緩速ろ過から生物浄化法ーおいしい水を求めて

現場から学んだ知恵と技術 生物屋 中本信忠の奮闘。目からウロコの話

Mecha生物浄化の仕組み

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石巻市水道被害、聞き取り調査、2011.8.29.
  NPOとして震災影響調査をしている。2011年8月29日(月)に、宮城県石巻市水道企業団(虻田浄水場)に行くことになった。
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1966年4月に稼働しだした虻田浄水場は、急速濾過である。旧北上川の氾濫原に建設されたもので、地盤が悪い。1978年の宮城県沖地震でも被害がでた。今回の大震災で、多くの被害が生じていた。そこで、須江山を切り崩し、1988年6月に稼働した須江山浄水場に移転建設することにした三陸河北新報社のニュースがあった。
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石巻市には明治時代の建築物が残っている街である。調べたら、市内の真ん中に、大街道浄水場があった。
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この浄水場には、1929(昭和4)年に建設された 旧管理事務所がある。グーグルマップで見る限り、現在でも問題なく稼働している様だ。つまり、80年以上も前に建設した施設は、難を免れ、戦後の高度成長期に建設されたアメリカ式の急速濾過施設は、被害が大きかった。建設場所の問題もあるが、Simple is the best.である。  
 原水は、旧北上川の鹿又取水場から取水している。
虻田系(60,500m3/日)→虻田浄水場(急速濾過、55,000m3/日)
大街道系(16,500m3/日)→大街道浄水場(緩速ろ過、15,000m3/日)
須江山系(27,500m3/日)→須江山浄水場(急速濾過、25,000m3/日)
 
 大街道浄水場には、5,400m3の沈殿池が2池ある。多分、1966年に急速濾過系の虻田浄水場を建設する時期に、前処理として凝集剤添加を開始したのであろう。それ以前は、沈殿池だけで対処していたと思われる。
 約1,000m2のろ過池が5池ある。4池常時稼働しているとして、ろ過速度は、15,000m3/d÷4,000m2=3.75m/dと推定される。もし、仮に、英国の現在のろ過速度10m/dで稼働させるなら、4池稼働させるなら、4,000m2x10m/d=40,000m3/dの能力がある。
 ネットで調べたら、削り取り作業の写真があった。
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ろ過池の水深は、深すぎて、補砂が必要である。できるだけ浅くし、砂も大き目にして、ろ過速度を上げるのが良い。もっとも、これから補砂するのかも知れないが。
 2010年英国スコットランドのエジンバラの浄水場を見学した。ろ過池の水深は浅かった。水色も泥炭地からの水なので、茶色である。緩速ろ過なので、茶色の水でも気にしていなかった。浅いと、底まで光が十分に届き、藻が繁殖しやすく、動物も多くなる。つまり、生物活性が高くなりやすい。水深が浅いと水圧が小さいので、気泡が生じやすく、藻類被膜は剥離しやすい。濁りを捕捉して水面に浮き上がりやすい。動物が多くなり、藻が無くなっても、砂層上部には空腹の動物が多いので、濁り除去という点で、問題ない。
 水道で問題なのは、発ガン物質生成(塩素添加でトリハロメタン生成)、クリプト原虫による集団下痢、臭い水、これらの水道水での問題は、全て、急速ろ過処理での問題である。塩素添加が必須なのは、急速ろ過である。緩速ろ過処理では、これらについては、問題にしていないのは、世界の常識。
 日本の常識は、世界の非常識。自分自身で考えないで、監督官庁からの情報を鵜呑みする。転勤族の担当は、外部の専門コンサルに相談する。コンサルは業界に都合が悪い情報は与えない。
 でも、日本は、戦前は、緩速ろ過が主流であったが、戦後、7割がアメリカ式の急速ろ過処理になってしまった。厚生労働省も、日本水道協会も、緩速ろ過に関する情報を、努めて、流してこなかったし、現在もである。企業利益追求の業界の代弁者のコンサルの言いなりであったし、現在もである。自分自身で考え、自己責任で判断しない。
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この浄水場は、水深が浅いので、光合成で生じた気泡の浮力で底から藻類被膜が浮き上がっているのが見られた。水は透明だが、褐色の色がついている。コーヒー、紅茶、ウイスキー、味噌汁も全て、茶色だ。
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 この浄水場で、削り取った汚れた砂と洗浄した砂を手に取ってみた。大きさ、日本と比べて大きく、均等係数などには、無頓着であった。緩速ろ過は、機械的なろ過でなく、生物群集による浄化であるので、砂の材質、大きさは、関係ないのである。
 生物浄化法Ecological Purification Systemと認識すれば、砂の大きさは大きくても良い。ろ過速度は速い方が良い。水深も浅い方が良い。削り取りは、できるだけ少なくするように、沈殿と粗ろ過で対処し、濁り水対策では、決して、凝集薬品を使用してはいけないことが理解できる。
 この考えは、英国で認識されだした。中本が1994年頃から英国のテムズ水道を何度も調査し、英国から実践されだした。
 震災で、省エネ技術が必要になった。日本も、この考えを、導入したい。
 緩速ろ過は、古い技術でなく、ローテクでもなく、スマートテクノロジーaだ。
What an old and low technology of Slow Sand Filte is ? 
It's a realy smart technology.
 
 
戦前の水道水は、外国船が日本で給水し赤道を越えても腐らなかった
のは、有名な話である。それは、英国方式の緩速ろ過であった。もちろん、塩素で殺菌消毒をしていなかった。細菌は増えることができなかった水だった。
 緩速ろ過処理による水道水中には、細菌が繁殖に必要な有機物は、浄化の過程で、微生物により分解されて無くなっていたからだ。
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 戦後になり、塩素で殺菌するアメリカ方式の急速ろ過が良いとして、導入した結果、安心できない水道水になった。表流水でなく、伏流水の方が、自然の仕組みで、より良い水である。伏流水取水で、緩速ろ過(いや生物浄化法)で水道水をつくりたい。土砂降りで、河川水は、濁るが、伏流水は濁らない。この水を処理すれば良いのに。
 細菌も漏出し、生物利用可能の有機物も除去しきれない。だから、ろ過水を殺菌し、しかも、殺菌剤を常に有効にしていないといけない。アメリカ式の急速濾過は、凝集薬品沈殿処理である。欺瞞の名前だ。 
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 緩速ろ過のろ過速度は、早い方が、細菌除去や濁りを捕捉する微小生物にとって、酸素供給量が増えるので、良い。ゆっくり(スロー)とは、生物群集にやさしいという意味である。
 細かな砂でなく、大きな砂の方が良い。この発想は、世界に誇れる日本発である。
 日本中で戦後主流になった、急速ろ過処理を再検討したい。
 緩速ろ過は広い面積が必要とは、誤解。実は、急速ろ過より狭い面積だ。
 浄化に時間がかかるというのも、誤解である。実は瞬間浄化である。
 削り取り作業が大変とは、間違いである。何もしないのが良い。
  急速ろ過では、細菌も漏れるし、有機物も完全には除けない。
  クリプト原虫問題も急速ろ過処理での問題だ。
   だから、次々と、対策をとっているが、それでもダメだ。
   急速ろ過処理は、残念ながら未完成の技術で、欠陥処理である。
今だから、緩速ろ過でなく、生物浄化法として新しい技術として評価したい。
 本当かなと思うなら、是非、2011年10月の大分でのNPOセミに参加して
JICA宮古島・石垣島、2011研修
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講義、浄水場のろ過池、顕微鏡観察、15名の研修生が真剣に聞いてくれた。ろ過したばかりの水も、塩素滅菌が必要ない水で、おいしい水を飲んでもらった。
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台風で、強風で、ホテルからでると危険なので、ホテルの食堂でも補足の講義をした。
砂層表面を採取、風下の砂面は、藻が沈んでいるので、呼吸で酸素不足になり、硫化水素臭があった。盛んに藻が浮いてくる場所は、砂が見えていたりしている。採取してみると、砂は、一つも汚れていない。
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水深が浅いと、水圧が小さい。光合成が盛んで、生じた酸素は、過飽和状態になり、気泡ができやすい。砂面から浮き上がる。この様な現象は、削り取り作業をしてから」1週間程度で見られる。ろ過を継続すると、最初に見られる糸状の藻は、捕食動物に食べられ、やがて、細胞が固い、糸状緑藻が現れる。もっと長くろ過を継続すると、緑色の藻を食べる貝類も現れる。もちろん、砂層上部には、多数の微小動物がいて、砂層に入ってきた濁りや生物を餌として捕食する。藻が発達し、微小動物が繁殖すると、ろ過水は、濁りがない水になる。透明度が20mから40mの水と同等である。微小動物が活躍しないと水はキレイニならない。
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 浄化モデルで、仕組みを解説した。こんな小さなモデルでも、大量の飲み水ができるので、驚いていた。また、ろ過速度、砂層を通過する速度を計算し、生物が活躍している層を通過する時間も計算すると、確かに瞬間浄化ということを理解してくれた。
 砂層1mの意味は、間違えて、濁りが通過しても、砂粒の表面に吸着することと解説した。
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実際のろ過池の状態も観察。ろ過継続を長くすると、貝類が現れるのを解説した。でも、砂面上に藻が動物に食べられ、無くなっても、砂層内部が汚れていない。そこには、顕微鏡で見ないとわからない微小動物が多数活躍しているからである。砂での機械的なろ過でなく、生物群集による浄化である。
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 ろ過を継続しているときは、砂の中は、汚れていない。でも砂を採取して水面から出すと、藻類被膜や砂層上部で捕捉されていた濁りが砂の中に入ってしまう。
 削り取り時、隅で藻が腐っていた場所の砂の中深くは、汚れていない。しかし、砂面がきれいな場所では、逆に、水を抜くときに、水が早く流れるので、砂が深くまで汚れてしまう。
 見た目と、実際は異なることを実感してもらった。
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 中本の研修の最後、8月12日午前は、石垣市水道部会議室で、まとめと、質疑応答をした。参加した研修生は、自分の国の実情を考えて、どのようにしたら、良いかを発表してくれた。それが、本当に実現するには、もう少し年月がかかるかも知れないが、楽しみである。
  この様な、研修は、宮古島市水道局や石垣市水道局の多大なる理解があるので、実現できる。外国の研修生に対してでなく、本当は、日本の水道関係者にも理解してもらいたい。
 日本の全ての教科書の緩速ろ過処理に関する記述は、間違いである。いや、日本ばかりでなく、世界中の教科書には、誤解された記述しかない。
 今回、同行してくれていた人から、「中本さんは、伝道師」みたいに見えてきたと言われた。
そう言えば、昔、「ガリレオみたい」、「十字架を背負ったキリスト」みたいとも言われたのを思い出した。
緩速ろ過池の水深が浅いと気泡ができやすい。水深と溶存酸素飽和度について下記に書いた。
実際に、浅瀬の礫だと、気泡が多数付いているのが観察される。
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ろ過池の水深について考えてみた。
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高度(水深)と圧力と飽和度の関係をグラフと表で示そう。
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良質の湧水は、短時間でつくられている。汚染された部分にある水の交換時間を考えてみよう。短時間で交換している。
 原発事故で、汚染された空気やホコリが排出された。降下した汚染物は、地表面に付着し、蓄積した。降雨により、地表面に蓄積していた物質が、一斉に、地下に浸透し、湧水からでてきた。原発からの排出される汚染物が少なくなれば、地下水は、直ぐに良質の湧水として回復する。
名水と言われる地下水(湧水)は、実は、短時間でつくられている。イメージ 1
降水により、空気から、ホコリなどを除き、地表面の除染をしているようである。降水は、天の恵みの様だ。早く、汚染物の排出が少なくなり、たびたびの降水により、早く、地表面の除染が進むのを願う。
 
地表水は、直ぐに洗い流されます。
地下水も水路になっているところは、降雨の影響が直ぐに出るように、その水の滞留時間は、本当に、短いです。地表水と地表近くの地下水の交換は速いです。
 
清澄で良質の湧水が、何百年も何千年もの時間をかけて浄化するというのは、
全くの、間違いです。つくられたイメージです。素人だましです。
実は、清澄で良質の湧水は、降水(雨水)は、蒸留水で、良い水です。
降雨の元は、蒸留水。それの中のホコリなどが除かれたのが、良い湧水なのです。
 
地下で、長い年月をかけたら、岩石などからの溶けだした成分が増えてしまい、良くない水になります。
雨が降らない時期は、湧水の電気伝導度が高くなります。深いところに貯留された水がでてきているのです。
 
今回の簡易水道での濃度が高くなったのは、雨が降っていないで、地表面に、汚染物が蓄積していたのです。今回、雨が降り出したので、地表面に蓄積していた成分が、一次的に洗い流されたと考えた方が良いです。
 
朝一番の水道水は、良くないのと同じです。
常に流れていれば、低濃度になります。
 
井戸水も使わないと、汚染が進みます。
井戸を使うと、水の交換が良くなり、水質が良くなります。
  
大規模の浄化施設のためには、大量の水が必要です。そのため、大量の地表水を集め、貯留したりする必要があります。それは、汚染された水を集めるようなものです。この貯水池や河川水が汚染されれば、改善されるまで、長い期間が必要です。小規模の簡易水道などは、汚染されても、直ぐに回復します。やはり、小規模簡易水道の勧めです。
 
自然界での水の浄化、水の循環を、自分で、考えて判断したい。
 
 東京都金町浄水場でつくられた水道水中に、放射性物質が検出されたと3月23日に発表された。東京都が莫大なお金をかけて高度処理をして、最良の水道水であった水である。
 お金をかけないで、最高の水質の水道水をつくることができるのは、生物群集の活躍を活用した緩速ろ過である。
 水道水の浄水濁度基準は2度(2mg/l)だ。それは、急速ろ過では、逆洗浄があるので、2度になってしまうことがあるので、その基準である。しかし、緩速ろ過では、直ぐに、0.1度以下になる。0.01度程度に直ぐになり、そのままである。それだけ、細かな粒子も微生物や微小生物群集により捕捉される。細かなホコリなどに吸着した放射性物質も除けるのだ。
 今こそ、自然界で浄化された湧水や良質の地下水を利用したい。この仕組みを人工的につくったのが緩速ろ過(生物浄化)法だ。

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