十三のネオン街は、男を磨く“道場”だ

ネオン街遊びの4原則は、威張るな、大ボラ吹くな、ホステスに触るな、度を越したスケベ話をするな。これが出来れば貴方も十三で人気者。

昭和の十三のネオン街

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ホステスの芸

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※十三駅の西側
 
 
 
 
 
 
 
「大先生だけですよ、ウチのお店で、こんなサービスがあるのは」
 
 
 
景気が良かったころの話。
 
E子は、そう説明してくれた。
 
十三のあるキャバレーへ行くたびに、
 
いつも新しいリザーブが、オレの席に出てきた。
 
 
 
そのキャバレーの部長とは、閉店後、
 
何度かラウンジに連れて行ってもらうほど、親しくなっていたので、
 
オレは、てっきり、その説明を真に受けた。
 
 
 
ところがあるとき、
 
1人のホステスが教えてくれた。
 
 
 
「大先生、知ってる?」
 
「なに?」
 
「あのボトル、全部伝票についてるよ」
 
 
 
告げ口というのは、
 
決して、気持ちのいいものではない。
 
けれども、このときばかりは、
 
E子をトップ指名から外すことにした。
 
 
 
どんな商売でも同じだけれど、
 
客からカネをだまし取ってやろうと考えはじめたら最後、
 
そのホステスは、お仕舞いになる。
 
 
 
客を楽しませ、客が満足して、
 
自分からサイフのヒモをゆるめるように仕向けるのが、
 
ホステスの芸というものだ。
 
 
 
そうやってサイフから出されたカネは、
 
客にとっても、気分のいい支出となる。
 
 
 
客扱いの技術がどうのこうの、
 
難しい話を言っているのではない。
 
誠意を持って、“お・も・て・な・し”ができるかどうか、
 
オレは、それがすべてだと言いたいのだ。
 
 
 
「あなただけが大切なお客さんよ」
 
 
 
と言われても、
 
しばらく通っていると、それが、見せかけのものかどうか、
 
たいがい分かってくるものだ。
 
 
 
別の店でのこと。
 
オレは、伝票など滅多に見ないが、
 
連れて行った学生たちと大騒ぎをしながら、
 
 
 
「きょうは、こんなにフィーバーして、絶対に高いぞ〜!」
 
 
 
と、おどけて伝票に目をやった。
 
すると、伝票に、
 
トップ指名のD子の名前が2つ書いてあるではないか。
 
客から指名料を2倍取るW指名だ。
 
 
 
「おい、このもう1人の名前、何て書いてあるねん?」
 
「どれ? D子と書いてるね」
 
「なんで、お前の名前、2つあるねん?」
 
「きっと、リストが間違えたんや」
 
 
 
彼女は精一杯とぼける。
 
その見え透いた言い方に我慢できなくなって、
 
ホステスと話を弾ませている学生たちに、
 
席を立たせた。
 
 
 
そして、オレの不満を、店中のホステスに分からせるために、
 
全員で、一旦、ぞろぞろと店の外に出て、
 
再び店に舞い戻って、別のホステスをトップ指名した。
 
知らないうちに誤魔化されて、カネを使わされるのは我慢できない。
 
 
 
思い返せば、
 
オレにも、そんな景気のいいときがあったのだ。
 
オレが、十三でバリバリだったころの話だ。
 
 
 
貧乏してるオレしか見たことのない
 
“サンローラン”のおねえちゃんには、
 
想像できないだろうな。
 
 
 
ところで、話は全く変わるけれど、
 
オレ、来週の月曜日(18日)から、
 
新大阪にあるコンピューター専門学校へ行くことにした。
 
 
 
実はオレ、
 
日本の若者と、海外の若者のメール交流の仲立ちをしている。
 
いまは中国の若者が中心だが、海外の若者と日本語でメール交流して、
 
彼らの日本語学習の手助けをする団体の会長をしている。
 
 
 
28年前に団体を設立した。http://www3.ocn.ne.jp/~buntsuu/
 
オレの人生で最も力を入れている活動だが、
 
活動をするうえで、
 
このところ、パソコン技術の乏しさを痛感している。
 
 
 
それで、先週、入学の予約申込みをしてきた。
  
土・日・祝を除く毎日、午前9時半から午後4時まで、5時間の授業。
 
1クラス10人以内で、3ヶ月間のプログラムだから、
 
力はつくと思う。
 
 
 
それで、国際交流の活動は、
 
学校が終わってからすることになる。
 
就寝前にする自己啓発の勉強も続けたい。
 
 
 
そうなると、来週からは、残念だけれど、
 
ブログの更新のペースを、落とさざるをえなくなると思う。
 
これも、自分の成長のためだから仕方がない。
 
あらかじめ、お知らせしておきます。
 
 
 
 
 
 
 「2000記事達成記念飲み会」開催のお知らせ 
 
 8月16日(土) 午後5:30〜 十三・プラザオーサカ
 

狩猟型、農耕型

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※十三駅前のスクランブル交差点
 
 
 
 
 
 
 
商品を売ったあと、
 
アフターサービスをおろそかにすると、
 
せっかくの客を逃がしてしまう。
 
それが商売というものだ。
 
 
 
それは、ホステスも同じ。
 
どこのキャバレーでも、店に入るときは歓迎してくれる。
 
ところが帰るときになると、
 
手を抜くホステスがいる。
 
 
 
「ああ、きょうはホンマに面白かった」
 
 
 
と、大いに満足して店を出たあと、
 
手を振ってやろうと上機嫌で振り向いたところ、
 
見送りに出ていたホステスが、大あくびを1つ。
 
 
 
そして、まるで一丁上がりという感じで、
 
パチンと両手を叩きながら、店に戻って行くのが見えた。
 
とたんに、シラけてしまった。
 
 
 
十三の栄町商店街にあったキャバレー、
 
“ローズサンポード”には、よく通ったが、
 
その点、オレが指名していたホステスN子の見送りは、
 
最高だった。
 
 
 
店に行くと、この世に客はオレ1人しかいないかのように、大事にしてくれた。
 
そして、いつも、オレの姿が見えなくなるまで、
 
エスカレーターの下から見送ってくれた。
 
だから、分かれるのがつらくなってしまう。
 
 
 
あるときなど、
 
オレを見送るN子のうるんだ目がたまらなくなって、
 
十三駅前のスクランブル交差点まで来たものの、
 
再び店まで取って返したこともあった。
 
 
 
ところで、
 
オレが知っているホステスの多くは、
 
店に来て欲しいときだけ電話やメールをよこす。
 
 
 
「大先生、好きよ〜、今晩待ってるわね〜」
 
 
 
と、ささやかれたところで、
 
だれ彼なしに同じことを言ってるのは、百も承知。
 
どうせ、名刺を並べて、
 
片っぱしから同じ電話、同じメールをしているのに違いない。
 
 
 
客というのは、そのホステスにとって、
 
自分が一番大事な客と思っていたいし、
 
そう思い込むことさえできれば、
 
店に通うものである。
 
 
 
それなのに、
 
オレが知っているホステスは、狩猟型が多いようだ。
 
鉄砲を数打って、当たれば儲け、外れたタマは仕方ないと考える。
 
オレは、そんな狩猟型のホステスは嫌いだ。
 
 
 
打たれる側からしたら、
 
自分だけを狙ったタマなら、こっちから当たってやりたいと思っているのに。
 
 
 
そんな狩猟型ではなく、
 
ホステスは農耕型でないといけないと思う。
 
1人1人のお客さんの心に、心使いというタネをまいて、
 
お客さんの心の中で大きく、立派に成長させて行くのだ。
 
 
 
ホステスは、ルックスも、経験も重要だ。
 
けれども、それ以上に、
 
最後の最後まで、心使いが大切なのだ。
 
 
 
十三の“キャバレー遊び評論家”は、
 
そう思うのだけれど。
 
 
 
 
 
 
 
 「2000記事達成記念飲み会」開催のお知らせ 
 
 8月16日(土) 午後5:30〜 十三・プラザオーサカ
 
 
 
 
 
  勝手に宣伝 「サンローラン ・ ピアノナイト」  
 
       8月7日(木)  ・ 13日(水) ・ 28日(木) 
       演奏開始時間 8:00〜  9:00〜 (予定)
 
  はじめて行くなら、この日に行くのがお勧め。素敵なムードです。
  はじめてのお客さんに限り、1時間(指名なしコース)3500円。
    それ以上はかかりません。ただし、ビールの本数、飲み物に制限あり。
       ピアノ演奏は1回30分ほどなので、8時前または9時前に入るのがコツ。
       でも指名なしだと、女の子はタダ働きになるので、ちょっと可哀そう。
   オレ的願望とすれば、出来れば指名してゆっくり飲んでもらいたい。
    ホステス2人指名すれば、時間制限なし、11時の閉店時間までOK。
    飲み方にもよるけれど15000円ほど。
    ホステスに、予算15000円とか、20000円とか、最初に言っとけば安心。  
  なお、オレが行ってるとは、限りません。
 
 
   

お客の信用

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※十三・“西栄町商店街” (写真右のコインパーキングは、元・キャバレー“キングオブキング”の跡)
 
 
 
 
 
 
 
十三のキャバレーの次長が、
 
店のオーナーが変わった関係で、
 
ミナミにある系列店に転勤となった。
 
 
 
転勤となったあとも、
 
一度新しい店に顔を出してほしいと、何度も案内状をもらっていたので、
 
ちょうど、アルバイトに来ていた大学の陸上部の学生を連れて、
 
サービス券を手に、出かけることにした。
 
 
 
時間が遅くなったので、急がないと向こうでの時間が短くなる。
 
オレの事務所から地下鉄の西中島南方駅まで、学生たちと一緒にダッシュ。
 
まだまだ体力は衰えていない。
 
 
 
けれども、
 
なんば駅から次長の店までは、
 
学生たちに手を引っ張ってもらって走った。
 
 
 
エレベーターの扉が開くと、
 
次長みずから迎えに立っていた。
 
笑みをいっぱいたたえた懐かしい顔だ。
 
その日は、大信田礼子ショーが入っていた。
 
 
 
ちょうど、ショーがはじまる時間だった。
 
こうしたショーがある日には、サービス券は使えないのだが、
 
次長のはからいで、
 
オレたちは、ステージにもっとも近い席に案内された。
 
 
 
大信田礼子は、セクシーだった。
 
ステージに上がるまでは、普通の女性に見えたけれど、
 
ひとたびショーがはじまると、
 
人にはまねのできない魅力を発散させた。
 
 
 
彼女のショーに見とれながら、
 
自分も仕事をしているときは、
 
かくありたいと思ったものだ。
 
 
 
さて、初めての店だったので、
 
だれを指名していいのか分からない。
 
次長が何人かのホステスを指名してくれた。
 
 
 
直ぐに打ち解けた雰囲気になり、
 
彼女たちが初めての客に接するときの、
 
何かこっそり探りを入れるような態度は
 
まったく感じられなかった。
 
 
 
ショーが終わった。
 
すると、そのタイミングを待っていたかのように、
 
トップ指名になっているらしいホステスが、
 
名刺を差し出した。
 
 
 
「裏も見てね」
 
 
 
と言う。
 
名刺の裏に、手書きで数字が書かれてあった。
 
 
 
「分かった、この店のウラ電話の番号か?」
 
 
 
店の営業時間が終わった後も通じる、
 
特別の電話を持っている店がある。
 
客には、教えない。
 
その番号かと思った。
 
 
 
「違う、違う、私のマンションの電話番号」
 
「なんで、いきなり教えてくれるねん」
 
「次長が紹介してくれるお客さんは、絶対信用できるからよ」
 
「ホンマ?」
 
 
 
「一度来てね、本当に」
 
 
 
日ごろの信用というのが、いかに大切なものか、
 
身にしみて感じた次第であった。
 
そして、彼女のマンションも伺わなければと思ったのは、
 
言うまでもなかった。
 
 
 
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※十三・サカエマチ
 
 
 
 
 
 
 
なぜこうもオレは十三のキャバレーが好きなのだろうと、
 
ときどき静かに考えることがある。
 
すると決まって、テーブルについたホステスが、
 
オレをスター扱い、重要人物扱いにしてくれるからだという結論になる。
 
 
 
こうした願望は、多かれ少なかれ、
 
だれにでもあるものだろう。
 
 
 
ウイークデーの昼間にテレビのスイッチを入れると、
 
必ずどこかのチャンネルで、芸能レポーターが、
 
スターのゴシップ話や、スキャンダルを、
 
まことしやかにしゃべっている。
 
 
 
どれもこれも、
 
本当かウソか分からない話が多いが、
 
ウワサを立てられるのは、スターの条件である。
 
 
 
ネオン街の客にも、同じことが当てはまる。
 
スターにウワサがつきものであるように、
 
その店の上客になればなるほど、
 
その客のウワサ話が、店の中を飛び交う。
 
 
 
指名していないホステスまでが、
 
ある客のウワサ話を口にするようになれば、
 
それは、上客かどうかの基準をパスしたことになる。
 
 
 
「あのお客さん、先日、ヨーロッパへ家族で行ったらしいよ」
 
「いいクルマに乗ってるらしいよ」
 
 
 
などなどである。
 
しかし、
 
このような事実に基づいた話をウワサされている間は、
 
その客は、上客のレベルにとどまっている。
 
 
 
上客の上には、さらに超上客があって、
 
この超上客の基準は、同じウワサをされるにしても、
 
それが、事実無根のウワサ、
 
根も葉もないウワサであるかどうか、にある。
 
 
 
つまり、
 
どこからそんな話が出てきたのか理解に苦しむウワサは、
 
言いかえれば、その客が、
 
それだけ注目度が高いと言う証明なのである。
 
 
 
ある日、十三にあったキャバレー“マドンナ”へ行くと、
 
いつもにぎやかにしているG子が、
 
なぜか大人しい。
 
どうしたのかと聞くと、
 
 
 
「何でもない」
 
 
 
と、首を振る。
 
30分たっても、1時間たっても、何もしゃべらない。
 
ときおり笑顔を見せても、
 
心底笑っているようには見えない。
 
 
 
胸の中に何か引っ掛かるものがあって、
 
それで、
 
気分がふさいでいるような様子だった。
 
 
 
G子の普段にない素振りが気になったが、
 
オレは他のホステスと楽しくやって、
 
その日は切り上げた。
 
 
 
2〜3日して、また“マドンナ”へ行き、
 
G子を指名したときも、
 
相変わらず押し黙ったままだった。
 
 
 
オレが、何度も聞いて、
 
やっとその理由を教えてくれた。
 
 
 
「大先生、このあいだ○○子とホテルへ行ったでしょ」
 
「何のことや?」
 
 
 
つい先日まで、
 
この店にいたホステスとオレが、
 
一緒にホテルに入るところを見かけたホステスがいると言う。
 
店で、評判になっているらしかった。
 
 
 
オレと彼女ができていると言うウワサを信じて、
 
G子は元気がなかったのだ。
 
 
 
オレは、耳を疑った。
 
そのホステスと、店の外で会ったこともないし、
 
ましてホテルへ行くはずもない。
 
 
 
それに、
 
G子が、オレにそれほど好意を持ってくれていたとは、
 
知らなかった。
 
 
 
ほかにも、いろいろウワサを立てられたことがある。
 
オレに愛人がいて、
 
手当を30万円払ってる、というのもあった。
 
そんな余裕など、あるわけない。
 
 
 
また、あるホステスが、
 
不義理をしたので指名から外すと、
 
 
 
「大先生は、あの子を口説いたけれど、断られたので指名を変えた」
 
 
 
はじめのうちは、
 
そんなウワサが広まっていることを知ると、
 
打ち消しにやっきになったものだ。
 
 
 
しかし、
 
いまでは根も葉もないウワサ話を聞くと、
 
オレもなかなかのものだと、
 
ニンマリしながら胸を張ることにしている。
 
 
 
そう、大物客の証明なのだから。
 
 
 
 

出入り禁止

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※十三・サカエマチ入り口のアーチ
 
 
 
 
 
 
 
オレが、24〜5のころだった。
 
十三のサカエマチにあったミニサロンで、
 
出入り禁止になったことがある。
 
オレの酒飲み人生で、唯一の出入り禁止。
 
 
 
当時のオレは、サラリーマンだった。
 
会社を出ると、その足で毎日のように、 
 
サービスタイムの午後6時半ごろ、そのミニサロンに入った。
 
 
 
しかし、時間の延長はせず、
 
いったん家に帰って食事をすませ、風呂に入り、
 
そして、最終の10時ごろにまた店に戻り、閉店時間の11時まで飲んでいた。
 
このパターンを繰り返していた。
 
 
 
店には、カエデと言うオレより4つ年上のホステスがいて、
 
どうもこのころから、オレは、
 
とことん通い詰めるたちだったようだ。
 
 
 
「私、本当はね、大きなキャバレーに変わりたいの」
 
 
 
カエデは、いつも、そう話していた。
 
オレも、パンティーをちらつかせるミニサロンより、
 
大型のキャバレーの方が、
 
彼女には似合うと思っていた。
 
 
 
「カエデさんやったら、大型のキャバレーに行っても、きっと売れっ子になれるで」
 
「本当? うれしいわ」
 
 
 
しかし、当然のことだが、
 
店長は、ホステスが店を変わることに反対する。
 
彼は、オレが、そそのかしていると考えたらしく、
 
ある日、閉店後にオレを喫茶店に誘った。
 
 
 
「カエデさんのことで、何か、誤解があるようで・・・・・」
 
 
 
と、へりくだって、話を持ち出してきた。
 
店を変わりたいと申し出たカエデを問いただしてみると、
 
オレの名前を口にしたと言う。
 
 
 
「店を変わりたいと言う話は、カエデさんから何度も聞いたことがある。そやけど、オレは単なる客の1人や。
 
 カエデさんが何を言ったか知らんけど、オレがそそのかしたなんて、誤解もはなはだしいで」
 
「そうですか」
 
 
 
店長は、メガネの奥で、むっとした表情を見せた。
 
オレは、1日に2度も店に足を運ぶ超常連客だったにもかかわらず、
 
歓迎される客ではなかったようだった。
 
 
 
ついに、
 
その店長と衝突する日が来た。
 
喫茶店に呼び出された翌日のことだった。
 
 
 
ミニサロンは、40分とか、60分とかの時間制になっているが、
 
その日は、どう言うわけか、
 
店に入ってたったの10分かそこらで、
 
“スタンバイ”(お時間です)と、店長にマイク放送された。
 
 
 
「なんで、こんなに短いねん」
 
 
 
店長に抗議すると、
 
 
 
「ちゃんと計っとるわい」
 
 
 
売り言葉に書い言葉という感じではなく、
 
前もって用意していた言葉を口にするような、冷たい口調だった。
 
そして、カネを払って店を出ようとするオレについて来て、
 
店の前の呼び込みの男に、怒鳴って告げた。
 
 
 
「こいつの顔、よう覚えとけよ。出入り禁止や〜!」
 
「なんやと〜!」
 
「言うた通りや、二度と入れたらアカンぞ〜!」
 
 
 
店長は、オレを無視して、
 
呼び込みの男に念を押すと、
 
店の中に戻って行った。
 
 
 
オレは、腹が立って、腹が立って、
 
その一件があって以来、
 
長い間、その店の前を通らなかった。
 
 
 
それから、半年ほどして、
 
新しく店を開拓しようと思って、1人で、
 
やはりサカエマチにあったミニクラブに、
 
入ろうとしたときのこと。
 
 
 
もし、そのことを知っていたら、
 
オレは、絶対に行かなかった。
 
入り口のドアを開くと、
 
 
 
「いらっしゃいませ」
 
 
 
男の顔を見て驚いた。
 
絶対に忘れられる顔ではなかった。
 
半年前に、
 
オレを出入り禁止にした、あの男だったのだ。
 
 
 
「ようこそ、いらっしゃいませ」
 
「入ってもかめへんのか?」
 
「どうぞ、どうぞ」
 
 
 
何事もなかったように、平然と案内する。
 
さらに、オレが席につくと、
 
 
 
「お客様」
 
「なんや?」
 
「ボトルキープなさってはいかがでしょうか」
 
「また来てもええのやったら、入れたるわ」
 
 
 
「ぜひ、おいでくださいませ」
 
「あんた、オレの顔、忘れてないやろな」
 
「えっ」
 
 
 
「見覚えあるやろ」
 
「えっ」
 
「前の店で、出入り禁止にしたこと、忘れてないやろな」
 
「えっ」
 
 
 
「忘れてないやろな」
 
「えっ、なんのことか」
 
「オレの顔、覚えてるやろ」
 
「いいえ、覚えがございませんが」
 
 
 
「なに言うてるねん」
 
「お顔、初めて拝見させていただきますが」
 
 
 
オレ、1年ほど通うことに。
 
 
 
 
 
 
 「2000記事達成記念飲み会」開催のお知らせ 
 
 8月16日(土) 午後5:30〜 十三・プラザオーサカ
 

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