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TCIのJパワー追加投資に政府が中止勧告、外為法で初
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-31359020080416
[東京 16日 ロイター] 経済産業省と財務省は16日、英投資ファンド、ザ・チルドレンズ・イン ベストメント・ファンド(TCI)に対し、電源開発(9513.T: 株価, ニュース, レポート)(Jパワー)株の追加取得計画を中止するよう勧告したと発表した。外国為替および外国貿易法(外為法)に基づく外資規制で、中止勧告は初めて。
政府は、TCIに25日までに勧告に応じるよう求める。TCIが勧告を拒否すれば、中止命令を出す方針。
経産省は、中止勧告の理由について「公の秩序の維持を妨げるおそれを認定した」とした。具体的には、TCIの投資方針が「時として経営陣に対する働きかけを行ったり、委任状勧誘を行う場合がある」ことを指摘したうえで、これまでの投資行動を勘案して「Jパワーの経営に影響を及ぼす可能性がある」とした。
さらに、Jパワーが、1)青森県で大間原子力発電所の建設計画を進めている、2)北海道から九州まで結ぶ送電線を保有している──ことを重視し、Jパワーの基幹設備の設備投資や修繕、財務体質の毀(き)損に関する政府側の懸念に対して、TCIが明確な方針を示さなかったことから「電力の安定供給・原子力政策に影響を与えるおそれは十分に払しょくできないと認められる」と結論付けた。
関税・外国為替等審議会(外為審)の外資特別部会(部会長:吉野直行慶応大教授)は15日、TCIの追加投資計画に「公の秩序の維持が妨げられるおそれがある」との意見書をまとめた。経産・財務の両省は、この意見書で、外為審がJパワーの追加投資を強く拒否する見解を示したことを確認し、変更勧告にとどまらず、中止勧告に踏み切ることにした。
資源エネルギー庁の望月晴文長官は、TCIの投資計画の審査の過程について「公の秩序の維持を妨げるおそれが(あるとの認識が)政府側にあったのに対し、TCI側は、そのおそれがないと反証しなくてはならなかったが、立証できなかった」と説明した。
投資計画の中止勧告に10日以内の応諾がなければ、政府は中止命令に切り替える。TCIが応じないと判断すれば、行政不服審査法に基づいて財務相と経産相に意義を申し立てたり、行政訴訟を起こす選択肢もある。
<TCIアジア代表、日本への投資呼び込む能力が損なわれた>
TCIのアジア代表、ジョン・ホー氏は16日、経産省内の記者会見で、政府の中止勧告への不服審査や行政訴訟などの対応について「時間をかけてよく検討する」と述べるにとどめた。さらに、政府による投資計画の中止勧告は「(日本への)長期投資を呼び込む能力が損なわれたことを残念に思う」との認識を示した。
また、ホー氏は、外為審の吉野部会長が15日の記者会見で、TCIが「3―5年の投資期間を目指している」と発言したことについて反発。「過去の投資において短期の投資を行い、売り抜けているという言及は事実ではない」とした。さらに「(特別部会では)投資期間が3─5年とは言ってない。それが公のかたちで審議会から報告があったことに驚いている」と語った。
経産省幹部は、「3―5年の投資期間」の言及について「吉野部会長の理解だと承知している」とした。審議会で、TCIが「3―5年」と発言したかどうかについては「審議会の中身は公開することができない」とした。
<経産相、日本市場への影響はまったくない>
甘利明経済産業相は、TCIの追加投資について「停電の事態を起こすことはできない。国の安全、公の秩序が保たれるために(中止を)勧告した」と説明した。
さらに、外為法に基づく外資規制については、過去3年間の763件の審査がすべて許可されており、TCIへの中止勧告が初めての例であることを強調したうえで、国の安全や公共の秩序にかかわる外資規制については「どこの国でもやっている」と指摘した。
日本市場への悪影響を指摘する声に対しては「まったくない」としたうえで「これで閉鎖的というなら、どこの国が閉鎖的でないのか聞いてみたい」とも述べた。
そのうえで「対内投資は歓迎している」と強調。ただ、外国資本が日本企業に投資する場合については「どういう対象が(外資規制の)審査対象になるかは外為法に書いてある。投資先の企業をチェックするのは当たり前」とも語った。
TCIが、Jパワー株の20%への出資は拒否されても、現行の9.9%について保有し続ける考えを示していることについては「ご自由に」とだけ述べた。
<私見と考察>
私見としては、これは公益企業の民営化上場モデルの欠陥であり、もともと上場に即さないと考える。
TCIの方法論はこの欠点をついたものといえるが、外為法などから総合的に判断するとTCIの対象の選択に問題があったと考える。
<上場の目的に対する考察>
上場にはその目的が必要である。考えられる要素としては以下の2点となる。
1、上場益を利用した赤字国債などの解消
2、民営化と上場による合理化と競争原理の導入
本来、 合理化 ≠ 民営化 ≠ 上場 である。
公的企業と民間において、運営コストや人件費に格差が存在するのであれば、
非公務員化や民間のコスト管理技術の導入で対応すればよい。
公的企業、特にインフラなど国民の生命財産に直接関係する事業は上場に即さない。
赤字国債の解消が目的であれば、外部機関を入れ企業の適切な価格評価をした上で公的年金など公的基金が株式を買い入れれば済むことであると思われる。
安定した収益の望める企業であれば、年金の投資対象として最適な株式ということになるだろう。
公益事業は過去の国民の血税と相応負担で成り立っている。
もし、赤字を出し続けるならば合理化で対応し、それが出来ないならば清算すべきものである。
上場が成立した経緯からすれば、相応の内部留保が存在し、収益性の望める企業であったと思われる。
<法的問題点と対応>
外為法により、外国企業による国益を損なう可能性のある投資には中止命令を出すことができる。
今回はこれを適用することになったが、この法律にも穴が存在する。
あくまでも、外為法は外国企業による出資制限しかできない。
国内の投資ファンドなど国内企業による国益に対する不利益行為を防止することはできない。
国内企業と投資ファンドが組む形で、過剰な配当要求をしてきた場合対応しきれないのが現状である。
この件を参考に早急な対応処置と法の策定が必要であると思われる。
しかし、新たな法の策定は、既得権益を持つ正当な株主の権利を阻害することに繋がる。
これをどのように解消するかということになるだろう。
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