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造影CT検査時、患者さんへの造影剤による副作用の情報提供を行い、同意書をもらっています(インフォームドコンセント)。その中でも腎障害を引き起こすことが懸念され、水分を充分摂っていただくようにしています。
2008年6月5日のMedical Tribune に、「N-アセチルシステイン(NAC)事前投与でヨード造影剤による腎障害(造影剤腎症)を予防」という記事が載ってます。
「・・・スキャンの質を向上させるために使用するヨード造影剤は、重度の腎障害を引き起こす可能性がある。通常、造影剤はCTスキャンや血管造影などの検査の前に静注する。・・・多くの高齢者や糖尿病患者、心不全患者を含め、すでに腎臓が弱っている患者は造影剤による障害リスクがもっとも高いことから、N-アセチルシステイン錠の服用により得られる便益がもっとも大きい。・・・」
http://plaza.umin.ac.jp/JPS1927/fpj/topic/topic_123_224.htm より Orz〜
造影剤腎症とその保護薬 (九州大学病院薬剤部矢野貴久,大石了三)
「ヨード造影剤は,血管造影やCT 造影などの画像診断において必要不可欠な体内診断薬で,その年間国内売上げ1,000億円以上から推定される使用回数は極めて膨大である.その一方で,造影剤腎症と呼ばれる急性の腎障害を引き起こすことが広く知られており,臨床現場における大きな問題の一つとなっている.造影剤腎症の定義は一般的に「造影剤投与後48時間以内に生じた血清クレアチニンレベルの25% 以上の上昇」と言われており,通常は1週間程度で回復する可逆的な障害である.造影剤腎症の発現率は報告により大きく異なるが通常は30% 以下である.しかし,糖尿病,心不全,高齢者,すでに腎障害を有している患者や,抗癌薬,抗菌薬,解熱鎮痛薬などを使用している患者においては,その発症頻度が50% にまで上昇し,ときに不可逆的な腎不全に陥るケースもある.造影剤腎症は,患者QOL の低下のみならず入院延長に伴う医療費増大の面でも解決されるべき問題である.
造影剤腎症の発現機序としては腎血流量の低下や腎尿細管細胞への直接的な障害が考えられているが完全には解明されていない.これまで,造影剤腎症の保護薬としては腎血流量改善薬に目が向けられ,ドパミン,カルシウムチャネルブロッカー,心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP),エンドセリンアンタゴニスト,テオフィリン等による保護作用の報告が数多くなされてきたが(J Am Soc Nephrol. 2000;11:177-182),いずれも有用な保護薬として使用されるまでには至っていない.臨床においては,現在でも排泄促進を目的とした輸液療法が唯一の有効な予防法として一般的に行なわれている.
造影剤による腎障害にラジカルが関与するとの報告が以前よりなされている(Am J Kidney Dis.1998;32:64-71).Tepel ら(N Engl J Med. 2000;343:180-184)は,抗酸化作用を有するアセチルシステインが造影剤腎症を保護するとの臨床結果を初めて報告した.・・・最近Brick ら(Lancet.2003;362:598-603)は,それまでに報告された7つの信頼できるランダム化比較試験のデータをメタ解析し,慢性腎不全患者における造影剤腎症の相対リスクが,(輸液療法+アセチルシステイン)群では(輸液療法+プラセボ)群より56% 低いことを報告した.アセチルシステインは喀痰溶解薬やアセトアミノフェン中毒の解毒薬としてすでに承認されている薬で,安全性も高くしかも安価である.造影剤腎症の有効な保護薬として今後承認されていく可能性が高い.・・・」
画像:http://www.fujita-hu.ac.jp/~sfujii/satuei/satuei06.html より Orz〜
「ヨード造影剤
水溶性ヨード造影剤は血管造影、尿路造影、硬膜外腔造影、関節腔造影、造影X線CTに用いられる。
非イオン性ダイマー型は、尿路血管造影、脊髄造影、造影X線CT、関節腔造影、子宮卵管造影に用いられる。水溶性または油性ヨード造影剤を用いる検査は子宮卵管造影、気管支造影である。
血管内に注入できる造影剤は非イオン性水溶性ヨード造影剤、水溶性ヨード造影剤、低浸透圧水溶性ヨード造影剤である。油性造影剤は経静脈性腎盂造影には絶対に投与してはならない。油性ヨード造影剤のみ使用される検査は、リンパ造影、唾液腺造影である。・・・
ヨード造影剤の副作用
副作用をおこす原因は、
(1)造影剤の物理的特性、(2)造影剤の化学毒性、(3)アナフィラキシ−様反応、(4)心理的因子の4つに大別される。(1)と(2)は造影剤の高浸透圧性と非親水性ならびにイオン負荷が関係する用量依存性の反応であり、(3)は化学伝達物質の遊離、抗原抗体反応などの活性化作用といった非用量依存性のアレルギー反応である。しかしながら、実際に生じる副作用の各症状は、必ずしも単独の発生機序で発現するのでなく、むしろ心理的因子も含めた様々な要因が複合して生じている。
造影剤の副作用として、くしゃみ、発疹(蕁麻疹)、熱感、血管痛、嘔吐、冷汗、顔面蒼白、血圧低下、呼吸困難などが発現する。副作用の中で最も発生頻度の高いのは熱感である。
非イオン性造影剤は血中でイオン化しないため浸透圧が低く、血液に近いので副作用が少ない。
非イオン性造影剤(イオパミドール等)はイオン性造影剤(ウログラフィン等)よりも、副作用の発現率が小さい。非イオン性造影剤はヨードを用いているため、ヨード過敏症への配慮が必ず必要である。
非イオン性造影剤による血管造影では疼痛、熱感が少ないので、体動が減少し、静脈相のよいサブトラクション像が得られる。水溶性造影剤を血管内に注入するときは体温と同程度に温めた方がよい。
水溶性造影剤は油性造影剤に比べて安定であり、かつ安全である。・・・」
http://www.umin.ac.jp/fukusayou/adr136d.htm より Orz〜
非イオン性X線造影剤等による副作用
「非イオン性造影剤等(イオキサグル酸を含む、以下同様)は、イオン性造影剤に比べ副作用の頻度が低く、血管造影などのときにも患者に対する苦痛が少ないなどのメリットがあるとして広く使用されている。しかし、副作用頻度は低下したとはいえ、ショックなどの重篤な副作用、特に遅発性の副作用があるので、使用に際しては十分に注意することが必要である。
尿路血管造影剤
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| 成分名 | 該当商品名 |
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|(非イオン性造影剤) | |
|イオパミドール |イオパミロン(日本シエーリング) |
|イオトロラン |イソビスト(日本シエーリング) |
|イオヘキソール |オムニパーク(第一製薬) |
|イオベルソール |オプチレイ(マリンクロットメディカル)|
|イオメプロール |イオメロン(エーザイ) |
|(イオン性低浸透圧造影剤) | |
|イオキサグル酸 |ヘキサブリックス(栄研化学) |
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|副 作 用|ショック等 |
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(1)副作用頻度
我が国において、ヨード系X線造影剤を投与された337,647例(イオン性造影剤169,284例、非イオン性造影剤168,363例)を対象とし大規模な多施設共同の副作用調査が行われた。その結果、イオン性造影剤の副作用発生頻度が12.66%(21,428例/169,284例)であるのに対し、非イオン性造影剤では、3.13%(5,276例/168,363例)であった。副作用症状のうち呼吸困難、急激な血圧低下、心停止、意識消失などの重篤な副作用の発生頻度をみると、イオン性造影剤では0.22%(367/169,284例)であるのに対し、非イオン性造影剤では0.04%(70例/168,363例)と有意に副作用が少
なかった。しかし、イオン性造影剤の副作用は、使用後数分〜30分以内に発現する即時型アレルギーが大部分を占めていたのに対して、非イオン性造影剤では、投与後1時間以上、ときに数時間以上も経過して発現する遅発性アレルギーの報告が少なくなく、また即時型の症例の報告もある点に十分留意する必要がある。しかし、遅発型副作用の発生頻度及び発症機序については、まだ明確にはなっていない。
(2)具体的注意点
a.適応症例の選択
イオン性造影剤、非イオン性造影剤のいずれも、いわゆるヨード過敏症の患者には禁忌である。したがって、かつて造影剤を使用したときに蕁麻疹、悪心、嘔吐などの過敏症状を認めたか否かをよく問診してその既往歴がある場合は使用しない。遅発性副作用を示す非イオン性造影剤等を使用した場合には、帰宅後、遅発性の重篤な副作用を起こす危険性があるので、観察を十分にできる入院患者に使用し、外来患者への使用は避けることが望ましい。確実な予知テストがなく、予知テストによってショックになることもあるので、テストを行うよりも検査時に医師が患者の傍らで注意深い観察を行うことが重要である。
b.検査時の注意
検査時には常にショックに対する速やかな処置を行うことができるように準備をしておくことは当然であるが、検査中、蕁麻疹、悪心、嘔吐及び胸内苦悶など認めた場合には、アナフィラキシーの前兆であることが多いので、そのような症状を患者が訴えた場合には直ちに中止して適切な治療を行う。
c.検査終了後の注意
事情により止むを得ず外来患者に使用した場合には、上記のような症状が出現した場合は直ちに来院するように、患者や家族に十分説明をしておくことが重要である。・・・」
画像:「患者保管型 造影剤副作用カード」
www.jcr.or.jp/ kzfcard/card.html より Orz〜
「血管内投与のヨード造影剤・MRI用造影剤を用いた検査で、副作用を生じた患者さんに対して副作用内容を記載して渡すことが可能です。各検査室に設置いただき、放射線科での安全対策にお役立ていただけます。・・・」
腎障害の有る方には造影剤の量を減らし、脱水に注意して行っていますが、、、今まで造影剤腎症は経験していません。が、リスクの高い方には今後普及していくでしょうね ^^
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