|
「この時をもって、この者をヴィステーガ帝国の女王陛下への即位を任命する。」
父様の手によって、何百年と大事に大事にされてきた黄金のティアラが私の頭に乗る。
その瞬間、会場は拍手で包まれた。それは、無事に任命式が終わった瞬間でもあった。
笑顔でカーペットを歩き、会場を一足先に出る。
扉を抜けると、デュパッチが待機していた。
「無事に終わりましたね。何よりでございます。」
「・・・そうね。」
私は、無事に女王陛下になった。
そう、「無事」に。なのだ。
「・・・・・帰りたいわ。馬車の手配を。」
「そういうと思いまして先ほどしておきましたのでもうそろそろ来るかと。」
「・・・仕事が早いわね。」
デュパッチにティアラを預け、控え室に戻る。
「・・・・はぁ、」
私は、女王。
もう、女王。
既に、女王。
もう後戻りはできない。
もう逃げ出したりはできない。
もう弱くいることはできない。
世界を殺すこともできない。
自分を殺すこともできない。
世界と自分の心に挟まれ、縛られ、泣き叫んで歩む未来は、そう遠くないものになった。
「シャルルッテお嬢様、馬車が到着いたしました。」
部屋の外からかけられた声ではっとする。
「・・・・・今、行きます。」
「・・・お嬢様、具合が悪いのですか?」
「・・・そんなことないわ。」
「・・・・・・お嬢様、やはり、今回の任命もお嬢様自身、納得のいくものではなかったのではないですか?」
「・・・言ったはずよ。これは母様の遺言だと聞いたわ。母様が望むのであれば私は命をかけてそれを全うしますわ。」
「・・・それは、アリンディ様のためですか?それとも、お嬢様自身のためですか?」
「・・・・・母様のために決まってるじゃない。」
「そうやって、誰かのせいにして自分の重荷を減らそうとしていませぬか?・・・アリンディ様が、この現状を本当にお望みになると、お思いですか?」
馬車の窓から見える景色は綺麗な湖。
しかしその景色は一瞬で流され、森のような景色が視界を覆う。
「・・・分からないわ。・・・・もう、なんにも、分からないわ。」
「・・・・・・・、」
「私の母様への想いはただの"大好き"じゃないのよ。・・・最早、崇拝に近いわ。私は、本当にアリンディ様という人物が愛おしくて、愛おしくて、堪らなかったわ。」
「お嬢様、」
「この世界は私から生きる希望を奪ったのよ!!母様をひとりぼっちにしたのよ!!・・・許せない、許せるわけがないわ・・・!!私は、憎くてたまりませぬ!この世界が、母様を殺した輩が!」
目から熱い水滴が流れ落ちる。
それは豪華なドレスに染みをつくった。
肩を震わせていると、デュパッチが私の右手の上に手を重ねる。
その人肌の温かさに心臓が縮まるように震えて、余計に水滴が落ちる。
「・・・今回の任命を心から祝福してくれている貴族の他に、嫌な視線で見る貴族もおります。それは、三流貴族だけではなく、我らと同等の上流貴族にも。・・・貴方の敵は数知れず存在しております。」
「・・・でゅ・・・ぱっち・・・・?」
「・・・・・この先、貴方に降りかかるのは幸せより辛いことのほうが多いと思われます。私は、それだけが辛いです。・・・・私はアリンディ様のことも深く好いております。それは、今でも、です。」
「・・・・・っ、」
「しかし、私が心からお慕いし、心から守ろうとするのはシャルルッテ様、貴方だけです。私は、貴方が苦しむ姿をみることだけがたまらなく怖いです。・・・貴方が泣きじゃくる姿は、見たくありません。」
「・・・・・・デュ、」
「・・・しかし、貴方がそう決めたなら。・・・・貴方が一生をアリンディ様のために尽くし、その身を捧げる覚悟をしているのなら、私も覚悟を決めます。・・・・・捨て子だった私を拾ってくださったのは他の誰でもない、貴方です、シャルルッテ様。貴方がアリンディ様を深く愛し、生きる希望としているように、私も貴方を深く愛し、生きる希望としております。」
デュパッチの瞳から一筋の涙が落ちた。
それは言葉では言い表せないほど綺麗で。
ああ、男の人の涙って、こんなにも綺麗なのね。
「・・・私、女王からの命令です。・・・一生、私の傍にいなさい、デュパッチ・ゼッシュ・ウィンリオ。」
そういうと驚いたように目を丸くするデュパッチ。
そんな間抜けな顔を見たのは久しぶりで、思わず微笑む。
すると、彼も微笑んでくれた。
「・・・かしこまりました。・・・一生、貴方のお傍にいます。」
それは愛の誓いではなく、
*
意味わからん、話進まん←
もうこのコメント何回繰り返すんだって話ですね、サーセン。
|