全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索
アメリカの田舎町を無人の黒塗り高級車が襲って住民ひき殺しまくり!という動物パニックならぬ自動車パニック映画です(笑)。どことなく「激突!」に連なる映画であり、後続作品としてはスティーブン・キング原作の「クリスティーン」なんてのもあります。よく考えれば「激突!」→「ジョーズ!」→「テンタクルズ」「最後のジョーズ」→「ピラニア」→「キラーフィッシュ 恐怖の人喰い魚群」(笑)みたいな流れなので、パニックブームの元祖は自動車モノなのかもしれません(大嘘)。

当然ながら戦争映画では全くないのですが、音楽を担当しているのが「コンバット!」のレナード・ローゼンマンで、同じミリタリー調のスコアがアクションシーンにデデン!デデン!と流れ続けます。悪魔の車と保安官チームの対決なハズが、何だかドイツ戦車と小隊が戦っている映画に見えてしまいました(爆)。



中盤〜後半が「コンバット!」でしょうか
早稲田松竹で『戦争のない20日間』との2本立てを鑑賞してきました。監督は近年著しく再評価が進んでいるアレクセイ・ゲルマン。2本とも最高でしたので、まずは一本目の『道中の点検』から。

イメージ 1

大祖国戦争の緒戦を中心に多くのソ連将兵が破竹の進撃を続けるナチスドイツ軍の捕虜となり、ドイツ側の協力者となった者もならなかった者も、ソ連側に帰還した際に非常に過酷な運命を辿りました。近年はロシアのドラマ『捕虜大隊』や映画『戦火のナージャ』で投降経験者たちをソ連への裏切り者として激戦の最前線に放り込み、時間稼ぎの人柱として利用したソ連軍の非情さが描写されています。

イメージ 2

1970年台初頭に公開された『道中の点検』はドイツ側に協力した元ソ連伍長ラザレフがパルチザンに投降し、裏切り者としての視線を浴びながらもドイツ軍相手に戦う物語であり、リアルな兵隊描写や「裏切り者」を主人公とする点、エンタメ精神の強い戦闘シーン等、当時のソ連としては斬新といえます。登場するパルチザンたちは粗野だったり、猜疑心が強かったり、オツムが弱そうだったりと、全体的にスタイリッシュなドイツ兵に比べて田舎の農民の寄せ集め臭が強く(実際そうだったわけですが)、彼らを束ねる赤軍少佐は自己の出世にしか関心のない小物だったりと、ソ連映画にありがちなお行儀の良さが全く見られません。

イメージ 3

『誓いの休暇』『鶴は翔んでゆく』『僕の村は戦場だった』『人間の運命』といった一連の名作でもソ連軍は「お人よし、いい人」の集団としてしか登場しなかったことを考えると珍しく、本作が当局に上映禁止処分を食らったのも頷けます(一般公開は86年)。主人公のラザレフはというと勇敢な男でもソ連愛に溢れる人間でもなく、戦争における人間の弱さや心と行動の矛盾・葛藤を体現する存在であり、一枚岩ではありません。

イメージ 4


自らの立場に苦しむラザレフの余分なセリフを排した姿や、「パルチザンの勘」で投降者のラザレフを信用し、汚名回復の機会を与えようとするパルチザンの隊長(どことなくビック・モローに似ている)と、教条的にラザレフを処罰しようとする赤軍少佐との対立など、各登場人物が生き生きと輝いており、ソ連映画にありがちな物語のだれが全くありません。また要所要所に小規模な戦闘シーンが挿入され、操車場での戦闘ではラザレフがドイツ兵に向かって機関銃を死に物狂いで撃ち続けるという、西側の映画と見紛うかのような娯楽性の高いアクションが展開。97分という短さゆえに展開が些か唐突だったり説明不足な点もありますが、最初から最後まで戦争における人間の弱さと強さ、戦争における矛盾の数々を感じることの出来る傑作です。モノクロ・シネスコ撮影の効果も絶大。

製作はモス・フィルムではなくレニングラードを本拠地とするレン・フィルム。『レニングラード攻防戦』もそうでしたが、レンフィルムは軍事考証はあまり正確ではなく、本作でもドイツの装甲車が無改造のBTR40だったり、一部のドイツ兵がAKっぽい銃を持っていたりします。主人公がぶっ放す機関銃は一見MG42のように見えますが戦後型の銃にハコを被せたニセモノです。なんだかマカロニコンバットみたいです(笑)。

イメージ 5

ラストのソ連軍凱旋シーンでは対戦車砲を引っ張るトラクターとSU100が大挙して出演。また蒸気機関車の撮り方が秀逸で、『大列車作戦』に共通する力強い列車の映像が拝めます。

今年度は更新が滞っており、ご迷惑をおかけしております。
少なからず人生の節目となるであろう就職活動があり、暫し更新を控えておりましたが、戦闘も一段落しましたので今後は平常運行いたします。



さて復帰第一弾は


『急降下爆撃機』(1941年)テクニカラー作品
監督:マイケル・カーティス
音楽:マックス・スタイナー
出演:エロール・フリン他

イメージ 1

お話としては特筆するものはなく、航空医官のエロール・フリンが仲間と共に航空機の操縦にまつわるブラックアウト(失神)や高圧病といった課題の克服に挑み、成功していく様を132分という長さで描いています。『カサブランカ』を始め、この頃のマイケル・カーティスは多くの戦争プロパガンダ映画を手際よく撮っており、本作もその例に漏れません。飽きさせもせず、真剣に見させることもしない(笑)作品作りは正に正統派娯楽職人監督の為せる技でしょう。

しかしこの映画、飛行機好きにはマスターピースといえるでしょう。何故なら132分の本編中飛行機の映っていない映像の方が圧倒的に少なく、冒頭からラストまで1940年頃の米海軍の戦闘機、練習機、爆撃機が画面を埋め尽くします。題名にもある急降下爆撃機はSB2Uビンジケーターで、10機以上による編隊飛行から急降下、キャノピーやエンジン、引き込み脚の動作などをガンガンアップで写します。他にもノースロップBT、デバステーター、カーチスSBCといった爆撃機・雷撃機が10〜20機単位で登場し、テキサンやF4Fワイルドキャットと思われる戦闘機もチョットだけ画面に映ります。空母からの発艦、着艦も前半でクローズアップされるなど正に米海軍機のオンパレードで、戦車好きにとって『バルジ大作戦』や『ヨーロッパの解放』が必見なように、レシプロ飛行機好きにとって必見の映画と言えるでしょう。

イメージ 2

イメージ 3


戦間期にして日米開戦前夜という大変微妙な時期の製作ゆえか、対独や対日プロパガンダを思わせる敵対的表現は一切無く、全編米軍内部での訓練や事故、改善と克服に挑む医官に終始しているのは却って興味深く、途中でイギリス機が米軍基地に立ち寄る場面では両国の結びつきを描いていますが、それだけです。全編飛行シーンのみで銃撃や爆撃といった武器の使用が全くない、珍しい映画でもあります。恐らく観客に全編画面中を飛びまわる飛行機を見せて、米軍の軍備、技術力、生命尊重の姿勢を見せ付けることが出来れば十分だったのでありましょう。自軍に対する人命尊重と効率的な作戦遂行に向けてあらゆる技術発展に注力するアメリカの強さが感じられる作品です。同時期の日本でも改良を重ねて零戦や隼に結びついたのは事実ですが、兵士の人命尊重へのアプローチの弱さや軍組織としての問題解決や性能向上へのプロセスの煩雑さ、不十分さは言うまでもありません。尤も本作におけるアメリカ的姿勢が現在の無人ドローンの有様に結びついていると考えると微妙なところですが、、、、、

例のコスミック出版の10枚組セットで鑑賞、解像度に若干の難有りですが、概ね画質は良好です。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00QG74VFQ/ref=pd_lpo_sbs_dp_ss_2?pf_rd_p=187205609&pf_rd_s=lpo-top-stripe&pf_rd_t=201&pf_rd_i=B00P2DFIZM&pf_rd_m=AN1VRQENFRJN5&pf_rd_r=10GMC3XPWCS3C1CK6DSC

廉価版DVDでお馴染みのコスミック出版が昨年末からホンキを出しています。10枚組み2000円の「戦争映画パーフェクトコレクション」シリーズ。これまでのワンコインDVDはどのメーカーも似たり寄ったりのタイトルばかり目に付きましたが、このシリーズには他メーカーが廉価で販売していないタイトルが多数収録されており、戦争映画ファンは必須と言えるでしょう。多くのタイトルが他社から発売されている「世界の名作戦争映画シリーズ」と被っており、後者を一本買うお金で10本以上見ることができるという、脅威のコストパフォーマンスであります。

イメージ 1


さて、今回はその中の一本『ボンバーライダー』。過去に『世紀のトップガン』のタイトルでビデオが出ていたこともあったようですが、DVD化は今回初。原題はボンバーライダーではなく「ボンバルディア」なのですが…。爆撃手の訓練と隊員の成長、実戦といった当時の最もオーソドックスな内容で、特筆することは何もない戦中プロパガンダ映画。ですが設定自体がトンデモ・ツッコミどころ満載なので、日本人なら楽しめるでしょう(笑)。

例の如く、爆撃の経験を積んだ隊員たちが実戦に投入されるのでありますが、その相手は我等が「JAP(ジャップ)」。B17でアメリカの基地を出撃してオヤオヤどこに行くかと思えば、着いた先は太平洋上の架空の島。弾薬を補給してこの謎の島を出撃するB17、少し飛ぶと直ぐに日本本土と思しき上空に到達。その後の無線のやりとりでそこは名古屋だと分かるのですが、少しでも戦史を知っている人ならココマデ出鱈目なお話はないとお分かり頂けましょう。先日ご紹介した『戦場を駆ける男』や『ミッドウェイ囮作戦』並のトンデモフィクション、嘘八百です。戦中映画は戦意高揚や軍事機密保護の観点でどうしてもフィクションになってしまうのは致し方ないといえばそうなのですが…

B17は1回も本土空襲していないし、大体日本に往復できる距離にあり、B17を岩陰に隠せる島って、どこだよ(笑)。そもそもこの映画が作られたのは1943年で、ドゥーリットル空襲以外の本土空襲は実行されていなかった時期です。近く現実に実行される日本本土爆撃をシミュレートし、観客に「日本はその内、こうなるゼ!」というアメリカ軍の強い意志を示す効果があったのでしょう。映画のB17は現実にはB29になり、6機しか登場しない爆撃機は数百機になり、映画ではご丁寧にピンポイントだった爆撃は無差別爆撃になるのです。恐るべし(現実の)アメリカ。因みに映画の前半、一人の兵士が爆撃で一方的に敵を殺すことに良心の呵責を覚え、爆撃手を辞退しようとする場面があるのですが、上官が「軍事工場だけ狙うから大丈夫」「奴等の企みを阻止する聖なる戦いなのだ」と説得します(爆)。コワイですねぇ

同時期の『パープル・ハート』なども同様ですが、終盤では撃墜されて邪悪な日本兵に捕まるも、機密を吐くことなく死ぬアメリカ兵の姿が登場します。どうもこの頃の対日戦争映画は「ジャップには一切口を割らないぞ!」という展開が非常に多いです。日本の場面はセットで漢字がヘタクソな司令室や倉庫が出るだけなのでまあOKですが、案の定日本兵はメチャクチャ

中国系アメリカ人がモロ中国訛りの英語で話すわ
イメージ 2


白人が日本将校に扮するわ
イメージ 3


言っている日本語はまったく聞き取れないわ
、必見です。

内容は凡作ですが爆撃シーン・零戦との空中戦に異様に力が入っており、爆撃で炎上、吹き飛ぶミニチュアや日本兵は中々見ごたえがあります。また日本機との戦いでは珍しくミニチュアとアニメーションを併用、銃弾や襲い来る零戦がアニメーションで描かれ、アナログな良さがあります。画質はそれなりに良好。

本作が収録された10枚組み「突撃」セットには他に。
第十七捕虜収容所/コレヒドール戦記/凱旋の英雄万歳/デスティネーション・トーキョー/渡洋爆撃隊/急降下爆撃機/空軍極秘作戦/あの高地を取れ/ライオンの翼が収録されています。微妙に既シリーズの作品が混ざっているのがアレですが、それでも十分オトクといえるでしょう。

イメージ 4

すっかり忘れてましたが、主演はランドルフ・スコットです。

<あらすじ>
ドイツ軍の鉄道線を爆撃する為にイギリスを飛び立ったB17が、任務を成功するも撃墜されてしまう。生き残った5人は程なく捕らえられるが、ドイツ軍司令部を脱走し、ポーランド国境に近いドイツの奥深くから陸路でイギリスへ向かう。一方司令部から機密情報を奪われたドイツ軍の大佐「鉄の拳」は執念の追跡を行い・・

イメージ 1



敵地への不時着、そして友軍への帰還という戦争アクションの王道パターンを踏襲した傑作です。単に脱出するだけでなく、道中でついでにドイツ軍の工場を爆破したり、最後はドイツ軍の陰謀をちゃっかり粉砕したりと、現実ではあり得ない活躍を主人公たちが繰り広げるので実に痛快。5人の搭乗員を執拗に追いかけるドイツ軍の大佐もユニークな人物設定がされ、部下とのコミカルなやりとりで笑わせます。空中戦、銃撃戦、カーチェイス、爆破まで盛り込まれ、ザッツエンターテイメントと言うに相応しい娯楽映画に仕上がっています。個人的にはドイツ語のセリフが多いのが素晴らしい。『カサブランカ』然り、当時では殆どの映画ではドイツ兵に英語を喋らせているのですが、この映画は「言葉の違う悪の全体主義国家」に不時着し、脱出しようとする物語なので敵の不気味さを際立たせる意味合いもあってか、多くの場面でドイツ語がしっかり話されています。主人公を異様な執念で追い詰めるドイツの大佐が、腰巾着の部下に英語で話す場面がありますが、それにも「自分の不祥事を部下のドイツ兵に知られたくない」という実に小物らしい理由付けがされています。

その反面ツッコミどころも多く、楽観的に過ぎる箇所も多々あります。この映画のようにドイツ軍が弱ければ戦争は長続きしないわけで、本作が公開されている間にも現実に欧州では絶望的なレジスタンス戦で多くが戦死、虐殺されたり、或いは前線で兵士たちは非人間的な戦闘を展開していました。映画と現実の相関関係について考察すると長くなるので止めますが、この映画は設定展開描写あらゆる点で「絵空事」として製作されながら、観客に「現実」としての戦争を訴えかけていると言えるでしょう。冒頭の出撃シーンなどにRAFが協力し、B17やロッキード・ハドソンを提供しています。


なのでノルマンディー上陸以前に作られた戦意高揚映画として本作は、欧州でナチスに抵抗する人々を英雄として登場させ、彼らの口を借りて連合軍の攻撃、つまり第二戦線の構築を訴えかけています。製作当時はバトルオブブリテンが終わった所で、欧州でドイツと直接地上戦をしていたのは主にソ連とユーゴでした(アフリカは別)。1942年の公開で、現実には2年後に連合軍はノルマンディーに上陸し西方からドイツを追い詰めるわけで、「いつか絶対参戦する」というセリフが現実になっているわけです。ちなみに散々ドイツ軍をコケにした末のラストのセリフは「次はジャップをぶちのめす番だ」です(笑)。


主演の2人に関して。エロール・フリンと言ってピンとくる人は超希少種でしょうが、レーガンと言えばお分かりの方もまだまだ多い筈(笑)。頭カラッポ、楽天的、好戦的なアメリカ兵を好演しています。あまりにも役にピッタリはまっており、ますます何故アメリカ人が大統領に選んだのか不思議で仕様が無くなります(笑)。ベテランのラオール・ウォルシュの手腕が冴え渡った傑作。ブロードウェイから単品DVDもありますが、最近書店で売っている10枚1800円の中に収録されているとのこと。



.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事