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【FRBウオッチ】乱気流と闘う「ヘリコプター・ベン」に新たな暗雲
3月26日(ブルームバーグ):金融動乱に対するバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の処方せんの全容が明らかになってきた。同議長は1930年代の大恐慌に関する研究で知られ、今回示された処方せんはその研究成果とも言える。ただ、70年以上の前の大恐慌の教訓に立脚した政策が21世紀の金融バブル破裂の治療に効果を上げることができるのかどうかなお未知数である。
米東部時間16日午後7時(日本時間17日午前8時)過ぎ、FRBは公定歩合の緊急引き下げと証券会社に対する特別融資制度の導入を発表。ニューヨーク連銀はベアー・スターンズへの資金供給を通じてJPモルガン・チェースによる同社買収を支援することを明らかにした。FRBはベアー・スターンズが抱える流動性の乏しい資産を保有することになり、貸し出し期間中に毀損(きそん)すればバランスシートが打撃を被る。
バーナンキ議長はプリンストン大学教授を務めていた当時、デフレと苦闘する日銀に対して、ヘリコプターから紙幣を散布すれば良いと助言。「ヘリコプター・ベン」のニックネームを付けられた。同議長が相次いで導入した流動性対策はFRBがリスクを負うもので、「ヘリコプター・ベン」の面目躍如といったところか。
TSLF
FRBは11日に信用市場の混乱緩和を目指し、最大2000億ドル相当の国債を入札方式により貸し出すターム物証券貸与ファシリティー(TSLF)を発表していた。これはプライマリーディラー(政府証券公認ディラー)に最大2000億ドルの米国債を貸与、FRBはその担保として住宅ローン証券を受け入れる。
FRBが市場での流動性が低下している住宅ローン担保証券を自らのバランスシートに抱えることでリスクを取り、市場の自信を回復させるための窮余の策。この時点で金融当局者の念頭には支援対象の筆頭としてベアー・スターンズがあったはずだ。しかし、TSLF発表後、金融市場ではベアー・スターンズが資金不足に陥っているとの憶測が急速に広がり、同社の顧客が資金を引き揚げに走り、取り付け騒ぎの様相を強める。
ベアーのアラン・シュワルツ最高経営責任者(CEO)は12日、「流動性問題に関する憶測は事実とかけ離れている」と言明。同社の「財務は依然として健全だ」と強気の姿勢を表明したが、市場で広がった不安心理を抑えることはできなかった。同社はレポ市場での資金調達も困難になり、破たんの危機に直面する。
大恐慌研究の成果試す
バーナンキ議長は14日にJPモルガンを通じてベアー・スターンズへの緊急融資枠の設定を決断する。ベアーのシュワルツCEOは声明で、「市場の憶測が広がる中、当社の流動性は過去24時間に大幅に悪化した」と認めた。
この時点で、バーナンキ議長はJPモルガンを通じたベアー・スターンズへの資金供与でTSLFの第一回入札予定日の3月27日まで持つとの読みがあったようだ。ただし、事態は想定をはるかに超えるスピードで悪化していた。ポールソン財務長官は週明けまでに解決策をまとめないと市場は大混乱を来たしかねないと判断。バーナンキ議長を交え、JPモルガン・チェースによる買収をまとめ上げた。
同議長は大恐慌の著名な研究者であり、その結論は当時FRBが株価大暴落に積極的に対応していれば、最悪事態は防げたというものだった。確かに、このところバーナンキ議長が打ち出す対策は連銀自らのバランスシートにリスクを抱え込む積極的なもので、研究成果を十分発揮しているようにも見える。
強まる「乱気流」
もっとも、昨年8月17日の公定歩合引き下げ、12月12日のTAF(ターム物資金供給ファシリティー)導入、1月21日の緊急利下げ、そして今回のベアー・スターンズ救済措置といずれも、金融市場の混乱による乱気流に巻き込まれた時の対症療法と映る。FRBが今回の金融パニックで取った4度の緊急対応は、メリルリンチが作成している市場のボラティリティー指数が上振れした時期に重なっている。
コーンFRB副議長は今月4日の議会証言で、投資銀行に対する連銀窓口貸し出しに対して慎重な姿勢を示していた。しかし、その10日後の14日、ニューヨーク連銀はJPモルガン・チェースを通じてベアー・スターンズに最大28日間、資金を供給することで合意。さらに16日にはプライマリーディラーに対する連銀窓口貸し出しに踏み切っている。
乱気流が激しさを増す中で、「ヘリコプター・ベン」は従来なら禁じ手とされていた対策を次々に繰り出している。ただし、バーナンキ議長が大恐慌から学んだ対策が効果的かどうか疑わしい。1930年代の大恐慌は29年の株式大暴落が発端だが、その背景には自動車産業を中心とする製造業の勃興があった。経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は若さに満ち溢れていた。
怖い熟年期のバブル破裂
一方、今回は製造業が衰退し、金融業がピークを付けるなかで、巨大バブルが形成されている。2000年にかけてのIT株式バブルを壮年期の行き過ぎとすると、今回のクレジット・デット・バブルは熟年期に差し掛かる中で生じている。バーナンキ議長は1930年代の青年期のバブル対策を想定した措置で、今回の熟年期の金融バブル破裂を乗り切ろうとしているようにみえる。
サマーズ元財務長官は、FRBの対策について、「ウイルスに対して抗生物質で闘っているようなものだ」と指摘する。ウイルスの増殖を防げないどころか、薬剤耐性菌が生まれるリスクもある。
オイルショック並みの悪化
今回の混乱の背景にはクレジットとその裏側にあるデット・バブルの破裂があり、金融機関のみならず家計のバランスシートも痛んでいる。2001年の前回の景気後退のときは連邦公開市場委員会(FOMC)が9.11同時多発テロを受けてフェデラルファンド(FF)金利を3%まで引き下げた時点で、自動車メーカーがゼロ金利による販売促進策を一斉に導入。消費者も一気に購買意欲を高める元気があった。さらに住宅ローン金利の低下に応じて、住宅購入も急角度で上昇に転じた。
一方、今回は景気後退の入りが論議されている段階で、FF金利は2.25%まで切り下げられたが、個人消費は一段と冷え込んできた。コンファレンスボードが25日に発表した3月の消費者信頼感指数は6カ月先の期待値が47.9に落ち込んだ。これは1973年12月以来の最低。石油輸出国機構(OPEC)による禁輸で第一次オイルショックに見舞われた当時にまでさかのぼる。
民間雇用は4カ月連続悪化か
民間雇用者数は昨年12月から今年2月にかけて3カ月連続でマイナスを記録している。2001年の前回景気後退は、民間雇用連続マイナス3カ月目に当たる同年3月から始まり、同年11月まで続いた。
今回は雇用統計を先見する失業保険申請件数が3月の雇用統計調査週に当たる14日までの1週間に37万8000件へと水準を上げてきた。3月の民間雇用者数は4カ月連続マイナスを記録する可能性が高い。
ベアー・スターンズの救済で「ヘリコプター・ベン」は4度目の乱気流を乗り切ったように見えるが、地平線上には「景気後退」という新たな積乱雲がその不気味な姿を現しつつある。金融危機を背景に断続的に発生する乱気流は景気後退突入によりさらに勢いを増す恐れがある。
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最近受注量が減ってるような気がする。もう影響が出てるのかな。バーチャルワールドで生まれたマネーウイルスが、実体経済に飛び移り、風邪を引かせた。インフルエンザに罹った。ワクチンは?マネーから抽出したマネーワクチンしか無いだろう。診断間違いないの?ガン化した細胞のもたらす体調の変化かも?
2008/3/28(金) 午後 10:14 [ hiroyan ]
1ユーロ=2ドル=100円。ユーロ圏のバブルもはじけてゆき、日本も激烈な共倒れ的壊滅に追い込まれたとしても、今回の金融危機の終局には、こういう為替レートに向かってゆくのではないかと、思われだしました。大雑把すぎるのはわかってますが、流れとしては、こんなものだろうと思っています。
2008/3/29(土) 午前 4:34 [ その他 ]
hiroyan様、おはようございます。
米国の状況は最悪の事態に陥っているといえると思います。
まだまだ、負の連鎖は続くと思われ、これは世界に波及する。
欧州、米国、日本それぞれが解決法を探る状態といえますが、それぞれの被害額や対応に関してはかなりの温度差があると思われます。
現状、米国一国の対応ではどうしようもないところまで進んできたといえると思います。
その他様、
英国の不動産バブルはすでにはじけているという観測もありますね。また、欧州バブルを支えたスイスの金融セクターも赤字額が増大、資金供給が困難になり始めています。
個人的な注目点はバブルがはじけた場合、英国はは自主通貨を維持できるかという点です。
場合にとってはユーロに飲まれるのではないかと考えます。
2008/3/29(土) 午前 6:24 [ 渡邉哲也 ]