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鉄腕アトムがアニメになる10数年前に生まれた、手塚治虫さんのマンガが原作です。
近未来。メトロポリスは人間とロボットが共存する巨大都市。
町は有力者であり世界征服を企むレッド公が建設する超高層ビル「ジグラット」
のオープンに向けて沸き立っている。
レッド公はロートン卿に密かにロボット守護神の「ティマ」を開発させている。
もうすぐ完成というところで、レッド公の養子で世界征服のカギをロボットに
ゆだねることを良しとしないロックにより施設ごと破壊されてしまう。
臓器売買の犯人であるロートン卿を追ってやってきた私立探偵伴俊作と甥のケンイチは
この爆破騒ぎに巻き込まれてしまう。
ケンイチがティマを助け逃げるうちに、ティマは自分を人間だと思うようになる。
しかしティマはレッド公に連れ戻され、自分がロボットであることを知らされ
ショックを受け、自ら超コンピューターに変身するべく超人の椅子に座る。
手塚治虫さんのまるっこい登場人物はいつもの通り柔らかく人懐っこいのですが、
背景になるジグラットの建物はとても精密な作画で、登場人物と対照的です。
最下層でここでの虐げられた生活に希望を失い、革命を起こそうとする人々。
ロボットに仕事を奪われ憎んでいる者も多くいます。
その一方でロボットに過酷な仕事をさせ、そのロボットを物としてしか見ずに使い捨てていく人々。
レッド公もその一人なのですが、亡き娘の姿を映したティマには自分の野望のすべてを委ね
ようとします。
ラスト、天へそそり立つジグラットは、バベルの塔と同じく神の裁きを受けるかのように
ゆっくりと崩壊していきます。愛されなくとも父を慕い最後まで守ろうとしたロックが破壊
のボタンを押したことによって。
様々な機械がとび散り、塔がゆっくりと壊れていくバックにレイ・チャールズの
「I CAN'T STOP LOVING YOU」が流れます。
愛さずにはいられない・・・。
ロボットと知りながらティマに愛情を持ったケンイチの、
自分を人間だと思いケンイチを慕うティマの、
蔑まれながらも父を愛し続けたロックの、
世界の神になるべくその地位に愛する娘を映したティマを座らせようとしたレッド公の、
革命家としてこの世に自分の存在を残したかったアトラスの、
すべての思いを飲み込んで、ジグラットは塔の上から崩れていきます。
ティマを失い呆然とするケンイチに、ロボットたちがティマの部品を集めて渡してくれます。
ケンイチは「もう少しこの町にいようと思う」と叔父と別れます。
ロボットのやさしさに、これからの人間とロボットの気持ちの通じた共存を期待できそうで、
この町にも希望が見えたように思い、少しホッとしました。
この映画が上映された、2001年、アメリカで9・11が起きました。
メトロポリスは図らずもこのテロを予想したかのような映画になってしまい、残念です。
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