日米 特許 最新 判例 ブログ (大阪第3特許勉強会編)

特許、実用新案、意匠、商標、不競法、著作権法の全ての判例について検討を行った中から、注目される判例を紹介します。

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平成20年12月25日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成19年(ワ)第18724号損害賠償請求事件
口頭弁論終結日平成20年11月17日

(概要)
 株式会社ゼロシステムが、有限会社スタジオラインに対し、コンピュータゲームソフトウェア又はそのシナリオの著作権(翻案権)を侵害したとして、その不法行為に基づく損害賠償を求めた事案。
 本件ゲームソフトのシナリオはAによって、同原画はBによって、同プログラムは原告によってそれぞれ創作された。Bは、被告の代表取締役である。被告は、被告が製作した被告ゲームソフトの販売を開始した。被告は、その販売に当たり、被告ゲームソフトは本件ゲームソフトのリメイク版であると広告宣伝した。
 東京地裁は、原告の請求を棄却した。

(争点)
1.映画の著作物該当性及びその著作権の帰属
 本件ゲームソフトが映画の著作物に該当するか否かが争われている。
 上記争点に関し、裁判所は、先ず、著作権法にいう映画の著作物に該当するというためには、「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されていること」が必要であるとした。

「映画の著作物」は、「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されていること」、「物に固定されていること」、「著作物であること」の要件をすべて満たすものであると解するのが相当である。そして、「映画」とは、一般に、「長いフィルム上に連続して撮影した多数の静止画像を、映写機で急速に(1秒間15こま以上、普通は24こま)順次投影し、眼の残像現象を利用して動きのある画像として見せるもの。」(広辞苑第六版297頁)を意味することなどに照らすならば、「映画の効果に類似する視覚的効果」とは、多数の静止画像を眼の残像現象を利用して動きのある連続影像として見せる視覚的効果をいい、また、「映画の効果に類似する視聴覚的効果」とは、連続影像と音声、背景音楽、効果音等の音との組合せによる視聴覚的効果を意味するものと解される。

 その上で、本件ゲームソフトは、
 『本件ゲームソフトの影像は、多数の静止画像の組合せによって表現されているにとどまり、動きのある連続影像として表現されている部分は認められないから、映画の著作物の要件のうち、「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されていること」の要件を充足しない。』
として、映画の著作物に該当しないと判断した。

2.複合的著作物該当性及びその著作権の帰属
 次に、原告は、本件ゲームソフトは、画像、音楽、プログラム、シナリオ等の著作物の単なる集合体ではなく、それらが有機的に結合し、不可分一体となって新たなゲームの世界を作り出した複合的著作物に該当する旨主張した。これに対し裁判所は、本件ゲームソフトの影像が原告主張の複合的著作物として著作物性を有するかどうかを検討するまでもなく、原告の主張を前提としてもその著作権が原告に帰属するものとは認められないとした。

 原告は、本件ゲームソフトのプログラミングの過程で、シナリオに従って原画(画像)、音楽、会話文等のデジタルデータを統合する作業を行ったことが認められるが、上記作業は、シナリオに従って行われたプログラムの創作行為そのものであり、本件ゲームソフトの影像の著作物の創作行為であると認めることはできない。すなわち、異なるプログラムによっても、シナリオに従って画面上に同一の影像を表示することは技術的に可能であり、プログラムの創作行為そのものが、これとは別個の著作物であるゲームソフトの影像の創作行為であるということはできない。

3.翻案の有無
 更に、被告ゲームソフトは、原告が著作権を有する映画の著作物又は複合的著作物としての本件ゲームソフトを翻案したものであるか否かが争われた。
 この点に関し、裁判所は、最高裁平成13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁を引用した上で、被告ゲームソフトが本件ゲームソフトの翻案であるか否かにつき、以下の通り判断した。

 シナリオ等の言語の著作物の翻案とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいうものと解するのが相当である(最高裁平成13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。・・・本件においては、本件ゲームソフトのシナリオ及び被告ゲームソフトのいずれもが証拠として提出されていない。・・・その結果、本件証拠上、被告ゲームソフトが、本件ゲームソフトのシナリオに依拠し、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が本件シナリオの表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作したものであることを認めることができない。したがって、原告が本件ゲームソフトのシナリオの著作権を有するかどうかを検討するまでもなく、被告ゲームソフトは本件ゲームソフトのシナリオを翻案したものとは認められないから、原告の上記主張は理由がない。

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