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人生足別離
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「マネーモンスター」2016年 アメリカ)


 監督:ジョディ・フォスター
キャスト:ジョージ・クルーニー / ジュリア・ロバーツ           ジャック・オコンネル


 私は今まで株式投資をしたことがない。生来の面倒くさがり屋の性格に加えて,この世の様々な事象を,経済,正確に言えば株の上がり下がりに結びつけて考えることに抵抗があるからだ。いずれにせよ,株式投資はギャンブルである以上,結果に対して責任を負うのは自分しかいない。したがって,株で損をした責任を投資アドバイザーに押しつけて,その責任を取れと言う人間が現れても,「自己責任でしょ」としか思わないが,株式のカラクリはそれほど単純なものでもないらしい。「マネーモンスター」はジョディ・フォスターが監督した4本目の映画だが,そのあたりの問題をサスペンスタッチで描いた作品で,なかなか楽しめた。オススメの1本である。ジョージ・クルーニーの感情が徐々に変化していくプロセスも見物だ。


 「マネーモンスター」は株式投資などのアドバイスをするテレビの人気番組のタイトルだ。この番組は生放送で,MCを勤めるのがリー(ジョージ・クルーニー)で,プロデューサーがパティ(ジュリア・ロバーツ)である。リーは少しチャラチャラした男だが,アドリブのセンスが抜群で台本通りに進行したためしがない。 
 さて,3月6日の株式情報でリーが強く推薦したアイビスの株が暴落,一瞬のうちに80億ドルの損失を出したために,CEOのキャビンがこの番組に出演して,損失を出した原因について説明することになっていたのだが,どこに行ったのか,番組が始まる時間になってもテレビ局に姿を現さないのである。仕方なく,広報担当のダイアン(カリーナ・バルフ)がその説明をするためにスタンバイをしているのである。リーの軽快な語りから番組が始まり,アイビスの株の値下がりについての話をしているとき,一人の男がスタジオに現れ,その男が天井に向かって銃を一発撃ったために,スタジオの雰囲気がガラッと変わる。あとで分かるのだが,男の名はカイル・バドウェル(ジャック・オコンネル)。アイリスの株で6万ドルの損失を出したために,株が下がった原因を説明しろというのである。カイルはリーに爆弾のついたベストを着るように命令する。ベストには無線受信機がついており,その爆破装置のスイッチをカイルが握っていて,手を離すと爆発する仕組みになっているのだ。リーは,アイビス株の下落の原因はアルゴリズムが暴走したためだというのだが,そんな説明でカイルが納得するはずがない。このあたりから,カイル,リー,それにテレビのモニターを見ながらリーに指示を出したりしているパティの攻防が始まる。このプロセスはなかなか面白いのだが,カイルはひたすら「CEOのキャビンに説明させろ」というのである。しかし,そのキャビンが行方不明で連絡がつかない。ダイアンが説明するが,アルゴリズムのバグが原因だと言うだけで,カイルを納得させることができないだけでなく,反対に逆上させてしまうのである。もちろん,警察の狙撃班もやってくるのだが,爆破装置のスイッチをカイルが握っているために手が出せないのである。この様子は全米に中継され,何百万,何千万の人たちが見ることになるのだが,やがて,アルゴリズムを設計した金融工学者が,そのアルゴリズムが勝手に暴走することなどあり得ないといった情報を送ってきたりして,なかなか興味深い展開になっていくのである。ここから先はネタバレになるので,書くのを控えるが,話の展開はテレビ局のスタジオにとどまらず,リーとカイルが外に出て行き,クライマックスへとつながっていくのである。
 この映画は,単純に娯楽サスペンスとして見てもかなり楽しめるが,ウォール街を中心として繰り広げられるマネーゲームに対する批判的な観点から鑑賞することも可能であろう。リーがカイルの気持ちを静めようとして,アイビスの株価を上げるための手を打つシーンがある。
 リーはテレビ中継を見ている何百万,何千万の視聴者に対し,今すぐアイリス株を買って欲しいと訴えるのである。彼は言う。「儲かるから言うんじゃない。俺を救ってくれ。我々は人間,良心がある。人間は本能的に助け合う。数式が命じるからじゃない。ハートで正義を行うんだ。」パティがつぶやく。「番組で相場を作るということだ。」アイリス株は徐々に上がり出し,8.49ドルまで上がる。そして,3.37ドルまで急落するのである。株価が上がったところで売りに出た株主も大勢いたのである。なかなか示唆的なシーンではあった。

  • 口車で顧客を乗せて自ら動かさせる不思議な投機の魅惑。
    そうなったら確かに自己責任を押し付けられる。
    世の中はそんなことで一杯だ。

    [ シム- ]

    2016/11/5(土) 午後 5:12

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    > デルモ☆さん

    私は「自己責任」という言葉はあまり好きではないのですが,20年間ほど競馬にのめり込んでいた時期がありますので,その時の経験から,公営ギャンブルにしろ,株式投資にしろ,そういったものはすべて自己責任だと思っております。

    [ 飛行機雲 ]

    2016/11/5(土) 午後 11:32

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    監督・ジョディー・フォスターは板についてきましたね。後半の展開が独特でした。
    後ほどTBお願い致します。

    atts1964

    2016/11/6(日) 午後 1:18

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    > atts1964さん

    前3作は見ていないのですが,この映画は,監督としても十分な力量の持ち主だということを示した作品だと思います。後半の展開は面白かったですね。ネタバレになるので書けないのが残念です。(笑)
    TBありがとうございます。

    [ 飛行機雲 ]

    2016/11/6(日) 午後 6:26

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    こんにちは☆
    ご訪問頂いたのに、コメント欄休んでいて失礼しております。

    >ジョージ・クルーニーの感情が徐々に変化していくプロセスも見物だ。

    興味ひかれる作品でしたね。(*^_^*)

    [ yutake☆イヴ ]

    2016/11/14(月) 午後 10:01

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    > yutake☆イヴさん

    atts1964さんのブログから訪問いたしました。ご覧になっている映画の本数はハンパじゃないですね。それに, yutake☆イヴさんの映画の批評のスタイルは,なかなか魅力的だと思います。

    [ 飛行機雲 ]

    2016/11/15(火) 午前 0:19

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    劇場公開で見逃してしまい、DVDで観ました。今日のマネー資本主義の暗部を鋭く追及した見応えのある作品でしたね。実際はテレビで推薦の株式を購入する人は余りいないでしょうが・・・。私は6万ドルをお薦めの株式に投資はできませんね。
    ジュリア・ロバーツの作品はプリティ・ウーマン以来です。最初はディレクターを誰が演じているかわからなかった。 削除

    [ ジャンバラヤ ]

    2016/12/30(金) 午前 1:07

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    > ジャンバラヤさん

    番組で相場を作っていき,かなり上がったところで急に株価が下がるシーンはなかなか面白かったですね。結局,他人の命より自分の金儲けということですね。「プリティウーマン」はずいぶん以前の映画で,あの頃はジュリア・ロバーツも若かったですね。私はこの映画はDVDで見たのですが,最近では,「八月の家族たち」や「シークレット・アイズ」に出演していますね。

    [ 飛行機雲 ]

    2016/12/30(金) 午前 2:15

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