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すでに、昨日取り上げた記事ですが、非常に重要ですので再掲載
米サブプライムCDOのデフォルトが1590億ドルに=S&P 。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK011494620080408
[ニューヨーク 8日 ロイター] 米格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は8日、米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)を裏付けとする債務担保証券(CDO)の債務不履行(デフォルト)の通知が7日までに、約1590億ドルに達したことを明らかにした。
デフォルトとなったCDOの数は147。関係筋によると、このうち少なくとも12のCDOが清算されたか清算の過程にある。
S&Pはリポートで「適切な場合には、満額が支払われたクラスの格付けを撤回し、デフォルトとなったクラスの格付けを『D』に引き下げる」と述べた。
S&Pによると、4月に入ってから6つのCDOのデフォルト通知を受け取り、これらの負債総額は60億ドルを超えた。 CDOはいずれも2004─07年に組成された。
CDOというのは、RMBS(住宅公社債)を輪切りにして組み合わせた複合債権です。
複数の債権を組み合わせリスク分散をはかり、安全性を保つということを目的としたものでした。
しかし、不動産全般の価格下落が起きることでこの方法は破綻しました。
また、組成に関して格付け機関が深く関わっていたことで格付け不信を呼び込む要因のひとつでもありました、
もともとCDOはデフォルトを想定していません。
債権を輪切りにしたことで、CDOの保有者は基になる債権の一部しか保有していない。
このため、清算作業はそれぞれの債権者の権利調整などでなかなか進まないことが想定されます。
資産担保付ということで債権は保有する資産で裏付けされており、相当する残存価値、処分価値が残されるはずですがほとんど残されていない状態でしょう。
また、CDOというのは金融機関の間でしか取引されていない為に、市場価格のない債権としてレベル3債権に組み入れられ、その評価は金融機関の自己評価で成り立ってきました。
昨年のルール157の施行により、監督機関は指数を用いて適切な評価をすることを求めてきましたが、
これは強制処置ではない為に、そのままレベル3債権として温存することが可能でした。
今回デフォルトが報じられ、格付けが一気に引き下げられることで、膨大な損失拡大につながる可能性があるといえるでしょう。
また、このような債権の評価が甘いという指摘もあり、これが実損という形で表面化することで膨大な追加損失が生まれる可能性も高いと思われます。
さらに、流動性確保の為の新型証券貸し出しの担保として、膨大なCDOが差し入れられていたものと思われ、格付けの低下で担保の差し替えを要求されることになるでしょう。
また、金融機関の保有する担保資産の減少は、新型証券融資で一時的な安定を保っていた流動性を再び危機的な状況に追い込むことが想定されます。
担保割れ住宅急増で金融機関は住宅ローンの評価減を検討すべき=FRB理事
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT815891120080409
[ワシントン 9日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)のクロズナー理事は9日、担保割れの住宅が急増していることから、金融機関は住宅ローンの評価額の引き下げを検討する必要があるとの見方を示した。
同理事は下院金融委員会での証言で「苦境に陥った多くの借り手が担保割れ物件を所有しているという事実は、貸し手や債権回収会社(サービサー)がローン変更の選択肢の1つとして、元本減額をより真剣に検討すべきであることを示している」と語った。
同理事はまた、2008年の住宅差し押さえ件数は前年の150万件を越えるとの見通しを示した。さらに、1月には変動金利型サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)の24%前後の返済が滞っており、これは前年比2倍に当たると指摘した。
不動産価格全般の下落が続いています。このため金融機関は評価替えを要求されることになるでしょう。
これは債権価格や担保価値の下落を招き、金融機関の財務にも非常に大きな影響を与えることになるでしょう。
シティ含む米銀大手の融資抑制、より深刻なリセッション招く可能性も
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003001&sid=aFhbrTHXaAqU&refer=jp_commentary
4月8日(ブルームバーグ):シティグループやバンク・オブ・アメリカ(BOA)、ウェルズ・ファーゴなど、米大手銀行持ち株会社の自己資本比率が7年ぶりの低水準に低下している。
自己資本比率は今後数週間にわたりさらに低下する可能性がある。米国の住宅不況を背景に格付け会社は今年に入って計7040億ドル(約72兆円)相当の債券を格下げした。米連邦預金保険公社(FDIC)のベアー総裁は先週、格下げは銀行の自己資本比率の一層の低下につながり、一部大手金融機関の資本はもはや十分とは認められなくなる可能性があると指摘した。
自己資本比率が預金者保護を目的にした当局の規定水準を下回った銀行は、これまで以上に厳しい監視の対象になる。
1981−85年にFDIC総裁を務めたウィリアム・アイザック氏は「現在の状況はこの国にとって悪夢だ」と指摘。銀行が「調達可能な資本を調達し、その後に事業の伸びを抑制して融資を停止することにより、緩やかなはずだったリセッション(景気後退)は、もっとずっと深刻なものになる」との見通しを示した。
米経済にとって最大の危険は、銀行が自己資本比率を維持するために与信を打ち切り、それが企業や消費者への融資の減少につながることだ。ブルームバーグの集計データによると、銀行はすでに計1360億ドルの資本を調達するとともに、配当も減らした。オッペンハイマーのアナリスト、メレディス・ホイットニー氏は、今後も新株発行や減配が行なわれる可能性は高いとみている。
「金融機関のパニック」
信用危機の影響で、大手金融機関はすでに計約2320億ドルの評価損や損失を計上。米5位の投資銀行だったベアー・スターンズの破たん回避のため、当局主導の救済措置も実施された。国際通貨基金(IMF)は先週、銀行は大恐慌以来最悪の金融危機に見舞われているとの認識を示した。
銀行業界の調査会社インスティテューショナル・リスク・アナリティクスのデニス・サンティアゴ最高経営責任者(CEO)は「銀行は資本比率を維持しなければならない」と指摘。「金融機関にとってのパニックだ。いつ消費者のパニックになるのかは分からない」と語った。
リスク調整後の総資産は、信用格付けの影響を受ける。銀行にとって必要なのは、この総資産に対する普通株や優先株のほか利益剰余金や引当金の割合を高めることだ。この割合は、規制対象となっている銀行全体で昨年末時点に 12.79%と、前回のリセッション入り前だった2000年以来の低水準にある(ブルームバーグ調べ)。
貸し渋り貸し剥がしは、より深刻な景気後退へとつながります。
しかし、貸し渋り貸しはがしをしないと、金融機関は自己資本比率を維持出来ない。
このような負の連鎖は、バブル崩壊の典型的な出来事であるでしょうね。
米財務省:FRBの流動性対策補強へ国債発行も‐非常事態対応
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003002&sid=a.b9fSycl84U&refer=jp_bonds
4月9日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)と米財務省の高官は、FRBによる米金融機関への融資継続を確実にするために必要な場合には、FRBによる米国債供給を補充する方法を検討している。
同提案に詳しい複数の関係者によると、非常事態対応策の一つは、政府が米国債を追加発行し、その収益をFRBに預けるというもの。その後FRBがその資金を米国債の購入に充て、この国債を投資銀行に貸与するという。
一部のエコノミストはFRBが米国債の保有分を使い果たす恐れもあると指摘している。FRBの米国債保有分は昨年7月以来、26%減少している。米金融当局は信用市場のひっ迫を回避するために、米金融システムへの流動性注入を目指して、最も安全な資産である米国債を使用してきた。
FRBの元調査部長で現在、マクロエコノミック・アドバイザーズのチーフエコノミスト、ブライアン・サック氏は「米国債の保有分が非常に迅速に使用されてきたことから、この問題が注目されるようになっている」と指摘。「必要となれば、これに関する独創的なやり方がありそうだ」と付け加えた。
金融機関の破綻危機に備えた緊急対策の一部が、少し垣間見えてきた気がします。
FRB及び財務当局は、すでに特融の準備に入っているということですね。
しかし、国債の追加発行はドルの価値と信用を大幅に毀損することになるでしょう。
さて、不動産バブルの崩壊が懸念される英国においても少し動きが出てきたようです。
IMF、08年の英経済成長率見通しを1.6%に下方修正
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK815849520080409
3月末時点の英住宅ローン金利は約8年ぶり高水準、融資基準厳格化で=中銀報告
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT815901920080409
米国だけでなく欧州に関しても注意が必要な状況になってきたと思われます。
高い流動性と高リバレッジ資金に支えられ、実体経済との乖離が進んできた世界経済でしたが
ついに限界に達し、いろいろな意味での歪みの補正に入ったと思われます。
とりあえず、今日の欧州の政策金利が注目されることになるでしょう。
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