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中年女性で徐々に胸・腹水が貯留し、心・腎・肝障害はなく、CRPも陰性、蛋白尿(+)、CH50 やや低下という症例があった。腹水穿刺し、腹水の性状もチェックするもWNL(within normal limit)。消化管内視鏡検査にても WNL。結局、精査目的で大学病院に紹介。消化器内科での ANF(+)にて膠原病内科に転科され、lupus peritonitis(ループス腹膜炎)と診断され、ステロイドパルス療法にて寛解導入されたケースがあった。入院時に CH50(補体)軽度低下してて、蛋白尿も(+)だった・・・レトロスペクティブに考えたら、、、鑑別に上げるべき疾患であった...^^;
SLE は普通 CRP陰性で、漿膜炎を伴うと陽性になると習っていたのが桎梏となり端から除外してしまったわけである...非典型例は数限りなくあるわけだけど、、、食欲が落ち痩せてくるとどうも消化器の悪性疾患の方に頭が向いちゃう...
むかし、おじいさんの腹がどんどん膨隆してきて、腹水の細胞診は grade III 。外科転科して、開腹した途端腹膜への癌の播種の診断ですぐ閉じられた...しかし、腹水の細胞分類でリンパ球有意の性状のため、結核性腹膜炎を疑い治療し、軽快したケースも思い出した...肉眼的に騙されちゃったのか、開腹時組織生検は為されていなかった...詳しくは覚えてないが、Tb-PCRの検査などまだない頃の話...
内輪の勉強会に最初の症例を提示しようかとカルテを出しているところだが、、、検索してたら,,,
POEMS症候群ってのが引っ掛かったもので・・・^^v きれいなネーミングとは裏腹...
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/070_i.htm より Orz〜
単クローン抗体を伴う末梢神経炎(クロウ・フカセ症候群、POEMS症候群)
「■概念・定義
1956年、Crowは多発性骨髄腫に末梢神経障害を合併した2例を報告した。・・・本邦では1968年に深瀬らにより「多発性神経炎及び内分泌異常を惹起した孤立性骨髄腫」として報告されたが、その後に相次いで同様の多発性神経炎、内分泌異常を伴うplasma cell dyscrasiaの症例が報告され、多発性神経炎、内分泌異常、plasma cell dyscrasiaは1つの症候群として把握すべきものとの提唱がなされた。 これまでCrow‐Fukase症候群、POEMS症候群、高月病、PEP症候群などの名称で呼ばれているが、これらはすべて同一のものである。現在本邦においてはCrow‐Fukase症候群、欧米ではPOEMS症候群と呼ばれることが多い。 POEMSとは、多発性神経炎(polyneuropathy)、臓器腫大(organomegaly)、内分泌異常(endocrinopathy)、M蛋白(M‐protein : monoclonal protein)、皮膚症状(skin changes)の頭文字を表している。1997年に本症候群患者血清中の血管内皮増殖因子(VEGF: vascular endothelial growth factor)が異常高値となっていることが報告されて以来、VEGFが多彩な症状を惹起していることが推定されている。すなわち本症候群は形質細胞腫が基礎に存在し、多発ニューロパチーを必須として、 その他の臨床症状として臓器腫大(肝脾腫)、内分泌異常(女性化乳房、甲状腺機能異常)、M蛋白血症、皮膚症状(色素沈着、剛毛、血管腫)、骨硬化病変など多彩な症状を併存する症候群と定義し得る。血清VEGFはほぼ全例で高値を示し、診断に有用である。( * 眼科ではうっ血乳頭を示すことで知られる疾患)
■疫学
深瀬らの報告以来、我が国において多くの報告がある。1983年の厚生省神経疾患研究委託費「末梢神経障害の病態とその治療に関する研究」において全国調査が行われ、我が国におけるCrow-Fukase症候群102例の臨床的解析が報告された。発症に地域特異性はなく、全国に広く分布している。 また1995年に高月は上記の102例に1991年までに報告された56例を加えた臨床像を検討し、男女比は1.5:1であり、発症は20歳代から80歳代と広く分布していることを報告。平均発症年齢は男女ともに48歳であり、多発性骨髄腫に比較して約10歳若かった。2004年の・・・全国調査では、国内に約340名の患者がいることが推定された。欧米からの報告は少なく、日本においてより頻度の高い疾患であるとされている。
■病因
本症候群の多彩な病像の根底にあるのが形質細胞の増殖であり、おそらく形質細胞から分泌されるVEGFが多彩な臨床症状を惹起していることが実証されつつある。VEGFは強力な血管透過性亢進および血管新生作用を有する( * VEGFは強力な血管新生と同時にヒスタミンの約50,000倍の血管透過性亢進作用などの生理的作用を持つ)ため、浮腫、胸・腹水、皮膚血管腫、臓器腫大などの臨床症状を説明しやすい。しかし全例に認められる末梢神経障害(多発ニューロパチー)の発症機序については必ずしも明らかではない。・・・末梢神経構成蛋白、糖蛋白やガングリオシドに対する抗体は陰性であり、神経生検組織像でも明らかなリンパ球やT、B細胞浸潤の像はない。基本的な病理学的変化は脱髄(myelin uncompaction)であるが、下肢遠位部では軸索変性が認められる。
■治療
標準的治療法は確立されていない。現状では以下のような治療が行われており、新規治療も試みられている。少なくとも形質細胞腫が存在する症例では、病変を切除するか、あるいは化学療法にて形質細胞の増殖を阻止すると症状の改善をみること、血清VEGF値も減少することから、形質細胞腫とそれに伴う高VEGF血症が治療のターゲットとなる。
(1)孤発性の形質細胞腫が存在する場合は、腫瘍に対する外科的切除や局所的な放射線療法が選択される。しかし腫瘍が孤発性であることの証明はしばしば困難であり、形質細胞の生物学的特性から、腫瘍部以外の骨髄、リンパ節で増殖している可能性は否定できず、局所療法後には慎重に臨床症状とVEGFのモニターが必要である。
(2)明らかな形質細胞腫の存在が不明な場合、又は多発性骨病変が存在する場合は全身投与の化学療法を行う。同じ形質細胞の増殖性疾患である多発性骨髄腫の治療が、古典的なメルファラン療法に加えて自己末梢血幹細胞移植を伴う大量化学療法、サリドマイド、あるいはボルテゾミブ(プロテアソーム阻害剤)などによる分子標的療法に移行していることに準じて、本症候群でも移植療法、サリドマイド療法が試みられている。・・・」
多発性骨髄腫(MM : multiple myeloma)の特種型のような気がする・・・
サリドマイドの作用機序として新性血管が作られるのを阻害すると言われてるはず...
だから、、、薬害であるサリドマイド児では腕の血管が作られないことでアザラシのような手になってしまうのだと記憶してる...ほかにも、IL-6やTNF-αを阻害する働きも言われてたと思う...
サリドマイドに関してはまたまとめてみたい...Orz
http://blog.goo.ne.jp/pkcdelta/e/2de6715bfb7ae876c3a935a498975324 より Orz〜
POEMS症候群と血管内皮細胞成長因子(VEGF)
2005年07月23日 07時35分22秒 | 末梢神経疾患
「・・・本疾患では血清エリスロポイエチン(EPO)が低下することを初めて指摘した(多発性骨髄腫患者では低下しない).また臨床経過の増悪に伴いVEGFの上昇とEPOの減少は高度となり,かつ治療が奏功した場合,ともに正常化することも示している.またVEGFは,診断マーカーとしてのみならず,予後因子としても有用であることを指摘し,治療前1500pg/ml未満の症例では治療反応性が良好であったと述べている(EPOは治療反応群と非反応群で差はなし).VEGFは治療効果のメルクマールとしても有用だそうで,有効性の乏しいIVIgや一過性にしか効かない血漿交換ではVEGF値が低下しないのに対し,有効性があると考えられる放射線療法やアルキル化剤投与ではVEGF値は低下した.・・・」Brain 128; 1911-1920, 2005
腫瘍随伴性皮膚病変 paraneoplastic dermatoses の一つにも分類されている...ま、たしかに...
画像:http://www.igaku-shoin.co.jp/journalDetail.do?journal=32486 より Orz〜
BRAIN and NERVE‐神経研究の進歩
2008年06月号 (通常号) ( Vol.60 No.6)
特集 Crow-深瀬症候群(POEMS症候群)
Crow-深瀬症候群の電気生理
三澤 園子
Crow-深瀬症候群の末梢神経病理
神田 隆
Crow-深瀬症候群とVEGF
有村 公良・他
Crow-深瀬症候群(POEMS症候群)の治療
河村 信利・他
Crow-深瀬症候群の新規治療?末梢血幹細胞移植とサリドマイド療法
桑原 聡
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