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高齢化に伴い遭遇することがままある疾患です。急に肩、腿(肢帯筋)の痛み、こわばりが生じて来ます。炎症反応(CRP、赤沈 : ESR) が強く、他の疾患を除外することは必要ですが、特異的な臨床症状だけで充分疑えます。失明を伴う可能性のある血管炎(側頭動脈炎、欧米では巨細胞性動脈炎)を伴っていないことに注意すれば、少量のステロイド(PSL 5~15mg/日)で、劇的な効果があり、患者さんは大変喜ばれます。
http://www.docbj.com/kkr/kako/73.htm より Orz〜
「リウマチ性多発筋痛症 (polymyalgia rheumatica : PMR)
他に原因のない肩、腰周囲の筋肉痛を起こす病気です。この病気がわが国の医学雑誌と教科書に現われるようになったのは今からおよそ25年前といわれ、専門医が認識するようになってまだ日が浅く、線維筋痛症と同じく一般の医師のあいだにこの病気に対する認識がさほど浸透していないのが現状です。人口の高齢化とともに増加する可能性があり、また知識がいま以上に深まり、かつ普及すれば、病態のより複雑な例や非定型例が発見される機会が多くなり、この病気に対する理解はいま一層高まるであろうと言われています。
○ 特徴・症状
一般に50歳以上,特に60歳以上の高齢女性に好発する原因不明の炎症性疾患で,体幹近位筋の疼痛とこわばりを主徴としています。頸部,肩,大腿などに2週間以上続く筋肉の疼痛とこわばりが特徴で,ある朝急に痛み始めるといったエピソードなど突発的な発症が多くみられます。痛みはふつう片側の肩の筋肉から痛み始め、数日または数週間のうちに両肩の筋肉が痛むようになる。次いで痛みは他の近位の筋肉群におよび、1ヵ月以上続くようです。痛みの性状は「朝、カミソリで筋肉が削り取られるように痛む」,「寝返りを打つことも、起き上がることもできない」,「起き上がろうとすると、両側の大腿の後部が絞るように痛む」,「排便・排尿が至難である」などの強い訴えもあるようです。発熱,全身倦怠感,体重減少などの全身症状や軽度の関節炎を伴うこともあります。この病気には15-20%に側頭動脈炎と呼ばれる血管障害の合併が多く、両方のこめかみを通るこの動脈が腫れて痛んだり、頑固な頭痛や視力障害に悩まされたといった症状が見られます。この側頭動脈炎とリウマチ性多発筋痛症は密接に関連していると考えられています。
○ 診断
特異的な検査所見には乏しいのですが,線維筋痛症と違って赤沈値の亢進,血清CRP濃度高値などの炎症反応と,軽度の貧血および白血球数と血小板数の増加がみられるようです。一方、顕著な筋症状にもかかわらず血清CPKなどの筋原性酵素は増加せず、リウマチ因子や膠原病などで見られる抗核抗体は通常陰性です。(抗CCP抗体も陰性)
○ 病名 リウマチ性多発筋痛症:Polymyalgia Rheumatica(PMR)について
この病気の正体がはっきりしないのに、病名に「リウマチ性」の名を冠して良いのか、という疑問は専門家の間にもありますが、今日では、少しあいまいなままに、リウマチ性多発筋痛症はリウマチ性疾患
rheumatic disease のなかに分類されています。「リウマチ:rheumatism」とは,運動器(関節,筋肉,骨,靱帯,腱など)の疼痛とこわばりを呈する疾患の総称」ですので、おそらく全身にわたる痛みの多発に対して「リウマチ性」の名が付けられたのでしょう。
リウマチ性多発筋痛症(PMR)の診断基準は下記のような基準もあります
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1. 両側の肩に痛みとこわばりがある。
2. 発病から2週間以内に症状が完成する。
3. 朝のこわばり(頚部、肩甲帯、腰帯)が1時間以上続く。
4. 赤沈が40・/時以上に促進する。
5. 65歳以上に発病する。
6. うつ状態ないしは体重減少がある。
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PMRを疑う基準:
・.上述の項目のうち、3項目を充たす場合.
・.上述の項目のうち1項目以上を充たし、また臨床的、
病理組織学的に側頭動脈に異常が認められる場合.
○ 治療
リウマチ性多発筋痛症では、ステロイド剤が特効薬です。側頭動脈炎などの合併がない場合、比較的少量で劇的な効果がみられることもあります。むしろこの疾患が疑われたときには治療的診断法が有用で、少量のステロイド剤によって筋肉の痛みとこわばりが改善すれば、疑いが濃厚になります。ふつうステロイド剤服用後12時間で効果があるが、1週間続けて効果がなければ、別の病気を考えるべきであると言われています。」
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/064.htm より Orz〜
「側頭動脈炎(Temporal Arteriris)(巨細胞性動脈炎(Giant Cell Arteriris))とは
主に60歳以上の高齢者に発症する頸動脈とその分枝の動脈、特に側頭動脈の炎症を主徴とする原因不明の血管炎です。頭の側面に存在する側頭動脈が、血管炎により、痛みを伴い、肥厚、発赤することから側頭動脈炎と呼ばれるようになりました。動脈の生検による組織学的検査では巨細胞を含む肉芽腫が認められるため、巨細胞性動脈炎(Giant cell arteritis)とも呼ばれます。リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica)の症状が約30%の患者さんに認められ、両者はきわめて近似した疾患と考えられています。特定疾患(難病)の1つに指定されていますが、患者さんへの医療費給付は行われれていません。
1998年に行われた厚生省疫学研究班と難治性血管炎分科会による疫学調査では、1997年1年間の全国病院受療推定患者数は約690名(95%信頼区間で400〜980例)です。受療率は人口10万人対0.65名です。男女比はほぼ1:1.7でやや女性が多く、発症年齢は平均71.5歳です。男女ともに60歳後半から70歳代にピークがあります。・・・若年者に発症する高安動脈炎と対照的です。本邦では比較的希な疾患で、欧米の白人に多いことが知られています。原因は不明です。・・・
1998年の全国調査では、初発症状としては、側頭動脈痛、限局性の頭痛、頭皮部の疼痛、側頭動脈の拍動性の頭痛などが約70%の患者さんに認められます。頭痛は、拍動性で、片側性で、夜間に悪化しやすいことが知られています。有痛性または肥厚性の側頭動脈を触れます。発熱、体重減少などの全身症状は約40%の患者さんに認めます。眼症状(視力・視野障害、虚血性視神経炎など)は約34%の患者さんに認め、筋肉痛と関節痛はそれぞれ20%、13%ぐらいの患者さんに認められます。
・・・眼症状を有する症例は、リウマチ性多発筋痛症の合併、体重減少、筋肉痛などの全身症状が少ない傾向があります。リウマチ性多発筋痛症が約30%認められます。大動脈にも障害がおこることがあり、このため、間欠性跛行、解離性大動脈瘤などをみることがあります。このほか、うつ病、不安感、記銘力低下、器質的脳症状(脳梗塞など)、聴力障害などをみることがあります。・・・眼底検査では、視神経乳頭の虚血性変化、網膜の綿花様白斑、小出血なとが認められます。 頸動脈の血管造影で動脈の狭窄・閉塞が認められます。側頭動脈の生検により巨細胞性動脈炎を認めますが、病変は必ずしも連続性ではないために、2−3cmの動脈の生検が必要であることが知られています。
早期に発見し、ステロイド療法を行います。これにより、視力障害までの進行が予防できます。プレドニゾロン1日30〜40mgより内服治療を開始します。失明のおそれがある場合にはステロイド大量による治療が必要です。その後、ステロイド剤の漸減療法が行われます。多くの症例で投薬中止が数年間の治療後に可能です。ステロイドが著効し、数年以内に寛解状態になります。最も留意すべき点は失明に対する配慮ですが、早期からのステロイド治療により防止が可能です。予後は良好です。厚生省研究班の調査結果では治癒・軽快が87.9%の患者さんに認められました。」
日本には少ないといわれる巨細胞性動脈炎ですが、確定診断には動脈の生検というとっても野蛮な検査が必要なんですよね。^^; わたしは嫌いだから、、、疑えば即治療し、治療的診断でよいと思ってますけど。。。また、画像診断も進化してるから、たとえばMRAなどにより診断できるようになって欲しいと思ってます。昔は、そんなものなかったからすべて組織を取って顕微鏡でみないと確定できないっていう診断基準になってるんだと思うんです。今は、そんな検査より、患者さんに優しい検査で代用できるように是非してもらいたいですね。^^v 血管炎の場合は、たいてい発熱を伴います。また、最近経験したんですが、、、側頭動脈から分枝する血管に、顎関節に至る動脈があるんですが、その動脈に炎症が起こり、狭窄による虚血症状として「顎跛行 ( jaw claudication) 」という症状があります。これは、この疾患に結構伴い易く、特異的な症状と考えられています。食べ物を噛んだり、しゃべったり、とにかくアゴの筋肉を動かすと心臓でいうところの労作性狭心症と同じく虚血性の痛みが生じるわけです。まさにこれにピッタリ一致する症状を呈された方がおられました。PSL 15mg より開始(あとから考えると少なかったですね)し、すぐ痛みは取れましたが、CRP がなかなか下がらず、、、微熱も続き、、、でも、結局、2~3ヶ月後にはすべて落ち着かれました。現在は、CRP(-)。PSL 5mg/日で、フォローできています。^^v PMR の方は、年間一人強の頻度で遭遇しますから、プライマリーケア医としても知悉しておく疾患だと思います。
画像:上:巨細胞性動脈炎の熱型
http://www7.plala.or.jp/machikun/shourei14.htm より Orz〜
中:側頭動脈炎:血管の硬結を触れる。
http://xakimich.hp.infoseek.co.jp/Image/temporal-arteritis-1.jpeg より Orz〜
下:側頭動脈の生検
http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec05/ch069/ch069c.html より Orz〜
「局所麻酔の注射をした後、側頭動脈が通っている部位を浅く切開して、最低でも長さ2.5センチメートルほどの動脈の組織片を採取します。」
画像:最下:前部虚血性視神経症 anterior ischemic optic neuropathy (AION)
(1) 乳頭は蒼白浮腫を示す(眼底所見)
(2) 乳頭を巻き込む脈絡膜循(蛍光眼底所見)
(3) MRangioで検出された頭蓋内内頚動脈狭窄
http://www4.ocn.ne.jp/~nurophth/o_aion.htm より Orz〜
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