴らしく、これはやはり監督の力なんでしょうか。
TBさせてくださいね☆

2011/2/14(月) 午後 9:16 なぎ

顔アイコン

★なぎさん、これは映画らしい見応えのある作品でしたね。
人物描写も見事でした。
ベンは監督としての力があると信じて今後の作品も期待したいです。
TBありがとうございました♪

2011/2/14(月) 午後 11:43 choro

顔アイコン

ラストあんなに何にもないだだっ広い自然の中で、ダグは何を思ってたんでしょう。ダグはどこで暮らしても、結局タウンを断ち切ることは出来ない、そう思います。どんなにどうしようもない町でも、それが自分の町。ジェムと同じように、どうしようもないやつでも断ち切ることが出来ない。pu-koさんが、タウンが主役の映画っておっしゃってましたが、そのとおりだと思います。
よかったです…(^^♪。

2011/2/15(火) 午後 11:19 shin

やっと記事にしましたので、TBさせてください!!ゴーン・ベイビー・ゴーン、未見なので、観なくては!!

2011/2/16(水) 午後 0:23 + kuroneko +

顔アイコン

★Shinchanさん、そうですね〜確かにダグは自分の街を断ち切る事はできないような気がします。
タウンが主役、まさにそうですね。
映画としてもよくまとまっていた作品でした。

2011/2/16(水) 午後 10:26 choro

顔アイコン

★くろねこさん、TBありがとうございます〜♪
「ゴーン〜」よかったので是非ご覧になってくださいね〜(^O^)

2011/2/16(水) 午後 10:27 choro

カーチェイスや銃撃戦やら巧く見せ場がありセンスの良さを感じましたね〜
そうそう、クリス・クーパーが出てくると思わず
嬉しくなりました(*゚∀゚)=3
TBしま〜す

2011/2/23(水) 午前 8:29 [ 翔syow ]

顔アイコン

★Syowさん、そそ、センスを感じましたよね。(^^ゞ
クリス・クーパーもいいですよね〜やっぱり出てくると嬉しくなりますよね。(^^)
TBありがとうございました♪

2011/2/26(土) 午後 9:45 choro

顔アイコン

切ないですね。
想いとは裏腹に思い通りに生きられないもどかしさを凄く感じました。
TBさせてください。

2011/5/19(木) 午後 11:33 かず

顔アイコン

★かずさん、ですよね〜運命の過酷さを感じますね。
TBありがとうございました♪

2011/5/21(土) 午後 10:04 choro

アバター

ようやく見ました!
ダグとクレア以外の人物描写がもうちょっと欲しかった気もしましたが、
アクションシーンの迫力は凄かったですね。
TBさせてくださいね。

2013/1/16(水) 午後 10:20 木蓮

顔アイコン

★もくれんさん、いろいろと考えさせられる映画でしたね。
せつないお話でした。
TBありがとうございます。

2013/1/22(火) 午後 2:36 choro

開く トラックバック(15)


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事