ブルームバーグコラム

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サブプライムの罠、ウォール街の「神様」の審判で世界の隅々に拡散
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003001&sid=a1ZEInxFORv0&refer=jp_commentary
  12月20日(ブルームバーグ):今年の7月10日、ニューヨークの空に暗雲が垂れ込めるなか、格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は午前10時に電話会議を開始した。なぜ同社が、2年余りで最も思い切った行動を取ろうとしているのかを説明するためだ。

  S&Pのアナリストらは、価格が暴落している米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連証券120億ドル(約1兆3600億円)相当を格下げ方向で見直すと発表した。その一部は、S&Pが投資適格級の格付けを付与してから1年もたっていない証券だった。2005年に自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターを格下げしたとき以来、S&Pがこれほどの注目を集めたことはなかった。

  S&Pのチーフエコノミスト、デービッド・ワイス氏とマネジングディレクターのトマス・ウォーラック氏は20分の説明の後、投資家とアナリストからの質問を受けた。「何カ月も前にできたはずなのに、なぜ今なのか」というのがヘッジファンド、フロントポイント・ファイナンシャル・サービシズで運用に携わるスティーブン・アイズマン氏の問いだった。ウォーラック氏らは正確に判断するために時間が必要だったと説明しようとしたが、アイズマン氏は「もっとまともな答えをしてもらいたい」とさえぎった。

  5年にわたる不動産ブームがピークに近づきつつあった05年、ウォール街は最も信用力の低い借り手向けのサブプライムローンに基づく新手の証券を販売していた。大手格付け会社から安全資産のお墨付きをもらいながら、これらの証券は同格付けの他の証券よりも高いリターンをもたらした。グローバル・インサイトの金融・経済ディレクター、ブライアン・ベスューン氏によると、投資銀行は、05、06年でこれらの証券1兆2000億ドル相当を販売した。

             ほとんど神様

  信用リスクに関するウォール街の3大審判であるムーディーズ・インベスターズ・サービス、S&P、フィッチ・レーティングスの関与がなければできなかったことだった。このような証券の約80%は、米国債と同じ「AAA」の格付けが付与されていた。元ムーディーズのアナリスト、シルベーン・レインズ氏は「格付け会社は一部の投資家からほとんど神様のように思われていた」と話す。しかし今や、その「信頼は失われ、裏切られたという思いに変わってしまった」と同氏は慨嘆した。

  格付けは、ウォール街が高リスクのサブプライムローンに基づいた証券を世界の市場で売りさばくのに役立った。ウォール街のバンカーたちによる発明を原動力に、サブプライム証券の市場は05、06年に急拡大。同商品は世界の隅々まで行きわたり、欧州やアジアの銀行、公的基金のポートフォリオに入り込んだ。

  多くの機関投資家は、投資適格級以外の証券の保有を法律や独自のルールによって禁じられている。調査会社グラハム・フィッシャーのマネジングディレクター、ジョシュア・ロスナー氏によると、発行会社は必要な格付けを得るための方法を、格付け会社から教わる。投資銀行は格付け会社が配布したソフトウエアを使って投資適格の要件を満たしていたという。

               お笑い

  「仕組み金融の世界で、格付け会社が公平だという考えはお笑いだ」とロスナー氏は語る。「発行会社は、誰にでも入手できるモデルを使って仕組み商品を設計し、あとは望み通りの格付けになるよう、格付け会社に微調整してもらう」のだという。

  野村ホールディングスが組成した7億2000万ドル相当の証券は06年の発行時に投資適格の「Baa3」を得た。この証券の現在の格付けはジャンク級(投機的格付け)の上から7番目の「Caa1」。裏付けの住宅ローンの29%がデフォルト(債務不履行)し、価格は額面の32%に落ち込んでいる。この証券の担保の約40%は、ダニエル・サデック氏のクイック・ローン・ファンディングの融資債権だった。

  1999年まで4年間ムーディーズに在職したアン・ラトレッジ氏は、「企業文化に変化があった」と話す。「昔は、格付け対象と馴れ馴れしくすることはなく、信用の質だけを見極めるのだという姿勢があった」という。ロスナー氏は、5年間の住宅上昇相場からの利益という誘惑が、変化を加速させたと指摘。格付け会社は「既存の企業を格付けする業務から、仕組み金融商品を作り出す手伝いという仕事に乗り換えた」と話した。S&Pは06年に組成されたサブプライム証券の約98%に格付けを付与した。ムーディーズは97%、フィッチは51%だった。

無縁ではなかった

  今年9月26日、米証券取引委員会(SEC)のコックス委員長は上院銀行住宅都市委員会で、格付け会社が資産担保証券(ABS)発行会社から「過度の影響を受けていなかったか」を調査していることを明らかにした。同日、ニューヨークの年金基金がムーディーズの格付けが投資家を惑わせ、サブプライム証券による損失につながったとして同社を提訴した。10月にはコネティカット州のブルーメンソール司法長官が格付け会社3社に召喚状を出した。

  元ムーディーズのレインズ氏は、今後数カ月の間に年金基金がサブプライム関連損失を明らかにし、問題は米国のほとんどすべての家計に及ぶだろうと言う。「結局、ウォール街ではなく最も小口の投資家が損失を被ることになる。むやみに格付け会社を信じた運用者を信用したためだ」と同氏は述べた。

  テキサス州の元教員、ホセ・セプルベダ氏は、ニューヨーク、ロンドン、東京の市場を揺るがせている信用危機が自分とは無縁だと思っていた。ところがそうではなかった。同氏の退職資金を運用する年金基金はサブプライムローンを含む資産を担保とした証券60億ドル相当を保有していたのだ。「サブプライムローンを裏付けとした投資商品が安全だなんて、どうしたら思い込むことができたのだろうか」と同氏は首をかしげている。

(明日は第5話「サブプライム危機が世界の信用市場を席巻、半身不随状態に(仮題)」です)

原題:Rating Subprime Investment Grade Made `Joke' of Credit Experts(抜粋) {NXTW NSN JTBFI10D9L36 <GO>}


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