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映画に狂って・・・
好き勝手に感想文を殴り書きほざくブログです

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数ある映画のジャンルの中で、フィルム・ノワールほど曖昧かつ広範囲に当てはまるジャンルはありません。

基本的要素としてよく挙げられるのが回想形式道徳的定義を持たない退廃的な世界観煙草の煙男を破滅へと導く女性(ファム・ファタール)の存在等々。

しかしこれらの要素を一つも満たさないノワールも存在し、よくノワールとして数えられるアルフレッド・ヒッチコックの映画や「ニュー・フィルム・ノワール」「香港ノワール」といった作品はノワールとして疑問視もされているようです(正直よくわかりません)。

そこに共通するのはスリラー(ミステリーやアクション)であり、犯罪への恐怖と興奮が詰まっているという事は確かですが。

今回はその中から入門にも打ってつけな作品を紹介。まずは50本どうぞ。

暗黒街の顔役 ハワード・ホークス
Scarface
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私にとってノワールの始まりは「マルタの鷹」ではありません。
ヨーロッパでラング「M(エム)」の影響をダイレクトに受けたフランスのルノワール「十字路の夜」、そしてアメリカは本作こそ真のノワールの始まり。
不意に現れる殺し屋、流血の代わりに夥しいガラスが砕け散り、山のように薙ぎ払われる黒い影、跡には大量の弾痕が刻まれ墓標のように光が十字を描く。熾烈な抗争劇と滅びの世界、煙を吐き続ける煙草、妹に欲情し何もかも殺し破滅へと突き進んでしまう主人公。
この映画はギャングスターから巨大なマフィア組織にまでのしあがったアル・カポネをモデルにしていますが(演じたのはヨーロッパ出身のユダヤ系ポール・ムニ)、後に影響を受けたコッポラ「ゴッドファーザー」はイタリア系マフィアの、デ・パルマのリメイク「スカーフェイス」はキューバ(ヒスパニック系)出身マフィアの壮絶な栄枯盛衰が描かれます。

穴 ジャック・ベッケル/ジャン=ピエール・メルヴィル
Le Trou
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ベッケルによる脱獄映画の最高傑作。
計画の工程を緻密に積み重ね、監視の目を避けながら作業を続ける緊張の持続、鏡と囚人たちの呼応、地道に掘って掘って掘りまくる脱出経路、土砂でも埋もれない漢の友情。一瞬の登場でも囚人たちの絆に亀裂を入れる女性の存在、待ち受ける衝撃の結末。
ジャン・ルノワールの元で学び犯罪活劇をフレンチ・ノワールとしてヨーロッパに復活させたベッケル、そしてメルヴィル、ジョゼ・ジョヴァンニたちが協力し練り上げた究極のリアリズム。

白熱 ラオール・ウォルシュ
White Heat
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西部劇ベスト「死の谷」を紹介。
本作は煙の噴出に始まり爆炎で締めくくられる犯罪アクション映画の傑作。
フルスピードで追跡し橋の上から飛び乗るギャング団の列車強盗、ドアの爆破、突然襲い掛かる猛烈な蒸気、刑務所における殴り飛ばしまくる発狂、脱獄、警察との熾烈な駆け引き、暴走を制御する母親、情婦すら震え上がる復讐、信頼と裏切り。こんなにも狂いに狂ったマザコン野郎はコーディ・ジャレットしかいません。
ジェームズ・キャグニーの破滅へと突き進むアンチ・ヒーローのエネルギーは、クリント・イーストウッドやスティーブン・キングといった破滅を描き続ける作家たちにも受け継がれる。
キャグニーは他に「彼奴は顔役だ!」、ゴードン・ダグラス「明日に別れの接吻を」、ウィリアム・A・ウェルマン「民衆の敵」、カーティス「汚れた顔の天使」もオススメ。

男の争い ジュールス・ダッシン
Du rififi chez les hommes
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ノワールでリアリズムを極めたダッシンが、フランスに渡って撮った時系列もの強盗映画。
前半のギャングたちによるハンマーで杭を打ち続ける金庫破りに始まり、後半の仲間たちとの確執から生じる壮絶な争い。おっぱいが溢れんばかりのマッサージ、窓から投げつけるもの、脅迫と電話、風穴から伸びる侵入経路。

キッスで殺せ ロバート・アルドリッチ
Kiss Me Deadly
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ハイウェイを猛然と走る女性との出会いから一気に引き込まれる探偵もの。
中盤のポップコーンを顔面に浴びせ撃拳連打の階段落とし。特に終盤は拳が乱れ飛び、浜辺での追走、パンドラの匣、SF的なクライマックス。
犯罪者でも法の人間でもなく、時に犯罪を犯して両方に加担または敵対するギャング以上に曖昧な存在の探偵。本作のマイク・ハマーは、何処までも冷徹な視線で事件を追っていきます。出会った女性や昔馴染みとの別れもあっさりと流し、精密機械のように仕事をこなしていく。そんなハマーと出会う女性たちは、何処か禍々しい謎を抱え彼等を巻き込む。

過去を逃れて(信偽の果て) ジャック・ターナー
Out of the Past
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ロバート・ミッチャムの眠たそうな表情がたまらない探偵映画。
過去がフラッシュバックする車の疾走からゆっくり加速していき、口づけをしたかと思うと猛烈な勢いで事件が絡み合う破滅への逃避行、嵐の中での戯れ、ドアや階段が煽る不安、山小屋における黒い影が蠢く殴り合い、思わぬ一撃による決着。
他は「ベルリン特急」等。

激怒 フリッツ・ラング/ジョセフ・L・マンキーウィッツ
Fury
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「メトロポリス」「M」「ドクトル・マブゼの遺言(怪人マブゼ博士)」でノワールの誕生に影響を与え、アメリカに渡った後も自ら傑作を量産したラングの渡米第一作。
裁判を題材に冤罪、指輪、ドイツ時代から描かれてきた群衆心理のパニックと恐怖、メディアリテラシーへの警鐘、ナチスに対する怒りと復讐の念。
是非とも死刑制度に対する問題を投げかけた「条理ある疑いの彼方に」とセットで。


何がジェーンに起ったか? ロバート・アルドリッチ
What Ever Happened to Baby Jane?
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アルドリッチ最高傑作となるサイコ・スリラー。
若く美しかった二人の女性が醜く老いていく様子、壮絶な憎しみのぶつけ合い。不気味な人形、厚化粧、エスカレートする狂気、不気味に響き続ける歌声、踊り、浜辺で舞う瞬間に魅せる老いの美しさと哀しみ。
他は「ふるえて眠れ」「悪徳(ビッグ・ナイフ)」「枯葉」「ランサム世界」等。

殺人者たち ドン・シーゲル/ジョン・カサヴェテス
The Killers
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その他スリラーベスト50でポストノワール「ダーティハリー」を紹介。
本作はシオドマク「殺人者」をよりヴァイオレンスにした作品。ブン殴るように始まる冒頭、サングラスを身にまとう殺し屋たち、馬鹿デカいサイレンサー、とにかく全員ド悪党。
他は市街地でのカーチェイス「殺人捜査線」、SF「ボディ・スナッチャー」、刑務所「第十一監獄の暴動」「評決(The Verdict)」等。

深夜の告白(倍額保険) ビリー・ワイルダー/レイモンド・チャンドラー
Double Indemnity
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後の「失われた週末」「サンセット大通り」に先駆けた最初の傑作。
冒頭から猛スピードで車がハイウェイを突っ走り、重傷を負った男がビルに駆け込み、そこから回想形式で謎を紐解いていく。
男は終始得体の知れない不安に苛まれ、それを魔性の女が喰らいつき破滅へと導く。逃亡時における車のエンジンが中々かからない瞬間の焦り、漆黒の闇に塗りつぶされる裏切りと別れを告げる銃撃。

サンセット大通り ビリー・ワイルダー/エリッヒ・フォン・シュトロハイム/セシル・B・デミル他
Sunset Boulevard
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グロリア・スワンソン、デミル、シュトロハイム、マック・セネット喜劇出身のバスター・キートンといったハリウッドを代表する俳優・映画監督たちが一堂に会した贅沢極まりないバック・ステージもの。
回想形式で語り始める謎の声、シュトロハイム「メリィ・ウィドウ」、デミル「男性と女性」等を髣髴とさせる壮大かつ華美な装飾、繰り拡げられる女優たちの強欲のぶつけ合い。
他はアルコール依存「失われた週末」 、マスコミの腐敗「最後の切り札(地獄の英雄)」等。

汚れた血 レオス・カラックス
Mauvais sang
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「ボーイ・ミーツ・ガール」「ポンヌフの恋人」を繋ぐアレックス三部作の二弾目。
SF、青春、恋愛映画と様々な要素も持ったフレンチ・ノワールで、ロベール・ブレッソンといった様々な映画の記憶が溶け込み目まぐるしく過ぎ去る物語。
エイズを思わせる奇病に蝕まれた人々、ギャングの拳銃の鈍い輝き、バイクに二人乗りで森林からトンネルまで走り去り、裸足の少女を抱きかかえ、市街地や地下を駆け抜ける男女の接近を阻む列車の扉、破られる金庫と掟。カラックスたちがネオ・ヌーヴェルヴァーグとして蘇らせた活劇は、リュック・ベッソン「レオン」といったネオ・フィルムノワールにも受け継がれる。

現金に手を出すな ジャック・ベッケル
Touchez Pas au grisbi
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「現金(げんなま)に手を出すな」。昔気質と新興勢力、新旧ギャングたちによる壮絶な金塊の奪い合いを描いたフレンチ・ノワール。
破滅を招いた女たちへの怒りの平手打ち、終盤のカーチェイスと窓から放たれる銃撃戦!
他はノワール・ロマンス「肉体の冠」「偽れる装い」「怪盗ルパン」「最後の切り札」、息子のジャン・ベッケルルが撮りメルヴィルも参加した「勝負(かた)をつけろ」等。

現金に体を張れ スタンリー・キューブリック/ジム・トンプソン
The Killing
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ジグソーパズルを組むような強盗映画。
時間を遡り緊張を高める競馬場襲撃までの流れ、男たちを破滅に導く複数のファム・ファタール、花束に隠される銃、強盗団を一瞬で破滅させる銃撃戦、意外な動物が打つ終止符。
タランティーノ「パルプ・フィクション」にも受け継がれる時系列シャッフル。
他は「非情の罠」等。


その女を殺せ リチャード・フライシャー
The Narrow Margin
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電車内におけるスリリングな時間経過、どんでん返しの連続に舌を巻く一本。
他はSF「ソイレント・グリーン」「見えない恐怖」「恐怖の土曜日」、ノワール以外はフライシャー流「サイコ」と言うべき「絞殺魔」等。

拳銃魔(ガン・クレイジー) ジョセフ・H・ルイス/ミラード・カウフマン(ダルトン・トランボ)
Gun Crazy
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「トゥルー・ロマンス」「俺たちに明日はない-ボニー&クライド」に先駆けた逃避行。
「暗黒街の弾痕」「夜の人々」の純愛に、赤狩り時代の歪んだ愛情が狂気として加わる。
射撃コンテスト会場で劇的に結びつく男女、銀行強盗、セックスの暗示、トレンチ・コートとサングラスに身を包んだ襲撃、ぶっ飛んだカーチェイス、霧の中で見えざる存在として近づく警察の不気味さ。

アスファルト・ジャングル ジョン・ヒューストン
The Asphalt Jungle
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計画的で流れるような宝石強盗を描くハード・ボイルド。
欲望を凝視し群がる男女、扉を開いた瞬間に放たれる一撃、原石のように脇で転がるマリリン・モンロー、破滅への引き金。

ビッグ・ヒート-復讐は俺にまかせろ フリッツ・ラング
The Big Heat
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復讐を誓った刑事がたった一人でギャングに戦いを挑むハード・ボイルド。
拳銃の一発に始まりドアの開閉に終わる物語、「ダーティハリー」に先駆けた暴力描写、「ゴッドファーザー」でオマージュが捧げられた車の爆破、沸騰したコーヒーを顔面に浴びせかけるなど強烈な場面の連続。とにかく後半登場するグロリア・グレアムが最高。「L.A.コンフィデンシャル」に足りないものがこの映画にあります。

スカーレット・ストリート(緋色の街) フリッツ・ラング
Scarlet Street
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ルノワールの悲喜劇「牝犬」のリメイクにして、ラングのセンスが遺憾無く発揮された作品の一つ。
姉妹作「飾窓の女」は幻想的な麗人との悪夢的な一篇ですが、本作は悪夢が永遠に続くかのような恐怖。私はコチラの禍々しい肖像のインパクトに惹かれます。
他はメロドラマ「熱い夜の疼き」、反ナチス「マン・ハント」、逃避行と恋愛「ただ一つの愛(暗黒街の弾痕)」 、マスコミの内部争い「口紅殺人事件」等。

仁義 ジャン=ピエール・メルヴィル 
Le Cercle rouge
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ギャング映画ベスト「ギャング」戦争映画ベスト「影の軍隊」を紹介。
ベッケルの後継者としてフレンチ・ノワールを撮り続けたメルヴィル。本作は後のマイケル・マン「ヒート」や渡辺信一郎「カウボーイビバップ」等にも受け継がれるプロフェッショナリズムに最も磨きのかかった作品。
信頼する仲間を守り、金庫を破り、裏切り者を葬るための銃撃の数々。淡々かつ異様な緊張に包まれた銀行襲撃!アラン・ドロンの最高作はコレと「サムライ」ですね。

街の野獣 ジュールス・ダッシン
Night and the City
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イギリスのロンドンを舞台に一攫千金を夢見るギャングたちの狂気、プロレスラーたちの死闘、常に誰かに追われ続ける恐怖、命は海に投げ捨てられる。リチャード・ウィドマーク!
他はボリス・カウフマンと組んだ黒人公民権運動「アップタイト(Uptight)」、ドキュメンタリー・タッチの刑事アクション「裸の町」、刑務所における「真昼の暴動」「深夜復讐便」等。

孤独な場所で ニコラス・レイ
In A Lonely Place
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マイケル・ジャクソン「スムーズ・クリミナル」で引用された傑作の一つ。
赤狩りにおける人間不信の時代を象徴するような彼の映画は、絶えず何かにイライラして怯えている人物が多い。この作品もボガートが苛立ちを募らせ、エスカレートする異常な行動によってグロリア・グレアムさえ震え上がらせ、巨大なトラブルの引き金となってしまうほろ苦いロマンス。
他は鮮烈な口づけと車の疾走から始まる逃避行もの「夜の人々」「危険な場所で」「暗黒への転落」「暗黒街の女」等。

三つ数えろ ハワード・ホークス/レイモンド・チャンドラー/ウィリアム・フォークナー
The Big Sleep
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探偵フィリップ・マーロウを映画化したハード・ボイルド。
時系列もストーリーも複雑怪奇だけど面白い。海から引き上げられるもの、一匹狼のマーロウが徐々に巨大な謎に飛び込んでいくスリル、サングラスによる変装、トレンチ・コートで腕を封じられる捕縛、車やドアに刻まれる弾痕と死。
受話器のやり取りやバーで競馬の話をする件は思わず爆笑。謎を追う者が身分を偽り探りを入れるくだりは「ブレードランナー」等にも受け継がれる。
DVDの特別版には筋が分かり易い1945年版も収録されているので、見比べるのもオススメ。
ノワール以外はコレもハード・ボイルドな傑作「脱出」、刑務所と暗殺「光に叛く者」、制作に協力したウィリアム・フリードキン「フレンチ・コネクション」等。
同じくチャンドラー「大いなる眠り」を原作とするジョン・クロムウェル「大いなる別れ」もオススメ。

グロリア ジョン・カサヴェテス
Gloria
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「レオン」の原型であり、「シベールの日曜日」からの流れも組むハードボイルド。
託される子供と意志、腹を括り拳銃片手に撃ちまくり車をブッ転がし、マフィアたちと渡り合うジーナ・ローランズの頼もしさ。
他は「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」等。

ミルドレッド・ピアース(深夜の銃声/偽りの結婚) マイケル・カーティス
Mildred Pierce
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カーティスの最高傑作は「カサブランカ」なんかじゃありません。銃撃に始まり銃撃に終わるフルスピードの高密度、原作のジェームズ・M・ケインをはじめ複数の人間が練り上げたこのジョーン・クロフォードの名演、時系列を巧みに利用した展開のノワール・ロマンスこそ真骨頂。
シーゲルによるリメイク「密輸入者たち(The Gun Runners)」もオススメ。
他はホークス「脱出」をリメイクした「破局」「トゥルークライム殺人事件」等。

拳銃の報酬 ロバート・ワイズ/エイブラハム・ポロンスキー
Odds Against Tomorrow
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「ビッグ・ヒート」と並んでグレアムが最も魅力的な作品の一つ。銀行強盗とハリー・ベラフォンテの歌声、黒人と白人の対立が引き起こす衝突ごと吹き飛ばすような結末。
他はセミ・ドキュメンタリータッチ「捕われの町」等。

悪の力(苦い報酬) エイブラハム・ポロンスキー/ロバート・アルドリッチ
Force of Evil
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資本主義社会の闇を描く社会派ドラマ。
ギャングの賭博や弁護士等が複雑に絡み合い、金庫に隠されたもの、レストランに押し寄せる裏切りと暴力。ギャングたちが終始息苦しい緊張の中で破滅へと向かう光景はマーティン・スコセッシ「グッドフェローズ」で再び蘇る。

ボディ・アンド・ソウル(背信の王座/背信の王者) ロバート・ロッセン他
Body and Soul
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スコセッシ「レイジング・ブル」の源流となったボクシング界の腐敗を描く作品。
八百長を巡る心理・拳と言葉による殴り合い。脚本ポロンスキー、助監督アルドリッチ、編集ロバート・パリッシュ等そうそうたる面々が集った逸品です。
ノワール以外は他に孤独なギャンブラーのビリヤードと賭博「ハスラー」、破滅へと向かう政治劇「オール・ザ・キングスメン」等。

罠 ロバート・ワイズ
The Set-Up
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ヒッチコック「ロープ」のように劇中の時間と上映時間が同時進行する作品。
コレも八百長によって腐敗したボクシング界を描きます。この作品の対極と言えるのが「傷だらけの栄光」
他は「生まれながらの殺し屋(執念の殺し屋)」、西部劇「月下の銃声」等。

ビッグ・コンボ(暴力団) ジョセフ・H・ルイス
The Big Combo
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ジョン・アルトン(ジョン・オルトン)のキャメラが最も神がかった作品の一つ。
霧、夜、リーヴァン・クリーフ演じる殺し屋とボスの奇妙な関係(アッー!)も面白い。
他は「私の名前はジュリア・ロス」「脱獄の叫び」等。

恐怖のまわり道 エドガー・G・ウルマー
Detour
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ドイツ時代にラングの元で優れた美術センスを発揮し、F.W.ムルナウにも師事したウルマーが撮った摩訶不思議なロード・ムービー。

殺しの分け前-ポイント・ブランク ジョン・ブアマン
Point Blank
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悪夢のような世界でギャングたちに復讐を続けるハード・ボイルド。
過去と現在が入り乱れ、死神が付きまとい、色彩の暴力が雪崩れ込む。アルカトラズからの脱出、神出鬼没の謎の刑事、裏切った者が寝ていた空間に浴びせる銃撃と怒り。
あるいは爽快な悪党振りで魅せるブライアン・ヘルゲランド&メル・ギブソン「ペイバック」

拳銃貸します(用心棒志願) フランク・タトル
This Gun for Hire
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復讐を誓った者の戦いを描く作品。
ヴェロニカ・レイクの可憐さ、操作場での格闘、腕をへし折るアラン・ラッド、メルヴィル「サムライ」にも受け継がれる孤独な殺し屋の生き様。
他はリチャード・ブルックス脚本「いかした男(Swell Guy)」「女房盗塁」等。

ハイ・シェラ(終身犯の賭け) ラオール・ウォルシュ/ジョン・ヒューストン
High Sierra
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終盤のカーチェイスやギャング時代のボガートの壮絶な生き様、後に女流監督として活躍するアイダ・ルピノの悪女振りが刻まれた逃避行もの。
西部劇風のノワールは他にノーマン・パナマ「拳銃の罠」等。

十字路の夜 ジャン・ルノワール/ジャック・ベッケル
La nuit du carrefour
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水の音が神秘的に響き渡る元祖ノワール。ジュール・メグレ警部の捜査、複雑なプロット、ドア越しに車上から襲い掛かる銃撃、終盤のチェイスと一瞬の狙撃!
他は蒸気機関車の疾走の迫力「獣人」「浜辺の女」等。

サムライ ジャン=ピエール・メルヴィル
Le Samourai
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孤独な殺し屋の生き様を描いた傑作。

いぬ ジャン=ピエール・メルヴィル
Le doulos
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コレもタランティーノが「レザボア・ドッグス」でリスペクトを掲げた作品。
男が延々と歩き続けるシーンから複雑に絡み合っていく密告者(いぬ)たち。
他は遺作となったギャングアクション「リスボン特急」、入門にもオススメな愉快で切ないギャンブル「賭博師ボブ」等。

影なき狙撃者(失われた時を求めて) ジョン・フランケンハイマー
The Manchurian Candidate
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ケネディ大統領暗殺事件を予言していたかのようなサイコ・スリラー。
洗脳の恐怖とスパイ、狙撃、フランク・シナトラの空手!
他は「ブラック・サンデー」等。

殺人者 ロバート・シオドマク/ジョン・ヒューストン
The Killers
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二人の殺し屋が乗り込んでくる冒頭、ギャングによる流れるような現金強奪、複数の人間が絡み合い過去を紐解いていき、探偵のように振舞う保険調査員、元ボクサーを破滅に導く黒衣のエヴァ・ガードナーのエロティックさ。
他は「らせん階段」「幻の女」「暗い鏡」等。

黒い罠 オーソン・ウェルズ
Touch of Evil
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「市民ケーン」もノワールとしての特徴を持っているそうですが、私は後年の作品の方が遥かに優れているし面白い思います。この「黒い罠」はそれを証明する傑作の一つ。
冒頭から仕掛けられた爆弾が炸裂するまでをワンショットに収め、麻薬捜査官、悪徳警官、ギャング団が絡み合う縄張り争い。膨れ上がるウェルズの巨体は、警察組織そのものの闇を現しているのかも。
他は鏡の中に飲み込まれるような混乱と閉鎖空間で炸裂する銃撃戦「上海から来た女」
大富豪の謎に迫る「アーカディン-秘密調査報告書(秘められた過去)」「刑事コロンボ」に先駆けた叙述式スリラー「ストレンジャー(ナチス追跡)」、キャロル・リード「第三の男」等。

狩人の夜 チャールズ・ロートン/ジェームズ・エイジー(ジェームズ・アギー)
The Night of the Hunter
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これぞ真の一発映画であるホラーテイストのサイコ・スリラー。
市街を見下ろすような空撮、父が残す遺言、湖に沈められるもの、川への脱出、ライフル抱えて迎え撃つリリアン・ギッシュのばあちゃんの頼もしさ。ジェームズ・エイジーの脚本も素晴らしい。車を盗んでポルノ小屋で捕まり、白い馬にまたがり延々と追いかけてくるロバート・ミッチャムがひたすら怖い。「LOVE&PEACE」ならぬ「LOVE&HATE(愛と憎悪)」。偽牧師には御用心。

成功の甘き香り アレクサンダー・マッケンドリック
Sweet Smell of Success
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ショービジネス界の内幕を暴き、マスゴミの薄汚さにも迫る社会派ドラマ。
ニューヨークの夜間撮影の美しさ、ジャズの場面の楽しさが嘘のようにドロドロとしたブロードウェイの裏側へ。他人の秘密を暴き立てる新聞コラムニスト、ネタ集めに奔走するエージェント、悪徳刑事たちの悪辣な協力関係。妹に欲情する兄の策略が招く破滅。

チャイナタウン ロマン・ポランスキー/ジョン・ヒューストン/ジョン・A・アロンゾ
Chinatown
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ロサンジェルスを舞台に、殺人事件と社会の巨大な闇に巻き込まれる探偵もの。
複数の写真、時計の破損が物語るもの、車が急接近するように縮まりまた離される男女の関係、ヒューストンの圧倒的存在、ナイフを鼻に突っ込むポランスキー。

ガス燈 ジョージ・キューカー
GASLIGHT
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ソロルド・ディキンソンの傑作をリメイクしたコレまた傑出した逸品。
不気味な屋敷等を舞台にしたゴシック・ノワールを代表する一本で、サイコ・スリラーを圧倒する終盤ブチ切れイングリッド・バーグマンの燃えるような瞳!この映画の彼女はヒッチコック「汚名」と共に一番好きです。
他は「二重生活」等。

ローラ殺人事件 オットー・プレミンジャー/ルーベン・マムーリアン
Laura
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回想形式で事件の真相に迫る刑事もの。
ショットガンが引き起こす悲劇、美しき亡霊に心を奪われてしまう野郎ども、女たちは嫉妬に狂う。ジーン・ティアニーはジョン・M・スタール「哀愁の湖」も最高。
他は裁判「或る殺人」、ミッチャムの破滅「天使の顔」、麻薬を題材にしたギャンブル「黄金の腕」「野望の系列」「歩道の終わる所」等。

忘れじの面影 マックス・オフュルス
Letter from an Unknown Woman
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ドイツ出身のオフュルスがウィーンへの思いを込めたノワール・ロマンス。
他は「魅せられて」等。

ギルダ チャールズ・ヴィダー
Gilda
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本来は赤毛が美しいリタ・ヘイワースが、艶やかな黒髪をなびかせ踊り狂い、男たちを堕落させるノワール・ロマンス。投げられる衣服、賭博場における亀裂、仕込み杖。
彼女の男たちを破滅へと導くファム・ファタールとしての神話的存在は、「ショーシャンクの空に」で秘密を覆うベールとしてマリリン・モンローやラクエル・ウェルチと共に機能する。男は映像の中の無実の罪に苦しむ彼女と自身の境遇を重ね合わせる。

ロング・グッドバイ ロバート・アルトマン
The Long Goodbye
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フィリップ・マーロウを最もチャらく魅力的に描いた作品。
事件の真相を探る旅、浜辺での戯れ、用心棒アーノルド・シュワルツェネッガーの存在。
主人公のキャラクターと独特の世界観は松田優作「探偵物語」を経てスペース・オペラ「カウボーイビバップ」へ。

ピアニストを撃て フランソワ・トリュフォー
Tirez sur le pianiste
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アメリカのノワール等へのオマージュに溢れた作品。とにかくしっちゃかめっちゃか。後おっぱい。そのリスペクト精神はジョナサン・デミ等へ受け継がれていく。
他は「黒衣の花嫁」「日曜日が待ち遠しい!」「暗くなるまでこの恋を」等。

マルタの鷹 ジョン・ヒューストン
The Maltese Falcon
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前半50本を締めるのは探偵サム・スペードと殺し屋、悪女たちがばかし合いを繰り広げるハード・ボイルド。



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