|
これは作品タイトル通り、
「松子」という女性の、壮絶な一生を描いた作品です。
大まかな年表はこんな感じ。↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
昭和22年 0歳。川尻家の長女として福岡県に生まれる。
昭和30年 7歳。幸せを夢見る明るい子供時代を過ごす。
昭和46年 23歳。担任を務める中学校で窃盗事件。教師を辞職。
昭和46年 23歳。作家志望の八女川と同棲。暴力にあう。
昭和46年 23歳。八女川、踏切自殺。
昭和47年 24歳。八女川の友人、岡野と不倫。妻にばれて破局。
昭和48年 25歳。中洲のソープ嬢になり、店のトップに。
昭和49年 26歳。同棲中のヒモ、小野寺に裏切られ殺害。自殺未遂。
昭和49年 26歳。上京。理髪店の島津と同棲中に逮捕される。
昭和49年〜 刑務所に服役。8年後に出所。
昭和58年 36歳。教え子、ヤクザの龍と再会。同棲。
昭和59年 36歳。龍、逮捕され刑務所へ。
昭和63年 40歳。出所した龍と再会。龍、再び逮捕され服役。
平成元年〜 一人暮らしの引きこもり生活。
平成13年 53歳。荒川の河川敷にて、死体で発見される。
(映画公式HPより)
そんな、とても幸せとは言えない、転落の人生を描いた小説です。
最近、映画化され話題になっていますが、原作は映画のあの雰囲気とは違い、
ほとんど救いのない淡々とした描写。
作者は横溝正史賞出身なだけあり、
ミステリアスでどこかホラー的なムードさえ漂う作品です。
けれど、そんな想像力をかきたてる書き方につい引き込まれ、
あっという間に読み終えてしまいました。
ただ平凡な幸せを手に入れたいだけだった松子に、何がおこり、
こんなことになってしまったのか、というミステリー。
作品は、死んだ松子の部屋を片付けることになった甥である青年が、
その最中に部屋を訪れる人物たちから、松子の一生について
話を聞くというスタイルですすめられていきます。
人を信じては裏切られる、
その繰り返しによって、堕ちるとこまで堕ち、
あまりにも寂しくあっけない死によって終わりを遂げた、松子の人生。
そんな彼女の壮絶な一生に触れ、
それまでなんの目標も持たず、感情も持たず、毎日ぼーっと、
女の子と寝ることくらいしか考えていなかった
ダメダメ人間の青年の心に、何かが生まれます。
結果、負け通しの人生であっても、
松子はいつも一生懸命で、いつも真っ直ぐだった。
騙されても、殴られても、裏切られても、愛されなくても、
いつでも大好きな人を信じ、どこまでも一途だった。
真剣だった。
もう一人の主人公である、軟弱な青年には、
どんな「まとも」な人たちのお説教より、
松子の人生の方がはるかにインパクトが強く、強烈に心に響いたのです。
人生は命がけであるべきなんじゃないかなと。
「すげーな、この人」って。
私も軟弱者だった一人として、その感覚はとてもよく解りました。
苦労知らずとは言いませんが、一種の勝利者である人たちからは、
底辺の人間は何も学べません。感じ取れません。
少なくとも、
松子はおつむの足りない馬鹿な女、どこまでも哀れな女、
そんなふうに評価をする人たちからの言葉は何も届かないのだと・・・
私は自分を青年に重ね、感じました。
なので、
「こんなに不幸な人が居るんだから、私はきっと大丈夫☆」というふうな
感想も、私は持ちたくありません。
松子の体当たりな馬鹿正直さに、純粋さに、
自分は青年同様、感じるもの・学ぶべきところがあくさんありました。
安定と保身しか頭になく、安全なところからしか物を言わないような
見せ掛けの優しさではなく、無償である真の優しさを持って、
「真剣に生きたい」と強く感じさせてくれた小説です。,。・:*:・☆゚
|