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ベテラン二人の夫婦役がオスカーでも主演男優賞と助演女優賞にノミネートされたのが記憶に新しい作品ですが、監督がアレクサンダー・ペインというのも興味深く、楽しみに観てまいりました。(2週間ほど前になりますが。(^^;
 
冒頭、年老いた父親ウディが、ある「くじ」で大金を当てたので、ネブラスカ州のリンカーンという町まで取りに行くと言い張り、車の運転はリタイアしているため、何度も歩いて町を出ようとします。見かねた次男のデイビッドは、そのくじはインチキとわかりつつ父親を納得させるために一緒にネブラスカまで出向くことになりますが・・・
 
父と息子の話というと、とかく対立する話が多いように思いますが、ここで描かれる父子はとてもゆったりとした関係。主人公のウディには二人の息子がいますが、長男はしっかりと家庭を持ち、仕事もマスコミ関係で忙しくしています。しかし、次男のデイビッドは同棲していた彼女にも振られ、今一つぱっとしない30(?)男。でも、両親のことを気にかけ、母親の止めるのも聞かず、父親に付き合う優しい心を持った息子なんですね。
 
中盤からはロードムービーとなり、親子の珍道中が続きますが、途中ウディの故郷でもあり、デイビッドも幼少の頃に過ごしたホーソーンの伯父の家に寄ることになります。そこに行きつくまでも、かの有名なラシュモア山に寄ったり、つかの間の観光気分を味わおうとしますが、偏屈のウディはけんもほろろ・・・息子は立つ瀬がないですよね〜(^^;
 
伯父レイの家での何とも言えない雰囲気がおかしいですね。なりばかり大きくて、フラフラしているレイの息子二人や、ウディが昔一緒に仕事をしていたエドにも会いますが、うっかりと大金の賞金を当てたと口をすべらしたことから、次第に人間の裏側が見え始め・・・
 
ペイン監督の作品で初めて観たのは「サイドウェイ」でしたが(これは大好きな作品)、後からDVDで観た「アバウト・シュミット」も、決してものすごく二枚目とかエリートとかではない、ごく普通の、どちらかというとさえない感じの主人公が、旅に出ることで自分を見つめなおし、新たな人生を歩み始めるという、ロードムービーならではの展開は同じですね。
 
クスっと笑えるシーンも多く、どこか憎めない主人公たちですが、本作では定年退職直後を描いた「アバウト・シュミット」より更に20年後くらいの老人が主人公というのも面白いです。高齢化社会になったのはどこの国でも同じ。車の運転もやめ、人生の先が見える年齢に達したウディが、ラストに意気揚々とトラックを運転する姿を見ると、人は単純にいくつになったからこれは諦めて、とか決めてしまうことは生きる意欲も失いかねないというのが、あらためて伝わってくるような気がしました。
 
前半のウディは「大丈夫か」と思えるほど、少々ボケた感じですが、ラスト近くには、それが本当に年齢によるものなのか、もしかしたらわざとそのふりをしていたのかと思うほど、最初と最後では顔付きも変わっていきますね。
 
オスカーにノミネートされたウディ役のブルース・ダーン'74のレッドフォードの「華麗なるギャツビー」でトム・ブキャナン役だった人なんですね〜その「ギャツビー」もついこの前観たばかりなのに、全く気づきませんでした。(^^; 本作での演技は、本当に等身大で素晴らしかったですね。まるで実際に少し認知症になりかかっているようなウディの行動やしゃべりは、確かにオスカーにノミネートされたのも納得の演技でした。
 
妻役のジューン・スキッブも同じくオスカーにノミネートされてましたが、メチャ口の悪い老妻を面白可笑しく演じています。長男とネブラスカまで追いかけてきて合流してからは、本当に面白かったですね。自分の若い頃を何気に過激に語る口調がさばけていて笑わせてくれます。オスカーを受賞してもよかったかなと思える楽しい演技でした。
 
父にずっと付き添う次男デイビッド役のウィル・フォーテはコメディアンだそうですが、なかなかの落ち着いた演技で、ラストのトラックを買うシーンではジーンとさせてくれます。こんな優しい息子を持ったウディは何て幸せなのでしょう。思わず、デイビッドにも早く素敵な伴侶がみつかりますようにと祈りたくなってしまいました。(笑)
 
ペイン監督の作品は、どこにでもいるようなごく一般庶民の人生の一片を、とても魅力的に語ってくれますね。クスっと笑わせてくれるところも多く、最初は心配だった主人公に、誰もが最後はエールを送りたくなる素敵な作品だったと思います。全編モノクロというのも味があってよかったです。(^^)


若き日のブルース・ダーン(確かにギャツビーの時のトムでした(笑))
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原題:NEBRASKA
上映時間:115
製作国:アメリカ

公開情報:劇場公開(ロングライド)

初公開年月:2014/02/28
ジャンルドラマ/コメディ
映倫:G
 
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回り道がもたらした
人生最高の当たりくじ
 
監督:アレクサンダー・ペイン        
製作:アルバート・バーガー、ロン・イェルザ        
脚本:ボブ・ネルソン        
撮影:フェドン・パパマイケル        
音楽:マーク・オートン        
 
出演:
ブルース・ダーン・・・ウディ・グラント
ウィル・フォーテ・・・デイビッド・グラント
ジューン・スキッブ・・・ケイト・グラント
ステイシー・キーチ・・・エド・ピグラム
ボブ・オデンカーク・・・ロス・グラント
 
【解説とストーリー】
 「サイドウェイ」「ファミリー・ツリー」のアレクサンダー・ペイン監督が、怪しげな当選賞金を受け取るべくネブラスカへと向かう年老いたガンコ親父と、その旅に付き合うハメになった息子が繰り広げる珍道中の行方を心温まるタッチで描いた全編モノクロによるハートフル・ロード・ムービー。主演は本作の演技でカンヌ映画祭最優秀男優賞に輝いたブルース・ダーン、共演にウィル・フォーテ、ジューン・スキッブ、ステイシー・キーチ。
 アメリカ北西部のモンタナ州に暮らす老人ウディ・グラント。ある日、100万ドルの賞金が当たったという、どう考えてもインチキな手紙を受け取る。ところがウディはそれを信じ込み、はるか遠くのネブラスカまで歩いて賞金を受け取りに行こうとする始末。息子のデイビッドは、周囲が何を言ってもまるで耳を貸さない父に根負けし、無駄骨承知で彼を車でネブラスカまで連れて行くことに。そしてその道中で、ウディの生まれ故郷に立ち寄る父子だったが…。(allcinemaより)

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公開されているのを見つけて観てきました。
どうもデイビッドに自分を重ねてしまって、最後は涙が止まらなかったです(´Д⊂ヽ
年を取って惚けてきたからプライドが無くなる訳ではない事が、最後の運転シーンで分かりました。
TBさせてくださいね。

2014/5/6(火) 午後 0:47 木蓮

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★もくれんさん、どこにでもあるような家庭だけに、いろいろと重ね合わせることもできますよね。
高齢化社会になった日本でも、同じようなことを考えながらの毎日を送る人は多いと思います。
真剣に考えなくてはいけないことでもあり、家族はやっぱり家族だなと思ってしまいますね。
TBありがとうございました。

2014/5/14(水) 午後 8:46 choro

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亡父を思い出してしまうシーンが多々あって、やるせなくなってしまいました。アチコチ擦って来るようになって車の運転を諦めてもらったことなど、身につまされてしまって・・・。とはいえ何だかんだ言いながら見守る家族がいるのは幸せなことですね!
TBさせてくださいね。

2014/5/16(金) 午前 9:57 アンダンテ

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モノクロがロードムービーの雰囲気をより盛り上げて凄く良い味でしたね。
二人の旅はぎこちなくて遠回りだったかもしれないけれど、最後の「凱旋」が痛快だったし心温まりました。
TBお願いします!

2014/5/24(土) 午後 11:21 かず

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★andanteさん、ご自分の経験に近いエピソードのある物語は考えてしまいますね。
高齢化社会となった現代では、このような作品は必ず思い当たることがあり、身につまされることも多いですが、気づかされることもあるので、映画の力ってすごいなと思います。
家族の絆の物語は心が温まりますね。
Tbありがとうございました。

2014/5/27(火) 午後 10:40 choro

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★かずさん、モノクロというところがまたいいですよね。
たとえ遠回りの旅だったにせよ、親子の絆と愛が温かく家族にとっては必要な旅だったのでしょう。
TBありがとうございました。

2014/5/27(火) 午後 10:42 choro

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