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事の発端はボズ・スキャッグスでした。 彼の記事を書こうと思い立ち、参考までに聴いたことのなかった初期のアルバムをチェックした時のことです。 スティーブミラーバンドの二枚のアルバムを試聴し、次に同バンド脱退後に発表したソロアルバム「Boz Scaggs」(1969年)をチェックしている際に興味深い記事に目がとまりました。 それはこのアルバムがレコーディングされた”マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオ”に関するものでした。 アメリカ南部の片田舎にあるこの小さなスタジオから、サザン・ソウル、スワンプ・ロック等、数々の名盤が生まれた事。専属ミュージシャンから生み出される、土地に根ざした素朴で泥臭い特有なサウンドに魅了されたアーティスト達が、ジャンルを越えて録音詣に訪れた名スタジオだった・・・等々知ることとなったのです。 これは全くの初耳でした。 うかつにも、ぼくが最も敬愛してやまないミュージシャンのひとりであるポール・サイモンが、ソロアルバム「There Goes Rhymin' Simon (ひとりごと)」を制作するにあたり、このスタジオを熱望したということも知りませんでした。 LPのジャケットを開くと左上にある見慣れたあの箱のような建物こそ、マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオだったのです。正に目から鱗でした。 「ひとりごと」は約半数の曲がこのスタジオでレコーディングされています。 バックはマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオの専属ミュージシャンで、マッスル・ショールズ・リズム・セクションと呼ばれる名手達です。 ピート・カー(g)、ジミー・ジョンソン(g)、バリー・ベケット(key)、デヴィッド・フッド(b)、ロジャー・ホーキンス(ds) 達による絶妙なアンサンブル、グルーヴは実にご機嫌です。 また、曲によってジャズ・フュージョン系のミュージシャン(コーネル・デュプリー(g) やゴードン・エドワーズ(b) ボブ・ジェームス(key)他)を起用しおり、マッスル・ショールズとニューヨーク、他の音を絶妙なバランスで使い分けている制作側の意図などが見えてきました。 さて、最初に触れたボズ・スキャッグスのソロアルバム「Boz Scaggs」に話をもどします。 マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオに興味をもったぼくは、曲を試聴してみて気に入ったこともあり、結局アルバムを購入してしまいました。 このアルバムのボズは、後の洗練されたAORと真逆のブルースやソウル、カントリー等のルーツミュージックにどっぷり浸かっています。おそらくボズ自身のルーツミュージックでもあり、憧れであったのでしょう。 マッスル・ショールズ・リズム・セクションのいぶし銀のようなサウンドと一体となった歌声は、人間臭さ、泥臭さといった現代では希薄になりつつある部分が肝となった素晴らしいものです。 また、このアルバムのセッションにはロック界の驚くべき人物が参加していました。 オールマン・ブラザーズ・バンドのデュアン(デュエイン)・オールマンです。まだバンドが結成される前に、この天才ギタリストはマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオでキャリアを磨いていたのです。 今回は、意外な展開でマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオと出会い、興味をもつこととなりました。そしてマニアックな音楽ファンのブログ等を調べることによって理解も深めることができました。 ”ウエストコーストサウンド”、”モータウンサウンド”等々地域やレーベルにみられる固有なサウンドを指す言葉はしばしば耳にします。 しかしながら小さなスタジオが、他にはだせない独自の音を持っていて、スタジオ名がブランドと同じようなステイタスを持っていたと言うのは、興味ある出来事です。 残念ながら現在このスタジオは存在しませんが、今後も機会があれば過去に遡ってこのスタジオの音楽を聴いてみたいと思います。 「コダクローム」曲の最後の方で聞こえる「OK!」というポールの声、マッスル・ショールズリズム隊の素晴らしい演奏に、思わず口に出たつぶやきでしょうか。 「ローン・ミー・ア・ダイム」は、シカゴのブルースマン、フェントン・ロビンソンの曲のカヴァーだそうです。主役を食うほど弾きまくるデュアン・オールマンのギターソロが圧巻です。
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以前書いた マッスルショールズ関連の記事がありましたので
TBさせていただきました
2011/9/12(月) 午前 10:41
Madhatterさん
トラックバックありがとうございます。
スタジオとともにリズムセクションの職人たちも旅立たれたりしてさびしいものですね。
そうそう、今回マッスルショールズを画像検索したらシェールのファーストソロアルバムのジャケットが出てきました。これも以外な組み合わせでびっくりでした。
2011/9/13(火) 午前 0:13
ボズ・スキャッグスというとAORの旗手という感じがしますが泥臭い音楽をやっていた時代もあったのですね。
2011/9/13(火) 午後 3:03 [ mgf ]
MGFさん
そうですね。スーパースターの下積み時代を垣間見るようで興味深いですね。
AORになってバックは思いっきり洗練された音に変わりましたが、歌はこの当時のスピリッツそのままのように思います。
2011/9/13(火) 午後 11:54
入院中でしたので遅いコメントになりました。
私もマッスルショールズを初めて知ったのは
”ひとりごと”からでした。たぶん音楽史に
残る、単なるスタジオではなくジャンルや
この時代の音を作り出した場所として。
2011/9/26(月) 午後 11:02
ZUMAさん
いつもコメントありがとうございます。
「音楽史に残る〜」・・・そうか!この言葉でてきませんでした。ぼくが言いたかったことが集約されています。
この夏は大変でしたね。あまり無理せずお体大事にしてくださいね。
2011/9/28(水) 午前 0:02