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きのうの東京新聞夕刊の映画レビューに取り上げられたのを読んで「観たい!」というわけで、早速銀座まで出掛けました。(8月7日からはまた部活の合宿で東京を離れるので早くみなきゃあ・・・) 私は「電子チケットぴあ」で昨夜の内に数少ない指定席を確保して行ったので、並ばずに結構良い席で観ることができましたが、上映開始10分前に映画館前に着くと、そこには次の回の整理券を入手しようと大勢の人垣が出来ていました。 映画の方ですが、まずイッセイ・尾形による昭和天皇ヒロヒトの造形はサスガ!という出来でした。 彼は一人芝居で400ものネタを持ち、どんな職業の人物をも演じわけてしまうという演技力には定評がありますが、昭和天皇がはまり役とは意外!!でも、本当に存命中の昭和天皇を彷彿とさせる風貌、物腰、語り口でした。(ちょっと口元の動きにわざとらしさというか、作りすぎの感あり) 俳優って、どんな人間でも憑依したかのように演じられるんだなあ・・・と思いながら観ていると、現人神と祭り上げられながらそれを運命として引き受ける天皇像に、「昭和天皇自身も、天皇を演じさせられていたとも言える訳だ」と、「自分であって自分でない俳優という存在と天皇という存在」がオーバーラップして来ました。 この映画では昭和天皇が、敗戦が濃厚となる帝国の行く末を深く案じながらも、激しい感情をさほどあらわにすることもなく、皇居の地下壕でいつものスケジュールや海洋生物研究を淡々とこなしていく、一種現実離れした感のある姿で描かれています。 ただ、一部の特殊な思想の持ち主がどう思うか分かりませんが、所々に人間らしい発言や行動も描かれ、「私の体も他の人間と変わらない」と吐露したり、家族の写真に頬ずりやキスするシーンなどがあったり、敗戦後に米国のカメラマンからチャップリンに似ているとからかわれても「そんなに似ているか?」と聞き返したりする場面などはある意味微笑ましいものもありました。 しかし、どう見ても、天皇制イデオロギーの下で神格化された天皇とこの映画の天皇像には大きなギャップを感じざるを得ないものがあり、かつてフランスの思想家ロラン=バルトが日本文化を論じた『表徴の帝国』で皇居を「空虚な中心」と呼んでいたのを思い出し、天皇の存在とは日本人にとってのまさに「空虚な中心」だったんだということが腑に落ちました。 戦争の具体的な描写は殆どありませんし、廃墟と化した帝都東京の様子も所々に出ては来ますが、むしろ幻想的に描かれた空襲の場面が不安を掻きたて、印象的です。(B29が飛び魚のような姿で燃えさかる街に次々と爆弾のような小魚を産み落としていく) タルコフスキーやニキータ=ミハルコフなどにも共通していますが、ロシア人監督の映画作品には、何とも言えない沈鬱さ重々しさと同時に独特の優美さとユーモアとがあり、この作品にも決して日本でもアメリカでも西欧でも撮れないだろうテイストがありました。 そういえば、アレクサンドル=ソクーロフ監督といえば、以前『エルミタージュ幻想』という映画のDVDをAmazonで安く入手していたことを思い出しました。エルミタージュ美術館を舞台にロシア・ロマノフ朝の歴史絵巻を90分1カットで撮影したという美しい映像の意欲作でしたが、長回しにちょっと辛いものがあり、キチンと観ていませんでしたのがもう一度見直して観ようと思います。
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私もこれ観たいです。結構混んでそうですね。
2006/8/5(土) 午後 9:28
Grumpy様、こんにちは!ぜひご覧になって感想を聞かせてください。シネパトス(小さな映画館なんです)での単館上映なのに注目している人は多くて、上映1時間以上前でないと整理券がもらえなかったようです。電子チケットぴあだと300円余計に払いますしファミマで発券手続きが必要ですが、席が確保できてよかったです。
2006/8/5(土) 午後 9:46
TBありがとうございます。映画館、メチャメチャ混んでいましたね。私もこの監督のほかの映画、見てみたいです(長尺はキツイなあ・・・)。とくに本編と並んで3部作となっているという、ヒトラー、レーニンの姿を・・ ・・。
2006/8/5(土) 午後 9:49
ノウブリ様、ようこそ!ソクーロフ監督は20世紀を代表する人物を取り上げた作品を次々に手がけているそうですね。私も観てみたいです〜!
2006/8/5(土) 午後 10:04
カプチーノ様 私も昨日の「東京」夕刊の映画レビューに注目しました。早速観られたのですね。あなたのこの批評も参考にしたいです。
2006/8/5(土) 午後 11:54 [ yfq**494 ]
「空虚な中心」という形容は、「輔弼」という言葉を思い出させます。天皇制が何だったのか、それがどうして戦争に結びついたのか、やっぱりきちんと総括されていないように思います。(ずれたかな。。。すみません。)
2006/8/6(日) 午後 5:39
林様、もし観られたらぜひ感想を記事になさってくださいね。
2006/8/6(日) 午後 9:02
star様、「輔弼」を思い出させるとは??天皇制と日本の近代史については勉強不足で論ずる自信はないのですが、天皇の存在が日本の政治や日本人の精神にいかなる影響を与えどんな役割を果たしたのか、客観的に冷静に学びたいものです。私は西欧でいう「王権神授説」においてキリスト教が果たした役割を類推したりします。つまり権力の源泉としての権威付与機能というのでしょうか・・???
2006/8/6(日) 午後 9:09
かぷちーのさんは、何時の時間帯でご覧になっていたのでしょうか?実は私も無茶苦茶早起きして、上映初日に観に行きました。私自身は、11時の上映時間の指定席8番にいました。近々記事にしたいと思っています。その時はトラバさせてくださいね。
2006/8/6(日) 午後 10:08 [ - ]
gendai様!!あなたの左隣に座っていたオバさんが私でしたのよ〜!! (11時の回で指定席の7番でしたから!)なんという偶然!そうとは知らず、失礼しました〜!!私としては両隣が男性で若干緊張していて、どんな人なのか、不躾に顔を覗くなんてことも出来ませんでした・・・。貴重な邂逅でしたのにねェ・・・。でも虫が知らせたのか、三越前から教文館が目に入った時「gendaiさんが銀座に来ると寄るって言ってたなぁ」なんて思ってたんですよ!
2006/8/6(日) 午後 11:21
右隣に座っていたオジさんです・・笑 。上映後、やっぱり教文館に行きました。いや〜偶然と言うものはあるんですね。まさか隣りにいらっしゃるとは、考えようもありませんでした・・汗
2006/8/7(月) 午後 4:14 [ - ]
ご覧になったのですね。日本公開が危ぶまれたという映画。盛況だったそうですね。上映館が広がるといいですね。
2006/8/8(火) 午前 9:22 [ OSAMU ]
genndai様、どんな風貌の方だったか思い浮かべようとしても、映画に集中していて周りに気を配っていなかったので、何も思い浮かびません・・。でも、私が座ったとき扇子を使っていらっしゃった記憶がはっきり残っていますけれど・・・。ですよね??
2006/8/11(金) 午前 0:35
おさむ様、日本公開が危ぶまれていたというのは、モデルがモデルだからですよね。いっせい尾形は勇気があると私も思いました。今後各地で上映するそうですが、小規模にらしいですね。
2006/8/11(金) 午前 0:39
かぷちーのさん、Gendaiさん、すごい邂逅だったんですね! ブログで意思が通じ合ってる者って互いに引き付けあうのでしょうか。Gendaiさんとはイスラエル大使館前で私もニアミスしてますよ。
2006/8/11(金) 午後 0:15
Grumpyさん、こんにちは!Gendaiさんとの件はホントに驚きました。それにしてもイスラエル大使館へ行かれたとは、ご両人とも(記事も読みました)さすがの行動力ですね。ブログで思いを同じくしている人がいることがわかるのは勇気づけられ、励まされることですね。見習いたいです。
2006/8/11(金) 午後 2:06
↑では、かぷちーの先生も「奇特倶楽部」に入って下さいネ(^O^)。今年は「日本におけるロシア文化年」ゆえ忙しく(?)、そのソクーロフ作品まで手がまわりません。多分、数年後に観ます(^^;
2006/8/14(月) 午前 4:02
「奇特倶楽部」と称して、ブログ仲間の皆さんが何か活動されてるんですか?(どこかで何度か目にしましたが)倶楽部活動に入れるかどうかは分かりませんが、ここぞという時には私もご一緒させていただくかもです。
2006/8/15(火) 午前 0:02
未だ観てはいませんが、今朝の「赤旗」に批評が掲載されましたので、とりあえず、それをブログに掲載しました。
2006/9/7(木) 午前 8:22 [ yfq**494 ]
林様、コメントありがとうございます。いまからお邪魔して、「赤旗」のレビューも読ませていただきます。
2006/9/7(木) 午後 8:29