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『永遠の仔』 天童荒太 著
本好きの友人から何年も前から勧められていました。 次女が週二で幼稚園に行くようになり、少し時間ができたので意を決して大作に挑みました。 文庫本では全5巻。 読みごたえありました。 そして終盤で明かされる17年前の真実は衝撃でした。 主人公は男の子2人と女の子1人の3人。それぞれに問題を抱えており、小児専門病院の精神科で入院生活を送っています。 彼らは大人からは精神を病んでいると診断されているのですが、本当は生きるために一番必要なものを求め続けているのだと思います。 そしてそれを得るために、ここではないもうひとつの世界に行くために、彼らはある計画します。 退院が決まった子ども達が登山療法で向かう先、霊峰である石鎚山で実行すべく。。 物語は、入院中の子ども時代と、再会した17年後の3人を、季節を移ろいながら追っていきます。 読みながら思ったのは、この本との出会いが今でよかった、ということです。 20代半ばの頃の私が読んでも、3人の求めるものや必要としてるものにここまで共感出来なかったと思います。 私は、末っ子育ちでナイーブな母には幼い頃から気を遣っていたので、反抗したことがほとんどありません。優希の優等生ぶりがすこーしだけわかる気がします。 実の母なのに委ねられない、頼れない、むしろこちらが気遣ってあげなければならない。これは普段の親子関係の中でですら残念でならないのに、虐待の中にあったらどれほどの絶望か…。 3人ともつらい生き様ですが、作者の寄り添うような姿勢に希望を感じます。 そして、あとがきで作者が沢山補足していたせいか、遺された彼らがそれぞれのこれからの幸せを自然と願ってしまいます。 天童荒太作品は初めてでしたが、丹念な筆の運びに重いテーマでも温かい勇気を与えられました。 |
母さんの図書室
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『風が吹くとき』
これは、スノーマンの作者、レイモンド・ブリッグズが書いた絵本です。
映画化もされているので、周りに話すとそちらを観た、という知人が多かったです。
私が教えてもらったのも、映像の方でした。
ちなみに映画はYouTUBEで観られるので、コチラをどうぞ。
イギリスの田舎に暮らす老夫婦の日常が戦争に巻き込まれ、
政府の広報に沿ってシェルターを手作りし、備えます。
ついに核爆弾が投下され、被爆により日に日に衰弱していく二人。。。
政府を信じて疑わない夫、TVドラマと家の中に関心のすべてを注ぐ妻。
どこにでもいる普通の夫婦ですが、情報が操作されていることに気づかない愚鈍さが悲しいお話です。
核爆弾の投下のシーンは閃光のみ。
夫婦以外に描かれる人物はいません。なので、無残に横たわる犠牲者も描かれていません。
ただただ、二人の老人が何も知らされず、何も気づかずに、
徐々に蝕まれていく姿が、痛々しいです。
最後に、夫婦がパンフレットに添って用意していた紙袋の本当の用途がわかった時は、鳥肌が立ちました。
背景は核戦争という、フクシマとはだいぶ異なりますが、
“無知の怖さ”は充分に通じると思いました。
シュールな物語ですが、笑えません。
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夏川草介著 『神様のカルテ』 を読みました。
図書館で予約して、これまた忘れた頃に順番が回ってきた本です。
が、この時節でよかったー。
舞台は、信州・松本。季節は晩秋から冬にかけての物語。
しんしんと冷えていく信州の空気が、肌の記憶を呼び覚まします。
長野の降雪量は新潟よりも少ないけれど、寒さだけは負けてない。松本もしかり。本当に冷える!
でも、だからこそ心がほっこりと温まる、そんな今の時期にぴったりの一冊でした。
松本にある地域の基幹病院で働く勤務医・栗原一止(くりはらいちと)の語りで展開。
彼は、夏目漱石をこよなく愛するゆえに、古風な話し方の個性的な5年目医師。
病棟のスタッフや患者からは「変人」と思われているけれど、
彼の周りには、個性的な「男爵」に「学士殿」、そして世界を駆け回る写真家の妻「ハル」がおり、
御嶽荘の同じ屋根の下に住み、交流をもっている。
医師不足の地域医療の現実を垣間見られる救急外来の慌しさ、少しの馬鹿ばかしさ、
多忙を超えて、過労死してしまうのではないか(なにせ、「神様のカルテ」ですから!)と思わせるほどの
厳しい勤務実態。
そういった日本の末端医療のリアルさを、重くなく、でも他人事でなく、うまく描いてるなーと思いました。
御嶽荘に住まう人の変化、自身の医局入局への迷い、そして末期がんの患者が遺してくれた「お土産」・・・。
小さい山や大きい山を越えて、その先に見えるものを
生き急ぐ世の中に、路傍の石となって語りかけてくれる、そんな本でした。
そしてわたしには、仕事復帰したくなる気分にさせられる本でした。笑
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『アマルフィ』 真保裕一著
ご存知、昨年映画公開された「アマルフィ 女神の報酬」の原作。
映画とは物語りは異なるようで、最初のプロットを基に作者が書き下ろしたようです。
イタリアが舞台となっており、日本人少女の誘拐に端を発した事件に日本の外交官・黒田が立ち向かい、誘拐された少女の母親・紗江子とともに事件の真相に迫っていく・・・。
アマルフィは、イタリアにある観光地。ユネスコ世界遺産にも登録されている。犯人が身代金の受け渡しに指定してくるが、失敗に終わってしまう。
黒田と紗江子が事件を追い、徐々に明らかになる犯人に繋がる一つひとつのピース。解明に向けて動いているかと思われるが、周到に用意された犯人らの犯罪計画に乗って事は運ばれ、やがて最終目的が判明するが・・・。
というストーリーです。
映画はまだ観ていないのですが、充分に物語のスピード感が感じられ、ドキドキを楽しめる作品でした。
本を読む限り、私としては外交官役は織田裕二と言うより、北村一輝かなー。
全編にわたって、大使館や外務省などの官僚批判が鋭く描かれていました。毒舌・・・。
バチカン専用列車やユーロスターなどは、あまり知識がなかったので、ちょっと旅気分も味わえました。
イタリアは夢の地なので、妄想が膨らみます♪
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こうたんが2歳になるより前だったかなー、オットの叔母さんからプレゼントされました。
なんでもご近所に絵本屋さんがあって、良い本と出合えるお店と評判なのよ、と。
初めて見る本で、シンプルな印象でした。
が、こうたんのハマりっぷりといったら!!
この本がきっかけで、この後一年以上にわたって、彼は「並べる」お仕事をし続けることになるのです。
あらゆるところに、あらゆる形で、並べ続けることに。。。。
それほどまでに、並べる楽しさを教えてくれた一冊は、こちら。
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