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TITLE: La Marche de l'empereur / March of the Penguins (USA) / 皇帝ペンギン (2005) DIRECTOR: Luc Jacquet March of the Penguinsを観てきました。皇帝ペンギンの話です。私が観たのはアメリカ国内バージョンで、オリジナルではありません。何が違うかというと、オリジナルでは「父親、母親、そして生まれてきた子供たちそれぞれの心の声をナレーションで挿入」しているらしいのですが、アメリカ版では、すべてモーガン・フリーマンの声です。(ちょっと強引)このあたりに、ハリウッドの集客へ対する貪欲さがうかがえます。(ちなみに、日本語吹き替え版では、石田ひかりさん、大沢たかおさん、神木隆之介さんがナレーションを担当しているそうです。) 個人的にはフリーマンの渋い声は好きですが、監督の演出を変えてまでの起用はやりすぎです。そういうわけで、リュック・ジャケ監督が伝えたかったものを5%ぐらい逃しているかもしれません。 ペンギンとニンゲン【ネタバレ注意】まず、南極の壮大で神秘的な風景にやられます。エメラルド・グリーンやコバルト・ブルーに輝く氷と海。はじめの数ショットで映画に引き込まれました。そして氷の大陸、地平線、空がホライゾンタルに広がる画をバックに、何かの黒い影がぼやけて映しだされます。このショットからだと、それがなんなのか特定はできませんが、人間のようにも見えます。しかし、次のショットでそれが皇帝ペンギンだということが分かります。このオープニングからも分かるように、ジャケ監督はこの映画を単なる「動物奇想天外」で終わらせたいのではなく、ペンギンの生態の中に、人間にも必要とされる「何か」を見出そうとしていることが分かります。 その「何か」を簡単に言ってしまうと……、 -120日間も何も食べずに必死に卵を守る父ペンギンの忍耐力。 -円陣を組んでブリザードから身を守る父ペンギン達のユニティー。 -役割分担された父&母ペンギンをつなぐ信頼。 -ヒナのエサをとりに100km先の海へと旅立つ母ペンギンの愛。 -外敵からヒナを守り続ける父ペンギンの愛。 -他にも映像によるたくさんの愛の描写。 フリーマンが冒頭で言ってました、これは"Story of Love"だって。 でも、翌年にはペンギン達は他の相手を見つけるんですけどね。 TITLE: Grass: A Nation's Battle for Life/ 地上 (1925) DIRECTOR: Merian C. Cooper & Ernest B. Schoedsack ペンギン達の長い行列を観ていると、GRASS (1925)というドキュメンタリーを思い出します。ペルシャ(現イラン)に住んでいた遊牧民バフティアリ人の牧草地から牧草地への大移動をフィルムに納めた映画です。 「自然と調和した生き方」という部分では、ペンギンが見せてくれた驚きと同じものを映像から得られるのですが、皇帝ペンギンを愛らしく見つめるようなカメラマンの視点はそこにはありません。カメラマンの視点は文明社会に暮らす人々のエキゾチシズム(異国趣味)が反映されているからです。都市生活に疲れた都会人が、カンクーンなどのリゾート地で異国情緒を堪能する状況に似ています。 GRASSでは、映像の中の人間と観客との間に境界線が引かれています。結局のところ観客は文明人、バフティアリ人は遊牧民という具合に、両者が同じ目線で顔を見合わせることはないのです。観客の「時間」と「場所」を離れさせることが趣旨となっているからです。その視点はクーパー&シュードサックが後に制作するKING KONG (1933) にも影響していきます。 ペンギンの話から、キング・コングまで話がそれてしまいました。 ペンギンにしろ、バフティアリ人にしろ、キング・コングにしろ、電車男にしろ、私たちは世界をあるがままに見ているのではなく、自分のあるがままに観ているのだということを意識しながら映画(映画に限らず、その他もろもろ)を観ると、また違った見方を発見できるとおもいます。そして、その相違点を尊重しながら社会生活を営んでいくことによって、皇帝ペンギンのユニティーに近づく気がします。 最後まで読んでくれた人に感謝! |

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