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水域の一次生産力は高い 4の3
緩速ろ過の魅力にとりつかれた生物屋のこだわりのルーツ
明暗瓶法の値へ疑問の執念
7.流速の違いによる付着藻類の発達の違い
8.水深の違いと付着藻類の発達
9.水路での付着藻類の発達の季節的相違
10.千曲川での現存量変化法による測定
7.流速の違いによる付着藻類の発達の違い
千曲川の河川水を導水している中央水研内水面利用部の用水路で7月14日から8月9日にかけて実験を行った。水中ポンプを使い人為的に流速を変え、緩く付着する藻(Loose),堅固に付着する藻(Adnate)に分けて、付着藻類の発達を調べた。流速はSlow:23cm/s、Middle:121cm/s 、Fast:224cm/sの3段階で調べた。
図7-1.水路にポンプで流速を変えての実験
図7-2.雨樋に付着板として透明塩ビを固定。
図7-3.洗瓶の水で洗い流されるのはLoose.ブラシで削り取るのはAdnate.
図7-4.流速の違いによる付着の発達の相違
表.Loose, Adnate, Totalの倍加日数
洗浄瓶の水で洗い流される藻をLoose。歯ブラシで落として採取できる藻をAdnateとした。付着藻類は1〜2日で分裂をして増えることがわかった。
堅固に付着藻類の発達は流速に大きく影響されないが、緩く付着する藻は、流速が遅いと増加が速い。付着しやすさに関係していると考えられる。
対数増加をし、やがて平衡状態になる。つまり、礫面に付着する量がほぼ一定になる。その現存量は、人工水路の場合、Chl.a量として約80mg Chl.a/m2であった。仮に、倍加日数は1日なら、純生産速度は80mg Chl.a/m2である
Nakamoto, N. and M.Sakai (1994)での収穫量(1日1m2の収穫量(純生産量)は湿重量173g、乾燥重量26g、有機物量7.81g、酸素生産8.33g、呼吸量は8.53gO2で、総生産量(O2)としては16.86gになった。)はChl.a量44.4mgで、この値から計算してみる。Chl.a量は倍であるから、生産量は、約倍で、総生産量(O2)としては32g程度になる。
桜井ほか(1997):千曲川における付着藻類に関する研究3.千曲川中流域での異なる流速による付着藻類発達過程の相違。日本陸水学会甲信越支部会報23:25-26.
8.水深の違いと付着藻類の発達
千曲川で長靴での調査できる深さを想定し実験を行った。水深の違いが付着藻類の発達の影響を調べた。網戸に、塩ビ板を付着し、水路の中、水深10cmと35cmに設置した。なお、付着板は、塩ビ、ガラス、スレートで、付着状況は変わらなかった。
図8-1.人工水路に付着板を網戸に設置
図8-2.水深を変えての付着の発達実験
図8-3.深い付着板には魚による被食痕
水深10cmと35cmの違いでは、初期増加はほとんど変わらないが、長期間では、浅い方が現存量は大きくなるが、深い方が現存量は少なくなった。深い所に置いた付着板には、付着藻が魚による被食痕が著しかった。浅いと魚による被食は小さい。それは、魚は鳥などにより捕食されるのを警戒し、浅いところの付着藻を被食しないようにしているのかも知れない。
図8-4.水深の違い:被食圧の違い?
9.水路での付着藻類の発達の季節的相違
付着藻の現存量(平衡状態)は、捕食、天候に影響される。夏は被食圧が大、大雨による濁りで削りとられる。冬は被食圧が小さく、濁りが少なく安定するので、現存量は大きくなる。
初期増加速度は、水深35cm程度までなら、水中での光の減水による影響が小さい。しかし、夏と冬の日射量の変化は光合成速度に大きく影響し、夏は速い。
図9-1.付着藻類の発達に関しての季節的相違
10.千曲川での現存量変化法による測定
付着の発達を調べるために、明らかに異なるタイルなどは、釣り人などにイタズラされることが多い。そこで、現場の礫を用いた。桜井ほか(1997)と同じ方法で、鼠橋地点で流速20cm/cmと120cm/cmの場所に、現場の礫を約100個ずつ採取し、洗浄し、現場に設置し、付着藻類の発達を測定した。
千曲川の総合研究(平成13年12月、河川生態学術研究会千曲川研究グループ)、桜井ほか(1998):千曲川中流部の河床における藻類発達速度と生産力について。日本陸水学会甲信越支部会報24:51-52。
現場に、礫を置き、定期的に取り上げて、礫面上で発達する付着藻類の現存量を測定する。
図10-1.河原の礫をブラシで清浄にする。ラッカーで印をする。
図10-2.礫を河原に設置
河原に設置し、1週間の初期の現存量の増加は対数増加する。潜在的な増加速度である。
図10-3.瀬(Fast:流速120cm/s、深さ10cm)と淵(Slow:流速30cm/s、深さ35cm)での礫面での初期発達量(Chl.a)の変化。
図10-4.初期発達速度と平衡状態の現存量から生産量を推定法の説明図
初期の潜在的な増加速度は、持続するが、被食や剥離するので、現存量は、増える量と減少する量が釣り合う平衡状態になると考える。潜在増殖速度に現存量を乗ずることで、潜在的な生産量が計算できる。
鼠橋付近で6月、7月の初夏の礫面での発達速度(倍加日数)は1日以下である。瀬は0.7日だが、淵は0.5日であった。平衡状態の現存量は水路での結果と異なり、瀬の方が現存量は多かった。
初期速度に平衡状態の現存量を乗じて、総生産量を計算したところ、ろ過池での実測値よりも倍以上になった。現存量法では、過大の値と思われる。
表1. 現場の礫面での初期発達速度(倍加日数:DT)と平衡状態の現存量(ST:Chl.a)から計算した総生産量(Pg)
緩速ろ過池で測定した値から換算を試みた。
1mg Chl.a:68mgC:170mg(有機物):181mg O2
の換算値を用いた。
表2.鼠における瀬と淵での付着藻類の1日当たりの純生産量
しかしながら、この値は、ろ過池での実際の収穫法での純生産量と比べると過大である。過大な値が計算される原因は、平衡状態の付着藻類中に、死骸や活性の悪い藻が存在し、全ての藻類は光合成に関与せず、一部しか関与していないことである。顕微鏡観察すると、体積割合でも、死骸の細胞が2割程度ある。仮に半分の藻類が光合成に関与するとしても、まだ、過大である。
図10-5.河原の礫面藻類を採取
千曲川の河原の礫面の藻類は単細胞で礫面に付着する藻類が多い。しかも、細胞質が抜け、明らかに死細胞の藻類がある。礫面での藻類で、本当に活性が良い藻を、把握する方法を開発する必要がある。
図10-6.礫面での藻類(体積割合)
図10-7.優占種の生細胞と死細胞の割合
Keywords: 中本信忠 Nakamoto 生物浄化法 Ecological Water Purification System 緩速ろ過法(緩速濾過法) slow sand filter slow sand filtration 急速ろ過(急速濾過) rapid sand filter 地域水道支援センター Community water support center おいしい水 delicious water 小規模水道施設 浄水施設 浄水場 water works 糸状藻類 filamentous algae 糸状珪藻 filamentous diatom メロシラ melosira 食物連鎖food chain 省エネEconomical system 生態系 ecological system 低炭素社会 low cost
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