大連日記

昭和19年大連の小学生日記

大連日記

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全18ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

昭和二十一年三月

三月 二十五日 月 晴れ 2度
 今日は終業式の日だ、式をして終わるとすぐ帰った。お父さんとお母さんが、家中をきれいにサウジをしてゐた。店のおじさん達が来るのだ。終わるとお母さんは御ちさうを作った。僕はうまさうなので、ハムをつまんだ。あまり暖かいので、外に出てゐると、初めて、とうみんのてふが飛んで来た。
 やうやくつかまへた。窓において眺めてゐると、宮坂、内山、水上のおじさん達がいらつしやった。
いろいろのごちさうを、腹一ぱい食べた。今日といふ今日は、ほんとに色いろのごちさうを食べれるだけ食べた。僕もしあわせだ。
三月 二十六日 火 晴れ 
 今日からづっと春休みになる。十時頃、朝飯にした。昨日ののこりの御ちさうを食べた。それで、いつもよりおいしかった。又、みんなとかんけりをして遊んだ。あまり暑いので、はだかになって見た。
すると、少し寒かつた。陸也君や、信ちゃんなどにもらったビンの口は、もう三十以上になつた。
 夕飯はおいしいウドンだ。
三月 二十七日 水 曇り
今日は曇りで、すこし雨が降ってつまらんかつた。川上君とメンコした。大メンで、みんなやっつけた。川上にはったメンコを見せてもらった。みんな僕の持っているやつばかりだ。
 夕方、アメをたべながらねた。
三月 二十八日 木 曇り 3度
 小野先生がいらっしゃたので、餅をやいたり、豆を食べたりしてゐるうちに、「げんかん」がへんなので、行って見ると、外のかんぬきも、げんかんの戸もあいてゐた。見ると、くさりはしてあったが、かけておいた、カギが無くなってゐた。びっくりして、皆でさがしてもやっぱり無い。あとで、岩崎のおばさんに聞くと、「どろぼうが、ぼうやのまねをして、くさりの間から手を入れてカギを取ったのだ」とおしえてくれた。あやふいので、かんぬきには、南京じょうや、戸には、ないとラッチをする。
 いよいよ、げんじゅうだ。戦争に負けたので、怒るわけにもいかない。

昭和二十一年三月

三月 十四日 木 晴れ 0.6度
 朝お父さんから、メンコのことでしかられた。学校で、又先生達と海軍ゆうぎをして遊んだ。帰ると木村君の家に行って、メンコをもらった。英語ザクラも、もらった。「本を三さつかしてくれたら、宝のメンコをやる」といったので、もんちゃいだ。よし、と約束した。
三月 十五日 金 曇り 
 又、今日も一時間遊んだ。森脇から帰る途中に本を貸してもらつた。
木村の家に、本を持つて行くといなかったので、三角地点で、紙芝居を観て帰った。
三月 十六日 土 曇り 0.2度
家の前の、ほあん隊の家で、けっこんがあった。満人だ。きれいにしてゐるけれど、きれいでないと思った。昼飯がすむと、斉藤の家に行って、本を返してもらった。そして、少し遊んだ。
 下のやさいやの、満人から大きな、大前門の百本入りのたばこのはこをもらった。嬉しくてたまらんかった。(たばこの空き箱でメンコをしたので、珍しいものがあるとよろこんだ)
 阿部と森脇の家に行って、本をかりた。ついでに、大森の家に行って、メンコを五十枚もらった。
又、阿部の家で、メンコを二十枚位もらった。今日はとてもうれしかった。
三月 十七日 月 曇り 2度
 六年のやつがもう二十日で、そつぎょうだ。僕が、一番ねらわれている。なぐられるので休まうと思う。体操があるのに、なかったので怒って帰った。 
 脇坂の家に行って、メンコを百枚もらって来た。斉藤として、八枚もうけた。前のとあわせて、二百枚以上になった。
 お母さんと、田所さんの、粉店に行って、粉を十斤買った。リックサックにしょって帰った。
三月 十九日 火 晴れ 0.3度
 風はあったが、天気になった。僕はびくびくしながら学校へ行った。体操があった。
帰ると廊下の日のはいる所で、妹とトランプやドングリじやいをして遊んだ。
三月 二十日 水 晴れ 0.3度
 今日は、六年生がそつぎょうする日だ。式が終わって帰る時は、もうなぐられる覚悟だ。
だけども六年生は、一つもたたかん。うれしくて急いで家に帰った。御飯は白いポウミイ(とうもろこし)の粉で作った、ふかふかのパンだった。
 又、妹と廊下で遊んだ。
三月 二十一日 木 晴れ 2度
 今日はとても暖かい。すねを出して行った。帰る時は、僕たちが班長をした。大とくいだ。
家に、叶のおばさんや、ぼうやが来ていた。
 御飯がすむと近所の人たちと、カンケリをして遊んだ。
三月 二十二日 金 晴れ
 今日は先生のきげんがとてもよかった。二十五日から休みになる。
一時間は、お話会をした。僕は妹におしえてもらったり、本を読んだりしているので、得意だ。
 一番に出て、「よくばりぢぢい」の話をした。
皆もいろいろした。二時は海軍ゆうぎをした。とても走るのが速い、先生にやっつけられた。家につくと、すぐ「五年生の思い出」のつづり方を、一生けんめい書いた。
三月 二十三日 土 晴れ 
 朝お母さんと早く起きて、昨日のつづり方を書いた。じげふはなくて作業があった。
家に帰るとすぐ、川辺の家に、三国志の本を借りに行った。どろぼうごっこをして遊んだ。
三月 二十四日 日 晴れ 4度
 もう春だ。起きる時からみんなきげんがよかった。しばらくぶりで、荷物を持ってお父さんと、幾久屋へ言ってみた。日曜なので、とても人が沢山だった。僕は三階に上がって、下を一時間位眺めて居た。とても、買っている人などが面白い。
 お父さんと、「やき大福」や「ペロシキ」や「ウドン」など沢山食べさしてもらった。とてもおいしかった。二階に、とても「似顔」を描くのが上手な画家がゐて、人の顔を、つぎつぎかいてゐた。
 一枚描いてもらふのは、十円だ。しばらく眺めてゐたが、見ればみるほど上手だ。けしごむなどは、
一つも使わないで、すらすらと描いてゐく。色のつけ方、かげのつけ方がうまいので、僕も「あんなにうまくなれたらいいなあ」と、つくづく思った。
 お父さんと、すっくり電車で帰った。又、近所の人達と、かんけりをして遊んだ。叶さんの家でひさしぶりの風呂にはいらしてもらった。とてもとてもさっぱりした。家に帰ってぐっすりねる。

二月 二十七日 水 晴れ 
 25日26日は忘れた。今日から又続ける。学校に行ったら静浦の人が海軍ゆうぎをしてゐたので、読達も入れてもらった。
 とてもたくさんの、しけんがあった。書取、五十もんだいだった。僕は四つちがった。腹をすかして帰ってくると、お母さんは、せいめい台市場に買い物に行ってゐた。とてもがまんが出来んので、お父さんと一緒にねた。すると、アベ川と、しなせりと肉を買って帰って来た。
すぐ、支那せりのすのものと、ハヤシライスを作ってもらった。いっぱい食った。とてもうまかった。
二月 二十八日 木 晴れ 
 又 沢山の試験があった。今度は三点だったので先生から太い棒で、頭をたたかれた。
山寺が高木に泣かされていたので、高木
をなぐってやった。帰りに大石とおいかけると、一目算に逃げた。とうとう逃がした。
三月 一日 金 晴れ 0.4度
 だいぶ暖かくなつた。今日は学校で、体操があるので、みんなとんちゃいだ。早く行って見ると、まだ来ていなかった。体操の時間にはみんなで海軍ゆうぎをした。僕は水雷にばかりなつた。
もう少しで、大将をやっつける所で、りんが鳴った。
三月 二日 土 晴れ 0.1度
 明日は三月三日で、女の子の祝ひ日だ。学校がすむと、川辺の家に遊びに行った。メンコをもらった。しあいをした。初めは僕が勝っていたが、終わりにはぼろ負けになった。
 本を見せてもらった。五時になったので、帰って来た。途中できちがひを見た。電柱に頭をぶっつけて、たほれたり、人の家のかきねをこはしたり。
三月 三日 日 晴れ 0.2度
 今日は、三月三日で女の子のお祝い日だ。朝身をさますと、妹はお母さんと机脳絵に小さなおひなさまをかざった。それからたくさんの人形もかざった。菓子入れに、菱餅、ビスケット、豆、カンパンをそなえた。御飯前に僕と、お母さんは桃源台の市場に菓子をかいに行った。
「白餅、すし、パン、オコシ、あられ」を買った。そして、帰りに平和堂によって見ると、今つきたての、ほやほやの「草餅、赤餅」があったので、二十買って帰った。妹は大喜びだつた。
 それもそなえた。あとでいただくと、とてもおいしい。とても楽しいせっくだつた。
三月 四日 晴れ 0.2度
 今日、学校で体操の時間に、かけ足で静浦の海岸まで行った。ロスケの高射砲があったり、高いへいがあったりして、すっかり前に、お父さんとつりしに行ったときより、ばめんが、かわってゐた。
 海だけは、何事もないやうに、ざぶんざぶんとうねってゐた。
家に帰ると、おひな様の餅をとってやいてゐた。たちまち、おいしいあべ川となった。
あげるほど食った。とてもおいしい。もう、しまいにははきそうになつた。
三月 五日 火 晴れ 2度
 学校におくれて行った。とてもおそかったらしい。もう、いった時は、一時間すんで、休み時間だつた。みんなに、やあーい、酒井はおくれたあ、といはれた。
 かっこうがわるかつた。帰って、地理をした。
中国人が、へんなパンみたいな物を売りに来た。買って食べてみると、目から涙がでた。
三月 六日 水 晴れ 0.4度
 今日は一時間先生達と、海軍ゆうぎをして遊んだ。とても面白かった。
笹川が、とても長いクギを持つてゐたので、聞くと市場のとなりだとおしえてくれた。
 帰ると行きたくなったので、小川の宏ちゃんと、クギ取りをした。とてももうけた。
僕と、山ちゃんはヤキイモをおごってもらった。
三月 七日 木 晴れ 0.4度
今日も又寒くなった。学校が終わるとすぐ、自由市場にいって見た。なるほど最大の五寸クギが売ってあった。「しめた」と思って十本買った。ポケットをがさがさいはして、帰った。
 土にさして見ると、とてもよくささった。
三月 八日 金 晴れ 0.5日
 今日の海軍ゆうぎは、とても面白かった。僕が大将になった、小野先生と川越と山岡と、佐藤など強い者に、ごえいしてもらって、敵陣へ乗り込んで行った。すると、的の大将脇坂は、くやしくて出て来た所を、桜井、千枝だにはさみうちして、ばんざいだ。五たい一だ。
 家に帰ると、すぐ先生とまきわりを、手伝いに行った。さつま温泉の所だった。
井口先生と、じむいんさんがいた。先生達は、よその家のまきをわって、金をもうけてゐるのだ。
 大きな三米もあるまくら木を割るのだ。大ノコギリで、二つに割って、それを大小のまきわりで割った。井口先生と、小野先生は木を伐る者、じむいんさんは、それをまきわりで小さく割る。
 僕は、切ったまきを運んだり、先生と、ノコを引いたりしてゐる間に暖かくなつた。
茶を飲んだり、豆を食べたり、アメを食ったりして休憩をした。それから又、一生懸命、働いた。
 先生は、喜んで「今度から毎日薪割りに、つれていってやるな」とおっしゃつた。大喜びだ。
暗くなったころ家に先生と来た。そして、勉強したので、お父さんもお母さんも喜んだ。
 飯を一ぱい食べた。先生達と、働いた上、みんなで飯を食べたので、楽しかつた。
三月 十日 日 晴れ
朝少しねぼうをした。御飯がすんで勉強をしてゐると、亘君が遊びに来た。勉強をやめて、遊びはじめた。「本を見せて」といったので、本を見せた。二階の川上君も遊びに来たので、庭で釘さしをした。
 亘君が一番負けてばかりだ。妹が、「御飯よ」といったので、亘君と僕は家に入った。
飯の時にへんなことをいって、笑いながら楽しく食べた。終わると、又釘さしや、メンコをして遊んだ。亘君の家のとりにやるために、カヒガラ卵を庭で拾った。家に入って中で遊んだ。五時になった。
帰る時間だ。「又こいな」といって帰した。
三月 十一日 月 晴れ 0.3度
 海軍ゆうぎで負けたら、さうじと先生がいはれた。僕達には弱い人ばかり。いつも面白いことをしてゐる森永君が、水雷になつて出発した。クチクの斉藤が、もう少しでやつつける所で、森永は貯水池の水たまりへ「ドブン」とわざと、とびこんだ。やられたくないためだらう。
 この春の寒いのに、深い方へ逃げた。いくどもこけて上がった時は、服、ズボンはびしょびしょ。
腹の皮がすりきれたと思うほど笑った。
三月 十に二日 火 雨 
 朝から、じむいんさんや、先生達が、僕の家の風呂がまをなほしに来た。くさってゐるので、学校行きの途中に、じむいんさんの家に持って行った。
 糸のように細い春雨がさらさらと降ってゐた。いよいよ、これから春だ。
僕も、心が張るのやうだ。メンコに夢中になって、又家に帰るのがおそくて、少ししかられた。もうせんつもりだ。
三月 十三日 水 0.4度
 草の芽や木の芽が、少しのびだした。学校のやういをしてゐると、急に腹が痛みだした。
とても痛いので、学校を休んだ。昼頃になると、痛みがとまって来た。きっと食べ過ぎだらう。

二月 十六日 土 晴れ 0.8度
 少し寒かったが、元気を出して起きた。朝の内にお母さんと勉強をした。
すると、今日は、元正節のためだらうか、満人たちがフエやたいこをたたいて、きれいな姿をして、へんなおどりをしながら、家の前を通った。おもしろい。
 陸也君の「ごむまり」と、僕のメンコをこうかんをしてもらつた。うれしくてたまらなかった。
家の中で、けっていたらお母さんにしかられた。が、うれしい。
二月 十七日 日 晴れ 1度
 亘君ノイエに、用事が出来た。それで、僕も遊びながら、亘君の家へ行った。今日は、電車がすいてゐた。着くと小母さんは「あれあんたの家に今行ったよ」といった。僕は驚いた。
仕方がないので、邦章ちゃんや、宮子ちゃんと遊んだ。お昼には、赤白の長い餅を買ってもらって食べた。とてもうまかつた。それから本を読んだり、メンコしたりして遊んだ。
 可愛い、にわ鳥と遊んだ。邦章ちゃんをつついたので、驚いたらしい。四時になったので、急いで帰った。今日は、二人で、入れちがひに家へ来たので、愉快だった。
二月 十八日 月 晴れ 0.1度
 朝から、ずっと水はこびを手伝った。今日はふろをたくのだ。十一時位に火をたいた。しりの悪いお父さんは、二回もふろに入ってゐた。僕は朝学校に行くのを忘れて、昼行くと、大石が笑った。
それで、引きかへした。勉強をいやいやしておわると、川上君と、メンコをした。
 風があったので、メンコがとぶので、とても面白かった。
豆を食べてばかりいたので、お父さんになぐられた。くやしかった。
二月 十九日 火 晴れ 2度
 今日から毎日、お母さんと、水くみを手伝うことにした。学校を、もう少しでおくれる所だった。
帰ると、お母さんが「今ふろがわいてゐるから、おはいり」とおつしゃたので、水雷艇と、潜水艇を浮かべながら入った。とてもさっぱりした体で、飯を食べた。
二月 二十日 水 晴れ 0.2度
 今日も水をくんだ。学校は、昼からなので、飯を少し早めに食べて、大石の家で遊んだ。
そして、そこから学校に行った。ロスケの兵隊が、たくさんで、れんしゅうをしていた。とても、規律がなかった。
 帰ると、妹とメンコをアルバムにきれいにはつた。とてもよく出来たが、あとは明日だ。
二月 二十一日 木 晴れ 0.3度
 お父さんは、ぢが痛いといって、一週間も前から床に入ってゐる。それで時どきふろをわかすのだ。
お母さんは、昼から妹と、町に行った。僕は、お父さんにおそはつて、メンコはりをした。
きれいに、みんなしあげてしまった。これから、又あつめる。
お母さんが帰ってきた。王さんの家へ、ソバとポーズを買ひに行って、それから夕飯にした。
二月 二十二日 金 晴れ 0.4度
 今日は、朝ねぼうをして、水くみは一回しか出来なかった。僕はもう海軍ゆうぎでは親玉だ。
毎日、大将だ。帰ると、杉本のおじさんが来てゐた。
 朝飯をぬいたので、とても大食いをしてやつた。しばらくして、久田のおじさんも来た。
そして、「リヤカを、取られた」といった。きっと、満人だらう。ぎりぎりしばって、おったさうだ。
それでも、とるのだからすばしこい。大石君の家に行って、メンコをした。
二月 二十三日 土 曇り 0.4度
 朝からどんよりと曇ってゐた。そして学校から帰る時に、少しアメが降り出した。が、すぐやんだ。
お母さんと、妹がるすだった。カチカチといふ音がしたので、出て見ると、紙しばいだつた。
五十戦のアメを四つ買って、たべながら見た。
 だいは「さるの恩がへし」だ。短かかったが、あんがい面白かった。
二月 二十四日 日 晴れ 4度
 朝、起きてみると、じゃびじゃびと、ねしょんべんをしてゐた。かっこうが悪い。
僕は夕べ水をがぶがぶ飲んだからだ。お父さんのぢはだいぶよくなった。起きてばかりゐる。
 僕が勉強してゐると、先生と、入口先生が、車にまきを一ぱいつんで、ふうふういって、いらっしやった。メンコを先生とすると、今度は初めて勝てた。とても強くなった。

二月 六日 水 晴れ 0.6度
 今日は友だちの大石健君の誕生日だ。それで、小母さんから「晩に来るように」とよばれた。
川上君が遊びに来たので、本を読んだりすまうをしたりして、あそんでゐるうちに四時になったので、少し飯を食べて、大石君の家に行った。みんなで楽しく白米や色々の物を食べた。
 七時になって、少し暗くなつた。健君が今夜とまれといふので、お母さんにことわって、とまることにした。
二月 七日 木 雪 0.4度
 昨日までとても暖かつたが、今日は敢然と温度がかわって、吹雪になつてゐた。いつしょに、健君と飯にして学校に急いだ。十人位、強い者が元気よく遊んでいた。一番強い僕、負けぬ気になつて遊んだがとても足の先がつめたい。とうとう教室へ帰った。
 寒いので、大石、山岡、僕の三人組は電車で、家に帰った。吹雪はますます強くなつた。
お父さんの持って来た、ふかふかのパンを食べて、熱いみそしるを飲むと、寒さがいっぺんに、けしとんだ。
二月 八日 金 曇り 0.6度
 先生が、今日からメンコをしてもよいとおつしゃった。嬉しくなつた。さっそく帰ると、川上君と、しあいをした。あしかけは、僕にかなわんけど、かへしは、とてもまける。ぼろ負けだ。
 夕方、みんなでこたつに入った。
二月 九日 土 晴れ 0.8度
 僕の組の、桜井君は、組で一番メズラシイ、メンコをもってゐるさうだ。帰りに来てみろといつたので、行ってみることにした。
 じぎょうがすんで、帰りに行って見た。箱を見せてもらうと、腰をぬかすほどびっくりした。
大きな二十本入りの大メンやら、アメリカのやら、イギリス・ロンドン、支那、いっぱいつまってゐた。とても僕はほしくなった。たまらんく、なった。
 十字帽、エンピツ五本をやつて、その大部分を、とうとうもらった。嬉しくてたまらん。
夢ではないかと、ほほをつねっても痛い。やっと安心した。
 帰ると、母や、妹に見せると、妹はうらやましさうにしていた。
二月 十日 日 晴れ 0.4度
 明日は僕の誕生日です。
二月 十一日 月 曇り 3度
 今日は昭和二十一年の、紀元節。僕の誕生日です。お祝いのために、朝は赤飯だつた。
学校で、さみしい式をした。帰りに、三坂君の家に行って、おいしいつけ物を、二十円買って帰った。
 一時ごろ、先生と、井口先生と、小母さん達がいらつしゃつた。せわになった、健君も呼んだ。
お父さんの、食パンや、おばさんが持ってきた、餅米まんじゅうや、餅や、おいしいごちさうが、一ぱいならんだ。マントー(肉まんの、あんの入らないもの)もでた。
 みんな、僕に「おめでとう」をいった。少しいばれる。とてもおいしい。
 健君は「とても、ごちさうがあるな}といつた。腹いっぱい、いただいてから、みんな先生達と、メンコをして、遊んだ。箱に、カギをかけておいて、少しばかりでした。
 川上君も来たので、トランプをした。誕生日、さいさい、先生から、フトンの上へ投げとばされた。とても、力が強い。後ろからとびかかたが、やっぱり負けた。ふいうちをしても、だめだ。
 お父さんは、早くから酒によって、ねてしまった。先生達は、六時半ごろ帰って行った。
 戦争に勝ってゐたら、どうどうと、国旗を立てられるが、今年は負けたので、だめだ。だが、いい、
誕生日だった。楽しかった。健君は、今夜とまるので、いつしよに、仲良くねる。
二月 十二日 火 晴れ 0.4度
 僕の誕生日も終わったし、妹の誕生日も終わった。お祝いをしてもらったのだから、よく、勉強しやう。お母さんが、「昨日は、曇りだったのは、負けた紀元節だから、神様が泣いたのでせうよ」とおつしゃった。僕は、くやしくなった。勝つと、いつも日本晴だらう。
 川上君が来たので、メンコをした。水くみを手伝った。
二月 十三日 水 晴れ 0.4度
 朝早く起きて、お母さんといつしょに、近くの井戸から水をはこんだ。初めはさむかったが、終わりになると、ぽかぽかになった。だんだん力がついて来るやうな気持ちになる。 
 しけんは、又しくじって十級に、おっこちた。先生が、お前はなまけちょる。といって鼻をひねった。又、やられた。夕方四時ころから先生の家へ、ふろをもらいに行った。僕は、先生とはいる。
二月 十四日 水 晴れ 0度
 いよいよ暖かいので、今日からくつしたをぬいで、すねを出して学校に行った。みんなが、おどろいていた。メンコをして遊んでゐると、小野先生がいらっしやった。そうして、お父さんと、酒をのんだり、食べたりしてゐるうちに、顔が赤くなって、二人ともよっぱらった。[勉強をせい」といはれたの、いんちきの勉強をする。それでないと、夕飯が食べられない。
 先生は暗くなったので、泊まる。いっしよにねる。
二月 十五日 金 晴れ 1度
 ロシヤ墓の木という木がなまぬるお風に吹かれて、ざわざわといふへんな音をたててゐた。
僕は昨日の、南京豆で、腹をこはしたので学校を休んだ。一ごろまで床の仲で、「まぼろし城」を読んだ。暖かい日光は窓をを通りぬけて僕の顔をほかほかとてらしてゐた。
 昼ご飯がすむと、約束の勉強をお母さんに見てもらった。
「よく出来ます」と言われた。五時ごろに僕達は知らないが、田代さんが、しっている山本といふ、をじさんがしばらくの間、家に泊まることにした。本間兄ちゃんと同じで、三畳だ。少し赤目だ。

全18ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事