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3. 最小公倍数
二つ以上の整数 a, b, c,・・・ に共通な倍数をそれらの整数の公倍数という. 0は常に公倍数である. それを除けば公倍数の絶対値は a, b, c,・・・ のいずれの絶対値よりも小さくはないので, 公倍数の中に正で最小のものがある.それを最小公倍数(least common multiple 略して L.C.M.)という.
二つ以上の整数 あ、b、c、・・・ に共通な約数をそれらの整数の公約数という. 1は常に公約数である.公約数の絶対値は a, b, c,・・・ のいずれの絶対値よりも大きくはないので, 公約数の中に最大のものがある.それを最大公約数(greatest common measure 略して G.C.M.)という.
定理
二つ以上の整数の公倍数は,最小公倍数の倍数である.
二つ以上の整数の公約数は,最大公約数の約数である.
a, b の最小公倍数を l ,最大公約数を d とすれば ab=dl
a, b が互いに素で,他の整数 c と b との積 bc が aで 割りきれるなら,実は c が a で割りきれる.
証明
a, b, c,・・・の最小公倍数を l とし, m を任意の公倍数とする. m を l で割った商を q ,余りを r とすると
m=ql+r, 0 ? r < l
となる. l も m も a の倍数であるから l=al', m=am' とおくと
r=m-gl=a(m'-ql')
より, r は a の倍数である.同様に b, c, ・・・の倍数でもあり, r は a, b, c,・・・ の公倍数となる.ところが l は正で最小の公倍数 であったから,もし r が0でないとすると, lより小さい正の公倍数がある ことになり, l の最小性に反する.
∴ r=0
つまり m は l の倍数である.
a, b, c,・・・ の最大公約数を d とし, m を任意の公約数とする. l を d とm の最小公倍数とする. a は m の倍数であり, d の倍数である.つまり m と d の公倍数であるから(1)より a は l の 倍数である.同様にb, c, ・・・ も l の倍数である. つまり l は a, b, c,・・・ の公約数である.d が最大の公約数なので,
l ? d
一方, l はd とm の最小公倍数なので d ? l
∴ l=d
d と m の最小公倍数 l が d に一致した.d は m の倍数, つまり任意の公約数 m は最大公約数 d の約数である.
l は a, b の最小公倍数であるから適当な整数 a' と b' を用いて,
l=ab'=ba'
とおける. ab は a, b の公倍数だから(1)から ab は l の倍数である.
ab=ml
とする.よって
ab=ml=ma'b, ab=ml=mab'
∴ a=ma', b=mb'
つまり m は a, b の公約数である.(2)より最大公約数dの約数なので,d=me とおける.
一方 d は a, b の最大公約数なので a=da", b=db" とおける.よって
a=da"=mea", b=db"=meb"
一方,a=ma', b=mb' であるから,ma'=mea", mb'=meb"が成り立つ.
∴ a'=ea", b'=eb"
その結果,
l=ab'=aeb", l=a'b=ea"b
∴ l/e=ab"=a"b
ところがこれは l/e が a, b の公倍数であることを示している. l が最小の公倍数なのでその最小性により e=1 .
∴ m=d つまり ab=dl
a, b の最大公約数が 1 なのでa, b の最小公倍数は ab である. 仮定から bc は a の倍数であり,したがってa と b の公倍数である. よって bc は ab の倍数であり,
bc/ab=c/a が整数
つまりc は a の倍数である.□
この定理の証明において,前節の「除法の原理」が基本定理として用いられてることが わかる.日頃当然のように論証で使っていることが,「除法の原理」を基礎に厳密に示される.
問題
a, b は互いに素な正の整数とするとき,次の問に答えよ.
1. 分数 (7a+2b)/(3a+b) は既約分数である.
2. ps-qr=1 なる正の整数 p, q, r, s に対して, 分数 (pa+bb)/(ra+sb) は既約分数である.
3. (11n-42)/(3n-13) が既約分数にならないような 自然数 n を,小さい方から順に三つ求めよ.
1.
解法1
(7a+2b, 3a+b)=(2(3a+b)+a, 3a+b)=(a, 3a+b)=(a,b)=1
解法2
7a+2b=M, 3a+b=N とおくと逆に解けて
a=M-2N, b=-3M+7N
したがって M とN の最大公約数を d とすれば a も b も d で割れる。
(a,b)=1 なので、d=1 つまり、与式は既約分数。
2.
pa+qb=M, ra+sb=N とおくと逆に解けて
a=sM-qN, b=-rM+pN
したがって M と N の最大公約数を d とすれば a も b も d で割れる。
(a,b)=1 なので、d=1 つまり、既約分数である。
3.
(11n-42, 3n-13)=(4(3n-13)-n, 3n-13)=(-n, 3n-13)=13
分子、分母が13 の倍数になるときのみ既約でない。ゆえに n=13,26,39
画像:原論(幾何学原本)ヴェネツィア, 1482年, 初版.
http://www.kanazawa-it.ac.jp/dawn/148201.html より Orz〜
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