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昨日のトピックで農林中金の問題について取り上げた。
そのそも農林中金とはなんぞや という疑問に突き当たる。
農林中金とは、農林中央金庫法を根拠法とする純粋な民間金融機関である。
全国の農協や漁協の上位に位置し、農協漁協などの中央銀行的な役割を担いその膨大な資金を運用する立場にある。同時に日本最大の機関投資家であり、投資銀行としての役割を演じている。
よく、外貨準備などを運用する政府系ファンド(SWF)などと誤認されがちであるが、その運用資金は完全な民間資金であり、公的資金を運用する立場にあるSWFとは一線を介している。
本来、農林中金はその役割を終えた金融機関である。
かつて、農業者や漁業者は民間金融機関からの借り入れが困難であり、その相互扶助的な役割をしていた農協や漁協を統括する役割を果たしていたのが農林中金である。
しかし、歴史の変遷とともに農家や漁業家が富裕化し、貯金が貸し出しを上回ると同時に、農家や漁業家の借り入れが減少し、その資金にだぶつきが生じてしまったことに問題の本質がある。
その余剰資金を運用する課程で、日本のバブル崩壊、住専問題に遭遇し、その無責任な貸し出しより農林中金を破綻の危機を迎えたのである。しかし、国は農業者保護などの観点から、税を投下し債権の買い取りをすることで救った経緯がある。
再び同じ愚を繰り返すのか?問題の本質は、運用に対する無責任体質にあるのではないだろうか?
この前提の下、昨日の報道を考えてもらいたい。
農林中金、米住宅公社債を5兆5000億円保有 国内で最大規模
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080718AT2C1701N17072008.html
農林中金、米シティの資産5千億円分を購入
http://www.asahi.com/business/update/0715/TKY200807150395.html?ref=rss
単純に、膨大な余剰資金を外国債券を運用するハイリスク投資に当てる必要があったのかという疑問が生じるわけである。確かに、日本の金利は安い、だからといって対外投資をする必要があるわけではない。
国内の農業者や漁業者に対するリスク性事業に、投資するのであればまだ判る。なぜあえてリスクのある外国債券の運用をしなくてはならないのであろう。ここに大きな疑問が生じる。
即座に責任を明確化し、その評価損を公表しなくてはならないと私は考える。同時に全国の農協や漁協に対して、配当の支払いなどを凍結し、自己資本増強や債務返済のスキームを策定すべきである。
それが出来ないのであれば、金融機関、機関投資家として完全に失格である。
米フレディ:増資に向けSECへ登録-「予定通り55億ドル規模」強調
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=aLBCPiFk9JlU
7月18日(ブルームバーグ):信用危機に揺れる米住宅金融投資会社のフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)は18日、米証券取引委員会(SEC)への登録手続きをし、増資に向けた最大の関門をクリアした。
同日のフレディマックの発表文によれば、同社は5月に発表した55億ドル(約5900億円)規模の増資計画を進める方針であり、増資には「普通株と優先株の双方が含まれる」という。同社のリチャード・サイロン最高経営責任者(CEO)は「SECに登録したことは当社にとって、重要な出来事であり、一段の透明性確保を約束することを意味する」と強調した。
フリードマン・ビリングズ・ラムジーのアナリスト、ポール・ミラー氏は「同社は想像以上に早く増資手続きを開始できるようになった」と指摘する。 18日のニューヨーク株式市場で、同社は前日比10%高の9.18ドル、同業のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)は同23%高の13.40ドル。
一方、18日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、フレディマックは米政府の緊急支援策や当局の監視強化を回避するため、最大で100 億ドル規模の増資を実施する可能性があると報じた。これに対し、同社の広報担当、ダグラス・デュバル氏は「1回か数回に分けて」計55億ドルを調達する方針を改めて明らかにしたが、WSJ紙の報道にはコメントしなかった。
ミラー氏は「問題は100億ドルでも足りるかだ」と疑問を投げ掛け、フレディマックとファニーメイの両社はそれぞれ150億ドル調達する必要があるとみている。
さて、ファニーメイやフレディマックをどのように救済するかが大きな焦点となっている。不動産価格の下落が続く限り、当然、その評価損は拡大を続けることになる。そして、その度ごとに資本増強の必要性が生じ、増資などで対応する必要に迫られる。
ファニーメイやフレディマックの既発債権残高は550兆円にも及ぶ、その1割毀損でも55兆円規模になる。これは、一年間の日本の税収総額とほぼ同等の金額である。
また、この債権を組み込んだCDOなどの派生債権を含めると、毀損金額はその何倍にもあたるであろう。
現状では、実際的には評価損が出ているが、米国政府により原本が保証されているという前提において、債権価格が評価されているのが現状である。
米国政府の対応如何では、債権価格の見直しが必要となるであろう。この場合、膨大な評価損で世界の金融システムは崩壊しかねない状況といえる。これをどのように解決するのかが大きな焦点となるだろう。
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