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ふと、中学時代のことを思い出した。
ホームルームの時間に、担任が小さな紙片をみんなに配った。
「今から、お前らには『友達』について、自分なりの定義を書いてもらう。」
友達の定義。そのころ中2病入っていた私は(もう中3だったけど)、こういうのはできるだけ短くビシッと決めるのがカッコいいと思って、絶対単語にしてやろうと思った(それって定義じゃないじゃん、と今は思うが)。
でも、自分なりに真剣に考えた。私にとっての友達って何?
クラス全員が書き終わると、担任は紙を回収した。そして、匿名でみんなの回答を読み上げ始めた。「勉強を教えあったり、励ましあったりする関係」みたいなマジメな回答あり、「遊んで楽しい」みたいな明るい回答あり。が、私の答えを担任が読むと、クラス中が騒然となった。
「それってひどい!」
「この子の友達がかわいそう・・・」
「誰だ、こいつは!」
私も驚いてしまった。そんなに大騒ぎになると思っていなかったから。
そんな私の回答は「ひまつぶし」だったのである。大きく平仮名5文字で書いて提出した。さらにびっくりしたのは、クラスで嫌われている変人グループの女の子が同じ答えを書いていたということである。つまり、「ひまつぶし」と書かれた紙が2枚あったのである。
彼女は呑気に「私と同じこと書いたやつがおるんやなー」と発言したが、私はみんなの前でそんなことはよう言わなんだ。明らかに不穏な空気が流れていたから。
ちなみに、彼女は時々ヘンないたずらをしてくる(毛虫を顔の前に持ってくるとか、ノートを奪って逃走するとか)ので、正直言って好きではなかった。が、非常に絵が上手で、ときどき鋭いことを言うので、一目置いていたという面もある。彼女と意見が一致したということで、嬉しくもあり、「ああ、私も彼女並みにズレてるんだ」と悲しくもあり・・・。
ところで、私は今もそう思うのだが、どうして友達の存在が「ひまつぶし」であってはならないのか。だって、キライな人間とは暇なんかつぶしたくないではないか。
あのとき考えたのは、こういうことだ。つまり、私は学校や塾にいる間はいやでもキライな人間と同じ場にいなくてはならない。そして、私にとって、学校や塾以外の時間(=ひま)はキライな人間から逃避できる非常にだいじな時間である。そんな大切な時間を共有してもかまわない、というのが友達ではないか。
むしろ、「勉強でわからないところを教えてくれる」みたいな回答をしたやつのほうが嫌らしいと思った。友達は勉強なんか教えてくれなくてもいいっす。全然役に立たないけど、それでも一緒にいて楽しいというのが理想じゃなかろうか。そんな実利的な回答をするやつは人間をモノとしてしか見てないんじゃないか。
長じて、院に入って事件が起きた。ある同級生(つっても当時ヤツは30前後だ)の男が、冗談だろうがメールのやり取りをしていて「CKって使えねー」などという文を送ってきた。よくよく考えたら、ヤツは人を役に立つ・立たないの二分法で捉える男だったのである。頭にきた。ケンカになったのはいうまでもない。後で「だって、CKさんもよく『使えねー』って言ってるじゃん」などと返事をよこして来たが、そんな発言するもんか。それはお前だろ(実際、何度かヤツがそのように言っている場面を目撃したことがある)。ちなみに、ヤツは私と同じグループにいた。そのグループでよくレポートの相談や資料集めをしたものである。
で、現在になって、Aさんとの会話。
CK「私、切り込み隊長だったんよ。私が先にレポートのたたき台を作って、グループのみんなにメールで送る。で、それを改良したレポートをみんなが他の子に送る。当然、私のところにも来た。でも、私はその頃にはたたき台を作ってヘトヘトだから、たたき台をそのまま学校に提出しちゃうのね。それで、他の子よりレポートの評価が低かった」
A「(少し間をおいて)CKさんって、優しいねー。私なんか、誰とも相談しないし、レポートなんか他の人に送ったことない。誰にも見せてやらないもん」
CK「そりゃあんた、相談しないのは自信があるからでしょ。しかし、周りには『使えない』って言われそう」
A「ああ、私、『使えない』かも」
Aさんは怒ってなくて、むしろ笑っていた。
A「結局、勉強って一人でするもんじゃん。勉強会も嫌い。あれ、ダラダラ長く続くから・・・」
勉強会という言葉で、例のヤツの顔が浮かんだ。たまにグループで勉強会もしたっけ。
CK「女子中学生みたいなメンタリティの男がいてさ、だらだらくっちゃべった上に『これもだいじ、あれもだいじ』とか言い出して。やめてくれ、朝から始めてもう星が出てるっちゅうに!」
A「そんなこと言い出したら、全部だいじだよねー(笑)。もしやるならスパッと1時間ぐらいで時間を切って。ああ、私、CKさんとなら勉強会ができそうだ」
CK「あなた、私から学ぶものは何もありませんから(苦笑)」
私にとって、「あなたは暇つぶしに最適です」というのは最高の誉め言葉である。だから、Aさんにとって、私は最高の暇つぶし要員でありたい。使えねーけど。
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