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当社の製品(無指向性スピーカーcubeSP)の宣伝を兼ねて、マトリックス方式を用いた残響補強のご紹介をしてきましたが、もちんろんcubeSPの代わりに普通のスピーカーを用いても、実用上はまずまずの効果が得られます.

一般のスピーカーをサブ(差音成分再生)に用いた場合の配置のバリエーションのいくつかを下図に示します.

イメージ 1
メインのスピーカーの外側に配置


イメージ 2
少し手前側にサブのスピーカーを配置


イメージ 3
サブのスピーカーを後ろ向きに配置(壁面からの反射を利用)


イメージ 4
サブのスピーカーを受聴位置のほぼ真横に配置


前回ご紹介したアダプタ回路を用いて、差音成分のレベルを適切に調整しながら試してみれば、リスニングルームに適合したスピーカー配置がみつかるはずです.(差音成分レベルはサブのパワーアンプで調整してください)



マトリックス方式を用いた残響補強(その1:基本構成)
マトリックス方式を用いた残響補強(その2:ミキサー回路とCubeSPを用いた改良)
マトリックス方式を用いた残響補強(その3:残響補強の効果)
マトリックス方式を用いた残響補強(その4:ディレイの追加)
マトリックス方式を用いた残響補強(その5:リバーブ回路の追加)
マトリックス方式を用いた残響補強(その6:マトリックス・アダプタ回路)
マトリックス方式を用いた残響補強(その7:スピーカー配置のバリエーション)
マトリックス方式を用いた残響補強のためのアダプタの回路図を公開します.
このアダプタを使うと追加した差音成分(L-R, R-L)再生用スピーカーのレベルの調整がやりやすくなります.(サブのパワーアンプ側でレベル調整可能です)
ソースによってサブのスピーカーの最適な再生レベルが異なるので、こまかくレベル調整をするのが自然な残響感を得るコツです.

マトリックス・アダプタ回路図
イメージ 1


結線図
イメージ 2

回路は非常に単純で、差音生成用のトランスの前段にOPアンプのバッファを入れただけです.
中点電位の生成にわざわざレールスプリッタ TLE2426 を使っていますが、抵抗分割に変更しても問題ありません. 
出力コネクタが2つありますが、後段のパワーアンプで位相が反転する場合の位相合わせ用です.
入力段のスイッチはアッテネータです. 出力レベルが非常に高いCDプレーヤー等を接続した時に、トランスが飽和するのを防ぐためのものです.(S/N等のカタログ・スペックを稼ぐために、D/Aコンバータの5Vppの信号がそのまま出てくる製品があります)
長時間動作が必要な場合は、電源を9V(006P)から単三電池に変更してください. 使用しているOPアンプ NJM4556 は電源電圧±2Vでも動作するので、単三 x4 でも問題ないはずです.



何度も繰り返ししつこく書きますが、マトリックス方式を用いた残響補強が有効な音楽ソースはかなり限定されます.
いわゆるワンポイント・ステレオ・マイク収録的な録音スタイルで、部屋の残響成分(差音成分)がきちんと録音されたソースでなければ効果がありません. 一般的には、クラシック音楽やジャズのライブ録音の一部が相当します. ポピュラー系の音楽ソースは全滅です.

スピーカー・マトリックス方式の擬似4ch再生において、どのような音楽ソースでも効果が得られるかのようなことを言っているオーディオ・マニアや評論家がいますが、空耳の人なのでしょう.



マトリックス方式を用いた残響補強(その1:基本構成)
マトリックス方式を用いた残響補強(その2:ミキサー回路とCubeSPを用いた改良)
マトリックス方式を用いた残響補強(その3:残響補強の効果)
マトリックス方式を用いた残響補強(その4:ディレイの追加)
マトリックス方式を用いた残響補強(その5:リバーブ回路の追加)
マトリックス方式を用いた残響補強(その6:マトリックス・アダプタ回路)
マトリックス方式を用いた残響補強(その7:スピーカー配置のバリエーション)
ご紹介している開発中のインパルス・レスポンス計測プログラムでは、忘却係数を用いた移動平均処理(積分)で同期加算をおこなっています. 例えば忘却係数α=0.98とした場合、平均回数N=100とした単純移動平均フィルタと等価な特性になります.

忘却係数を用いた移動平均処理 y[n]=(1.0-α)・x[n]+α・y[n-1] (α:忘却係数)

単純移動平均処理 y[n]=(x[n]+x[n-1]+x[n-2]+x[n-2]+...+x[n-(N-1)])/N (N:平均回数)

x[n]:入力信号 y[n]:移動平均フィルタの出力信号

測定中に突発的な雑音が混入しても、フィルタは測定結果に与える悪影響を「忘却」しますから、慌てる必要はありません. 測定結果に乱れが生じても、そのまま測定を続けていれば再び徐々にS/Nが向上していきます. その様子はリアルタイムに更新されるグラフ表示で確認出来るので、頃合いを見計らって測定結果をセーブすれば良いのです. 


移動平均フィルタのインパルス・レスポンス
 :忘却係数を用いた移動平均処理(α=0.98)
 :単純移動平均処理(N=100)

イメージ 1


移動平均フィルタの周波数特性
 :忘却係数を用いた移動平均処理(α=0.98)
 :単純移動平均処理(N=100)

イメージ 2

http://www.cepstrum.co.jp/products/cubesp/cubesp.html
計測プログラムのパラメータ設定を変更して、さらに長時間の同期加算処理をおこなった結果を以下に示します. これまでよりも残響時間の長い広い部屋(ダイニング・キッチン)で測定をおこないました. マイク位置でのTSP(Time Stretched Pulse)の音圧レベルは42dB(A)〜46dB(A)でした.(TSPの周期が長いので騒音計のA特性での音圧レベルの読みが一定になりません) エアコンはつけっぱなしで、デスクトップ・パソコンのファン・ノイズもマイクに入ってきます.

常識的には有り得ない低音圧レベルでの測定ですが、長時間の同期加算によるS/N向上の効果が得られていることが分かります. エアコンを切った部屋で測定をする場合は、このような極端に長時間の同期加算は適切ではありません. 現実的には10分〜20分程度が適当な測定時間でしょう.(部屋の中に人がいれば、それだけで室温変化の原因になります)

同期加算無し
イメージ 1

30分間同期加算
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60分間同期加算
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90分間同期加算
イメージ 4

120分間同期加算
休止期間の無いTSP(Time Stretched Pulse)を用いたインパルス・レスポンス計測の同期加算の効果は下記の動画(AVIファイル)もご覧ください. TSPと同時に音楽を再生しながら測定をおこなっています. 正確に残響時間を求めるのには苦しいですが、初期反射パターンを確認するには十分な精度でインパルス・レスポンスを測定出来ています.(動画の中で測定を開始してからグラフが表示されるまで少し時間がかかります)

なお、使用している音楽(ジャズの Take Five)は生演奏ではなく、MIDIの再生音です.
動画ファイルから再生される音は、測定時にマイクで収録したものではなく、cubeSPから再生した音源の方です.(TSPと音楽をミックスしたものをcubeSPから再生して測定をおこないました)


イメージ 1

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