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明日は久々に寝坊ができる日なので、以前購入していたDVD『チョムスキー9.11 Power and Terror』を先ほどまで観ていました。 チョムスキーは「20世紀の知の巨人」の一人に数えられるユダヤ系アメリカ人言語学者ですが、まだ市民運動が盛り上がる前のベトナム戦争初期の30代の頃から、政治的な発言をする知識人としても知られていたようです。 私も大学時代彼の「生成文法」なる理論に興味は抱いたものの、あまりに難解で歯が立たず、より親しみやすかった構造主義やソシュールの言語学に主な関心を移し、言語学者としてのチョムスキーからは離れてしまいました。 このDVDを観ても、チョムスキーの言語学はさっぱりわからないのですが、彼が思いの外明るく親しみやすい人柄の持ち主であり、アメリカ人でありながらアメリカの身勝手で横暴な軍事行動や侵略行為について歯に衣着せず批判の論陣を張っており、面白い内容でした。 9.11後、ブッシュがアメリカ人のナショナリズムを煽り、対アフガン攻撃を実行したことの欺瞞性をあらゆる角度から暴いています。 どんな国にも絶対の正義などなく、東京裁判もニューンベルグ裁判も戦勝国による茶番劇だと断言してはばかりません。 傲慢な国に映るアメリカにも、このような知識人が活発に講演活動を行い、それに少なからぬ聴衆が共感と賞賛の拍手をおくっている場面を見ると、やはりアメリカも捨てたモンではないと感じさせられました。 DVDに特典映像として、チョムスキーの講演を見ての鶴見俊輔(哲学者)とC.ダグラス・ラミス(政治学者)の対談が収録されており、これも大変示唆に富み、面白い内容でした。 鶴見俊輔は、「チョムスキーの研究や発言の姿勢の根本には、彼の少数派ユダヤ人としての伝統−神の前に一人で立つことにより、普遍的なものを獲得するという逆説的な生き方−が見える」と評していました。 ダグラス・ラミス氏は「彼の言語学の核心には、世界中の人間がどんなに異なる言葉を使っているとしても、言語を使う能力は等しく脳に組み込まれているのだという認識があり、その意味で真の平等主義者である」と評していました。 彼らのチョムスキー評と実際のチョムスキーの肉声や表情から、チョムスキーという人物のイメージが大きく変わったと共に、彼の一面を理解できたように思え、嬉しく思います。 付け加えて、チョムスキーが「アメリカの権力者たちと議論し、説得しようと思いませんか?」との質問に対し、「私は権力者には期待をしていない。彼らにはきっと話は通じず、徒労に終わるだけだろう。私が語りかけたいのは大衆であり、大衆にこそ理解と変化を期待できると希望を持っている」(大意)と答えていたのも印象に残るものでした。 |
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このビデオですが、私の手元から同僚の英語教師が持って行き、授業で使うようです。彼は米国留学中、チョムスキーに会いに行ったということで。。
2006/4/11(火) 午後 0:36
TOCKAさん、TBどうもです。TOCKAさんもこのビデオお持ちでしたか。英語の先生は語学の教材として使われるのですかね?確かに結構聞き取りやすい英語でしたが・・・。
2006/4/11(火) 午後 3:22
私は鶴見さんとの対談の方に興味があります。大学時代から鶴見さんの本を読んできた私は、著作集まで買ってしまいました。
2006/4/12(水) 午前 3:48 [ - ]
「アメリカこそ最大のテロ支援国家である」という言葉が印象的でした。アルカイダを支援していたのもアメリカですからね。
2006/4/12(水) 午前 11:21
gendaiさま、鶴見さんの著作集までお持ちですか!私も学生時代には「思想の科学」を買ったり、バックナンバーを揃えたりしてました。御年80才を越えてもなお旺盛な好奇心と洞察力に頼もしさを感じる対談でした。
2006/4/14(金) 午後 11:20
yjisanさんもこのDVD(orビデオ?)をご覧になったんでしょうか?私は、チョムスキーがアメリカに対して辛辣な一方、日本の戦争経験や社会状況も講演中に引き合いに出す場面が多く、目配りの広さに感心させられました。
2006/4/14(金) 午後 11:24
辺見庸の著作の中で名前を聞いたような気がします。機会があれば観てみたいです。
2006/4/15(土) 午後 5:34 [ jyo**ou42 ]
ケーブルテレビでやってたのを観た気が。アメリカは戦後一貫して民主主義の普及という大義名分によって軍事介入を正当化してきました。そして国民も自国の犠牲者が出ない限りはこれを支持します。国民の一定の支持を得ているアメリカ政府の姿勢を批判するのはたいへんな勇気が必要なはずで、深い敬意を表します。まあ、何だかんだ言ってチョムスキーが活躍できるところに、アメリカの懐の広さがあり、民主主義の素晴らしさがあるのだとも思いますけど。
2006/4/22(土) 午前 1:27
チョムスキーのスピーチは、決して民衆を扇動するアジテーションではなく、ユーモアも交えた優しい語り口だったところが印象的でした。真に知性ある人というのは、そういうものなのでしょう。
2006/4/22(土) 午前 1:29
残念ながら、日本の左派系の文化人で、こういう方が思い当たりません。私が知らないだけかもしれませんが。鶴見さんは飄々とした感じで結構好きですけど、こういう人はむしろ少数派では。ヒステリックな感じの人が多いような。もっと余裕を持ってもらいたいですね。
2006/4/22(土) 午前 1:33
なんという偶然!私、昨日ちょうどこのDVDを前半だけ観ました。チョムスキーがこんなにはっきり、きっぱり語っていたのかとびっくりしました。私の英語の先生のアメリカ人に聞いたのですが、チョムスキーの発言はアメリカのメディアでは黙殺されているそうです。チョムスキーの名を知っているアメリカ人もほとんどいないという話でした。
2006/5/22(月) 午前 7:57
starstory様、結構このDVDはご覧になっている方が多いようです。(上のコメントに見られるように)鶴見俊輔さんの談話の部分も面白いのでぜひ・・・。チョムスキーは言語学者としては超有名人ですが、政治的な発言については私も最近まで知りませんでした。
2006/5/24(水) 午前 1:36
今日チョムスキーの「お節介なアメリカ」という本を買ってきたばかりです。エドワード・サイードと深交があったことを知りました。これから二人の著書を読もうとしているところです。
2007/9/22(土) 午後 11:49 [ sdw**355 ]