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今日のNHK「クローズアップ現代」「2008年新マネー潮流」
は、珍しく時間を45分延長し特集を組んでいた。
その内容は、NHKならではの取材分析力で、現在の世界経済の
経済と政治のダイナミックな流れを我々に映し出してくれた。
そこには、これからの世界経済と日本経済の今後を予測し考え
させられる重要な視点が提示されていた。
元大蔵官僚の榊原氏の豊富な人脈と情報量に裏打ちされた、鋭い
分析力と指摘には大いに納得させられた。
その概要はNHK のHPによると次の通りである。
「いま世界には150兆ドルとも言われる天文学的マネーが
あふれている。その流れは、米・サブプライムローン破綻を
きっかけに大きく変わりつつある。混乱した金融市場を嫌い
原油や穀物市場に流れ込んだマネーは、ガソリンや食料品の
高騰といった形でわたし達の生活を直撃している。また、
アメリカ経済の減速が世界経済に及ぼす影響も懸念されてい
る。2008年、わたし達の暮らしや景気を左右する"マネー
の潮流"はどう変わろうとするのか。それを、(1)オイルマ
ネーと政府系ファンド、(2)アメリカ経済の今後、(3)
中国"バブル"の行方、の3つのキーワードをもとに、日本と
の関係で読み解き、2008年を占っていく。
ゲスト早稲田大学教授 榊原 英資さん
三菱UFJ証券チーフエコノミスト 水野 和夫さん」
基本的な内容は、今までサブプライム問題に関して書いてきた
内容と大差ないが(元々この問題の情報源の多くをNHKから
引用しているので当然の帰結)目新しい視点や注目すべき点を
指摘したい。
まず余剰資金の正体であるが、以前は先進工業国が蓄えた利潤
が過剰流動性資金となってヘッジファンドの形で、通貨危機
等を招いた。
現在は、高騰する原油価格を背景にしたオイルマネーが主役で
そのオイルマネーを政府が吸い上げ自国の利益の為ファンド
を組んでいる。それ以外ロシアや中国も政府系ファンドを組み
始めている。
政府系ファンドは以前からノールエーやシンガポール等あった。
それらは利益を生むことを目的とし、透明性も高かった。
しかし新しい政府系ファンドは、透明性がなく戦略的可能性が
高く非常に政治的色彩や国益が強く出る。
しかも先進国の主要産業やハイテク分野への投資も強めており
(例 中東の政府系ファンドがソニーに大規模な投資をし始め
たり、ロシアのファンドがイギリスの会社に投資したりしている。)
アメリカのCITYバンクは1兆9千億円の損失をサブプライム
問題で出したが、アブダビ投資庁=ADIA(アブダビ首長国財
政の健全化を図る一方で、天然資源の枯渇に備えた将来世代の為
に、金融資産の保全と有効活用が責務。アブダビ財務庁から政府
収入の内の余剰分を運用 5,000億〜1兆米ドルとの外部評価)
がシティグループに8100億円の出資したという。(ADIAは
この出資に際し、シティグループの経営に関しては一切の権利を
持たないことに合意している。)
こうしたオイルマネーは今も膨張し続けている。(巨額に)
それに加え中国ロシアを始めとするブリックス諸国もお金を持ち
始めている。
今まではアメリカの消費経済が世界の景気を左右し、世界のお
金はアメリカに投資されてきた。
その構造が根本的に変わりつつある。
世界のお金の流れが変わり始めたのだ。
オイルマネーや政府系ファンドは、投資先を多角化しており、
アメリカ以外の国のものにも投資している。(商品投機等)
世界のお金の流れを変えたのは、サブプライム問題だ。
今までアメリカの住宅価格は上がりローンで家を買い転売する
ことで利益が出、それがアメリカの消費経済の拡大につながり、
アメリカ経済を牽引してきた。
ところが住宅価格の下落が始まり日本のバブル崩壊と同じ現象が
発生している。
信用収縮が始まったのだ。
信用の対象、住宅ローンだけではない、個人のクレジットもある。
そうしたものも、信用収縮で銀行の貸し出しが慎重になったり
日本でも問題になった貸し剥がしでも起きれば、アメリカ経済は
更に沈滞するであろう。
アメリカの関係者の一部は、日本のバブル崩壊での対応の仕方を
注目している。
日本同様、金融機関への公的資金が必要ではないかと、見る日本
の関係者もいる。
カリフォルニア州の売上税がマイナスに転じたという。
ある州では、学校の教員給与を各学校から預託された資金を州で
集め資金運用でまかなっていたところが、サブプライム問題で資
金凍結され、先生への給与の支払いが出来なくなっているという。
サブプライムの損失はOECDでは33兆円と見ているが実態は
不明で50から60兆円と見る専門家が多いという。
クレジットも証券化され売られており、サブプライムと同じ問題
を含んでいるという。
今ドルの信用は急速に失われ、ドルの価値が下がり投機マネーに
より不況で物価は上がる、スタグフレーションの状態になるかも
しれなという。
しかも物価は乱高下し、中央銀行のコントロールが効かなくなっ
ているという。
石油に関しては、不況になると需要が減るので下がるだろうという。
中国経済は過熱しバブル状態であるが、オリンピックが済むまでは
この状態を続け各金融機関の新規融資停止等で金融引き締めをして
いる。
オリンピックが済むと人民元を切り上げや金融引き締めに舵を切る
可能性が強く、一気に中国経済が冷え込む可能性があるとの事。
今中国を始めブリックス諸国には実体経済以上の資金が流入して
いる。
しかも中国経済はアメリカ経済に依存しているところが大きい。
従ってアメリカ経済の崩壊により、世界的信用収縮が起きる可能性
があるとの事。
結果的に、その時日本は海外のバブル崩壊の波に洗われることに
なる可能性もある。
(ニュースで伝わる財界関係者の話では、このまま成長の停滞する
期間が夏過ぎまで続き、秋口から徐々に上向くという予想が多いの
だが、この番組を見ていると、もう少し悪くなるように見える・・)
投機資金のため農産物価格はトウモロコシで1.8倍、大豆で2倍に
なっている。 (酪農農家が飼料高騰で大打撃を受けている。)
日本の商社はこれを打開すべく、ブラジルで農地を購入し安定供給
に乗り出した。(三井物産)
日本の産業を見るとはっきりと二極化している。
全産業の二割程度と見られる、海外リンク型(輸出入等)企業は
成長し景気が良い。
6割を占める国内市場中心の企業は成長しておらず、海外関連企業
との格差は年々拡大している。
(格差問題の別の切り口を現実のデータで教えられた。)
国内の多くの企業は、海外に販路を求めようとしない。
しかも製品は、過剰品質である。(例 携帯電話:多機能)
中国メーカーは、途上国に向いた単純で安い製品を作り需要を
伸ばしている、といった指摘がコメンテータからあった。
現在は資本主義の曲がり角であるという。
コメンテータによるとマーケットに任すのは良くない。
政府系ファンドを含め市場原理主義を抑える国際的枠組み
やルールが必要だ、との指摘がコメンテータからあった。
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