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前記事からの続きです。
「superfly」なんて言葉が簡単にネット辞書で引いて意味が分かるように
なって便利な世の中なのですが、やっぱりスラングには要注意。
何種類の辞書をひいても「かっこいい、いけてる」という意味が出てくるのですが、
語源まで調べると、「クスリの売人」という意味で使われたのが
その起源ということがわかります。
 
もう、アメリカだとテレビドラマなんかでも使われるほどポピュラーらしいですが、
私には大きなハエのイメージしかわきません。きっぱり。
ネガティブな言葉を逆な意味で使って、面白みを出すというのは
よくあるのでしょうが、「BAD=逆境を跳ね返してた本当の強さ、かっこよさ」
とは全然違うんですよね。
 
当然マイケルは語源についてもよくよく知っているわけで
この「Superfly Sister」が皮肉や批判だというのはタイトルからもわかるんです。
言いたいことは一つだけ
   
   「愛は心だよ」
ということ。
 
最初の4行で言いたいことだけ言ったら、あとは
すべて「快楽」を表す言葉、表現だけです〜〜〜〜〜〜。
  巷にあふれる安っぽい音楽の歌詞ってこんなんでしょ。
  それこそダブルミーニングとか使って、わからないようにして。
  それでもって、時々「マリア様ご慈悲を!」とか「アブラハムに
  お説教して」とか恐れ多い言葉を散り混ぜて、
  それをノリノリのこれまたお安い曲に乗っけたら
  はい、それなりの流行歌の出来上がり!
  
パロディーなんです、この歌詞は。そういったマイケルの信条とは反する楽曲たちの。お金儲けしか考えず、若者たちへの悪影響も考えず、安易に作られた
楽曲への。
だって、本当に美しい官能や愛の曲は他にちゃんと書いているでしょ。
だから、歌詞の意味より、「どうしてマイケルはこの曲を書いたのか。」
気にしたほうが良いわけで、
そこで、
名曲探偵、登場です。
推理するしかないですもんね。
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推理その1
「ヒントはスージー」
やはりブラダンとは双子なんです。
「スージー」という名前は、二つの曲をつなぐ役割です。
モーターマウスの意味も当然SSでは危ない意味で使われます。
じゃあ、WBSSでも?
あり得ないです〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
 
そこで推理2
「Blood On The Dance Floor」は誤解された。
たしかに解釈が難しい曲です。だからこそあれぐらい熱のこもったSFも作ったのでしょう。このSFの振り付けをしたヴィンセント・パターソンは、
「このSFの撮影からソニーとのトラブルが始まった。」と語っていますから
映像の中になにか会社的にひっかかるところがあったのではないでしょうか。
(Michael Jackson For The Record p.41)
踊りはセクシーだけど、それほど過激ではありません、(きっぱり)
90年代以降の欧米のモダンバレーやオペラの過激さなんて、もうこんなんじゃないです。
なので、問題視されそうなのはこれしかないですね。
「ハートにSusie+Meそこにナイフ。」
あのハートが「聖心」というキリストの心臓を表すものだということから、
宗教関係からのクレームなどを心配したのでしょう。
今見られるSFはこのハートとナイフがはっきり見られますが、以前はこれが
ぼかされていたようです。
おそらくSFは作り直され、リリース時期も遅れたのでは?
楽曲の最終的なブラッシュアップも行われなかったらしいです(VISION解説より)
 
推理3
このハートは何を意味するのか。
1.神・キリストの愛や教えに背く行為(不倫)
2.最後に映し出されるときは、Susieが傷つけられる
  →身ごもった子供が堕胎されることだと思います。
 3.特にこの聖心の傷が強調されるときは、キリストの受難を示します。
  キリスト教絵画的な図像学を当てはめるなら、
  スージー母子の、幼子のほうが受難を受けると解釈できます。
 
マイケルが息詰まるような音と言葉、ダンスでリアルに描写したのは
一時の快楽に身を任せて堕落する男女の姿。
このようなストーリーは映画でも小説でも多くありますが、
マイケルならではの視点は、やはり「子供」。
 
愚かな大人の情事の挙句に失われる新しい命。そのことに対する怒りは
周囲からの無理解やネグレクト(大人の事情)で死んでいった少女を歌った
「リトルスージー」に通じます。(だから「スージー」という名前でこの三曲につながりを
持たせたのでしょう)
 
ブラダンに類似するようなストーリーの映画やドラマはよくあるのですが、
不幸な結末を迎える新しい命にまで思いをはせ、そこに焦点を当てることは少ないですよね。あまりにマイケルらしい心の優しさですが、これが誤解を受けたとなると悲しいです。
このハートをオカルト視してはならないと強く思います。
 
推理4
とは言え「ブラッドオンザダンスフロア」というタイトルは過激ではないのか。
私も初めに見たときは「過激」だなと思いました。
なかなかこのタイトルをすんなり受け入れられる人は少ないと思います。
だからオカルトやイルミナティー解釈も増えるのでしょうね。残念です。
しかし、やはりポップ音楽の枠から外に目をやると、よくよく考えてつけられた
タイトルだということがわかります。
 
私はブラダンやビリージーンはオペラ「カルメン」のインタープリテーションだと考えながら解釈しているのですが、「カルメン」の中の有名なアリア「闘牛士の歌」の中には「Le cirque est plein de sang」(牛をしとめて競技場は血に染まる)という言葉があります。
 
勇ましさと華やかさで人々の心を舞い上がらせ、興奮状態で恋を歌う曲なのですが、
この曲のこの箇所にこそ、カルメンの死を暗示する重要な役割があるのです。
闘牛士エスカミリオはこの曲を歌いながらカルメンを口説きますが、カルメンが
刺される場面でもこの曲が流れ、カルメンの死と同時に牛の血が流れるというしかけになっています(観客席から闘牛場内は見えないので、言葉の力でイメージに訴えるだけですが)。娯楽のために牛(弱者)を刺し殺す残虐性が物語の悲劇性を一層深めています。
 
複雑な男女関係の挙句に尊い命が失われることの悲劇や愚かさを、
舞台では「血のり」を使えないので言葉で象徴的に表す。
このような偉大な作品の前例を見れば、「Blood On The Dance Floor」という言葉も
まさに芸術のための必然としか言いようがありません。
マイケルはクラシック音楽にもしっかりとした知識を持っていますから
自信を持ってこのタイトルをつけたと思います。
 
「闘牛場は血まみれ」「ダンスフロアは血まみれ」という句は
さらにはエスカミリオとブラダンの主人公の性格設定も表します。
社会的な成功者で、女性を蔑視し命を軽視する軽薄さが読み取れます。
(ブラダンSFを見ると、かなり高級なクラブであることがわかります。ある一定以上の
ステータスのある人しか入れないような。そのあたりはスタジオ54で見聞きしたことを取り入れているかもしれません。)
 
そして闘牛場がスペインを象徴し、サルサダンスクラブがNYを代表する文化のひとつであることから、国や社会の繁栄の陰の堕落や、多くの社会問題を批判しているとも考えられます。
 
sang-bloodとのつながりで持ち出されるナイフは一番その物語の中で弱いものにつきたてられる。「カルメン」では最下層に生きるロマの女性であるカルメンに、
「ブラダン」ではスージーの子供に。
この言葉の持つ意味は深く重いのです。
そして決してオカルトではありません(きっぱり)
 
結論ではないけれどまとめ
ブラダンをじっくり掘り下げて強く思い知らされるのは、マイケルの作家魂とそれが
誤解された悲劇
 
ビリジンでもそうですが、なぜ三角関係を取り上げたのでしょう。
 
そこで描き出すことができるのは、愛、恋、嫉妬、喜び、哀しみ、死、苦悩、
というあらゆる人間の本質。そして登場人物が増えたら、背景にある社会やそこにある問題を描きやすくなる。これを描ききることは作家として大きなチャレンジでしょう。ビゼーはこういった主題を庶民の生活を舞台に描きましたが、シェークスピアだってドストエフスキーだって貴族や王侯たちの世界で同じことを表現しているだけです。
ギリシャ神話だって神の世界に設定を置き換えているとも見られます。
 
でもこのようなストーリーをワイドショーや昼ドラみたいにしてしまうかどうかは
作家の力量しだい。本当に力量のある人しかできません。
それをマイケルはビリジンですでにあの若さで成功させて、押しも押されぬ芸術作品でかつだれもが知っている超人気作品に仕上げたのです。
 
ビリジンをさらに磨き上げたのがブラダンだと思うのですが、
それをちょっとした映像上の表現を問題視した会社。
「モーターマウス」を敢えて入れているのは、「ビリジン」に対しても
侮辱的な見方をされた現れじゃないでしょうか。
そのような経緯があったら、Superfly SIstersがあんなパロディソングになったのも
無理はない気はします。
 
おそらく、スージーの人物像を掘り下げるためにもっと違う歌詞が用意されていたのではないかなあ。発表された形の曲から推測すると、「Who Is It」みたいな高級コールガールかなという気がするのですが。。。
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ということで、「謎」の部分を解いてけば、ますますその作品のスケールの大きさと
魅力が浮かび上がるブラダンですが
次に「リトルスージー」との関連を考える記事を来週書きたいと思います。
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追加
カルメンを考えるともっと「スージー」が理解できるかもしれないことに気が付きました。
カルメンはメリメの原作に基づいて作られたオペラなのですが、
人物設定には違いがあります。
 
原作・・・娼婦、オペラ・・・・・タバコ工場の女工
原作は実話に基づいたものと言われています。
 
これをスージーに当てはめると、
「Superfly Sisters」のスージー・・・・娼婦、「ブラダン」・・・・一般女性
という図式が成り立ちます。
ヒロインの性格設定は一緒で、実話とフィクションが成立したということ?
 (マイケル本人が娼婦と関係があったという意味ではありません。スタジオ54
ではこの手の女性を「見たり聞いたり」したのは確かです。)
 
これはビリージーンにもあてはめられそう。
「WBSS」のビリージーン・・・・・・マイケルが実際にトラブルを経験した、
                    双子の片方がマイケルの子供だと主張した女性
                    実話
「Billie Jean」のビリージーン・・・・・・実話に基づいたフィクションのヒロイン
                      父親のわからない子供を持つ母親
                      メタフィクションと言えるかも
 
小説より奇なる実話と、それに基づき洗練した「物語」を両方
楽曲として創り上げた。その時マイケル23歳。
凄すぎます@@
 
「リトルスージー」を書いたら、その次に「カルメン」と「ビリージーン」を比較して
記事を書いてみたいと思っています。壮大な計画ですが。。。。
「ビリジン」と「WBSS」の歌詞は、「カルメン」のアリアの歌詞
を基に書かれていると考えると読み解けるんです。単なる引用ではないところが
またすごいです。
・・・・・・
ちょっとヘビーな記事が続いたので癒しの画像で一休み。
イメージ 1
 
リトルスージー。
マイケルはどれだけ悲しみをこらえながらこの曲を書いたんだろう。フィクションの中の女の子とはいえ、命を救ってあげたかったんじゃないでしょうか。
リトルスージーは空に昇って、雲になり、雨になり、地面に降り注いで
地球と一体になったんじゃないかな。。。。。。。
 
地球を救うことはスージーを救うことでもある。
解釈じゃなくて思いつきなんです。ふとした。
 
 

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