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2012年8月13日 アスペルガー症候群の被告人に対する大阪地裁の判決について
大阪地方裁判所において、アスペルガー症候群と精神鑑定された被告の殺人事件で、検察官の求刑を超える懲役20年の判決が言い渡されました。この判決文を読むと、被告人は十分な反省をしておらず、アスペルガー症候群に対応できる受け皿が何ら用意されておらず、その見込みもないという状況のもとでは再犯のおそれが強く心配されるので、許される限り長期間刑務所に収容することで内省を深めさせる必要があり、そうすることが社会秩序の維持に資するとして、有期懲役刑の上限である懲役20年に至ったとされています。この判決は、アスペルガー症候群をはじめとする発達障害者に対する差別及び、刑罰という点で大きな問題を抱えており、到底許されるものではありません。当事者、家族、支援団体などからなる日本発達障害ネットワークは、この判決を見過ごすことのできないものとして、下記の問題点を指摘します。行政にはより正しい発達障害の理解の促進と対応を、司法には正しい理解に基づく適切な判断が行われることを求めます。
1. 障害を理由に罪を重くすることは差別ではないのか。 2. 発達障害を正しく理解した上での判決となっているのか。 3. 受け皿が用意されていないこと、その見込みもないというのは本当か。 以上指摘したように、我々が知り得るアスペルガー症候群についての知識と比較しても、判決のアスペルガー症候群の認識に重大な誤りがあると言わざるを得ません。そもそもこの被告は育ってくる過程で、アスペルガー症候群の存在が知られず、適切な支援が得られぬままに、不登校、ひきこもりとなりました。社会から隔絶された中で犯行に及んだ上、有期懲役刑の上限に処されることは二重に不幸だと考えます。アスペルガー症候群の存在が分からず、支援が得られぬために、対応に苦労した家人も同様に不幸だと言わざるを得ません。
行政に対しては、アスペルガー症候群を含む発達障害者当事者及び家族への早期支援の一段の充実を求めるとともに、不幸にして犯行に及んだ者への、充実した受け皿の確立を求めます。司法に対しては、「刑事事件のプロ」の目から検討するのであれば、「アスペルガー症候群のプロ」の視点での検討も必要なことを指摘します。また、このような判決が判例となって誤った判決が生じないように、今後は配慮していただきたいと考えています。
なお、この判決を報道した英文紙の報道に対して、英国、米国、豪州のこの分野の専門家は、このような判決がでること、受け皿が存在しないことに驚きと悲しみのコメントを寄せていることを付記します。
以上
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