「抗体医薬品は、動物の培養細胞や大腸菌に作らせたヒト型の抗体を用いたもの。静脈から注射し、標的細胞の表面にある「特定のタンパク質」と1対1で結合させることで、特定のシグナルを遮断したり、逆に増強したりして治療効果を発揮する。たとえば、アメリカのジェネンテック社が開発し、FDA(アメリカ食品医薬品局)が2001年に承認した世界初の抗体医薬品「トラスツズマブ」や、中外製薬が大阪大学と共同開発し、2005年に日本発の抗体医薬品第一号として発売を開始した「トシリズマブ」などがある。
前者のトラスツズマブは、表面にHER2というタンパク質が高発現しているタイプの乳がんに適応されるもので、HER2に結合することで細胞増殖のシグナルを遮断する(乳がん患者の20〜30%がHER2の高発現型だとされる)。トラスツズマブは、がん細胞を狙って兵糧攻めにするので、投与後わずか数週間で効果が出始めるとされる。後者のトシリズマブは、関節リウマチなどの自己免疫疾患に使われるもの。自己免疫疾患ではB細胞が異常に活性化されているが、トシリズマブはその活性化シグナル(IL-6)と結合することで、シグナルを抑制する。
世界を見渡すと、この10年あまりで、約20種もの抗体医薬品が上市されている。躍進の鍵は、「マウスの遺伝子をヒト型に置き換えるヒト化技術」と「培養したCHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)を利用してヒトの免疫グロブリンを作らせる技術」の開発にあったとされる。この2大技術により、ヒト型の単一の抗体(モノクロナール抗体)を大量生産できるようになったからである。ただし、抗体医薬品の開発や生産には大がかりな培養設備などが必要で、研究開発費は右肩上がりを続けている。医薬品1剤あたりでみると、1976年には5400万ドルだったものが、2003年には10億ドルを突破しているという(医薬経済 2006.6.1号より)。」
それはさておき…^^
生物学的製剤=biologics は、最初効いてても(有効血中濃度でも最初から効かない時は、1次無効),途中から効かなくなるときがあり,その原因は、その薬物に対する中和抗体が体内で作られるからと考えられています。
癌治療においても、手術療法,化学療法,放射線療法に次ぐ「第4の治療法」として注目されるがん免疫療法として、刮目される効果をもたらしている上の図のような免疫チェックポイント阻害剤も抗体製剤なのですが,やはり、その免疫療法中に効かなくなるケースがあるようです。
そもそも、免疫チェックポイント阻害剤は、関節リウマチに対する戦略の逆で、ブレーキがかけられてた免疫を活性化するものなので、薬物に対する中和抗体の産生という免疫の活性化も亢進される可能性は当然考えられるわけで,とすると、リウマチのbiologicsの2次無効の頻度よりも高い可能性が推測されますが…どうなんでっしゃろ?
RAの場合,その中和抗体産生抑制のために,十分量のbiologicsを投与するとか、MTxを併用するとかという戦略がとられます。いよいよ,無理なら,他のbiologicsに変更するというアプローチになっています。
癌免疫を活性化する目的のbiologicsでは、使うほどに抗体産生が高まり,MTxの併用ってのは、免疫抑制に繋がるので、組み合わせづらいし…?
RAに使われるbiolpgicsでも、サイトカイン受容体に対する製剤では作用部位に対する中和抗体が作られにくいため、2次無効が少ないと考えられています。
so…癌免疫の場合…がん細胞表面に現れてる分子 or 免疫細胞の表面に現れてる分子に対する抗体にならざるを得ないから…受容体を抗体の足の部分にくっつけるようなわけにはいかないのでしょうねぇ…^^;