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前日、準備に数ヶ月を費やした行事が無事に終わった。
非道く、疲れていた。
こんな時は、どこか遠くの山か川に行ければ良いのだが・・・
幾つかの用件を抱えていて、市内を離れられなかった。
仕方がないので、ジムに汗を流しに行った。
ジムから出てきたら、雨が上がっていた。
家に帰り、駐車場の片隅に置いてあるプランタ−を見て、はっとした。
六月の末に蒔いたサワグルミの芽が、鮮やかな緑色を用土の上に見せていたのだ。
今年の発芽は諦めていたので、新鮮な驚きがあった。
サワグルミの種子は、私のフライフィッシングの師であるT氏が送ってくれたものだ。
添えられた手紙には
「苗に育ったら、好きな渓のほとりに植えて下さい。」
とあった。
私は、恐らくその様にするだろう。
そして、木は育ち、私が渓に通わなくなってからも、渓を伝う風に豊かな緑の葉を鳴らし、たわわな実を着けるに違いない。
私が身退った後は、私の魂は時に宿り、川面に羽化する虫やそれを狙う魚や鳥たちを、好きなだけ眺められる訳である。
きっとT氏は、それを知っている。
だからこそなのだ。
七十半ばのT氏は、釣りをやらなくなってから随分経つが、やはり師たる存在である。
ちなみにサワグルミの他に、もう一種類の別の種子を戴いた。
チョウセンゴヨウノマツの種子である。
こちらの方は、またの機会にお話しするとしよう。
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