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昨日から、僕の所属するFIRDOS(フィルドス)というNGOの選挙が始まった。 って、一体何のための選挙なんだよって感じだと思うけど、 それを説明するには、まずFIRDOSの組織体系を知る必要がある。 まず、うちのNGOは本部を首都であるダマスカスに置いていて、 そこでは英語ペラペラのエリートたちがクーラーをガンガンに効かせて働いている。 で、シリアの地方部に全部で60ほどある肝心のFIRDOS村の方には、実は正規スタッフは誰もいない。 いるのは現地のボランティアFIRDOS委員と、東洋から来た片言の英語とアラビア語を話す若造だけ。 組織の構造は本当はもう少し複雑だけど(当たり前か・・・)、まぁだいたいこんな感じ。 で、今日はその現地ボランティア委員を決める選挙があったっていうわけ。 ちなみに選挙という形でFIRDOSが委員を決めるのは今回が初めて。 当然下準備とかも色々大変で、まずはこの日を迎えられただけで感慨も一入って感じ・・・ さて、僕は今回選挙委員という役目をやっているわけだけど、 (上の写真は選挙委員と当選者で撮ったもの。お揃いのTシャツまで着てます) 実は自分でも意外なほど、今回の選挙では何かと感動することがとても多い。 まず第一に、これは個人的な話だが、今回の選挙では自分の意見も色々と反映されたってこと。 別に大したことを提案したわけではないんだけど(選挙カーを走らせるとかそんなこと)、 やっぱ自分の言ったことがそのまま形になると、何ともいえない嬉しさがこみ上げてくる・・・ 特にここんとこは自分の存在意義が希薄になった気がしてたから余計に嬉しかった。 あとは、住民たちの意欲を目の当たりにできたってこと。 投票率はだいたい7割くらいなんだけど、結構な人が出稼ぎに出てることを考えれば、 この数字はかなり高いものだと考えることができる。いやー、本当にあっぱれって感じ。 中でもイスラム女性が社会参加をしている場面を見ると、何か無性に心を動かされてしまう。 もちろん投票に来る人の全てが高い志を持っているわけじゃないと思うけど、 やっぱ自分の手で何かを変えようって思ってる人たちの顔は素敵だなと感じた。 さて、でも僕が一番感動したのは、ある老人の一言だった。 僕が投票箱のよこで投票を見守っていると、ある老人が部屋に入ってきた。 足が痛むのか、老人は杖をついての歩行を余儀なくされている様子だった。 この地域の人間は老人になっても畑仕事を続ける場合が多く、 彼も足に問題を抱えながらもまだ畑に出ている現役の農夫なのだろう。 いかにもこの地域の農夫らしい、日焼けした顔と遠くを見るような目がそれを窺わせた。 そんなことを僕がぼんやり考えていると、その老人は突然僕に話しかけた。 ここシリアにも、農村部の年配の人々の中には文盲の人が少なからずいる。 僕もその情報はもちろん事前に知っていたが、実際そうした場面に遭遇するのは初めてだった。 (普段の生活で文盲であるかそうでないかを判断する機会はほとんどない) シリア人は議論などが大好きで、比較的プライドの高い人種だと言われている。 そんな彼らが自分が文盲であることを公にするのは、かなり勇気のいることなのではないかと思う。 彼らは選挙にさえ行かなければ、恥ずかしさを感じずに済むわけである。 でも、この老人は杖をついてここまでやってきた。自分の一票を投じるために。 投票率の低さが物語ってるように、日本における選挙への関心ってとても低い。 もはや民主主義なんて当たり前で、みんな「投票しなくてもいい権利」を行使してるかのよう。 でも、やっぱ民主主義ってものは、僕の住んでいる地域の人にはとても価値のあること。 自分の住んでいる地域のために何か行動することって、やっぱとても幸せなことなんだと思う。 現地スタッフに手伝ってもらい投票を終えた老人の満足げな顔を見て、
そんな当たり前のことに気付かされた僕なのであった。 |
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daichiさん初めての『選挙』ですか・・!選挙委員も任されたわけですね (凄いですね)自分の『案・意見』とゆう事で、(選挙カーを走らせるとかそんなこと)が出来たのですか・・!自分の案が実行されるとちょっと 感動しますよね。 daichiさん・・・ 「私は文字が読めません。誰かに手伝ってもらいたいです」 自分はシリア人の方がどんな性格か判りませんが 『老人の言った一言』一票を投じる為に『文盲』と事を人目を気にせずに・・・・少し『うるっ』ってきましたね。
2005/8/7(日) 午前 10:06 [ xyg*k*86 ]
コレは凄いですね。この老人の言葉は日本人にとって耳が痛いですね。民主主義って本来こうあるべきじゃないかな〜。他にイスラム社会でこういう例はあるのですか?
2005/8/7(日) 午後 9:30 [ 禿道 ]
だいちさん、おはよう。選挙だったんですね。今回は、だいちさんの意見も反映されたそうで良かったね!お互いの国の良い所が、色んな面で動き出すことが「協力隊」にとって最高の幸せでは?ますます頑張ってね☆ ところで、トルコでも文盲の人多いですよ。特にお年寄りや女性。一票投票できたお爺ちゃん、きっと凄く満足したんだろうね…。
2005/8/8(月) 午前 7:33 [ jyoutaro ]
だいちさん。この記事にトラックバックさせてもらいました。
2005/8/8(月) 午前 8:43 [ jyoutaro ]
すごく貴重な体験をしてる感じだね〜。おじいちゃんの笑顔が浮かぶようでした^^ 長崎は明日原爆投下60周年。いろんな人が60年前に思いを馳せる日になりそうです。37℃になる日もあるそんなこの頃。シリアも暑いのかしら??へこみながらも頑張れよ〜♪ブログ楽しみに見てま〜す☆
2005/8/8(月) 午前 9:30 [ yui*o_m**l ]
こんにちは。はじめまして。御所属の団体の名前、Firdosと仰るのですか。記事で挙げられたご老人のような地域行政への参加に意欲的な方とともに、彼等のためによりよい生活環境を創造することが出来るとよいですね。「ふぃるどぅーす(天国)」とはいかぬまでも。
2005/8/8(月) 午後 5:44 [ - ]
>xygqk886さん いつもありがとうございます。長い記事なのに隅々まで読んでくれて本当に感激しています。 でも、本文の引用よりもxygqk886さんの意見や感想をもっと聞きたいかなぁとも思います。
2005/8/9(火) 午前 8:13 [ Daichi Konuma ]
>llhagedoll さん 他の国でですかぁ・・・政府や行政レベルでの選挙はあると思いますが、NGOがやるってのはかなり珍しいことだと思います。そのため、問題も色々と噴出しました。詳しくは次回の記事に書こうと思います。
2005/8/9(火) 午前 8:20 [ Daichi Konuma ]
>jyoutaroさん 久々のトラックバック、嬉しいです。さっき本文見に行きましたが、すごく感銘を受けました。自分も同じようなことを感じたので・・・ ちなみにその後も選挙に関ってみて、彼のような人が決して少数派ではないってことが分かりました。特に女性は本当に多いです。 あ、またそちらの記事にもコメントつけさせていただきますね!!ではでは。
2005/8/9(火) 午前 8:21 [ Daichi Konuma ]
>yuiko シリアは45度オーバー、なめてもらっちゃ困るね。てか、原爆についても最近はすんごく色々聞かれるよ。その度にどう答えるべきかで超悩んでる。これについても今度ブログに書こうと思ってる。あー、書きたいことが多すぎる・・・(どのくらいの人がちゃんと読んでくれるかは分かんないわけだけど) あと、お前のブログもそろそろ教えろコラ
2005/8/9(火) 午前 8:23 [ Daichi Konuma ]
>divaneさん FIRDOSの原義を知ってるなんてまじスゴいっすね。そうです、うちのNGOの名前はアラビア語のフルドース(「天国」の意)とかけてあるんです。 自分の存在にどれだけの意義があるのかはまだ分かりませんが、シリアの村を少しでもフルドースに近づけたいと思ってます。
2005/8/9(火) 午前 8:24 [ Daichi Konuma ]
選挙を通してシリアの政治や文化に生で触れていることに驚きました。 日本も衆院解散で選挙が近いけれど、こんなに熱心に投票に行く人はいるのだろうか・・。
2005/8/12(金) 午後 0:41 [ mika ]
自分も国外にいながらも在外選挙をしようと意気込んでいたところ、どうやら手続きが間に合わないらしくて選挙権の行使が難しいということが判明しました。本当に情けない・・・
2005/8/13(土) 午後 7:50 [ Daichi Konuma ]
このご老人の姿勢は、「文盲であっても一票を投じたい。」という全身での表現ですね。また、その村にとっては「一票」の重さが私達の国、日本よりずっと重そうですよね。今後の自分達の生活に影響を及ぼすものだから、国や地域社会の政策に参加するのは当然だ、という積極的な態度を感じました。見習わなくてはいけませんね。。シリア人がプライドの高い国民だとは新しい発見です。
2005/8/15(月) 午後 6:13 [ oim*chi*a2* ]
そーですね、やっぱ日本で投じる一票とはだいぶ意味合いが違うのかって思います。日本ももうすぐ選挙なわけですが、今度の投票率は一体どうなることやら・・・
2005/8/17(水) 午前 6:50 [ Daichi Konuma ]